鵜殿篤 のすべての投稿

【教育学でポン!?】2021年10月27日

油断していて、授業動画作業が予定より遅れている。明日とりもどそう…
【本日の歩数】6773歩■自宅と学校を往復。

文部科学省

■文部科学大臣メッセージ「全国の子供たちへ」の発信について(文部科学省)
■保護者、学校関係者、地域の皆さまへ「児童虐待の根絶に向けて ~地域全体で子供たちを見守り育てるために~」(文部科学省)
大人が力強いメッセージを発することは、とても大事です。あとは子どもの信頼を失わないように、期待にしっかり応えていくことができるかどうか。

ICT

■AIで模擬試験結果を解析 最適なオンライン学習を推奨 地域間の“教育格差”是正へ【宮崎発】(テレビ宮崎)
ビッグデータを利用した解析はAIの得意分野ですね。使えるテクノロジーはどんどん活用しましょう。

学校

■小学校「教科担任制」モデル校語るメリットと苦労 第四葛西小、複数教員指導の効果を早くも実感(education×ICT)
教科指導だけでなく、学級経営の観点からも良い影響がありそうです。一方、小規模校でどうするかなど、今後も試行錯誤が続きます。また、教科担任制と義務教育学校の制度が噛み合ってくると、戦後633制そのものを解体する一里塚になる可能性があります。注目しましょう。

■「スクールロイヤー」学校問題解決の悩ましい実情 「教員兼弁護士」が語る配置の理想形とは?(education×ICT)
学校はこれまで「治外法権」でやってきたので、スクールロイヤーの人も馴染むのに苦労するだろうし、教員の方も受け容れるまで時間がかかるだろうと推測します。が、やはりもう21世紀なのだから、昭和の感覚で教育を続けていてはダメでしょう。

教育全般(国内)

■「”ふつうの小学校生活”は家庭環境と居住地域によって異なる」無視されてきた”教育格差”の実態 日本は”緩やかな身分社会”である(PRESIDENT online)
身も蓋もない話ではありますが、アメリカでもかつて「コールマンレポート」(1966)というものが出ていて、教育効果の限界(教育では格差を解消できない)が認識されています。だからといって単に教育に絶望するのではなく、「じゃあ何ができるか・すべきか」を考える材料にするべきところです。

■「大学に行く意義」を問う子に親は何を言うべきか 人生の武器を得るための期間なら無駄じゃない(東洋経済ONLINE)
まあ一般論としては、そうですよね。その子の心に響くかどうかは別の話ではありますが。

■現状把握にすら多大な労力… 部活動派遣の現場に見る課題とは(HUB沖縄)
■「体験の保障は子どもの権利」 部活動の派遣は課題が山積み(HUB沖縄)
東京にいてぼーっとしていると、こういう問題がまったく視野に入ってきません。できることがあるかどうかは次の課題として、まずは、頑張って取り組んでいる人がいるということを、しっかり視野に入れていきたいと思います。

【教育学でポン!?】2021年10月26日

いい天気だったのに、一日研究室に籠もって仕事。
【本日の歩数】5653歩■自宅と学校を往復。

文部科学省

■末松文科相、一時炎上「#教師のバトン」企画継続に意欲(毎日新聞)
官僚は一度始めた仕事をやめられない、いわゆる「慣性の法則」が働いていると考えていいのでしょうか。

■学校への公共施設集約を促進 改修補助2分の1に引き上げ 文科省(時事通信)
少子化に伴う統廃合で、学校そのものの機能を考え直す時期に入っています。前例に囚われずに幅広い知恵を結集したい事案です。

ICT

■東大大学院教授がデジタル教科書に警鐘 「覚えやすいのはスマホより紙」(デイリー新潮)
ですか。プラトンは、文字を使ってメモをするようになると、人間は記憶力が低下して堕落するって言ってましたが。

COVID-19

■「命を削って登校している」高2男子 授業のオンライン化求め署名活動 1万2千人超が賛同(まいどなニュース)
署名を集めたところで学校を変える制度はありませんが、気持ちは分かるし、まずはそれが大事なところかもしれません。

学校

■公立学校の教諭 残業が月45時間超(チューリップテレビ ※動画あり)
研修と部活が名指しされました。

■小学校統合、来春に新小学校 埼玉・行田、保護者ら延期求める「説明が二転三転、急いで開校しなくても」(埼玉新聞)
学校の統廃合は、丁寧に進めないとすぐ暗礁に乗り上げます。

教育全般(国内)

■これって話していいの? 「きょうだい児」のSOSに寄り添った教師の提案とは 障害のある子と生きる家族が伝えたいこと(AERA dot.)
様々な要素が絡んでいる話ではありますが、一人の子どもに対してたくさんの大人が関わることの大切さが印象に残ります。

■ダイバーシティの問題を考えられる学生は、恵まれた環境にいるから?…「自分に必要な問題の方が大事」と話す若者に届いていないテレビ報道(ABEMA TIMES)
いろんな要素が複雑に絡んでいて一つの答えで全てを説明しようとすることに無理があるわけですが、まあ教育に関わる者としては、一喜一憂せずに地道に着実に取り組んでいこうとしか言いようがないところ。

■「ヤングケアラー」に理解を 県下初の条例制定受け 学校の教職員に研修【岡山・総社市】(OHK岡山放送 ※動画あり)
学校だけでどうにかなる事案ではなさそうなので、関係組織と連携して取り組んでいきたいところです。

■秋田県の子どもの学力が「13年間連続トップクラス」なワケ(DIAMOND online)
この記事の言う「学力」が、昭和の学力とはまったく違っていることには注意したいところです。文科省が全国学力・学習調査で測っている学力は、頭にたくさん知識を詰め込んでいるかどうかではありません。

■22年春から「ゆとり教育」が再スタート 高校の指導要領に「総合的な探求の時間」が(デイリー新潮)
事の善し悪しを考える以前の問題として、事実誤認の甚だしい、勉強不足の記事でした。

【教育学でポン!?】2021年10月25日

雑用をいくつか片づけた一日。
【本日の歩数】9963歩■池袋散策。

文部科学省

■「出席停止」名称変更OK コロナ遠隔授業で、文科省(共同通信)
指導要録の「形式」の話です。もともと都道府県教育委員会が作成することになっています。

COVID-19

■「友だちの数ゼロ7%」大学2年生が危機…孤立で自殺率も増加 九州大「メンタルヘルスアプリ」配信で対策も(AERA dot.)
頑張っている大学の取り組みを聞くと、勇気が出ます。

いじめ

■「いじめはいけないこと」小中学生は9割以上が同意(不破雷蔵)
この結果を信じるのであれば、悪いと知っててやっているか、それを「いじめ」と認識していないか、どちらかということでしょうか。

学校間接続

■入試から読みとる「大学が受験生に求める学力」 早慶上理・MARCH・関関同立の将来像が見えてくる(東洋経済ONLINE)
ペーパーテストの傾向だけで入試を分かった気になると危険です。主流になるAOで合格してしまえばよいかと。

学校

■35人以下学級 現場に悲鳴も 「きめ細かい指導」 喜ばしいが… 増えぬ教員、多忙に拍車(西日本新聞)
クラスが増えたのに教員が増えなかったら、教員一人あたりの負担が増えます。この理屈が分からないことって、あるの?

教育全般(国内)

■日本は「子育て無理ゲー社会」!?わが子の未来を明るくするために親の私たちがいま、考えたいこと(おやこのくふう)
論点が明確な、分かりやすい記事でした。

■教員の働き方改革「残業代の支払いを」「給特法、抜本的に見直すべき」 日弁連が意見書(弁護士ドットコムニュース)
文部科学省に意見書を出してもあまり意味はありません。財務省によろしくお願いします。
▼学校における働き方改革の在り方に関する意見書(日本弁護士連合会)

■「保育所を地域の福祉拠点に」の声 こども庁に向けたヒアリング(福祉新聞)
具体的にどうしたいかを記事から読み取ることはできませんが、現実的に地域の子育て拠点になっている保育所はあります。

■「なぜ子どもは危ないことばかり興味を持つの?」”制すべき危険”か”成長につながる冒険”かは大人がしっかり判断を(おやこのくふう)
森のようちえんの記事でした。ちなみに危ないことばかりに興味を持つのは子どもだけとは限りません。

■小学校の部活動を民間委託 教師の負担軽減の一方「寂しい部分はある」(メーテレ ※動画あり)
小学校の話でした。しかし本当に解決しなければいけない課題は、中体連や高体連が関わってくる中学や高校の方にあります。

【要約と感想】中澤渉『日本の公教育―学力・コスト・民主主義』

【要約】日本の公教育を考える上で必須のトピックについて目配りが効いているだけでなく、教育社会学の基本的な考え方も分かるように配慮されている本です。教育の「公共性」について考えようとするとき、社会科学の知見がどこまで威力を発揮するか(あるいはしないか)について、近年の研究成果も踏まえて論じています。
 教育の公共性に関わる論点は、学力の定義や測定、教育による便益とかかるコスト(個人および社会全体)、特に高等教育(大学)の効用、格差、自由選択と平等のバランスなど、多岐にわたります。多様な論点に対して多様な考え方やスタンスがありますが、本書は常に両論併記を心がけながらバランスを保つ配慮をしています。そして公教育に対する信頼を確保するためにも、社会科学研究には大きな社会的意義があります。

【感想】学生たちにも広く読んで欲しい、基礎基本がよくまとまった本でした。(方法論に関わる記述は多少難解かもしれないけれど、これくらいは頑張って読みこなして欲しい)
 教育社会学といって思い出すのは、およそ30年前の学生の時分、藤田先生や苅谷先生、それから一世代下の広田先生に学び、理論的にはボウルズ&ギンタスとかブルデュー、ギデンズあたりを読んだ記憶だ。まあ学生の時はそれで世界を分かった気になっていたわけだが、こういう教養は定期的にアップデートしていかないと、本当にあっという間に置いて行かれる。私も研究者の端くれなんだから学術論文を読めばいいとはいえ、細分化された専門分野の最先端についていくので時間的・体力的に精一杯だったりするとき、こういうまとまった新書があると、たいへんありがたいのであった。まずは時代についていってる気になれる(←ちゃんと学術論文も読みましょう)。
 本書の全体的な印象として、学生の時の東大教育社会学(藤田先生や広田先生)は「公教育」の社会的意義を闡明するために幅広い専門的仕事と社会的発言を積極的に引き受けていて、そういう教育社会学の良質な伝統をしっかり引き継いだ仕事をしているなあ、というところ。教育社会学の一部には、現実に対して斜に構える、あまり感心しないニヒリズムも巣くっていると思っている(偏見)のだが、そういう嫌な匂いはまったくしなかった。
 ということで、公教育について考えようとするとき、私の場合は専門家として歴史アプローチ(主に地上戦)と哲学アプローチ(主に空中戦)をとることになるわけだが、教育社会学の成果を後方支援に大量投入しておくことは極めて大事なことだ、と改めて感じたのであった。勉強しよう。
 しかし一方、現実の日本の公教育に関しては、ここ10年で大きな地殻変動が起きつつある。コミュニティ・スクールとか教育委員会改革に伴う総合教育会議設置とか教育機会確保法とかイエナ・プランやIBの流行などは、本書の視野には入っていない。もちろんGIGAスクール構想も絡んだ「個別最適化」のインパクトに触れられていないのは、時期的に著者のせいでもなんでもない。まあ、ないものねだりをしても仕方がなく、私の仕事としてしっかりやればいいだけの話ではある。

【個人的な研究のための備忘録】
 私の個人的なポリシーにとって都合のよい記述があったので、メモしておく。

「学校教育は、人間的な営みである。だからこそ、実践としては個別性や多様性に配慮しなければならない。そのような多様性を考慮するからこそ、教育は公共性を持つのだ。統計的エビデンスは多数派の傾向なのだから、そのエビデンスに無条件に従って教育実践を行うだけなら、教師は単にマニュアルをこなす教育マシーンになってしまう。そこでは、教師としての専門性や力量は関係ない。」(159頁)

 ですよね。

 また、本書の本筋とは関係がないのだが、個人的にずっと気になっていることで。

「近代国家で、組織的に人々を社会化するためには、学校教育制度の成立・維持がもっとも合理的だと信じられている。この説明は実証されないまま信じられているので、マイヤーらは「神話」とよび、教育制度は、神話によって成立する一つの宗教のようなものだという。」(234頁)

 「教育」を「宗教」になぞらえる表現をいろいろな機会に見るわけだが、それは日本に限らず世界的な傾向らしい。イリイチも学校制度を批判するときに「宗教」になぞらえている。ジョン・マイヤーの所論も一つサンプルに加えた。

中澤渉『日本の公教育―学力・コスト・民主主義』中公新書、2018年

【教育学でポン!?】2021年10月24日

気持ちの良い天気でした。コロナのせいでサンシャインなどの商業施設が11:00まで開かないので、南池袋公園の滞空がいい感じ。
【本日の歩数】10019歩■池袋散策。

文部科学省

■「#教師のバトン」 やまぬ大変さ訴える声 文科省は1カ月発信なし(朝日新聞DIGITAL)
思い付きで始めても、継続するのは難しいんですよ。文部科学大臣交代を機にやめればよかったですね。(しかし官僚の仕事には慣性の法則が働いて、やめたくてもやめられないのでした)

校則

■管理教育の強化、校則の厳格化は子どもの意見表明・政治参加を抑制する?研究結果から(室橋祐貴)
数字を出している研究がありましたか。

学校

■「学びたい人の希望」北海道初の”公立夜間中学校”開校へ…憧れの学校生活できる学び舎に(北海道文化放送)
教育機会確保法に基づく成果の一つです。

■まるで”缶詰” なぜこんな形状に 現存する北海道内最古の「円形校舎」旧石狩小学校のナゾ(北海道文化放送 ※動画あり)
パノプティコン?

■昭和の小学校に必ずあった「クラスの連絡網」が知らぬ間に姿を消したワケ(ulm)
若い人には分かりませんよね。明治時代に「黒板を教師が自作していた」ことを我々が想像できないように。

教育全般(国内)

■「変えるなら、いま」コロナ禍で広がるPTA改革の動き 3つの成功事例(大塚玲子)
これから手を付けようと思っている組織にとっては、勇気の出る記事です。

■「スポーツが教育的というのはおごり」 日本ラグビー史を変えた監督「宿澤広朗」が遺した金言(デイリー新潮)
教育学徒としては、柔道の「教育的指導」という言葉、どうにかならないかなと思ってたり。

教育全般(海外)

■大分の公立高からハーバード「首席卒業」廣津留すみれが語る海外大のリアル 「東京の私大より学費安い」(AERA dot.)
それこそOBからの寄付金と運営基金のケタと運用利回りの高さが違います故に。

■中国「老年大学」の在籍学生数、1000万突破(AFP)
不勉強にして、こういう教育機関があることを初めて知りました。老人世代は識字率の問題もありそうですが、どうでしょうか。