鵜殿篤 のすべての投稿

【教育学でポン!?】2023年2月6日

実習巡回のついでに川崎大師にお参りしてきました。
【本日の歩数】12773歩■川崎大師をぐるぐる。

働き方改革

■教員免許、4年制大学でも最短2年で取得可能に…短大向け「2種免許」の教職課程を新設へ(讀賣新聞オンライン)
どんどんハードルを下げてきます。

■「ペーパーティーチャー」再挑戦促す 茨城県教委、人員不足解消へ研修会 水戸(茨城新聞クロスアイ)
やらないよりはマシでしょうけれども、抜本的な解決には結びつかないでしょう。

ICT

■私立高ネット出願「いずれ主流に」 青森県内唯一導入の東奥義塾高、業務軽減「雲泥の差」(東奥日報)
こういうところで手間をかけさせる意味がありませんので。

ジェンダー

■【書評】「女の子は文系で」の時代錯誤 日本の“知的な女性を好まない社会風土”の問題点(NEWSポストセブン)
教育だけの問題ではないので、入試制度等をいじっても本質的な解決には結びつきません。

学校間接続

■今でも大きい「大卒者と非大卒者」の格差 子供が乗り越えるポイントは“読書習慣”か(マネーポストWEB)
60年前には「金の卵」と呼ばれていたのが、今は「レッグス」ですか。内容は「文化資本」の話でした。

■社会での「学歴の賞味期限」は5年ほど 就活に「学歴フィルター」があっても転職で挽回できる(マネーポストWEB)
新卒一括採用という習慣に学歴主義が馴染みやすいということでしょう。

学校

■「成徳(仮)にするんですか」 鳥取の小学校名称問題、説明会が紛糾(朝日新聞DIGITAL)
誰に忖度してこんなことになってしまったのか。

■中学校に無償提供開始、会社づくりの基礎を学ぶアントレプレナーシップ教材 近未来の女子中学生が起業を志すストーリーに伴走して学ぶ(こどもとIT)
どうしていいか分からなかった教員にとってはありがたいでしょう。しかし使う場合は丸パクリではなく教材研究のプロセスが必須だということは強調したいところ。

高等教育

■あなたの知らない(?)大学校歌の世界 明治大、関西大、関学大の校歌を作ったのは同一人物=日本を代表する作曲家Y(まいどなニュース)
確かに知らない世界でした。

【教育学でポン!?】2023年2月5日

大河ドラマで鵜殿長照が活躍していました。しかし来週死にそう。
【本日の歩数】4770歩■自宅と学校を往復。

働き方改革

■教員不足の解消へ 沖縄県の教育庁が説明会 免許保持者ら150人参加(沖縄タイムス)
教員不足の理由が「教員採用数を上回る(特別支援の)学級数増加が主な要因」って、本気で言っているとしたら、問題は永遠に解決しないでしょう。

ICT

■部活動の事務連絡で懲戒処分… どう思う?生徒と先生のSNS 専門家に聞くと…(RCCニュース)
「李下に冠を正さず」という故事成語もあります。

体罰

■「ハラスメントゼロは大人だけでは限界」生徒たちが考える部活動の形とは(RBC)
生徒の間にも温度差があるのが、いろいろ難しいところではあります。

学校

■「なぜ教育委員会は主体性持たなかった?」 倉吉市校名問題で保護者説明会 「至誠」→「打吹至誠」→「成徳」と変遷(日本海テレビ)
真相は藪の中。

教育全般(国内)

■「孤立した子に存在伝わっているのか…」2016年比で23倍増の“こども食堂” 奮闘するスタッフと抱える課題(東海テレビ)
私的な支援はとても素晴らしいのですが、本来は共同体全体で支えていくべきところです。

■「児童手当」って何?  少子化対策で議論活発に(時事通信)
高所得者はただでさえ累進課税でたくさん取られているので、児童手当くらいで所得制限するのは意味がないでしょう。むしろ事務作業の方が手間かと。

教育全般(海外)

■ニュース 戦争・紛争 ウクライナ危機 深く知る 学校はがれきの山、教師の自宅が教室に ウクライナ(AFP BB News)
戦争が続いていても、子どもの成長は待ってくれません。後で取り戻すことはできないから、今やるしかありません。

【教育学でポン!?】2023年2月4日

土曜日だけど学校で仕事。研究室の方が原稿が進む気がする。
【本日の歩数】5470歩■自宅と学校を往復。

働き方改革

■「まだ殴られた方がマシだった」 子どもたちを精神的に追い詰める“ブラック部活” 体罰にかわるパワハラ指導への対策は?(TBSテレビ)
トーナメント式の大会をなくすのは、教育的に意味があるでしょう。受験をなくすのと、また同じ。

■「希望」「勝利至上主義的な懸念」高校インターハイ9競技が合同チームで出場可能に 選手や監督に聞くと(TUY NEWS)
大会に出ることを最上位の目的にすると、教育的に大事なものを見失いそうです。そもそも学校単位で部活動をやることに本質的な意味があるのか考え直していいタイミングということです。

■小学校の入学説明会でPTA会長「入るのも入らないのも自由」 保護者からは驚きと歓迎の声(東海テレビ)
活動が楽しければ、強制せずともみんな入ります。

不登校

■小中学校の不登校児童・生徒が過去最多、どう向き合う? 候補者の政策は【愛知県知事選】(メ~テレ)
教育機会確保法についてまったく知らなさそうな候補もちらほら。

学校間接続

■「お金がなかったけど、僕はええ学校に行けた」笑い飯・哲夫が激安塾を始めた思い(日刊SPA!)
謙遜してますが、立派です。応援したい。

■広島県の「高校入試」が変わる 学力テスト重視、新たに「自己表現」加わる 自分の将来を見つめる機会に(tssテレビ新広島)
内申点の割合を大きく減らしました。全国的な趨勢です。

学校

■東京・品川区、学校給食を無償化へ 2.3万人対象、所得制限設けず(毎日新聞)
正しい税金の使い方です。

■約半数は部活に入らず…沖縄の中学生「部活離れ」が加速 加入率63.9%→53.3%に減った理由(沖縄タイムス)
学校単位で部活動をすることの意味そのものを問い直す時期です。

■「来年度も働けるのか…?」 不安を抱えるスクールカウンセラーの「本音」とは(Yahoo!JAPANニュース)
現場の問題もあるでしょうが、そもそもの制度設計がどうなのか。

【教育学でポン!?】2023年2月3日

成績をつけ終わって一段落したけど、次は原稿締切が待っているのだった。
【本日の歩数】7488歩■自宅と学校を往復。

働き方改革

■教職経験のないペーパーティーチャー積極採用へ 深刻な教員不足解消に向けて(沖縄テレビ放送)
お給料を上げれば応募が殺到すると思います。

■中体連の主催大会に条件付きでスポーツクラブの参加を認める 宮城県中学校体育連盟(khb東日本放送)
勝利至上主義が加速して、大会そのものが消滅する未来もあったりしますでしょうか。

ICT

■GIGA端末で動く『桃鉄 教育版』リリース︕ 教科学習から協働的な学び、お⾦の教育までを教育者が熱く語る――「第1回 桃太郎電鉄 教育祭り!」レポート(こどもとIT)
ぜひ教職課程の授業で使いたいです。

いじめ

■重大事態認定時から助言・支援へ いじめ対応強化 文科省(時事通信)
こども家庭庁が機能するかどうか、大きな試金石です。

不登校

■約20年当事者と家族を支援、臨床心理士が考える「不登校の子の進路選択」世間体や学力で決めず「学校を活用する」視点を(education×ICT)
子どもの視点から支援の在り方を考える記事でした。学校システムそのものに視点を置くとまた多角的に問題点が浮かび上がってくるところで、臨床の視点とシステムの視点の両方が必要な領域です。

校則

■【なぜ校則でメイクは禁止?】整形はどうなる?教育哲学者・苫野一徳さんが最新解説(VoCE)
さすが苫野先生、忖度なく本質にずばっと切り込んでいます。

学校間接続

■神奈川県立中等教育学校で入学検査 平塚4.61倍 相模原6.14倍(tvk)
公立の中等教育学校は、全国的にどんどん増えていく気配です。

■「無名の大学」じつは「意外な力」を秘めていた…!「国立や早慶」だけじゃない「日本の大学」(現代ビジネス)
偏差値という一律のモノサシでなく、学生の個性に合うかどうかで判断する時代に入りつつあります。

学校

■20年前とは大違い…!海外留学する日本人がどんどん減ってしまった「深刻な理由」と「それでも留学すべき」と言えるワケ(現代ビジネス)
日本列島に住む人々は、2000年前から海外と交流することで発展してきました。おそらく、これからもです。どんどん外に行きましょう。

教育全般(国内)

■新潟市子どもの権利推進計画 諮問機関の委員会が答申書を提出(BSN新潟放送)
本当は1995年の条例批准の時にやりたかったこと。ここからが本番です。

【要約と感想】ダンテ『新生』

【要約】愛した女性のためにたくさん愛の歌を詠んだけど、死んじゃったので死にたくなるほど悲しい。ということを後になって回想したら、その女性がほとんど神だということに気がつきました。

【感想】愛を歌う詩に、作者自身の解説がついている。作詩の教科書として利用されることを狙ったもののようにも勘ぐる。特に「愛」を擬人化して表現した描写について、その意図や狙いを細かく説明しているところなどは、詩の初学者向けの案内のように感じる。
 肝心の詩の内容はとにかく「愛している」ということは強く伝わってくるものの、一方で極めて抽象度が高く、具体性に乏しい。髪の色とか仕草など、現代の散文で描かれるような描写がほとんどない。ベアトリーチェの個性や特徴が浮き彫りになるような表現はまったく見あたらず、極度に一般化された「美」と「徳」への賛美と傾倒に終始する。そういう意味では、やはり分析的思考の近代ではなく、どっぷり象徴的思考に浸かった中世ということなのだろう。やたら「9」という数にこだわるのも、中世の象徴的思考の表れだろう。(ちなみにいちおう、つまらないということではない。)

【個人的な研究のための備忘録】俗語

「昔は俗語で愛を歌つた者はなく、ただラテン語で愛を歌つた詩人だけがいくたりかあつた(中略)。即ち我等のうちでは(おそらく他の人々のうちにも同じ事が、たとへばギリシヤに於ける如く、昔あつたのみならず今もあるであらうが)俗語詩人でなく雅語詩人がこれらの詩材を取扱つたのである。そしてこれら俗語詩人(韻を踏んで俗語で歌ふのは、ある範囲内では韻律によつてラテン語で歌ふのに等しい)が始めて現れたのは久しい以前のことでない。久しくないといふしるしには、オコの国語やシの国語に求むるに、今より百五十年以前のその先には何等の作品も見当らない。ある拙い人たちが詩家たるの名を得た理由は、かれらがシの国語で歌つたいはば最初の者であつたからである。また俗語詩人として歌ひはじめた最初の人がさうするやうになつたのは、ラテン語の詩をよく理解しえない一婦人に自分の言葉を理解させようとの心からであつた。そしてこれが愛以外の詩材を捉へて韻文を作る人達にとつては不利なのである。かかる表現の方法はもともと愛を歌ふために見出されたものであるから。」84頁

 このダンテの認識は、解説でも指摘されているように、事実としては間違いだらけだ。まず俗語の詩作が始まったのは、ダンテの言うように「百五十年」ではない。さらに100年は遡る。また詩材が恋愛に限られるという認識も誤っている。
 ただしだからといって無意味な記述ではない。当時超一流の詩人の認識が素直に現れている言質として、事実誤認そのものも含めてとても価値がある。特に、俗語で詩作することに対して、ダンテが誇りを持っているらしいことが表現されているところが貴重だ。
 たとえば日本でも、漢詩から和歌への切り替わりのタイミングで、古今和歌集の仮名序のように、「敢えて和歌を詠うことの意味」を表明するものが現れる。俗語で歌を詠むことが「芸術に価するかどうか」について、なんらかのためらいが存在し、それを意識的に打ち破る必要があった、ということだ。
 ダンテの場合、詩の内容として「愛」を扱うことが詩の形式として「俗語」を採用することの決定的な理由だ、というところが重要だ。歴史的には間違っているが、14世紀初頭の超一流詩人がそう理解していた、ということが重要だ。
 日本でも、愛の歌は漢詩ではなく和歌で扱われた。「俗語」を尊重する動きに関しては国民国家形成との絡みがよく指摘されるところだし、実際に重要な論点だとは思うものの、個人的には恋愛の観点もとても重要だと思うのだ。

ダンテ『新生』山川丙三郎訳、岩波文庫、1948年