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信長の野望【天道】戦国最速の天下統一!スピード記録挑戦と攻略ヒント(序盤)

※「天道」攻略動画をyoutubeにアップしております。よろしければそちらもご覧ください。
信長の野望天道、清洲一城から全国統一までノーカットで全部中継 その1

最速天下統一!(序盤)

『信長の野望【天道】』で最速天下統一を追求した記録の序盤戦です。→続きは「中盤」「終盤

シナリオ2「尾張統一」の織田信長(上級)でプレイし、1555年10月に清洲一城からゲームを始めて、1558年6月に天下統一しました。ゲーム内時間967日、およそ2年8ヶ月で天下統一です。
天下統一の過程と合わせて、一般的な攻略のためのコツとヒントも記しておきます。

※パワーアップキットではなく、無印天道です。
※Windows10でプレイしています。(ちなみに天道をWin10でスムーズに動かすには、directXの調整のため一手間かかります)
※Win10ではパッチを当てることができなかったので、インストールした状態そのままです。
※もちろん作成武将などは使用せず、起動したデフォルトの状態でプレイしています。
※当然、他の大名を自分で動かすことはしません。
※つまり、乱数部分以外は、誰でも再現可能です。

序盤:有力家臣団を形成する

序盤の課題は、人的資本を確保し、有力家臣団を早急に形成することです。優秀な武将が多ければ多いほど、攻略速度が上がっていきます。そのため敵城を落として武将を吸収しながら、探索を効率よく行ない、優秀な武将を配下に加えていきます。

最優先で確保したい武将は、
木下秀吉(清洲城)
簗田政綱(清洲城)
北畠具教(霧山御所)
島清興(筒井城)
柳生宗厳(筒井城)
百地三太夫(筒井城)
足利義輝(室町御所)
明智光秀(稲葉山城)
松平家康(岡崎城 ※家康を配下にするには、ちょっとした工夫が必要です。)
酒井忠次(岡崎城)
渡辺守綱(岡崎城)
服部半蔵(岡崎城)
という面々でしょう。これら人的資源を確保するため、霧山御所→筒井城→室町御所→観音寺城→小谷城→稲葉山城→岡崎城の順に、清洲城から時計回りに攻略を進めます。

そういうわけで、まずは霧山御所の攻撃から始めましょう。

霧山御所を落とす(開始から3ヶ月半)

ゲーム開始直後、まず初手で行なうコマンドは「出陣」です。清洲城を空っぽにしても誰も攻めてこないので、全兵力を率いて北畠家の霧山御所に向かいます。内政は後回しで構いません。

天道に限らず、信長の野望シリーズで詰まる人は、内政に力を入れすぎて領地拡大速度でコンピュータに負けてしまう傾向があるように思います。攻略が上手くいかないのは、戦争と内政の優先順位を間違っているケースが大半です。優秀な武将は内政に回さず、戦争に使う方が良いでしょう。

ちなみに清洲城から霧山御所に出陣する部隊は、織田信長+柴田勝家+前田利家+佐久間盛信+塙直政です。全兵種足軽で編成します。論理的にこの編成が最善でしょう。というのは、統率値が一番高いのが信長(100+15)で、武勇値が一番高いのが勝家(93+8)で、足軽戦法で最もすぐれているのが利家で(槍衾之三)、残る足軽適性Bは盛信だけで、足軽適性Cの武将のうち最も内政で使い道がないのが塙直政だからです。ちなみに利家から家宝を奪い、勝家に付与して武勇値を増強しておきます。

陣形は「錐行」で出陣して行軍時間を節約し、野戦も「錐行」のまま行ない、城に貼り付いたら「鶴翼」に変更します。攻城時間を早くするには、部隊の通常攻撃力を上げるよりも、戦法の連携を高くする方が効果的です。また包囲は使わず、足軽戦法でガリガリ削っていった方が早く落とせます。本プレイでは1556年1/16に霧山御所を陥落させました。

「兵種」は足軽を中心とします。騎馬や鉄砲は準備するのに予算と時間がかかって、スピードクリアにとっては効率が良くありません。「技術」も足軽兵科中心に上げていくことになります。
「陣形」は効果的に変更していきます。ただし一回陣形を変更すると士気を10消費してしまうので、頻繁に変更することはできません。移動中は錐行で、野戦も錐行のままで行ない、城に貼り付いた段階で鶴翼に変更するのが最も効果が高いように思います。ただしもちろん時と場合によるので、臨機応変に陣形を変形していきます。

この間、清洲城では人材探索を進め、木下秀長、木下秀吉、簗田政綱を配下に加えます。重要なのは、霧山御所を陥落させる段階で簗田政綱を配下に加えておくことです。この男が序盤の攻略スピード劇的アップの鍵を握っています。
また、統率の高い佐々成政(79)と池田恒興(72)には道を引かせておきます。残った丹羽長秀と林貞秀に内政を行なわせます。

筒井城を落とす(開始から6ヶ月半)

最速天下統一を目指すためには、敵城を落とした後のスピーディな戦後処理が求められます。特に捕虜にした優秀な武将をいかに早く戦力に取り込めるかがポイントとなります。
霧山御所の戦後処理で重要なのは、配下に北畠具教を加えることです。この剣豪は足軽適性がAの上に武勇が97もあり、最終盤まで縦横無尽に活躍することになります。霧山御所には簗田政綱も呼び寄せ、北畠具教を配下にした瞬間に筒井城へと出陣します。部隊構成は以下の通りです。

 武将名パラメータ適性戦法
部隊A
足軽
兵数8910
織田信長統率100+15足軽A
北畠具教武勇97+8足軽A槍衾之三
木下秀吉足軽S
前田利家足軽B
佐久間盛信足軽B
部隊B
足軽
兵数5000
柴田勝家統率90+10 武勇93+4足軽C
木造具政足軽C
長野植藤足軽C
藤方朝成足軽C槍衾之一
簗田政綱足軽D混乱

ポイントは、2部隊で出陣しているところです。城攻めのときは、できるだけ2部隊以上で出撃した方がいいでしょう。というのは、いくら野戦で相手を殲滅しても、敵の城を守備状態にしておかないかぎり、敵の傷兵が城に戻って次々と回復してしまうからです。そこで、一つの部隊が城を攻撃し続けて守備状態にしておけば、敵の傷兵回復を妨げることができ、もう一つの部隊で安心して野戦を行なうことができます。
部隊Aを攻撃の主力として、こちらに兵数を集中させます。B部隊は補助なので、兵数は最小限の5000人で充分なのですが、極めて重要なのは、簗田政綱を入れているところです。というのは、スピード攻略にとって、彼の持つ戦法「混乱」が決定的に重要なのです。戦法「混乱」が成功すると、相手からダメージを受けない上に、敵の被害を増加させることができます。B部隊の戦法発動で相手が混乱に陥ったところに、すかさずA部隊の強力戦法を叩き込めば、通常の3倍のスピードで城を落とすことができます。戦法「混乱」抜きでのスピード攻城戦は考えられません。
こうして1556年4/15(開始から6ヶ月半)で、筒井城を陥落させます。

室町御所を落とす(開始から9ヶ月)

筒井城の戦後処理で重要なのは、島清興・柳生宗厳・百地三太夫を配下に加えることです。島左近を配下に加えたら、足軽特性Cの柴田勝家はいったん道路建設部隊に回ってもらいます。
さて、柳生宗厳を配下に加えて戦力アップした瞬間、全戦力で室町御所へ出陣します。部隊構成は以下の通りです。

 武将名パラメータ適性戦法
部隊A
足軽
兵数12231
織田信長統率100+15 知略94足軽A
柳生宗厳武勇105+10足軽A飛燕
木下秀吉足軽S
前田利家足軽B槍衾之三
佐久間盛信足軽B
部隊B
足軽
兵数5000
島清興統率90+10足軽A
北畠具教武勇97+10足軽A槍衾之三
百地三太夫知略93+10足軽B
織田信光足軽B槍衾之二
簗田政綱足軽D混乱

ここまでまったく「募兵」はしていないのですが、霧山御所と筒井城の傷兵を抱え込んで、A部隊の戦力はかなり増強されています。また島左近と百地三太夫の加入によって部隊Bの戦闘力も格段に上がっていますが、期待される役割はもちろん戦法「混乱」です。百地三太夫の知略が高いので、「混乱」が欲しいタイミングでほぼ間違いなく成功させることができます。相手が混乱したところで部隊Aの柳生宗厳の戦法「飛燕」を連発で叩き込めば、あっという間に室町御所を落とすことができます。

ゲーム開始から霧山御所を落とすまで3ヶ月半、そこから筒井城を落とすまで3ヶ月、そこから室町御所を落とすまで2ヶ月半と、優秀な人材を配下に加えることで攻略スピードが確実に上がっています。

観音寺城を落としている間に桶狭間発生

さて、続いて室町御所から観音寺城に出陣したいところですが、このタイミングで歴史イベント「桶狭間の合戦」が発生しました。(京都を押さえた信長に対して義元が出陣するのは論理的にはおかしいのですが、気にしません)。清洲城に兵力3000いることが勝利条件なので、統率力が高くて足軽適性Cの柴田勝家を募兵担当にするなどして、しっかり用意しておきます。

桶狭間イベント発生時に信長本人が強制的に清洲城へ戻るかどうか選択肢が出ますが、実は慌てて戻らなくても桶狭間イベントは成立します。そこで今川義元が清洲城直前に迫るぎりぎりまで、信長には清洲城で内政に従事してもらいます。ここぞというタイミングで「帰還」すれば、清洲城手前で義元を迎え撃つことができ、城へ戻る時間も節約できるというわけです。セコいテクニックではありますが、こういう細かい時間節約を重ねることで最速天下統一を目指そうというわけです。

いっぽう桶狭間の最中にも攻略の手を緩めるわけにはいかないので、信長不在で観音寺城に出陣します。上の画像を見ていただければ、信長が桶狭間で戦っている最中に、観音寺城へ2部隊が向かっているのを確認できます。このとき観音寺城に出陣した部隊構成は以下の通りです。

 武将名パラメータ適性戦法
部隊A
足軽
兵数13007
島清興統率90+10足軽A
柳生宗厳武勇105+10足軽A飛燕
北畠具教足軽A槍衾之三
前田利家足軽B槍衾之三
百地三太夫知略93足軽B
部隊B
足軽
兵数5000
木下秀吉統率87+10 知略93足軽S
足利義輝武勇95+8足軽A槍衾之極
佐久間信盛足軽B
織田信光足軽B槍衾之二
植田光次足軽C混乱

室町御所で足利義輝を配下に加え、さらに忍者の植田光次を簗田政綱に代えて部隊Bに登用しています。簗田が足軽特性Dなのに対して植田は適性Cなので、植田を入れた方が総合的に戦力が上がります。ただし政綱の役割はここで御免となったわけではなく、今後も活躍の場はたくさん用意されています。「混乱」持ち武将はそこそこレアで、重宝します。
ちなみに桶狭間後には、通常なら徳川家康との同盟イベントが発生しますが、この同盟はイベントを発生させてはいけません。なぜなら、同盟すると家康を配下にできないし、同盟を拒否しても恨まれてしまって配下にできないからです。

【信長で家康を配下にするテクニック】
信長が月の変わり目でどこかの城に滞在していると(移動中も)、桶狭間後に同盟イベントが発生してしまいます。しかし信長が戦場に出ていれば、イベントは発生しません。ということで、月の変わり目に信長が城にいそうなときは、月の終わりにちょっとだけ出陣して、新しい月が始まったら城に退却すれば、同盟イベント発生を防ぐことができます。
(もちろん、信長以外の大名でプレイしている場合は、桶狭間イベントそのものが発生しないので、特になにもしなくても家康を配下にできます。)

小谷城から稲葉山城攻略へ(1年2ヶ月)

観音寺城を落としたら、信長を観音寺城に戻し、すぐに小谷城へ出陣して、1ヶ月半で落とします。剣先の血が乾く暇もなく、すぐさま稲葉山城へ出陣します。稲葉山城の戦いが序盤戦のクライマックスと言えるでしょうか。稲葉山城攻略の部隊構成は以下の通りです。

 武将名パラメータ適性戦法
部隊A
足軽
兵数16633
小谷城から
織田信長統率100+15 知略94足軽A
柳生宗厳武勇105+10足軽A飛燕
木下秀吉足軽S
木下秀長足軽A
小牧源太足軽A槍衾之一
部隊B
足軽
兵数5000
小谷城から
島清興統率90+10足軽A
北畠具教足軽A槍衾之三
織田信光足軽B槍衾之二
百地三太夫知略93足軽B
植田光次足軽C混乱
部隊C
足軽
兵数7162
清洲城から
滝川一益統率89+10 知略84足軽C
足利義輝武勇95+8足軽A槍衾之極
佐久間信盛足軽B
前田利家足軽B槍衾之三
森可成足軽B槍衾之二

小谷城から主力部隊と混乱サポート部隊を出陣させると同時に、募兵で兵を貯めた清洲城から部隊Cを参加させているのがスピードアップのための工夫です。部隊Cは稲葉山城の攻略スピードを上げると同時に、清洲城から稲葉山城への道路を開削して、次に来たる岡崎城攻撃の速度を上げる役割を果たします。下の図では、部隊Cが砦に貼り付いて、後ろから佐々成政が道を引いているのを確認できます。この道のおかげで、後の岡崎城攻略が10日は早くなります。ちなみに手前の方で道を引っぱっている柴田勝家は、足軽適性Cのため稲葉山城攻略戦では戦闘部隊から格下げになっていますが、後に騎馬部隊主力として前線で活躍します。

道を引く役割は、足軽適性C以下の高統率武将に任せます。足軽適性B以上は常に最前線で戦い続けるため、道を引っぱっている余裕などありません。本プレイでは、佐々成政(統率79)、斎藤利三(統率79)、九鬼嘉隆(統率78)、池田恒興(統率72)、氏家直元(統率70)、滝川益重(統率68)といった面々が道路工事の主役となります。地味ですがスピード統一にとっては絶対に欠かせない重要な仕事であり、募兵担当人材とも被るので、運用にはけっこう気を遣います。

稲葉山城は1556年12/10に陥落します。稲葉山城の戦後処理では、次の一手を睨んでこれまでとは違った工夫をします。ここまでは一度に一つの城しか攻撃していませんでしたが、今後は複数の城を同時攻略することを目指します。具体的には、稲葉山城には一万の兵(傷兵含む)を残しておいて、残りの兵で岡崎城へ出陣します。同時に桜洞城早期攻略のために、道路の開削を始めます。また、室町御所では八上城攻略の準備のため、募兵能力を上げ、道を延ばしておきます。このあたりから二手三手先を見越した部隊運用や内政処理、道路開削のため、多角的に知恵を働かせることになります。

岡崎城攻略(1年4ヶ月半)

岡崎城陥落は1557年2/17、ゲーム開始から1年4ヶ月半が経過しております。ここで家康と酒井忠次、さらに服部半蔵や渡辺守綱を配下に加えて、中核となる家臣団はほぼ完成します。
そしてまたこの時には、同時に桜洞城と八上城に火の手が上がっております。いよいよ優秀な部下を縦横無尽に活用し、複数城を同時攻略してスピードを加速度的に上げていく中盤戦に突入します。

中盤戦:同時多発攻略と同時に内政を充実する
終盤戦:手を抜かない

本プレイのsavedataを置いておきます。クリックするとダウンロードできます。上書きの際には取り扱いにご注意下さい。
■清洲一城から986日で全国統一のsavedata

【要約と感想】オウィディウス『変身物語』

【要約】ギリシア神話の天地創造や神々の戦いからトロイア戦争に至る様々なエピソードとローマ市建設からカエサルに至るローマ神話を、変身というモチーフで貫いた作品です。

【感想】まず圧倒的な構成力と人物描写の妙が印象に残る。アポロドーロス『ギリシア神話』のように単に参考書的に事実を羅列したのではなく、考え抜かれた構成と彩り溢れるキャラクター描写とで、ぐいぐいと読ませる。ペルセウスとかオルペウスとかエコーとナルキッソスとか魔女メデイアとかダイダロスとイカロスとか、アポロドーロスではほとんど内容が分からなかったエピソードが、本作ではしっかり肉付けがされていて、キャラクターの心情に寄り添いながら読むことができる。ギリシア神話に手っ取り早く触れたいという向きには打って付けの作品だと思う。というか世間一般に流布しているギリシア神話は、アポロドーロスではなく、本作が参照されているのだろう。

採用されるエピソードは、実らない恋愛と不倫による破滅が目立つ。妹と兄、娘と父の実らない恋とか、嫉妬や勘違いや神々の一方的な私怨やストーカー行為によって人生を破滅に追いやられる人々が印象に残る。北斗の拳ばりの派手なチャンバラも2個所ほどあったけれども、全体的には恋愛中心の甘ったるい構成になっている。

全体の構成は見事としかいいようがない。それぞれのエピソードが入れ子構造になったり相互に結びついたりして、全体で一枚の織物のようにできあがっている。圧倒的な構想力がないと、複雑かつ大量なギリシア神話エピソードを有機的に集成することは不可能だろう。最終章でピュタゴラスの輪廻転生説を持ち出して恒常性と変化との関係を説き、「変身」を論理的に総括するところなど、まあ、見事だ。感服つかまつる。

【恒常性と変化に関するピュタゴラスの教説】
「この世界に、恒常的なものはないのだ。万物は流転し、万象は、移り変わるようにできている。『時』さえも、たえず動きながら過ぎてゆく。それは、河の流れと同じだ。河も、あわただしい時間も、とどまることはできぬ。波は、波に追いたてられる。同じ波が、押しやられながら進みつつ、先行する波を押しやるように、時間も、追われながら、同時に追ってゆく。こうして、それは、つねに新しい。以前にあったものは捨て去られ、いまだなかったものがあらわれるからだ。そして、この運動の全体が、あらためてくり返される。」下p.308

「われわれ自身のからだも、つねに休みなく変化している。昨日のわれわれ、今日のわれわれは、明日のわれわれではないのだ。かつては、われわれは、いわば単なる胚種でしかなく、やがて人間になるのだという希望の萌芽として、母親の胎内に宿っていた。」下p.310

「要するに、天空と、その下にあるものはみな、姿を変えてゆく。大地も、そこにあるすべてのものもだ。この世界の一部であるわれわれも、その例にもれない。それというのは、われわれは単に肉体であるだけでなく、飛びまわる霊魂でもあり、野獣のなかに住むことも、家畜の胸へはいりこむこともできるからだ。だから、それら動物たちのからだが安全無事で、敬意をもって遇せられるようにしてやろうではないか。そこには、われわれの親兄弟や、あるいは、ほかの何かのきずなによってわれわれと結ばれた者たちの、それとも、すくなくともわれわれと同じ人間の、霊魂が宿ったかもしれないのだ。」p.322

変化について論理的に突き詰めた結果、最終的には仏教のような論理になっているのが興味深い。

オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫、1984年
オウィディウス『変身物語(下)』中村善也訳、岩波文庫、1984年

教育概論Ⅱ(栄養)-11

前回のおさらい

・カリキュラムマネジメント(1)教科等横断的な視点(2)PDCAサイクル(3)資源の確保

学習指導要領総則:主体的、対話的で深い学び

学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。(『学習指導要領』3頁)

主体的・対話的で深い学び

第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等学びに向かう力人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。(『学習指導要領』7~8頁)

*主体的・対話的・深い学びとは、それぞれどういうことでしょうか?
→「過程を重視した学習」=単に正しい答えを出すのではなく、答えに至るための「過程」を重視します。先の見えない不透明な世界では、正解は複数あったり、あるいはなかったりします。それでも前に進まなければなりません。そのためには正解を知るのではなく、正解があろうがなかろうが「前に進む」ための「手段」や「方法」を身につけることが必要になります。

(1) 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。
(2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。
(3) 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。
(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

*授業は具体的にどのように行なえばいいのでしょうか?

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を考えることは単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることに他ならない。(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

→毎回毎回アクティブラーニングを行なう必要はないということです。長い単元の中で、知識を与える部分とアクティブな部分にメリハリをつけましょう。そのためには授業そのもののみを考えるのではなく、カリキュラム全体の構成やデザインを考えることが重要になります。

*ポイントは何でしょうか?→「見方・考え方」

主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり、特に「深い学び」の視点に関して、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は、新しい知識及び技能を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものであり、習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて、より質の高い深い学びにつなげることが重要である。 (『学習指導要領解説 総則編』77~78頁)

(1)知識・技能←既習知識とつなげる。現実社会とつなげる。
(2)コンピテンシー←自分の経験とつなげる。
(3)ソフトスキル←人生の目標や社会とつなげる。

「家庭科」の目標とは?
 生活の営みに係る見方・考え方を働かせ、衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 家族・家庭の機能について理解を深め、家族・家庭、衣食住、消費や環境などについて、生活の自立に必要な基礎的な理解を図るとともに、それらに係る技能を身に付けるようにする。
⑵ 家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し、解決策を構想し、実践を評価・改善し、考察したことを論理的に表現するなど、これからの生活を展望して課題を解決する力を養う。
⑶ 自分と家族、家庭生活と地域との関わりを考え、家族や地域の人々と協働し、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。 (『学習指導要領』136頁)

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「家庭科」に特有の「見方・考え方」とは何でしょうか?
⑴ 題材など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ、知識を相互に関連付けてより深く理解するとともに、生活や社会の中から問題を見いだして解決策を構想し、実践を評価・改善して、新たな課題の解決に向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
⑷ 各項目及び各項目に示す事項については、相互に有機的な関連を図り、総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際、生徒や学校、地域の実態を的確に捉え、指導の効果を高めるようにすること。また、小学校における学習を踏まえるとともに、高等学校における学習を見据え、他教科等との関連を明確にして系統的・発展的に指導ができるようにすること。さらに、持続可能な開発のための教育を推進する視点から他教科等との連携も図ること。 (『学習指導要領』141頁)

学習評価の充実

学習評価の実施に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、組織的かつ計画的な取組を推進するとともに、学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。(8-9頁)

・評価の種類には、大きく分けて2つあります:相対的評価、絶対的評価(到達度評価)。
・それぞれの評価のメリットとデメリット:相対的評価=統計学的な根拠に基づき客観的な評価が期待できますが、教育活動の成果が反映しているかどうかのチェック指標として疑問が残ります。絶対的評価=教育活動の成果が反映しているかどうかの指標として期待できますが、教師の主観性に左右されやすいのが難点です。
・評価のタイミングは、主に3つあります:診断的評価、形成的評価、総括的評価。
・形成的評価の重要性:コンピテンシーやソフトスキルの発達をどのように評価するか?→ポートフォリオ等の活用。指導と一体化した評価。
・評価の法的根拠:学校教育法施行規則第24条、第28条。「指導要録」←「通知表」や「内申書」との違いに注意しましょう。
*指導要録:学籍に関する記録(保存期間20年)、指導に関する記録(保存期間5年)。

復習

・「主体的、対話的で深い学び」について、自分の言葉で説明できるようにしておこう。
・「評価」の意義と手法について押さえておこう。

予習

・『学習指導要領』8~11頁を読んでおこう。
・学校教育法と学校教育法施行規則について調べておこう。

教育概論Ⅱ(中高)-11

▼語学・心カ・教福・服美・表現 12/15
▼栄養・環教 11/27

前回のおさらい

・カリキュラムマネジメント(1)教科等横断的な視点(2)PDCAサイクル(3)資源の確保

学習指導要領総則:主体的、対話的で深い学び

学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。(『学習指導要領』3頁)

主体的・対話的で深い学び

第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等学びに向かう力人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。(『学習指導要領』7~8頁)

*主体的・対話的・深い学びとは、それぞれどういうことでしょうか?
→「過程を重視した学習」=単に正しい答えを出すのではなく、答えに至るための「過程」を重視します。先の見えない不透明な世界では、正解は複数あったり、あるいはなかったりします。それでも前に進まなければなりません。そのためには正解を知るのではなく、正解があろうがなかろうが「前に進む」ための「手段」や「方法」を身につけることが必要になります。

(1) 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。
(2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。
(3) 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。
(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

*授業は具体的にどのように行なえばいいのでしょうか?

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を考えることは単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることに他ならない。(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

→毎回毎回アクティブラーニングを行なう必要はないということです。長い単元の中で、知識を与える部分とアクティブな部分にメリハリをつけましょう。そのためには授業そのもののみを考えるのではなく、カリキュラム全体の構成やデザインを考えることが重要になります。

*ポイントは何でしょうか?→「見方・考え方」

主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり、特に「深い学び」の視点に関して、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は、新しい知識及び技能を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものであり、習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて、より質の高い深い学びにつなげることが重要である。 (『学習指導要領解説 総則編』77~78頁)

(1)知識・技能←既習知識とつなげる。現実社会とつなげる。
(2)コンピテンシー←自分の経験とつなげる。
(3)ソフトスキル←人生の目標や社会とつなげる。

「理科」の目標とは?

自然の事物・現象に関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 自然の事物・現象についての理解を深め、科学的に探究するために必要な観察、実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
⑵ 観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養う。
⑶ 自然の事物・現象に進んで関わり、科学的に探究しようとする態度を養う。 (『学習指導要領』78頁)

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「理科」に特有の「見方・考え方」とは何でしょうか?
(1)単元など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、理科の学習過程の特質を踏まえ、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を図ること。
(2) 各学年においては、年間を通じて、各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際、各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して、各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにすること。 (『学習指導要領』82頁)

・「理科の学習過程の特質」とは何でしょうか?
・「各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ」とはどういうことでしょうか?

「家庭科」の目標とは?

 生活の営みに係る見方・考え方を働かせ、衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 家族・家庭の機能について理解を深め、家族・家庭、衣食住、消費や環境などについて、生活の自立に必要な基礎的な理解を図るとともに、それらに係る技能を身に付けるようにする。
⑵ 家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し、解決策を構想し、実践を評価・改善し、考察したことを論理的に表現するなど、これからの生活を展望して課題を解決する力を養う。
⑶ 自分と家族、家庭生活と地域との関わりを考え、家族や地域の人々と協働し、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。 (『学習指導要領』136頁)

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「家庭科」に特有の「見方・考え方」とは何でしょうか?
⑴ 題材など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ、知識を相互に関連付けてより深く理解するとともに、生活や社会の中から問題を見いだして解決策を構想し、実践を評価・改善して、新たな課題の解決に向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
⑷ 各項目及び各項目に示す事項については、相互に有機的な関連を図り、総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際、生徒や学校、地域の実態を的確に捉え、指導の効果を高めるようにすること。また、小学校における学習を踏まえるとともに、高等学校における学習を見据え、他教科等との関連を明確にして系統的・発展的に指導ができるようにすること。さらに、持続可能な開発のための教育を推進する視点から他教科等との連携も図ること。 (『学習指導要領』141頁)

「外国語」の目標とは?

外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 外国語の音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどを理解するとともに、これらの知識を、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身に付けるようにする。
⑵ コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、日常的な話題や社会的な話題について、外国語で簡単な情報や考えなどを理解したり、これらを活用して表現したり伝え合ったりすることができる力を養う。
⑶ 外国語の背景にある文化に対する理解を深め、聞き手、読み手、話し手、書き手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「外国語」に特有の見方・考え方とは何でしょうか?
ア 単元など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、具体的な課題等を設定し、生徒が外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせながら、コミュニケーションの目的や場面、状況などを意識して活動を行い、英語の音声や語彙、表現、文法の知識を五つの領域における実際のコミュニケーションにおいて活用する学習の充実を図ること。
エ 生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする。その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること。
オ 言語活動で扱う題材は、生徒の興味・関心に合ったものとし、国語科や理科、音楽科など、他の教科等で学習したことを活用したり、学校行事で扱う内容と関連付けたりするなどの工夫をすること。

「美術」の目標とは?

表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、造形的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに、表現方法を創意工夫し、創造的に表すことができるようにする。
⑵ 造形的なよさや美しさ、表現の意図と工夫、美術の働きなどについて考え、主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり、美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
⑶ 美術の創造活動の喜びを味わい、美術を愛好する心情を育み、感性を豊かにし、心豊かな生活を創造していく態度を養い、豊かな情操を培う。

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「美術」に特有の見方・考え方とは何でしょうか?
⑴ 題材など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、造形的な見方・考え方を働かせ、表現及び鑑賞に関する資質・能力を相互に関連させた学習の充実を図ること。
⑵ 各学年の「A表現」の指導に当たっては、主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程を通して、生徒が夢と目標をもち、自分のよさを発見し喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形成を図るようにすること。

学習評価の充実

学習評価の実施に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、組織的かつ計画的な取組を推進するとともに、学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。(8-9頁)

・評価の種類には、大きく分けて2つあります:相対的評価、絶対的評価(到達度評価)。
・それぞれの評価のメリットとデメリット:相対的評価=統計学的な根拠に基づき客観的な評価が期待できますが、教育活動の成果が反映しているかどうかのチェック指標として疑問が残ります。絶対的評価=教育活動の成果が反映しているかどうかの指標として期待できますが、教師の主観性に左右されやすいのが難点です。
・評価のタイミングは、主に3つあります:診断的評価、形成的評価、総括的評価。
・形成的評価の重要性:コンピテンシーやソフトスキルの発達をどのように評価するか?→ポートフォリオ等の活用。指導と一体化した評価。
・評価の法的根拠:学校教育法施行規則第24条、第28条。「指導要録」←「通知表」や「内申書」との違いに注意しましょう。
*指導要録:学籍に関する記録(保存期間20年)、指導に関する記録(保存期間5年)。

復習

・「主体的、対話的で深い学び」について、自分の言葉で説明できるようにしておこう。
・「評価」の意義と手法について押さえておこう。

予習

・『学習指導要領』8~11頁を読んでおこう。
・学校教育法と学校教育法施行規則について調べておこう。

教育の基礎理論-11

前回のおさらい

・義務教育の思想:コンドルセ、オーエン。
・教育権の構造:子供、親、国家、教師の関係。

資本主義と「学校」

・はたして「教育」には意味があるでしょうか? 子供たちはなぜ「勉強」しなければいけないのでしょうか? 「学校」にはどんな存在意義があるのでしょうか?
・「学校」が資本主義の世界でどう機能しているかを見えやすくするために、思考実験をしてみましょう。

【思考実験】ジャイアン・スネ夫・のび太のうち、「学校」の成績が人生を左右するのは誰でしょうか?

▼答え:のび太

▼理由:(1)ジャイアンの家は「自営業」で、ジャイアンは跡継ぎです。学校のテストの点が良かろうと悪かろうと、ジャイアンの将来の職業は変わりません。
(自営業は、誰かから給料がもらえるわけではないので、自分自身の活動によって商品価値のある物や情報やサービスを生み出さなければなりません。しかしその活動をうまく行うための具体的・実践的・高度に専門的なスキルを「学校」で教えてもらえることはあまり期待できません。)

(2)スネ夫の家は「資本家」で、自分自身が労働する必要はありません。スネ夫は出来杉くんのような才能ある人材に投資するだけで儲かるので、自分自身が高学歴である必要はあまりないわけです。スネ夫にとって「学校」とは、自分が投資するに値する有能な人間を生産してくれる場所です。スネ夫が出来杉くんにはラジコンを貸すのに、のび太には貸さない理由を考えてみてください。

(3)のび太の家は「労働者」で、自分自身が労働する必要があります。生涯賃金を上げようと思ったら、良い企業に雇用される必要があります。そのためには良い大学を出なければならないし、そのためには良い高校を出なければなりません。学校のテストの点は、のび太の人生をダイレクトに左右します。
(ちなみに、自営業は自分の活動で生み出した物や情報やサービスを売ってお金を稼いでいますが、労働者が売っているものは労働力でしたね。)

(4)オマケ:しずかちゃんの生き方には「専業主婦」という選択肢が色濃く反映されています。彼女はどうしていつもお風呂に入っているのでしょうか? 「ジェンダー論」等で学んだ知見を活用して考えると、いろいろ見えてきます。

選抜

・資本主義世界の立場によって、「学校」への期待のかけかたの重点が異なります。
・「実家の商店の跡継ぎ」になるジャイアンにとって、「学校」の試験の結果は人生にとってあまり重要なものではありません。しかし「労働者」のキャリアは、少なくとも就職先は学校でのテストの結果が大きく左右します。
選抜:学校が現実に果たしている機能を指す言葉です。学校では試験を繰り返して各人の才能と個性を測定し、進学時の配分によって才能を選り分け、社会に出る際には個性と能力に合った持ち場に適切に配置します。

・我々の現実の目から見える教育の姿は、これまで勉強してきた「人格の完成」を目指す教育や、すべての子どもたちの学習権を保障する「義務教育」の考え方とは、大きくズレているようです。どうしてこうなっているのでしょうか?

隠れたカリキュラム

・学校の勉強で本当に身についているものは何でしょうか? あるいは、学校で身につけるべきだと子どもたちに期待されているものは何でしょうか?

カリキュラム:教育目的を達成するために、計画的に配列された、教育内容のことです。
・正式のカリキュラム:学校や教師が教えていると公式に表明されている教育内容です。学生や保護者や世間にとって、学生が学校で身につけることを期待している学習内容です。この学習内容をしっかり身につけた人ほど、高い能力があると考えられています。
・正式のカリキュラムは、完璧に身についているわけではありません。が、まったく人生で困らないのは何故でしょうか?

隠れたカリキュラム:教師は教えていると思っていないし、保護者や世間も学校でそれを教えているとは思っていないにもかかわらず、いつのまにか学生たちが身につけている暗黙の内容のことです。
・たとえば、勉強はつまらないし人生で役に立たない。→役に立たないものでもガマンして努力しなければならない。→つまらないし役に立たないものをガマンして身につける習慣がつきます。
・学校で時間を過ごすうちに、知識や考え方、行動様式が、意図されないまま、いつのまにか身についています。役に立つ労働者になる上では、このような習慣形成の方が、正式なカリキュラムで学ぶ知識よりも決定的に重要かもしれません。
・たとえば。遅刻しない、早退しない、無断欠席しない、授業中は席を立たない、先生の命令には無条件に従う、無意味に思えることでもとりあえずやる、相互監視する、競争する、出る杭を打つ、密告する。
・学校で身につける意識と行動様式は、すなわち、労働者として必要な意識と行動様式となります。
・隠れたカリキュラムとして、他に性別役割分業に関する意識等があると考えられています。

復習

・立場によって「学校」の機能の見え方が異なる理屈を押さえておこう。
・「隠れたカリキュラム」について様々な例を調べてみよう。

予習

・「新教育」について調べておこう。