教育概論Ⅱ(栄養)-11

前回のおさらい

・カリキュラムマネジメント(1)教科等横断的な視点(2)PDCAサイクル(3)資源の確保

学習指導要領総則:主体的、対話的で深い学び

学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。(『学習指導要領』3頁)

主体的・対話的で深い学び

第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等学びに向かう力人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。(『学習指導要領』7~8頁)

*主体的・対話的・深い学びとは、それぞれどういうことでしょうか?
→「過程を重視した学習」=単に正しい答えを出すのではなく、答えに至るための「過程」を重視します。先の見えない不透明な世界では、正解は複数あったり、あるいはなかったりします。それでも前に進まなければなりません。そのためには正解を知るのではなく、正解があろうがなかろうが「前に進む」ための「手段」や「方法」を身につけることが必要になります。

(1) 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。
(2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。
(3) 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。
(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

*授業は具体的にどのように行なえばいいのでしょうか?

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を考えることは単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることに他ならない。(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

→毎回毎回アクティブラーニングを行なう必要はないということです。長い単元の中で、知識を与える部分とアクティブな部分にメリハリをつけましょう。そのためには授業そのもののみを考えるのではなく、カリキュラム全体の構成やデザインを考えることが重要になります。

*ポイントは何でしょうか?→「見方・考え方」

主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり、特に「深い学び」の視点に関して、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は、新しい知識及び技能を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものであり、習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて、より質の高い深い学びにつなげることが重要である。 (『学習指導要領解説 総則編』77~78頁)

(1)知識・技能←既習知識とつなげる。現実社会とつなげる。
(2)コンピテンシー←自分の経験とつなげる。
(3)ソフトスキル←人生の目標や社会とつなげる。

「家庭科」の目標とは?
 生活の営みに係る見方・考え方を働かせ、衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
⑴ 家族・家庭の機能について理解を深め、家族・家庭、衣食住、消費や環境などについて、生活の自立に必要な基礎的な理解を図るとともに、それらに係る技能を身に付けるようにする。
⑵ 家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し、解決策を構想し、実践を評価・改善し、考察したことを論理的に表現するなど、これからの生活を展望して課題を解決する力を養う。
⑶ 自分と家族、家庭生活と地域との関わりを考え、家族や地域の人々と協働し、よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。 (『学習指導要領』136頁)

・学校教育法第30条「学力の定義」を踏まえて理解しよう。

「家庭科」に特有の「見方・考え方」とは何でしょうか?
⑴ 題材など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ、知識を相互に関連付けてより深く理解するとともに、生活や社会の中から問題を見いだして解決策を構想し、実践を評価・改善して、新たな課題の解決に向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
⑷ 各項目及び各項目に示す事項については、相互に有機的な関連を図り、総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際、生徒や学校、地域の実態を的確に捉え、指導の効果を高めるようにすること。また、小学校における学習を踏まえるとともに、高等学校における学習を見据え、他教科等との関連を明確にして系統的・発展的に指導ができるようにすること。さらに、持続可能な開発のための教育を推進する視点から他教科等との連携も図ること。 (『学習指導要領』141頁)

学習評価の充実

学習評価の実施に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、組織的かつ計画的な取組を推進するとともに、学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。(8-9頁)

・評価の種類には、大きく分けて2つあります:相対的評価、絶対的評価(到達度評価)。
・それぞれの評価のメリットとデメリット:相対的評価=統計学的な根拠に基づき客観的な評価が期待できますが、教育活動の成果が反映しているかどうかのチェック指標として疑問が残ります。絶対的評価=教育活動の成果が反映しているかどうかの指標として期待できますが、教師の主観性に左右されやすいのが難点です。
・評価のタイミングは、主に3つあります:診断的評価、形成的評価、総括的評価。
・形成的評価の重要性:コンピテンシーやソフトスキルの発達をどのように評価するか?→ポートフォリオ等の活用。指導と一体化した評価。
・評価の法的根拠:学校教育法施行規則第24条、第28条。「指導要録」←「通知表」や「内申書」との違いに注意しましょう。
*指導要録:学籍に関する記録(保存期間20年)、指導に関する記録(保存期間5年)。

復習

・「主体的、対話的で深い学び」について、自分の言葉で説明できるようにしておこう。
・「評価」の意義と手法について押さえておこう。

予習

・『学習指導要領』8~11頁を読んでおこう。
・学校教育法と学校教育法施行規則について調べておこう。