教育概論Ⅱ(栄養)-14

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学習指導要領

(1)カリキュラム理論の基礎(1~3)

カリキュラムを作る際、経験主義で考えるか、系統主義で考えるかで、結果は大きく異なってくる。
またカリキュラムを作る際、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則、学習指導要領の規定に従わなくてはならない。

□「スコープ」と「シークエンス」について説明できる。
□経験主義と系統主義について、それぞれのメリットとデメリットを説明できる。
□何を教えるかについて、教育基本法から学習指導要領までの流れを説明できる。

(2)最新版の学習指導要領(4~8)

最新版の学習指導要領(2017年3月公示)では、「生きる力」の育成という従来の「ゆとり教育」の方針を引き継ぎながら、さらに現代社会に対応した「資質・能力」を身につけさせるために、大規模な改訂が行われた。
大きなキーワードは3つある。一つは「社会に開かれた教育課程」である。ただ受験にだけ役に立つ知識ではなく、社会に出て実際に活用できる本物の力を育成することが求められている。そのためには学校自体が変わらなければならず、「チーム学校」や「コミュニティ・スクール」という新しい学校の姿が示された。
2つ目は「カリキュラム・マネジメント」である。変化の激しい社会で生き抜くためには、これまでの教科別の教育では対応できず、教科を横断する普遍的な能力(キー・コンピテンシー)を身につけなければならない。そのために教科横断的なカリキュラム編成を行う必要がある。さらにPDCAサイクルを構築し、限りある資源(人・物・金・時間)を有効活用するなど、学校運営自体を効率化することによって、よりよい教育を実現していくことが学校に求められる。
3つ目は「主体的・対話的で深い学び」である。知識基盤社会で必要となる資質・能力を身につけるためには、新しい学びの形を工夫することが求められる。そのためには、単に知識を与えるのではなく、教科の本質を踏まえた「見方・考え方」を身につけさせる必要がある。
これらを実現するためにも、「評価」に対する理解や、「生徒指導」に対する理解が求められる。

□「育成を目指す資質・能力」について説明できる。
□「生きる力」について説明できる。
□「学力の三要素」について説明できる。
□「社会に開かれた教育課程」について説明できる。
□「カリキュラム・マネジメント」について説明できる。
□「主体的・対話的で深い学び」について説明できる。
□「評価」の機能と、様々な評価の在り方について説明できる。
□「生徒指導」について、説明できる。
□家庭科で育成する資質・能力について、学習指導要領を基に説明できる。

(3)学習指導要領の変遷(9~13)

(1945年~1958年)戦争が終わり、新しい日本の国作りが始まった。日本国憲法が目指す理想の国作りのために、教育に大きな期待がかけられ、教育基本法が制定される。教育基本法を具体化するため、学校教育法、教育委員会法、学習指導要領(試案)が作られた。学習指導要領(試案)の特徴は、形式的には法的拘束力がなく、内容的には道徳をなくして社会科を新設したところにあった。
(1958年~1977年)しかし冷戦体制に巻き込まれる中で、日本に対するアメリカの姿勢が変化し、戦後教育は大きく修正される。また高度経済成長の進展により、人々の教育に対する期待も決定的に転換し、学習指導要領は詰め込み教育へと方針を変えた。1958年の改訂で学習指導要領には法的拘束力があるとされ、道徳が復活した。
(1977年~2003年)だが、オイルショックを景気とする世界的な不況の下、産業構造の転換に対応し、個性的な人材を作るために、詰め込み教育を否定し、「ゆとり教育」が開始される。臨時教育審議会が、教育の自由化・民営化・規制緩和・構造改革の方針を示し、この方針は2017年現在まで教育改革の決定的な柱となっている。
(2003年~2017年)自由化・民営化・規制緩和・構造改革という大きな流れ自体に変化はないものの、PISAショックなど学力低下が起きているという認識の下、学習指導要領は「学力重視」を打ち出すこととなる。

□教育基本法の理念を踏まえて、学校教育法や教育委員会法の役割を説明することができる。
□1947年度版の学習指導要領(試案)の特徴について説明することができる。
□1958年の学習指導要領が「詰め込み教育」に転換したことについて、その政治的・社会的背景を説明できる。
□1977年以降の「ゆとり教育」への転換が、どのような社会的背景の下で行われたか、説明できる。
□1977年以降の「ゆとり教育」は個性的な人材育成を目指すが、臨時教育審議会が示した自由化・民営化・規制緩和・構造改革がどうして個性的な人材育成につながるのか、その理屈を説明できる。
□ゆとり教育のデメリットについて、説明できる。
□PISAショックと、それに刺激された学習指導要領改訂について説明できる。