2025年の秋も、私は池袋西口の東武百貨店に日参します。というのも、東京家政大学の栄養学部の学生と東武百貨店レストラン街Spiceの各店舗がコラボして新メニューを開発する「チャレンジ・ザ・グルメ2025」が開催されているからです。(開催期間:2025.10.23~12.3)
今年のテーマは――ずばりブロッコリー。2026年度に「特に重要な野菜」として国の指定野菜に追加される予定の、今もっとも旬な野菜とのことです。不勉強にも知らなかった!
ビタミンCや葉酸、カリウム、鉄分などを豊富に含み、免疫力アップや抗酸化作用、さらには幸福ホルモン・セロトニンの材料にもなるという、まさに「食べる元気のかたまり」。不勉強にも知らなかった!
昨年のテーマは代替肉でしたが、今年は緑のモサモサ。栄養満点で、しかも美味しく、まさにサステナブルの極み。というわけで、43店舗44メニューのブロッコリー料理を食べ歩いております。以下、自腹(研究費からは出ません)で実食したメニューをいくつかご紹介します。
食べ歩きレビュー
【フルーツパーラー&レストラン 果実園リーベル】ブロッコリーと果実の彩りあんみつ
あんみつにフルーツだけでなく、野菜を組み合わせた全く新しい発想のスイーツ。緑と黄のムースは、野菜の自然な甘味を活かしたやさしい味わいで、果物の酸味や蜜の甘さと見事に調和している。
野菜がデザートになった瞬間を目の当たりにして、これはマジで驚いた。見た目のインパクトがすごすぎる。カボチャはともかくブロッコリーがスイーツとして成立しているのが信じられない。正直、他に似たものが思いつかない。「まじすごい」の一言に尽きる、究極ユニークな先駆的創作スイーツだ。可能性は無限大だ!
【ラーメン 鯛塩そば 灯花】ブロッコリーと真鯛まぜそば
これは文句なしに無条件にうまかった。尿酸値が高いので医者からは「ラーメンの汁は飲むな」とキツく言われているのに、そんな忠告を寿命と引き換えにしてでも飲み干したくなるレベルの鯛出汁。そこにブロッコリーが出汁を吸い込んで、もうすごいことになっている。医者には確かに「汁を飲むな」と言われているので、私はブロッコリーに吸わせて食べたぜ。(──腹の中に入ったら同じである。)
【タイ料理 サイアム セラドン】ブロッコリーと海老の旨辛炒め麺
ゴロゴロと入ったブロッコリーが主役の、見た目にも鮮やかな炒め麺。ぷりぷりの海老、カラフルな野菜、そしてチリオイルと生クリームという意外な組み合わせが織りなす、タイと洋のハイブリッド。まさに「辛さとコクの共演」だ。
実際に食べてみると、文句なしのうまさ。ぷりぷりの海老とゴロゴロのブロッコリーは、見た目も食感も相性抜群。チリオイルのピリッとした辛味が食欲を刺激し、緑唐辛子の風味が効いて本場タイの香りが立ち上る。一口目から「うまー!」と声が出るタイプの料理。ブロッコリー、ついにエスニックの領域でも堂々たる主役になったぞ。
【ケーキ&洋食 66ダイニング 六本木六丁目食堂】鮭とブロッコリーのドリア
ハヤシソースとホワイトソース、2種類の味わいが重なり合う贅沢なドリア。ブロッコリーをはじめ、秋が旬の食材がたっぷり使われており、肉と野菜の旨みがぎゅっと詰まった手作りハヤシソースが、まろやかなホワイトソースと見事に調和している。
よくよく考えてみると、加熱しても形が崩れず、緑が映える野菜というのは、ブロッコリーかアスパラガス、スナップエンドウくらいのもの。その中でも、見た目の華やかさと食感のインパクトでは、やはりブロッコリーが一枚上手だ。ホワイトソースのなかで鮮やかな緑が映え、ゴロゴロとした存在感が楽しい。秋の味覚と溶け合うブロッコリーの旨味は格別だ。寒くなり始めたこの季節にぴったりの、心まで温まるドリアだった。
【韓国旬彩料理 妻家房~柳香姫の台所~】緑のパワービビンバ
石焼の器に運ばれてきた瞬間、まず色の鮮やかさに心が躍る。出てきた瞬間の嬉しさがすごい。ブロッコリーはやっぱり見た目のインパクトが大きい。ブロッコリーの鮮やかな緑、卵の黄、きのこの茶――見た目からすでに栄養バランスの美学が完成している。石焼ならではの香ばしさに、卵がとろりと絡んでまろやかさが加わり、味も香りも奥行きが深い。ナムルとしての相性も抜群で、一口ごとに違う景色が見える。店内からはJRの線路越しに池袋東口方面を一望でき、開放感も満点。食事としての完成度に加えて、エンターテインメントとしての満足感まで味わえる――まさに緑のパワーを体現した一皿だったぞ。
【京の鳥どころ 八起庵】彩り豊かに和洋ミックスの洋風親子丼!
ブロッコリーとトマトを使った和洋折衷の親子丼。公式紹介文によると、和風出汁にコンソメを合わせ、トマトの酸味が強くなりすぎないよう分量を何度も調整したとのこと。まさに研究に研究を重ねた一品のようだ。
実際に食べてみると――これが、まじ旨い。ふわふわの卵の中に、シャキシャキのブロッコリーが絶妙に絡み合う。トマトの赤、卵の黄、ブロッコリーの緑が彩りも鮮やかで、目にもおいしい。和風だしの優しい旨みに、トマトの爽やかな酸味がほんのりアクセント。「親子丼ってまだ進化できるのか…?」と驚く新感覚の一皿だったぞ。
【そば・うどん 家族亭】野菜カレー
香ばしく素揚げした野菜に、彩り鮮やかなブロッコリーをたっぷりのせたカレーうどん(そばも選択可)。とろみのあるカレーが麺にしっかり絡み、揚げ野菜のサクッと感と、茹で野菜のほくほく感のコントラストが楽しい。見た目にも華やかで、寒くなり始める季節にちょうどいい一杯だ。
実はこの店、東武SPICEの中では比較的リーズナブルで、つい天ぷら盛り合わせも追加してしまった。カレーうどんに素揚げ野菜という組み合わせは初体験だったが、相性は想像以上。とりわけブロッコリーは、じゅわじゅわとカレー出汁を吸い込み、モコモコ・ゴロゴロの食感と相まって、なかなかの未体験ゾーンを切り開いてくる。なるほど、たぶん、普通のカレーライスにブロッコリーを投入しても、かなりイケるはずだ。
【火鍋・中華料理 小肥羊】ブロッコリーづくしの麻婆ワンタン麺&冰粉
[ブロッコリーづくしの麻婆ワンタン麺]
まずは、はっきり言ってしまう。これは圧倒的に素晴らしい。麻婆の餡、つるんとしたワンタン、そしてごろっと入ったブロッコリー。この三者が、想像以上の完成度で噛み合っている。特に印象的なのが、ブロッコリーの「もさもさ部分」。麻婆餡がそこにしっかり絡み、噛むたびに内部から旨味がにじみ出てくる。味と食感が完全に一体化した感覚で、これはもう新体験。辛さとコクの中に、ブロッコリーの青みと甘みがきちんと居場所を持っていて、幸福度が異様に高い。文句なしの、絶品である。
[ブロッコリーづくしの冰粉]
一方で、デザートの冰粉は方向性がまったく違う。見た目だけでは、どこにどうブロッコリーが使われているのか、正直まったく分からない。聞けば、茎の部分を細かくしてレモン漬けにしたり、すりつぶしてピュレにしてミルキーソースに混ぜ込んでいるらしい。なるほど、言われてみれば、確かにどこか後味がすっきりしている。特筆すべきは、普段なら捨ててしまいがちな部分を、ここまで自然に、しかも魅力的に使っている点だろう。
主張しすぎず、しかし確実に役割を果たしている。甘さは控えめで、必要なら黒蜜で調整できるのも良い設計だ。
旨辛の頂点と、静かな甘味。この二品を並べて出してくるあたり、本気度が伝わってくる。ブロッコリーという素材を、味・食感・構造・持続可能性のすべての面から料理として完成させた、今回の企画の中でも屈指の一組だった。
【ゆであげのスパゲッティー 洋麺屋五右衛門】エビとタコとブロッコリーのペペロンチーノ~ハーブオイル風味~
さすがに10品を超えてくると、素人目にも「ブロッコリーの魅力をどう引き立てるか」のセオリーが見えてくる。独特のビジュアルと食感を活かしつつ、味としては「出汁やオイルをしっかり吸わせる」という特性を利用する。そして、エビやタコとの相性がすこぶる良い。
そうした意味で、このメニューはセオリーに忠実にブロッコリーの魅力を余すところなく引き出したものだ。ただでさえ油はうまいのに、ブロッコリーがそれを吸うと、食感と合わさって魅力が一気に増幅する。特別メニューということではなく、日常使いで食べたい完成度だ。
【洋食&スイーツ 不二家レストラン】ブロッコリー尽くしの緑彩りクリームスパゲティ
上の洋麺屋五右衛門が「日常のおいしさ」としてブロッコリーの魅力を活用したペペロンチーノを完成させていたのに対し、不二家のこちらは明確に「特別メニュー」としてのクリームパスタ。まず目を奪われるのは、ブロッコリーのビジュアルが意外な形で主張する盛り付けだ。そして、スティックブロッコリーの先端を素揚げにしたサクサク食感が、口に入れた瞬間の二度目の驚きを演出する。さらにソースにもブロッコリーを使うことで、緑の世界観と特別感が一気に押し寄せる。ブロッコリーの魅力を多層的に楽しませてくれる、まさに「スペシャルな満足感」を味わえる逸品だ。
【海鮮和食 海鮮魚力】ぷりぷりエビブロもち
小さくカットした海老と、すり身にした海老。さらに小房のブロッコリーとみじん切りのブロッコリー――4種類の素材を組み合わせた、こだわりの「エビブロもち」。ぷりぷりとした海老の食感に、ブロッコリーの甘味とほのかな苦みがアクセントとなり、噛むほどに旨みが増す。半分にカットして提供されるため、断面の鮮やかな緑が目にも楽しい一品だとのこと。
今回は刺身定食と一緒に注文したら前菜の感じで提供された。アツアツの状態で出てきて、口に入れた瞬間に海老の弾力と旨味が広がる。ジューシーなうえ、ブロッコリーの香りがふんわりと立ちのぼり、全体のバランスも抜群。色合いなど見た目のインパクトもユニークな完成度。ブロッコリーが海鮮の世界でも違和感なく溶け込む、印象的な一皿だったぞ。
【ベトナム料理 ロータスパレス】海老と5種の野菜のバインセオ
ブロッコリーのペーストを練りこんだオリジナルの生地で焼いた、ベトナム風お好み焼き「バインセオ」。具には海老と5種類の野菜がたっぷり入っており、この一皿で成人1日分の野菜摂取目標量350gのうち、なんと約300gをカバーできるという。葉物で巻いてもよし、甘酸っぱいタレにつけてもよし、食べ方いろいろの一品とのことだ。
正直、この企画がなければ一生口にすることはなかったかもしれないバインセオ。店員さんに「食べ方わかりますか?」と聞かれ、素直に「わかりません」と答えたら、「巻いて食べるんです」と教わった。……が、うまく巻けずに結局バラして食べた。精進が必要だ。味は文句なし。薄い緑と濃い緑で統一された見た目は、まるでブロッコリーの正装。香ばしい生地とシャキッとした野菜、ぷりぷりの海老が調和した、オリジナリティあふれる一皿だった。
【季節の天ぷら 銀座ハゲ天】ブロッコリーソースで食べるサクサクかき揚げサラダ
かき揚げを「ざくざくと崩しながら食べる」という新発想のサラダ。ブロッコリーに含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変わり、油と一緒に摂ると吸収率が高まる――そんな栄養学的な裏づけのもと、かぼちゃとチーズを組み合わせたそう。かぼちゃの甘味とブロッコリーのほのかな苦味のバランスが絶妙で、味わいだけでなく栄養面でも抜群の一皿のようだ。
……が、私はやらかした。「ざくざく崩して食べる」と紹介されていたのに、予習なしで行ったから天つゆにつけてバリバリと完食してしまった。でも、うまいものはうまい。衣の香ばしさとチーズのとろりとしたコクが合わさり、サラダというより「ご褒美天ぷら」のような満足感。普段の食卓ではなかなか出会えない、特別感のあるメニューだったぞ。期間中に本来の「ざくざく崩しながら食べる」にチャレンジしたい。
【とんかつ 伊達かつ】緑の恵みかつ御膳
サクッとかじると現れるのは、まさかの「肉とブロッコリーの交互サンド」。お肉のジューシーさとブロッコリーの爽やかな歯ざわりがリズムよく続き、仕上げには、ブロッコリーをたっぷり使った特製ソース――中も外もブロッコリーづくしの、まさにブロッコリー二刀流だ。
食べてみると、これは確かに新感覚。他に似たような料理を知らない。たぶん人生で初めて味わった料理だ。サクサクの衣の中に野菜の食感が潜んでいて、口の中でジューシーとシャキシャキが交互に押し寄せる。そして追い打ちのブロッコリーソース――これがまたうまい。「とんかつ×ブロッコリー」って聞くと冗談みたいだけど、食べてみるとまっとうに成立している。ブロッコリーの可能性、思っていたよりずっと広いようだぞ。
【牛たんと和牛焼き 青葉】ブロッコリー餡の白玉団子~バニラアイス添え~
メインの牛タンと山形芋煮のセットを美味しくいただいたあと、いざチャレンジメニューへ。
牛タンを食べて仙台にいるつもりになると、はっきり言って見た目は完全に「ずんだ」なのだが、食べてみると違う――ごまのコクとブロッコリーの自然な風味がふわっと広がる。ずんだとは異なる、これはれっきとした新ジャンルのブロッコリースイーツだ。白玉とのコラボが効いたしっとり上品な甘さで、食後の余韻がすこぶる心地よいぞ。
【抹茶ダイニングカフェ 京都 茶寮翠泉】秋香る翠のひとさら お飲み物セット
二種のブロッコリースイーツを一皿にまとめた、まさに「翠」名前の通りの逸品。ひとつはブロッコリーピューレを練りこんだ生地に、まろやかな栗入りクリームを巻いたロールケーキ。もうひとつは、細かく刻んだブロッコリーが忍ばされた抹茶のテリーヌとのこと。どちらも秋の味覚と調和し、見た目にも味にも静かな驚きをもたらす。ブロッコリーがスイーツに入っていると聞かなければ、まず気づかないほど自然な仕上がりだ。
私はお酒を飲まない分、甘いものとコーヒーには目がない。とはいえ、おっさん一人でスイーツを注文するのは、正直ちょっとした勇気がいるが、今回は堂々と胸を張って入店だ(特に意味はない)。結果――これは普通にうまい。栗のやさしい甘さと抹茶のほろ苦さ、そこにブロッコリーのささやかな青みが加わって、ああ、秋だねえ、という感じになる。ブロッコリー、ついに和菓子界にも進出。恐るべしだ。
【ベーカリーレストラン サンマルク】ブロッコリーミートパイ
サクッとしたクロワッサン生地に、細かく刻んだブロッコリーとミートソースを包み込んだ小ぶりのパイ。ハーブの爽やかな香りと仕上げのゴーダチーズが全体をまとめ、一口ごとにじんわりと旨味が広がる。軽食にもおやつにもぴったりなベーカリーメニューとのこと。
この店は、メインを頼むとパンが食べ放題で、そのうちの一品。定番のバターロールから、よもぎやコーヒーを練り込んだ変わり種まで並ぶ中、今年はそこにブロッコリーが仲間入り。見た目は小ぶりながら、サクサクとした食感と中のとろりとしたミートソースが絶妙。焼きたてでもってきてくれて、すこぶる香ばしい。グラタンと一緒にいただいたが、ヨモギやコーヒーよりもブロッコリーのほうが不思議と合っている気がしたぞ(※あくまで個人の感想です)。
【北海道イタリアン Mia Bocca】北海道産牛挽肉とブロッコリーのピッツァビスマルク
ジューシーで食べ応えのある北海道産牛挽肉に、ビタミンCと食物繊維が摂れるブロッコリーを合わせ、隠し味にはちみつをほんのり。ブロッコリーを細かく刻む工夫で、野菜が苦手な人でも抵抗なく食べられる設計になっている。彩りも豊かで、見た目から気分が上がるピッツァだ。
ピッツァと一緒に秋の前菜盛りを頼んだら、そちらにもブロッコリーが登場。意識したことはなかったが、どうやらブロッコリーは秋の味覚らしい。肝心のピッツァは、味はもちろん食感が見事。もちもちの生地、ジューシーな挽肉、そこにブロッコリーの「ゴロゴロ感」が加わることで、「ちゃんと食べた」という満足感がしっかり残る。奇をてらった尖り方ではなく、日常使いで素直においしい――そんな安心感のある仕上がりだった。
【北海道スープカレー Suage】ブロッコリーとアボカドのソースで食べる北海道産ポテト
メキシコ料理のワカモレをヒントに、アボカドのまろやかさにブロッコリーを合わせた新感覚ソース。ブロッコリーのツブツブとした食感がアクセントになり、なめらかなアボカドと合わさることで、つい手が止まらなくなる。合わせるポテトは、ホクホクで甘みの強い北海道産「インカのめざめ」。素材の相性は文句なしだ。
今回はメインに最上級の豪華スープカレーを頼み、こちらは前菜として。正直に言うと、料理に詳しくない私レベルだと、最初から「ブロッコリー入り」と言われていなければ気づかない完成度。それくらいソースとしてきれいに成立している。しかもこのソース、油との相性がかなり良さそうだ。今回はポテトだったが、例えばから揚げにつけたらどうだろう――そんな妄想が自然に広がる。ブロッコリー、ついに「万能ディップ」の領域にまで踏み込んできた感がある。
【博多もつ鍋・もつ焼 蟻月】鶏むね肉と緑花野菜 ぷるんと蟻月ポンジュレ
旬のブロッコリーを主役に、鶏むね肉(ささみ)とトマトを合わせた、一見するととてもシンプルなサラダ。だが、ここで効いてくるのが蟻月特製の「ポンジュレ」だ。九州ポン酢をベースにしたあまじょっぱい味わいが、ぷるんとした食感とともに全体を包み込み、ブロッコリーの甘みと青みをぐっと引き立てる。
昼どきに伺い、ランチのチキン南蛮定食と一緒にこちらのチャレンジメニューを注文。まず盛り付けと色合いが美しく、期待感が自然と高まる。食べてみると、見た目だけでなく食感の組み合わせも秀逸。味については、グルメを自称しない身としてはうまく言語化できないのだが、さっぱりしているのにどこか奥行きがあり、食べ終わる頃には「これは名店の仕事だな」と納得させられる一皿だ。
【焼肉チャンピオン】桜えび香る!ブロッコリーチーズチヂミ
お店の人気メニュー「レンコンチヂミ」を、ブロッコリーでアレンジした一品。ブロッコリーの鮮やかな緑がまず目を引き、ひと口食べると、独特のホクホク感が心地よい。桜えびの香ばしさとサクッとした食感がアクセントになり、チーズのほどよい塩気が全体をまとめている。
ランチタイムに伺い、赤身3種御前盛りと一緒に注文。名物のレンコンチヂミをブロッコリーに置き換えたと聞いても、まったく違和感はない。むしろ色合いはブロッコリーのほうが華やかで、食欲を素直に刺激してくる。開発側は「お酒が進む一品」としているが、アルコールがドクターストップの身からすると、焼肉前の前菜にも、軽めの締めにも使える万能選手という印象。ブロッコリー、ついにチヂミ界でも市民権を得たようだ。
【牛カツと和定食 京都勝牛】ブロッコリーとわさびのクリーミーソース
ブロッコリーをたっぷり使った特製ソース。シャキッとした食感に、クリームチーズのまろやかさ、ヨーグルトとレモンの爽やかな酸味が重なり、後味は意外なほど軽やかだ。仕上げのわさびがピリッと効いて、牛カツの旨みをきれいに引き立ててくれる。緑と白のコントラストも美しく、見た目にも食欲をそそる。
「ソース」として出てきたものの、実はこれだけでかなりボリューミー。牛カツとの相性は言うまでもないが、食べながら「これは応用範囲が広いぞ」と感じた。たとえばアジフライなどの揚げ物には間違いなく合うし、ポテトサラダやマカロニサラダの横に添えてあっても嬉しい。さらにはパンに塗っても成立しそうだ。ブロッコリー、ここまで来るともう野菜ソースの万能選手。一品の付け合わせにとどまらない、使い道を想像させる余白の大きさが印象的なメニューだった。
【インディアンダイニング&バー ロイヤルココナッツガーデン】ブロッコリーとエビのカレー
ぷりっとしたエビと、ゴロゴロと存在感のあるブロッコリーを組み合わせた、彩り豊かなスパイスカレー。複数のスパイスを丁寧に配合し、香りと風味を立たせつつ、仕上げに少量のレモン汁を加えることで、後味は驚くほど軽やか。スパイスの厚みはありながら、最後まで飽きずに食べ進められる設計になっている。
エビのぷりぷり食感とブロッコリーのゴロゴロ食感の相性が良いことは、これまでの数々のメニューで既に学習済みだが、このカレーでもその相性は健在。特にブロッコリーのじゅわじゅわ部分がカレーをしっかり抱え込み、噛むたびに旨みが広がる。ここまでくると、もう「カレーにブロッコリーを入れる」は特別な試みではなく、デフォルト仕様でいいのではと思えてくる。
【美味しいお肉と創作料理 BATON】海老と国産ブロッコリーのジェノベーゼ
バジルが主役のジェノベーゼソースに、さらにブロッコリーを混ぜ込むという、緑×緑で深緑。ブロッコリー由来のやさしい甘みが加わることで、ジェノベーゼ特有の尖りがやわらぎ、全体としてとてもまろやかな味わいに仕上がっている。栄養面でも、1日分のビタミンCに加え、成人女性の1日必要量の約2/3の食物繊維を含むという、なかなか頼もしい内容だ。
ブロッコリーに海老が掛け合わさった時点で、「これはもう絶対にうまいやつ」と確信できる程度には、こちらも学習が進んでいる。実際、もちろんうまかった。とりわけ印象的なのは、ブロッコリーのじゅわじゅわ部分がニンニク油をしっかり吸い込み、噛むたびに旨みがにじみ出てくるところ。バジル、ニンニク、オイル、海老――そのど真ん中に、ブロッコリーが違和感なく収まっている。もうブロッコリーは定位置を完全に見つけた感がある。
【イタリアンバール POLLO PORRO】ブロッコリーと彩りのタルタル
茹でたてのブロッコリーに、ぷりぷりのボイル海老、旨みの濃いスモークサーモンを贅沢に合わせた一皿。赤パプリカの彩りと玉ねぎのシャキシャキ感が加わり、特製タルタルソースで全体をまとめている。レモン汁の爽やかさと、仕上げのチリパウダーのほのかな辛みが効いていて、味の輪郭がとてもはっきりしている。
もうね、エビとブロッコリーの組み合わせは完全に鉄板。ここまで来ると、これで不味くするほうが難しいのでは、と思うほどだ。この一皿は、そこにスモークサーモンで「味の深み」を、玉ねぎで「食感の奥行き」を重ねてきて、前菜としての満足度を一段引き上げている。ワインとの相性も申し分なく、彩りも美しい。前菜としてこれ以上を求めるのは贅沢かもしれない。
【日本そば 永坂更科 布屋太兵衛】ブロッコリーと秋野菜の天ぷらのふきよせ盛り~胡麻ダレ蕎麦~
ブロッコリーの天ぷらは、衣の中でほんのり甘みが引き出され、サクッとした食感が蕎麦の素朴な風味をきれいに受け止める。さらに、香ばしい胡桃の効いた胡麻ダレが加わることで、まろやかなコクが生まれ、ブロッコリーの旨みが一段と際立つ。
ブロッコリーが天ぷらになっているという見た目は新鮮だが、味と食感に関しては、もはや「天ぷらの王道」と言っていい。ほのかな甘みとゴロゴロした食感は、レンコン、カボチャ、ナスと並んで、天ぷら向き野菜の筆頭に挙げてまったく問題ないだろう。素材の持ち味をそのまま活かすという点でも、天ぷらという調理法は極めて相性が良い。特別メニューとして驚く段階をすでに越えている。ブロッコリー天ぷらは、もう日常に溶け込んでいい。
【串揚げ KUSHIハゲ天】ブロッコリーと梅の和風串&ブロッコリーとクリームチーズのハニー春巻きセット
[ブロッコリーと梅の和風串]
外はサクッと、中はふわり。はんぺんのやさしい口当たりに、ブロッコリーの彩りと、梅の爽やかな酸味が重なる創作串だ。口に運ぶと梅の香りがふわっと立ち上がり、全体を軽やかに引き締める。後味は驚くほどさっぱりしていて、確かにお酒が進みそう。
[ブロッコリーとクリームチーズのハニー春巻き]
こちらは一転して甘の世界。サクッとした春巻きの皮を割ると、とろりとしたクリームチーズ、コーンのやさしい甘み、そしてブロッコリーが一体となって広がる。仕上げのハチミツが全体を包み込み、デザートとしても成立する新感覚の一本だ。
季節コースと一緒にこのチャレンジメニューを注文。正直に言うと、どちらも50年近く生きてきて初めて出会ったタイプの料理だった。しかも、言われなければブロッコリーが使われていることに気づかないレベルで高度に加工されている。言われてもなお、私程度の舌では完全に把握しきれない――それくらい、味も食感も複雑で奥行きがある。これはたぶん、食通が食べると静かにうなるタイプのメニュー。ブロッコリーは、ここまで抽象化されても、ちゃんと料理としての芯を失っていない。
さらに印象的だったのが、店内のロケーションだ。夕焼けの時刻に伺ったのだが、お店はちょうど西側に開けており、店員の方が気を利かせてカーテンを開けてくれると、池袋の町が見事な夕焼けに照らされていた。揚げたての串を味わいながら、赤く染まる空を眺める――これはもう、食事というより体験。贅沢すぎる。料理の完成度に、この景色が加わることで、満足度は一段階跳ね上がる。
【スペイン料理 BIKiNi medi】たらとブロッコリーのマリネ~シェリービネガーの香り~
ブロッコリーを主役に据えた、彩り豊かなスペイン風マリネ。歯応えが残る絶妙な加減で茹でたブロッコリーに、玉ねぎのシャキシャキ感を重ね、たらのやさしい魚介の旨みを合わせている。
にんにくと唐辛子をじっくり加熱して香りを引き出したオイルが全体を包み込み、仕上げにシェリービネガーのまろやかな酸味が加わることで、コクがありながらも後味はすっきり。いかにも地中海らしい一皿だ。
秋の種タパスとパエリアに合わせ、前菜のつもりでオーダー。アルコールはドクターストップなのでノンアルビールで楽しむ。これまでの経験で、ブロッコリーと海老の相性が抜群なことは十分学習したが、今回はタラとの組み合わせ。結果はもちろん、大正解。そして改めて実感するのが、ブロッコリーと油の相性の良さ。吸う、吸う。もこもこの部分がオイルの旨みをしっかり抱え込み、噛むたびに風味がじわっと広がる。玉ねぎ、にんにく、唐辛子が重なり合う複雑で奥行きのある味わい。これは間違いなくワインが欲しくなる一皿だ。飲めたら極上の組み合わせになっただろうな、と思いつつ、それでも十分に満足度は高い。ブロッコリーは、スペイン料理の文脈でも、きちんと主役を張れる。
【北京料理・餃子 銀座 天龍】ごろごろブロッコリーのふわとろエビたま丼(スープ付)
コリコリのブロッコリー、ぷりぷりのエビ、ふわふわの卵。一杯の中に異なる食感が重なり、赤・緑・黄の彩りも鮮やかな丼ぶりだ。見た目からして期待値が高いが、ひと口目でそれを軽々と超えてくる。すこぶる、うまい。エビ×ブロッコリーの最強タッグはこれまで何度も確認してきたが、ここに「とろふわ卵」が加わることで、味の立体感が一気に増す。コクがありつつ重すぎない――その理由は、後から解説を読んで腑に落ちた。なるほど、バターで炒めているのか。中華の技法に、洋食のコクが重なっているらしい。結果として、これは「中華なのに洋食っぽい」という不思議な着地。だが違和感はなく、むしろ完成度が高い。ブロッコリーはごろごろと存在感を保ち、卵は全体を包み、エビが主張する。それぞれが役割を果たしつつ、きれいに噛み合っている。これが「三位一体」というやつだ。丼ものとしての満足感、味の奥行き、彩りの美しさ。どれを取っても抜かりなし。ブロッコリーは、ここでもまた主役としての居場所を確実に獲得していた。
【大かまど飯 寅福】ブロッコリー入り!鶏と豆腐のつくねハンバーグ
鶏肉と豆腐のつくねに、刻んだブロッコリーを混ぜ込んだ新感覚のハンバーグ。ふんわりとした口当たりの中に、ブロッコリー由来のほのかな食感と旨みが加わり、軽やかさと食べ応えがうまく両立している。水菜や茗荷、かいわれの爽やかな香り、ナスやかぼちゃの素朴な甘みが添えられ、一皿の中で味と香りのグラデーションが楽しめる。彩りもよく、見るからに体に良さそうだ。
この店は、健康的な和食が食べたくなったときに新宿LUMINEでよく利用しているのだが、池袋東武店は実は今回で2回目。というのも、いつ行っても結構混んでいて、行列が苦手な身としてはなかなかハードルが高い。今回は比較的すいている時間帯を狙って入店した。このメニュー、値段も良心的で、野菜をしっかり摂りたいときにちょうどいい。味も「ヘルシーだから控えめ」という感じではなく、ただのつくねとは一線を画す奥行きがある。ブロッコリーは主張しすぎず、しかし確実に全体の底力を支えている。体にやさしく、気持ちにも余裕が生まれる。そんな食事をしたい日に、ちゃんと応えてくれる一品だ。
【灘の酒と和食 御影蔵】ブロッコリーと長芋の具沢山バター醬油&カボス胡椒香るしらすとブロッコリーの酢醤油和え
ブロッコリーを主役に、コクとさわやかさという正反対の方向性を提示してくる二品。一方はバター醤油で仕上げた炒め物、もう一方はカボス香る酢醤油和え。どちらも醤油ベースでありながら、食材と香りの組み合わせで、まったく異なる印象に着地しているのが面白い。
夜は酒処として賑わう店だが、アルコールをドクターストップされている身としては昼に訪問。秋詣膳ランチに加えて、このチャレンジメニューを注文した。秋詣膳自体の完成度も高かったが、この二品の存在感がとにかく強い。
まずブロッコリーと長芋の具沢山バター醤油。長芋のシャリシャリ感、ホタテとしめじのむにゅっとした食感、そこにブロッコリーのゴロゴロした存在感が加わることで、これまで体験したことのない食感のレイヤーが生まれる。バターのコクはあるのに重すぎず、口の中が忙しいのに不思議とまとまっている。もちろん、うまい。
続いてしらすとブロッコリーの酢醤油和え。こちらは一転して軽やか。ブロッコリーのもさもさ部分に酢醤油がしっかり染み込み、それだけでも十分においしいところへ、しらすが加わることで味にも歯ざわりにも奥行きが生まれる。さっぱりしているのに、物足りなさはまったくない。
日常使いというよりは、「今日は手の込んだいいものを食べたい」日に選びたい特別な二皿。ブロッコリーが主役でありながら、和食の懐の深さをしっかり感じさせてくれる。
【純喫茶・スイーツ・軽食 但馬屋珈琲店】ブロッコリーのきんぴらの焼きおにぎり(2個/サラダ付)
この焼きおにぎり、なんとブロッコリーをきんぴらにしているという。正直に言えば、注文前はまったくイメージが湧かず、不勉強ながらこの機会に「きんぴら」の定義を改めて知ることになったわけだが、それでもなお「ブロッコリーをきんぴらにする」という発想は、なかなか頭が追いつかない。ところが、食べてみると――なるほど、確かに「きんぴら」だ。ブロッコリーのもさもさした部分に、油と調味料がしっかり染み込み、噛むほどに旨みが立ち上がる。焼きおにぎりにすることで香ばしさも加わり、
どこか懐かしいのに、確実に新しい。これは新感覚だが、奇をてらった感じはなく、ちゃんと日常に馴染む。
このメニューは、花蕾部分の特徴を最大限に活かした絶妙な仕上がりだが、ふと考える。捨ててしまいがちな茎の部分を細切りにして、きんぴらにしても、きっとおいしく成立するのではないか。
ブロッコリーは、茹でても、炒めても、揚げても成立するが、ついに「きんぴら」という日本的調理法ど真ん中にまで踏み込んできた。静かな一皿だが、示している可能性はかなり大きい。
【純喫茶・スイーツ・軽食 但馬屋珈琲店】ブロッコリーとジェノベーゼとモッツァレラのもちもちパスタ(サラダ付)
但馬屋珈琲店は今回2メニュー同時展開だったため、思い切って両方をオーダー。結果、サラダが2皿並ぶという、なかなかシュールな光景になったが、もちろんどちらも一人で美味しくいただきました。
ジェノベーゼはもともとバジルの緑が印象的なソースだが、そこにブロッコリーが加わることで、さらに濃厚な深緑になる。まず視覚的に心が躍る。具にはブロッコリーのほかにじゃがいもも混ざっていて、同じ「ホクホク」でも性格の違う食感が楽しめるのが面白い。そしてやはり、ブロッコリーのもさもさ部分が油を吸い込んだときの旨さは別格だ。
ここまで完成度が高いと、これはもう特別メニューではなく、ジェノベーゼ+ブロッコリーは常設でいい。そう思わせるだけの説得力がある。
【うなぎ・和食 味乃宮川】ブロッコリー天なめこあんかけ
香ばしく揚げたブロッコリーに、とろりとなめこ餡を合わせた、秋らしい一品。衣は軽やかにサクッと、中はほくほく。ブロッコリーの緑は揚げてもなお鮮やかで、見た目にも印象に残る。
そこへ優しいなめこ餡が重なり、口当たりと温度、味わいに奥行きが生まれる。主張しすぎないが、確実に記憶に残る和の仕立てだ。
ランチ時に伺い、和定食と一緒にチャレンジメニューとして注文。正直に言えば、この企画以前、ブロッコリーの天ぷらを食べた記憶はほとんどない。だが今となっては、なぜ今まで天ぷらにしてこなかったのか不思議に思うほど、ブロッコリーは天ぷら向きだ。まず形状がいい。花蕾の凹凸が衣をまとい、外はサクッと、中はホクホク。甘みは控えめで、油の香ばしさをきれいに受け止め、他の食材の邪魔をしない。天ぷらとして、かなり完成度が高い。この皿では、そこになめこ餡が加わることで、サクサク×ホクホク×とろりという三層の食感が成立している。鰻という主役の合間に挟む箸休めとしても秀逸で、食事全体の満足感を静かに押し上げてくれる。派手ではないが、あると確実にうれしい。そんなサイドメニューの理想形のような一皿だった。
【ニホンの食卓 つくみ】緑のもちふわドーナッツと北海道の牧場ミルク
食後のデザートとして、コーヒーと一緒にオーダー。見た目の上ではブロッコリーが使われているとは想像すらできないので、味でも主張しないのかと思いきや――これが意外。豆腐と白玉粉を使った生地は、もちふわとした食感に、外側のサクッと感が重なり、口当たりは軽やか。ひと口目から、ブロッコリー特有のほろ苦さと甘さがはっきり感じられ、独特で奥行きのある味わいになっている。甘さ一辺倒ではなく、むしろ大人向け。そして、この苦甘さがブラックコーヒーと抜群に合う。「甘いだけのスイーツには、もうあまり惹かれない」という人には、かなり刺さるはずだ。ブロッコリーはここでも、単なる色味や話題性ではなく、味の核としてきちんと機能している。食後の余韻を楽しむ一皿として記憶に残る。
【四川料理 四川飯店】海老と彩り冬野菜のブロッコリーソース炒め
正直なところ、ここまで多くのチャレンジメニューを食べてくると、「エビ×ブロッコリー」と聞いただけで、もう勝利は約束されたようなものだ。だが同時に、舌はすっかり贅沢になっていて、それだけでは満足できなくなっている。その点、この料理は期待をきちんと超えてきた。野菜のバリエーションがとにかく豊かで、ぷりぷり、ホクホク、シャキシャキ、ゴロゴロ、じゅわじゅわ――食感が全方位から押し寄せてくる満漢食感。そこにブロッコリー特製ソースが絡みつき、これまで味わったことのない、不思議で完成度の高い一皿に仕上がっている。ソースにはチーズが溶け込んでおり、四川料理らしからぬ(と言ったら失礼かもしれないが)まろやかで深みのあるコクが全体を包む。おそらく、ブロッコリーがなければ、ここまで味・見た目・食感に奥行きのある構成にはならなかっただろう。主役であり、つなぎ役であり、演出装置でもある。四川飯店のこの一皿は、ブロッコリーが単なる流行素材ではなく、料理を立体化するための中核素材であることを、はっきりと示していた。
【熟成肉 ハンバーグ&ステーキ Old Manhattan】ブロッコリーのチーズソースディップ
松坂牛のハンバーグランチと一緒に、前菜としてオーダー。まず目を引くのが見た目の美しさ。茹でたブロッコリーの濃い緑と、ブロッコリー入りチーズソースの淡い緑のコントラストが心地よい。ゴボウやサツマイモの配置もかわいらしく、それぞれのシャキッ・ホクッとした食感の違いが、食べ進めるたびに小さな幸福感を積み重ねていく。このあとにハンバーグが控えていることを思えば、味を主張しすぎず、しかし確実に期待値を引き上げる――前菜として、これ以上望むものはない。
ブロッコリーはここでも主役を張りつつ、主菜を迎えるための空気を整える名アシスト役をきっちり果たしていた。
総括:ブロッコリーという食材の再発見
ここまで数多くのブロッコリー料理を食べ歩いてきて、はっきり分かったことがある。ブロッコリーの魅力の一つはもちろん栄養価が高いことだが、しかし単なる「栄養価の高い野菜」にとどまらない。料理として、きわめて優秀で、しかも伸びしろが異常に大きい素材だ。以下、今回の体験を踏まえて、ブロッコリーという食材を整理してみたい。
① 味 ――「控えめ」だからこそ、強い
ブロッコリーの味は、主張が強いわけではない。だが、ほんのりとした甘みと、わずかな苦み、そして青み。この控えめな味の設計が、実は非常に強い。出汁、油、ソース、スパイス、発酵、甘味。どんな文脈に置かれても、ブロッコリーは決して喧嘩せず、しかし確実に存在感を残す。
とりわけ印象的だったのは、「吸う」力だ。出汁も、オイルも、餡も、ソースも――ブロッコリーはそれらを抱え込み、噛んだ瞬間に内側から放出する。これはもう、味の媒体としての才能と言っていい。
② 見た目の形状 ――「料理映え」する野菜
ブロッコリーは、とにかく形がいい。花蕾のもこもことした立体感、鮮やかな緑、大小のリズム。加熱しても形が崩れにくく、色も残る。天ぷら、炒め物、煮込み、パスタ、丼、デザート。
どんな皿に乗っても、一目で「主役がいる」と分かる視覚的強度がある。料理人にとって、これほど扱いやすく、しかも映える野菜は、そう多くないだろう。そしてこの形状こそ「吸う」力を生み出している、他の食材にはない極めてユニークな特徴だ。
③ 食感 ――「一種類なのに、多層」
ブロッコリーは、食感が一枚岩ではない。シャキッ、ホクッ、ゴロッ、もさもさ、じゅわっ。部位や調理によって、まったく異なる顔を見せる。
今回の企画では、ゴロゴロした存在感、刻んで混ぜ込むことで生まれる軽やかさ、ペースト化によるなめらかさ、揚げによるサクサク感、餡やソースを含んだ「じゅわじゅわ感」、こうした食感の変奏が、料理全体の立体感を大きく引き上げていた。一種類の野菜で、ここまで活躍できる素材は、正直かなり珍しいのではないか。
④ 調理法との相性 ――「守備範囲が広すぎる」
茹でる、焼く、炒める、揚げる、煮る、和える、潰す、練り込む、甘くする。和・洋・中・韓・エスニック・デザート。主菜、前菜、付け合わせ、ソース、スイーツ。今回の企画を通じて、
ブロッコリーが苦手なジャンルは、ほぼ存在しないという結論に至った。しかも、「無理やり使われている」感じがない。どの料理でも、ブロッコリーは自然に居場所を見つけ、料理の完成度を押し上げていた。個人的には、今度、鍋やおでんに投入してみようと思った。
料理としての可能性
ブロッコリーはもう、私の中では「健康のために仕方なく食べる野菜」とか「彩りを添える脇役」ではない。料理の構造を支え、味を運び、食感を設計し、見た目を完成させる中核素材だ。
そしてそれは、偶然ではなく、きちんと考え、試行錯誤し、料理として向き合った結果、見えてきた可能性である。
この企画に携わった東京家政大学・栄養学部の学生のみなさんに、心から感謝したい。正直に言って、「学生企画だからこのくらいだろう」と思わせる料理は、ひとつもなかった。どのメニューにも、素材理解、栄養的な裏づけ、味と食感の設計、見た目への配慮が、きちんと感じられた。何より、「ブロッコリーって、こんなに面白いんだぞ」というメッセージが、皿の上からまっすぐ伝わってきた。――ブロッコリー、恐るべし。そして、若い力もまた、恐るべし。
これから先、どんな道に進むとしても、「素材の特徴と持ち味をよく見て、しっかり考えて、どんどん試して、素材が本来もっている力を引き出す」、この経験は、必ず力になる。おそらくその原則の適用範囲は、料理に留まらない。

















































































