教職基礎論(栄養)-2

短大栄養科 4/21

前回のおさらい

・日本の公教育にとって最も大事な法律は「教育基本法」です。
・教育基本法第1条には、教育の目的が規定してあります。
・教育基本法第9条には、教員の義務や責任、立場について規定してあります。

教員の服務義務

公立学校の教員は「公務員」です。「公務員」の服務義務は法律で規定されています。

服務の根本を押さえよう
(日本国憲法 第15条)
1.公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2.すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
【服務の根本基準】(地方公務員法30条)
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

「全体の奉仕者」とはどういうことでしょうか?

・全国民の利益のために奉仕する者のことです。特定の集団や特定の個人の利益のために奉仕するのは「全体の奉仕者」のすることではありません。

地方公務員法に定める3つの職務上の義務

・教員の服務義務については、地方公務員法30条以降、8つの服務義務が規定されています。8つの服務義務は、3つの職務上の義務と、5つの身分上の義務に分かれています。

【服務の宣誓】(地方公務員法31条)
職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。

【法令等上司の職務上の命令に従う義務】(地方公務員法32条)
職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

【職務に専念する義務】(地方公務員法35条)
職員は、法律又は条令に特別の定めがある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

服務の宣誓の内容とは?

・公務員として職員の服務義務に従うことを「住民」に対し宣言するものです。
・憲法の尊重、擁護及び公務の民主的かつ能率的運営に資するための全体の奉仕者として誠実かつ公正な職務の執行を誓うものです。
*そもそも憲法とはどういうものでしょうか? たとえば法律とはどこがどのように違っているのでしょうか?
*「立憲主義」や「法治主義」という言葉の意味について確認しよう。

地方公務員法に定める5つの身分上の義務

【信用失墜行為の禁止】(地方公務員法33条)
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

信用失墜行為とは、具体的にどのような行為でしょうか?

  • 交通事故、飲酒運転、飲酒運転幇助など道路交通法違反
  • 窃盗、万引きなど刑法犯
  • わいせつ行為、ハラスメント行為
  • 体罰
  • 情報漏洩、個人情報流出
  • 不正経理、公金横領、着服、リベート収受、贈収賄

【秘密を守る義務】(地方公務員法34条)
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

【政治的行為の制限】(地方公務員法36条)
職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、もしくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

【争議行為の禁止】(地方公務員法37条)
職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、または地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人もこのような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。

【営利企業等の従事制限】(地方公務員法38条)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

教育公務員特例法に定める服務規程

・地方公務員法の他、「教育公務員特例法」という法律によって服務義務が定められています。たくさんの種類の公務員(役所の職員や警察官など)のうち、特に教員だけが守らなければならない内容を定めています。教員が「教育の専門家」であるということがポイントになります。

【兼職及び他の事業等の従事】(教育公務員特例法17条)
教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。

【公立学校の教育公務員の政治的行為の制限】(教育公務員特例法18条)
公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。

【研修】(教育公務員特例法21条)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に勤めなければならない。

【研修の機会】(教育公務員特例法22条)
教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

【初任者研修】(教育公務員特例法23条)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その採用の日から一年間の教諭又は保育教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修を実施しなければならない。

【十年経験者研修】(教育公務員特例法24条)
公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その在職期間が十年に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修を実施しなければならない。

復習

・「公務員」とは何か、整理しておこう。
・「憲法」がどういう性質の文章か、「立憲主義」や「法治主義」という言葉と一緒に理解しているか確認しよう。
・「地方公務員法」と「教育公務員特例法」の内容を整理して、服務義務について理解しておこう。

予習

・教員免許状にはどういう種類があるか、調べてみよう。

教育概論Ⅰ(中高)-2

栄養・環教 4/20
語学・心カ・教福・服美・表現 4/21

前回のおさらい

・教育基本法の概要:教育の目的は「人格の完成」です。
・東洋古代の教育:「育」と「教」の漢字の源。
・西洋古代の教育:ソクラテスの思想。

大人と子供の境界線

・「人格の完成」とは、日常的なことばで簡単に言い換えれば、「大人になる」ということになります。
・「教育」とは、「子供」だった存在を「大人」へと成長させる手助けと言うこともできます。

【思考実験】「子供」と「大人」の違いとは?

・自分が「子供」なのか「大人」なのか、生活を振り返って考えてみよう。
・「大人」の条件とは何か、考えてみよう。

・現在は、様々な基準で大人と子供の間に境界線が引かれています。
・たとえば、労働(働いているのが大人、働いていないのが子供)、経済的自立、年齢制限(酒や煙草を許されるのが大人、許されないのが子供)、選挙権、結婚、子供を持つなどという基準が考えられます。

【思考実験】「子供」とはどういう存在か?

・子供は……かわいい・守ってあげたい・将来の世の中のために大切・初々しい・無邪気・純粋・天真爛漫

・しかし実は、日本でもヨーロッパでも、「子供」をこのように考え始めたのはそう昔の話ではありません。
・かつて、「大人」と「子供」の間には、現在のような明確な境界線はありませんでした。

子供はいなかった?

・かつての世界では、「7歳」という年齢が大きな境界線となっていました。
労働:7歳以後、人々は働いていました。つまり大人たちの仲間として世界と関わっていました。子供の仕事としては、日本では柴刈りや馬引、水汲みなどに従事している姿が絵の中に残されています。
遊び:同様に、遊びは子供だけの特権ではなく、大人も一緒に楽しむものでした。日常生活のなかに、定期的に「遊び」が組み込まれていました。
→昔は、労働や遊びという点で、大人と子供に明確な区別はありませんでした。

生理的早産

・人間以外の高等哺乳類は、誕生してからすぐに親と同じような行動をとることができます。しかし人間の赤ん坊は「能なし」で生まれてきます。他の高等哺乳類と同じだったとしたら、人間はあともう一年は母親の胎内にいる必要があります。
・この一年早く生まれてくることを「生理的早産」と呼びます。この現象こそが、人間を人間たらしめているという仮説と言えます。
・生物学的・自然科学的な過程によって必然的に成長が決められるのではなく、歴史的・文化的な過程によって選択的に成長が決まります。ここに人間らしい「個性」が生まれるわけです。
【参考文献】ポルトマン『人間はどこまで動物か』

人間はどこから人間か?

・かつては「7歳」に境界線がありました。7歳未満の存在が「人間」として扱われていなかったのではないかという疑惑は、埋葬、捨て子、マビキなどの在り方に見ることができます。
・妊娠中絶は殺人か? →昔と今とでは、「なかったことにする」という意味で、やっていること自体は変わりません。単に「どこから人間か」という境界線が移動しているだけなのかもしれません。

昔の「家族」の生活を考えてみよう

・「家族」は子育てしていたでしょうか?
*生産力:生産力の低い世界では、子供も労働しなければ家族が生きていけません。父親も母親も、生きるための労働で精一杯であって、子育ての優先順位は下がっていきます。
*社会(ムラ)と家族との関係:現在は家族が独立した島宇宙のようになって社会から隔絶していますが、かつては家族と社会(ムラ)の間の境界線は曖昧でした。家族が子育てをできなければ、社会全体でそれを担います。

復習

・「子供」が「大人」になるとはどういう意味なのか、自分の生活を振り返って考えてみよう。
・「家族」の変化によって「子供」へのまなざしが変化する理屈をまとめておこう。
・アリエスやポルトマンの学説を確認しておこう。

予習

・「イニシエーション」という言葉の意味を調べておこう。

参考文献

フィリップ・アリエス『<子供>の誕生』
主にフランスにおいて「子供期」がどのように生じてきたかを分析した社会史研究書。中世まで人々は子供に無関心だったが、17世紀から子供と大人の間の境界線が厚くなっていったという見解。

カニンガム『概説子ども観の社会史』
ヨーロッパと北米において、子どもの実際と観念がどのように変化したかを概観した社会史研究書。20世紀における急激な変化を強調。

柴田純『日本幼児史』
日本において7歳という境界線がどのように生じたかを分析した歴史学の本。古代・中世の人々は子供に対して無関心だったが、江戸中期以降に子供に対する心性が大きく転回したという見解。

流通経済大学「教育学Ⅰ」(2)

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前回のおさらい

・ドラえもん構造。ジャイアン・スネ夫・のび太の人生で、学校の持つ意味はそれぞれ異なる。それは「自営業/資本家/労働者」という立場の違いによって生き方が異なり、学校に期待するものが異なるためである。

働いたら負け?

・ジャイアン・スネ夫・のび太、それぞれの生き方をもう少し詳しく見てみよう。「生き方」という言葉の具体的な中身を「お金の稼ぎ方」と読み替えて考え、さらに「お金を稼ぐために必要な知識と技術」という観点を深めてみよう。

「自営業」は具体的にどういう働き方をしているのか。

・誰かから給料をもらうのではなく、自分の腕で直接お金を稼ぐ。
・働く時間や場所を誰かから命令されることなく、自分で決めることができる。
・金物屋、八百屋、美容師、ラーメン屋、居酒屋、農家、漁師、お寺、アプリ制作、同人誌作家、インディーズの歌手、ユーチューバー等。(ただし企業に雇われて給料をもらいながら店長等をやっている場合は、自営業ではなく労働者。またフリーランスであっても、他人と契約を結んで金をもらう場合は自営業ではなく労働者。)
・自分の腕一本でお金を稼ぐためには、「確かな技術」が必要。しかしこの「確かな技術」は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?
・「確かな技術」を身につけるためには、「普通教育」ではなく「専門教育」が必要。
*専門教育(高校専門科・専門学校・大学):希望する職業に役に立つ確かな知識や技術を身につけるための教育。
*普通教育(小学校・中学校・高校普通科):希望する職業に役に立つかどうか分からない知識を身につける教育。

「資本家」は具体的にどうやってお金を稼いでいるのか。

・誰かから給料をもらっているわけではなく、お金を出す立場。
・働く時間や場所が決まっていないどころではなく、働かなくてもお金が増える。
・飲食店のオーナー、コインランドリーのオーナー、アパートやマンションの経営、企業のオーナー、株主。
・自分が働くのではなく、お金を出すことでお金を増やすという仕組み。何にお金を出す(出資する)かで、お金の増え方が劇的に変わる。どの企業や業種が成長するかに対する「鋭い嗅覚」が必要。この嗅覚が鈍いと、単にお金を失って終わる。
・「鋭い嗅覚」は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?
・そしてまた、「鋭い嗅覚」だけで成功できるものだろうか? 大量の元手=資本がない人は、そもそも出資することが不可能。
・最初から金持ちが圧倒的に有利。お金がない人は、頑張って貯金して元手を捻り出すしかない。

*起業家:自分はお金を持っていないから出資はできないが、資本家がお金を出したくなるような魅力的(カネの臭いがする)な計画を作って、お金を集める。
・起業する知識や技術は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?

「労働者」は具体的にどうやってお金を稼いでいるのか?

・誰かから給料をもらって働く。
・働く場所や時間や内容を自分で決めることが難しい。他人から命令される。
・ただし、一般労働者=交換がききやすい/熟練労働者=交換がききにくい、の違いはある。
・お金を出すことができないから、自分が働くしかない。→「労働力」を売ると言う。高く売りつけるために、自分の「労働力」の価値を高めなければならない。
・「労働力」の価値を高めるために、学校は役に立つだろうか?
・学校の勉強が得意な人間は、「労働力」の価値も高いと思われている。逆に考えれば、「労働力」の価値を高めるために、学校という仕組みが必要とされているとも言える。
・学校とは、優秀な労働者を大量生産することが期待されている場所である。
*普通教育(小学校・中学校・高校普通科):どんな仕事にも対応できる労働力の価値を高める教育。→隠れたカリキュラム
*AIの発達:これまで必要だった労働者と、これから必要になる労働者が、まったく異なることが予想されている。

復習

・ジャイアン、スネ夫、のび太の生き方を踏まえて、学校が果たしている役割を確認しよう。

予習

・「隠れたカリキュラム」という言葉について調べておこう。
・資本主義の仕組みを調べよう。

教育概論Ⅰ(保育)-2

短大保育科 4/19・4/21

前回のおさらい

・幼稚園と保育園が別れている理由。
・「育」と「保」と「教」という漢字の成り立ち。
・「教育基本法」は日本全体の教育の方向性を規定した法です。
・教育の目的は「人格の完成」です。

大人と子供の境界線

・「人格の完成」とは、日常的なことばで簡単に言い換えれば、「大人になる」ということになります。
・「教育」とは、「子供」だった存在を「大人」へと成長させる手助けと言うこともできます。

【思考実験】「子供」と「大人」の違いとは?

・自分が「子供」なのか「大人」なのか、生活を振り返って考えてみよう。
・「大人」の条件とは何か、考えてみよう。

・現在は、様々な基準で大人と子供の間に境界線が引かれています。
・たとえば、労働(働いているのが大人、働いていないのが子供)、経済的自立、年齢制限(酒や煙草を許されるのが大人、許されないのが子供)、選挙権、結婚、子供を持つなどという基準が考えられます。

【思考実験】「子供」とはどういう存在か?

・子供は……かわいい・守ってあげたい・将来の世の中のために大切・初々しい・無邪気・純粋・天真爛漫

・しかし実は、日本でもヨーロッパでも、「子供」をこのように考え始めたのはそう昔の話ではありません。
・かつて、「大人」と「子供」の間には、現在のような明確な境界線はありませんでした。

子供はいなかった?

・かつての世界では、「7歳」という年齢が大きな境界線となっていました。
労働:7歳以後、人々は働いていました。つまり大人たちの仲間として世界と関わっていました。子供の仕事としては、日本では柴刈りや馬引、水汲みなどに従事している姿が絵の中に残されています。
遊び:同様に、遊びは子供だけの特権ではなく、大人も一緒に楽しむものでした。日常生活のなかに、定期的に「遊び」が組み込まれていました。
→昔は、労働や遊びという点で、大人と子供に明確な区別はありませんでした。

生理的早産

・人間以外の高等哺乳類は、誕生してからすぐに親と同じような行動をとることができます。しかし人間の赤ん坊は「能なし」で生まれてきます。他の高等哺乳類と同じだったとしたら、人間はあともう一年は母親の胎内にいる必要があります。
・この一年早く生まれてくることを「生理的早産」と呼びます。この現象こそが、人間を人間たらしめているという仮説と言えます。
・生物学的・自然科学的な過程によって必然的に成長が決められるのではなく、歴史的・文化的な過程によって選択的に成長が決まります。ここに人間らしい「個性」が生まれるわけです。
【参考文献】ポルトマン『人間はどこまで動物か』

人間はどこから人間か?

・かつては「7歳」に境界線がありました。7歳未満の存在が「人間」として扱われていなかったのではないかという疑惑は、埋葬、捨て子、マビキなどの在り方に見ることができます。
・妊娠中絶は殺人か? →昔と今とでは、「なかったことにする」という意味で、やっていること自体は変わりません。単に「どこから人間か」という境界線が移動しているだけなのかもしれません。

昔の「家族」の生活を考えてみよう

・「家族」は子育てしていたでしょうか?
*生産力:生産力の低い世界では、子供も労働しなければ家族が生きていけません。父親も母親も、生きるための労働で精一杯であって、子育ての優先順位は下がっていきます。
*社会(ムラ)と家族との関係:現在は家族が独立した島宇宙のようになって社会から隔絶していますが、かつては家族と社会(ムラ)の間の境界線は曖昧でした。家族が子育てをできなければ、社会全体でそれを担います。

復習

・「子供」が「大人」になるとはどういう意味なのか、自分の生活を振り返って考えてみよう。
・「家族」の変化によって「子供」へのまなざしが変化する理屈をまとめておこう。

予習

・「イニシエーション」という言葉の意味を調べておこう。

参考文献

フィリップ・アリエス『<子供>の誕生』
主にフランスにおいて「子供期」がどのように生じてきたかを分析した社会史研究書。中世まで人々は子供に無関心だったが、17世紀から子供と大人の間の境界線が厚くなっていったという見解。

カニンガム『概説子ども観の社会史』
ヨーロッパと北米において、子どもの実際と観念がどのように変化したかを概観した社会史研究書。20世紀における急激な変化を強調。

柴田純『日本幼児史』
日本において7歳という境界線がどのように生じたかを分析した歴史学の本。古代・中世の人々は子供に対して無関心だったが、江戸中期以降に子供に対する心性が大きく転回したという見解。

教育概論Ⅰ(栄養)-1

短大栄養科 4/17

半年間の予定

・本講義は教員免許(中学家庭科)資格に関わる授業であり、特に「教育」の原理・哲学・思想・歴史に関わる領域を扱います。人の名前や教育理論がたくさん出てきます。
・できるだけ「家庭科」の内容と関わりながら「教育」の思想を理解することに重点を置きます。
・学期末にテストを行います。スマートフォンや電子辞書等も含めて、あらゆるものが持ち込み可です。
・課題を2~3回出します。

教育って何ですか?

教育って何ですか? 東洋古代篇

・私たちが考える「教育」は実はつい最近になってから始まったものであって、昔はまったく違う営みが行われていました。

・そもそも「育」とは何を意味している漢字でしょうか。
・そもそも「教」とは何を意味している漢字でしょうか。

※「教」と「育」という漢字が持つイメージが、大きく離れていることに注意しましょう。そもそも「教」と「育」がつながって「教育」と呼ばれる言葉は、江戸時代までは一般的に使われるものではありませんでした。(例外=『孟子』)。「教育」という言葉は、明治時代になってから、educationの翻訳語として普及することになります。
→孔子の思想:儒教『論語』

教育って何ですか? 西洋古代篇

・教育とは、先生から生徒に「知識」を授けるものではありません。
・ソクラテスの思想:無知の知産婆術
※無知の知:「知らない」ということを知っている。
※産婆術:対話相手の内部に眠っている知恵を出産させる技術。
→教育とは、自覚していない知恵や才能を引き出す技術です。

復習

・「教育」とは何かについて、古代東洋と古代西洋の考え方を踏まえて、自分のこれまでの常識を捉え直そう。

予習

・自分が「子供」なのか「大人」なのか、考えよう。
・どうしてそう考えたのか、判断の根拠や理由についてもまとめておこう。

発展的な学習の参考

プラトン『ソクラテスの弁明・クリトン』
村井実『ソクラテスの思想と教育』
林竹二著作集1『知識による救い-ソクラテス論考』
稲富栄次郎著作集2『ソクラテス・プラトンの教育思想』

 

鵜殿篤の「人格の完成」はどっちだ?