【要約と感想】アポロドーロス『ギリシア神話』

【要約】ゼウスを中心とした神々やその子孫である英雄たちが、戦ったり騙したり裏切ったり結婚したり国を作ったり滅ぼしたりします。

【感想】あらかじめギリシア神話のあれこれを知っている人が「答え合わせ」のために読むような類の書であって、これからギリシア神話を知りたいと思っている人が読むべき本ではない。無味乾燥な事実の羅列に終始して、面白おかしくよめるような文章にはなっていない。逆に言えば、この無味乾燥な事実の羅列そのものに価値を認めるような「原典主義」の人にとっては、極めてありがたい。巻末の人物索引が実に有益で、アポロドーロスの制作意図通り「参考書」として座右に置いておく類の書だろう。

アポロドーロス・高津春繁訳『ギリシア神話』岩波文庫、1953年