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教育学Ⅱ-14

■新松戸キャンパス 1/11

これからの教育の形

大学入試が変わる

・センター試験の廃止→単に知識を再現するテストから、思考力・判断力・表現力を試す「大学入学共通テスト」へ。記述式を導入、英語の4技能(読む・書く・聞く・話す)。
・理数系導入の動き。
・AO入試の拡大→各大学が30%導入を目指す。
・アドミッションポリシーの明確化。→どのような人材を育てるか(ディプロマ・ポリシー)から逆算して、どのような人材を受け入れるかを決める。
ちなみに流通経済大学のアドミッションポリシーは・・

流通経済大学は、産業界の広範な支援のもとに設立された、産学連携を出発点とする大学です。我が国経済の繁栄のみならず福祉の向上と文化の発展にも貢献できる、視野の広い指導的人材の育成を目的とし、「優秀な産業人は優れた教養人でなければならない」との信念にもとづき、開学以来、実学主義とリベラルアーツを重視した特色ある教育に取り組んできました。こうした本学の教育理念は、5学部9学科5大学院研究科からなる総合大学に発展した現在でも一貫しており、今日の世界情勢の中で我が国が国際競争力を高めていくためにも、個性と創造力の溢れる人材の育成をめざして実学教育を旨とする、本学の教育が果たすべき役割は極めて大きいといえます。
ゆえに、入学者の受け入れに於いても、将来社会や産業界の期待と要請に応え得るであろう、必ずしも一様ではない能力や適性を見出し、それを本学の教育環境で育むことを目的として、選抜を行っています。一般入試や、大学入試センター試験利用入試における学力検査による入学者選抜に加えて、推薦入試やAO入試では、知・徳・体の人間的な総合力に優れた学生を選抜しています。また、グローバル時代に活躍が期待される留学生も、広く海外から受け入れています。本学では、入学者の選抜と受け入れに際しては、志願者の能力や適性を可能な限り多方面から見出し、何よりも公平かつ厳正な方法で選考に当たり、学生を受け入れることを旨としています。それによって、これからも夢と好奇心と志を持った学生に開かれた大学であり続けたいと思います。

大学教育が変わる

・リカレント教育の拡大。
・アクティブ・ラーニングの導入。
・内部質保証+ディプロマポリシーの明確化。←全ての大学が同じような人材を育てるのではなく、個性的な人材を社会に送り出すことを目指す。
ちなみに流通経済大学(経済学部経済学科)のディプロマポリシーは・・

経済学科は、学部の教育目的の下、「経済・社会情勢を的確に見極めるための基礎知識を持ち、実践の場においてこれを応用できる人材を養成」することを目指しており、所定の単位を修得し、以下のような知識や能力、態度を身につけた学生の卒業を認定し、学士(経済学)の学位を授与する。
(1)経済学の理論と現実の経済をバランスよく学習し、それに基づいて課題に対応していく知識や能力、態度
(2)自分で考え、周囲の人とコミュニケーションを図りながら、問題を解決していく知識や能力、態度
(3)豊かな教養と社会の規範を身につけ、健全で充実した社会活動を行う知識や能力、態度

中等教育が変わる

・公立中高一貫校の拡大(1998年の学校教育法改正)。
・「理数探求」の導入(2017年の学習指導要領改訂)。
・文系/理系の区別の廃止に向けた動き。STEAM教育(Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics)の導入。
・「国際バカロレア」への動き。

初等教育が変わる

・小中一貫校の拡大←高学年での教科担任制。633制から444制への動き。
・プログラミング教育、ITCの導入。
・英語教育。インクルーシブ教育の拡大。

幼児教育が変わる

・幼稚園=文部科学省/保育園=厚生労働省の分断から認定こども園(内閣府)へ。
・「ソフトスキル」や「非認知能力」の重要性。
・幼児教育無償化(2019年10月~)。

学校が変わる

・コミュニティスクール(学校運営協議会制度)の努力義務化。
・チーム学校。学校外の専門家の活用。
・マネジメントの観点から校長のリーダーシップ強化。
・社会に開かれた学校。地域創生への期待。
・カリキュラムマネジメント。学校の裁量の拡大。
・オンライン教育の充実。

学歴観が変わる、か?

・いい大学へ入れば勝ち組(=給料が高い)になれる時代は、いつまで続くのか?
・今の学校はいつまでも存在し続けるのか?

教育学Ⅱ-13

■新松戸キャンパス 12/21(金)

前回のおさらい

・道徳の教科化

教育行政:教育委員会制度

教育委員会は、都道府県及び市町村等に置かれる合議制の執行機関であり、生涯学習・教育・文化・スポーツ等の幅広い施策を展開します。
1948年「教育委員会法」:旧教育基本法第10条に基づいて教育委員会を創設。
1956年「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」:公選制から任命制への転換。
2015年「改正地方教育行政法」:教育委員長を廃止して事務を教育長に一本化。首長の主催による「総合教育会議」の設置を義務化。

旧教育基本法第十条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
2教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

教育委員会制度の概要

(1)政治的中立性の確保→首長からの独立性。
行政委員会の一つとして、独立した機関を置き、教育行政を担当させることにより、首長への権限の集中を防止し、中立的・専門的な行政運営を担保します。
(2)継続性、安定性の確保。
教育は、子どもの健全な成長発達のため、学習期間を通じて一貫した方針の下、安定的に行われることが必要です。
また、教育は、結果が出るまで時間がかかり、その結果も把握しにくい特性から、学校運営の方針変更などの改革・改善は漸進的なものであることが必要です。
→合議制:多様な属性を持った複数の委員による合議により、様々な意見や立場を集約した中立的な意思決定を行います。
(3)地域住民の意向の反映→レイマンコントロール
住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する、いわゆるレイマンコントロールの仕組みにより、専門家の判断のみによらない、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現します。

教育委員会制度の仕組み

・教育委員会は、地域の学校教育、社会教育、文化、スポーツ等に関する事務を担当する機関として、全ての都道府県及び市町村等に設置します。
・首長から独立した行政委員会として位置付けられます。
・教育委員会は、教育行政における重要事項や基本方針を決定し、それに基づいて教育長が具体の事務を執行します。
・月1~2回の定例会のほか、臨時会や非公式の協議会を開催します。
・教育長及び教育委員は、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命します。任期は教育長は3年、教育委員は4年で、再任可です。
・教育委員は原則4人です。ただし条例によって、都道府県・政令指定都市は5人以上、町村は2人以上にすることが可能です。

教育委員会の事務

(1)学校教育の振興
学校の設置管理、教職員の人事及び研修、児童・生徒の就学及び学校の組織編成、校舎等の施設・設備の整備、教科書その他の教材の取り扱いに関する事務の処理。
(2)生涯学習・社会教育の振興
生涯学習・社会教育事業の実施、公民館・図書館・博物館等の設置管理、社会教育関係団体等に対する指導・助言・援助
(3)芸術文化の振興・文化財の保護
文化財の保存・活用、文化施設の設置運営、文化事業の実施
(4)スポーツの振興
指導者の育成・確保、体育館・陸上競技場等スポーツ施設の設置運営、スポーツ事業の実施、スポーツ情報の提供

総合教育会議と教育振興基本計画

・すべての地方公共団体に「総合教育会議」を設置します。←首長のリーダーシップが強化されると予測されています。
・教育に関する「大綱」を首長が策定します。←エビデンス(客観的な根拠)に基づいた着実な施策(PDCAサイクル)が求められています。

第三章 教育行政
(教育行政)
第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(教育振興基本計画)
第十七条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

第3期教育振興基本計画

・内閣が2018年度~2022年度の教育方針を閣議決定(2018年6月)しました。生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化することを重点事項としました。
(1)夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する。
(2)社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する。
(3)生涯学び、活躍できる環境を整える。
(4)誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する。
(5)教育政策推進のための基盤を整備する。

都道府県・市町村の教育振興基本計画

・教員採用試験に決定的に重要なので、志望する自治体の計画は読み込んでおくこと。

復習

・「教育行政」という言葉の中身について、「教育委員会」の具体的な仕組みとともに理解しよう。

 

教育学Ⅱ-12

■新松戸キャンパス 12/14(金)

前回のおさらい

・問題行動(体罰・いじめ)
・特別支援教育、発達障害。

道徳の教科化

・中学校では2019年度から道徳の教科化が完全実施されます。小学校は2018年度から開始されています。学校の判断により、先行して実施しても構いません。

「教科」とは何か?

・以前の『学習指導要領』の構成→教科:道徳:総合的な学習の時間:特別活動
・教科=(1)教科書を使う(2)点数で評価する(3)教科固有の教員免許が必要。
・かつての道徳、総合、特別活動=(1)教科書を使わない(2)点数で評価しない(3)固有の教員免許が必要ない。
→特別の教科道徳=(1)教科書を使う(2)点数ではなく言葉で評価する(3)教科固有の教員免許が必要ない。

教科化の経緯

・いじめ問題?
・若者の犯罪は本当に増えているのでしょうか?←増えていません。
・若者の犯罪は本当に凶悪化しているのでしょうか?←凶悪化していません。
・教育再生会議と教育再生実行会議。政治家と官僚のスタンスの違い。

本質的な問題とは?

・近い人たちとの道徳から遠い人同士の倫理への変化。
・50年ほど前は、顔と名前を知っている人々だけと付き合っていれば大丈夫だった時代でした。しかし現在は、顔も名前も知らない大量の人々と接触しながら暮らさなければならないため、従来とはまったく異なった振る舞い方が必要になります。
・高度経済成長以前の感覚で道徳を語ると、必ずおかしなことになります。
・新しい時代に必要な倫理とは?

道徳教育の目的

豊かな心(学習指導要領:総則)

道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。(3頁)

・「学校の教育活動全体を通じて行なう」とはどういうことでしょうか?
・「要」とはどういう意味でしょうか?

道徳教育の意義

我が国の学校教育において道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものとされてきた。これまで、学校や生徒の実態などに基づき道徳教育の重点目標を設定し充実した指導を重ね、確固たる成果を上げている学校がある一方で、例えば、歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があること、他教科に比べて軽んじられていること、読み物の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導が行われる例があることなど、多くの課題が指摘されている。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』1~2頁)

・道徳教育が栄えない理由とは?

「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との答申を踏まえ、発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の生徒が自分自身の問題と捉え、向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものである。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』2頁)

考え、議論する道徳

思春期にかかる中学生の発達の段階においては、ふだんの生活においては分かっていると信じて疑わない様々な道徳的価値について、学校や家庭、地域社会における様々な体験、道徳科における教材との出会いやそれに基づく他者との対話などを手掛かりとして自己との関わりを問い直すことによって、そこから本当の理解が始まるのである。また、時には複数の道徳的価値が対立する場面にも直面する。その際、生徒は、時と場合、場所などに応じて、複数の道徳的価値の中から、どの価値を優先するのかの判断を迫られることになる。その際の心の葛藤や揺れ、また選択した結果などから、道徳的諸価値への理解が始まることもある。このようなことを通して、道徳的諸価値が人間としてのよさを表すものであることに気付き、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に根ざした自己理解や他者理解、人間理解、自然理解へとつながっていくようにすることが求められる。
(中略)
指導の際には、特定の道徳的価値を絶対的なものとして指導したり、本来実感を伴って理解すべき道徳的価値のよさや大切さを観念的に理解させたりする学習に終始することのないように配慮することが大切である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』14~15頁)

復習

・道徳教育の変遷と、現在の学習指導要領の規定を押さえよう。

予習

・教育委員会の役割について調べておこう。

教育学Ⅱ-11

■新松戸キャンパス 12/7(金)
■龍ケ崎キャンパス 12/10(月)

前回のおさらい

・知識基盤社会、第四次産業革命、Society5.0

問題行動

懲戒と体罰

【学校教育法第11条】
「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」

・何がどこまで「懲戒」で、どこから「体罰」なのでしょうか?
・「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)
・「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例

いじめ

・「いじめ防止対策推進法

【(定義)第二条】
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

・いじめの防止:第15条。
・いじめの早期発見:第16条。
・いじめに対する措置:第23条。

・「千葉県いじめ防止等基本的方針
・「家庭用いじめ発見チェックシート

特別支援教育

・平成19年の学校教育法改正により、すべての学校(幼稚園含む)で特別支援教育を推進することが明確となりました。
・「特別支援教育の推進について(通知)」2007年。
・「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」2012年。

特別支援教育の理念

共生社会:障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ、様々な人々が活き活きと活躍できる社会です。誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様なあり方を相互に認め合える全員参加型の社会です。
インクルーシブ教育:障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするためにも、障害のある子供が障害のない子供と共に教育を受けられる仕組みです。
教育的ニーズ:子供が必要としている支援です。
合理的配慮:障害のある子供が、他の子供と平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子供にたいし、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるものです。体制面・財政面において、均衡を失した過度の負担は課しません。
ユニヴァーサル・デザイン:あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方です。

発達障害

発達障害:これまでの特殊教育の対象とはなっていなかった、知的な遅れのない障害のことです。
→LD(学習障害):知的発達に遅れはありませんが、聞く・話す・読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定の分野に極端に苦手な側面が見られます。
→ADHD(注意欠如・多動症):注意力や衝動性、多動性などが年齢や発達に不釣り合いで、社会的な活動や学業に支障をきたすことがあります。
→自閉症スペクトラム:他者の気持ちを察することや周りの状況に合わせたりする行動が苦手だったり、特定のものにこだわる傾向が見られます。

具体的な教育のかたち

(1)特別支援学校:個別の教育的ニーズをかなえるため、専門的なケアや自立支援が手厚く受けられる学校に通います。1学級標準人数は6人です。特別支援学校は「個別の支援計画」や「個別の指導計画」を作成します。
(2)特別支援学級:個別の教育的ニーズをかなえるため、通常の学校に通いながら、専門的なケアが受けられる学級で指導を受けます。1学級標準人数は8人です
(3)通級:通常の学級に在籍しながら、必要に応じて個別の教育的ニーズをかなえるために特別の場を設けることがあります。
(4)通常学級:通常の学級に在籍します。

復習

・「問題行動」それぞれの定義と実際を押さえよう。
・特別支援教育の理念と実際について考えを深めよう。

予習

・「道徳の教科化」について自分なりに調べておこう。

教育学Ⅱ-10

■新松戸キャンパス 11/30(金)
■龍ケ崎キャンパス 12/3(月)

前回のおさらい

・ゆとり教育のデメリット。

ゆとり教育の修正

・2003年、学習指導要領の一部改訂:書いていないことも発展的な内容として教えてよいことになります。(ゆとり教育の終わりの始まり)
・2008年、学習指導要領改訂:授業時間増、指導内容の充実。→詰め込み教育の復活と単純に考えていいのでしょうか?

学力の再定義:学校教育法改定(2007年)

・2007年に学校教育法が改定され、第30条に「学力」が定義されます。

前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。

・教育の主な関心が、コンテンツ(内容・知識)からコンピテンシー(能力)やソフトスキル(関心・意欲・態度)へと転換しました。89年改訂で登場した「新学力観」が法律化されたものとも言えます。
*コンピテンシー(competency):単に知識として知っているだけではなく、様々な情報を実際に活用して成果を出すことができる能力。「社会人力」とか「生きる力」とか「女子力」のような、「○○力」という言葉の流行とも関連します。
*ソフトスキル:テストなどで数値化することができないものの、成功する上で実は決定的な能力。「非認知能力」などとも重なる概念です。

PISAショック

*PISA:学習到達度調査。Programme for International Student Assessment。高校1年生対象。
*OECD:経済協力開発機構。Organisation for Economic Co-operation and Development
*PISAショック:2003年と2006年の調査で日本の順位が大幅に下がったことに教育関係者一同衝撃を受けたこと。←しかし2009年と2012年の調査では順位が上昇します。
・「活用力=コンピテンシー」と「学ぶ意欲=ソフトスキル」が日本の課題であることが明確になります。
*全国学力・学習状況調査:2007年より毎年実施。小6と中3を対象。←A問題とB問題の違いに注意しましょう。

これからやってくる世の中

知識基盤社会

*知識基盤社会(knowledge-based society):新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増すような世の中を意味します。

我が国が科学技術創造立国の実現に向けて世界をリードし、成長し続けるためには、イノベーションを絶え間なく創造できる人材の育成が求められている。「知」を巡る国際競争の激化や知識基盤社会の進展等により、産業構造の変化も急速に進んでいる現代においては、多種多様な個々人が力を最大限発揮でき、それらが結集されるチーム力が必要とされている。(知識基盤社会が求める人材像、2009年)

第4次産業革命

第4次産業革命とは、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指す。
一つ目はIoT及びビッグデータである。工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値が生まれている。
二つ目はAIである。人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっている。加えて、従来のロボット技術も、更に複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっている。
→内閣府「第4次産業革命のインパクト」2016年

(1)大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供
(2)既に存在している資源・資産の効率的な活用
(3)AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替

Society5.0、データ駆動型社会

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であったり、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。
Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。
→内閣府「Society5.0とは」2018年

復習

・PISAショックによって教育が変わったことを押さえておこう。
・これからやってくる不透明な世界について認識しておこう。

予習

・先行き不透明な世界で必要となる資質・能力について調べておこう。