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【資料と分析】コミケサークルカットに描かれた眼鏡男子の傾向分析

調査全体の前提について

 このページでは、コミケサークルカットに描かれた眼鏡男子の経年変化の傾向について分析する。調査全体の目的や方法、全体傾向については、以下のページをご参照頂きたい。
参照:コミケカタログに掲載されたサークルカットに眼鏡キャラが描かれた割合に関する調査

眼鏡男子サークルカットの個別分析

 眼鏡男子の経年変化で気づくことは、断続的に大躍進を続けており、大躍進期を契機として4つの時期に分けられるように見えるということである。以下、分かりやすくグラフを4期に分けて示した。

第1期:停滞期(1982年~1990年)

 最初はC21(1982年夏)からC38(1990年夏)の時期だが、この時期の眼鏡男子は明らかな停滞傾向にある。
 80年代前半の比率が比較的高いのはコミケ全体でオリジナル作品が多いためだ。しかし80年代半ば以降は、『キャプテン翼』や『聖闘士星矢』あるいは『鎧伝サムライトルーパー』や『天空戦記シュラト』など、眼鏡キャラがまるで登場しない作品が二次創作界で圧倒的な猛威を振い、眼鏡キャラの存在感が無に等しい状態となる。極めて例外的に眼鏡をかけた若島津や水滸のシンが描かれることもあったが、多勢に無勢の絶望的な状況は如何ともしがたかった。
 そんな中でもかろうじて芸能ジャンル(具体的にはアルフィーや大江千里、CCBのリュウくん)で眼鏡イラストを散見することができる。たとえばC32(1987年夏)では、描かれた眼鏡男子総数58人のうちアルフィーだけで23人(40%)を占める。芸能ジャンルでの眼鏡描写は、現在に至るまで確認することができる。

第2期:拡大期(1990年~2001年)

 1990年から4年間で、眼鏡男子は大躍進を遂げる。実数で約3倍、率でも約2倍の急成長である。この躍進を支えたのは、段階的に投入された優秀な眼鏡男子たちである。

 まず最初に目立ったのは、C39(1990年冬)に登場した『機動警察パトレイバー』のシャフトの二人、内海課長と黒崎である。この二人は揃って一つのサークルカット内に描かれることも多く、作品自体が終わった後も根強い人気を保ち、眼鏡勢力拡大の火付け役となっている。

 続いて目立ったのはC41(1991年冬)の『ファイバード』火鳥さんだが、この時点でたった1カットしか存在しなかった『サイバーフォーミュラ』ハイネルが、C42(1992年夏)には21カット、C43(1992年冬)には103カットまで伸び、一気に一大勢力となる。
さらにC44(1993年夏)でもハイネルに衰えが見えない(109カット)中、さらなる燃料「三×暮」が投下される。よしながふみ等も「三×暮」に参入したことから『スラムダンク』の木暮は一大眼鏡勢力となった上、さらにカットの中に「メガネくん」という単語も登場するようになる。ここに至り、眼鏡男子は確乎たるジャンルとして認知されるに至ったと言える。4年前(1989年)の零落ぶりがまるで信じられない眼鏡大躍進である。この大躍進現象を「G×H・三×暮 二段階革命」と名付けたい。

 ただしC46(1994年)以降はC61(2001年冬)まで、ほぼ2.5%前後で足踏みをする。興味深いのは、眼鏡男子の比率自体は大きく変動しないにもかかわらず、描かれるキャラクターがゆっくり交替していくことである。目立ったところでは、『め組の大吾』の甘粕、『富士見二丁目交響楽団』、『名探偵コナン』、『金田一少年の事件簿』の明智、『ジャスティス学園』等が次々と現われた。このように8年もの間、眼鏡男子の中身が交替しつつも全体として勢力が均衡している状態を「神の見えざる手」と名付けたい。

第3期:躍進期(2002年~2008年)

 しかし眼鏡男子は2002年に長期の停滞傾向を抜け、再度の大躍進を遂げる。
 大躍進に圧倒的に貢献したのは『テニスの王子様』である。手塚部長を始め、乾や忍足といった「眼鏡’s」の面々が何ページにもわたってカタログ紙面を埋め、見渡す限りどこまでも眼鏡という様は、まことに一大壮観であった。それに加えて同時期に『ハリーポッター』も威力を振い、C62(2002年夏)には長年超えられなかった3%の大台を一気に突破することとなった。『テニスの王子様』と『ハリーポッター』は長期間に渡って大きな影響力を振い、眼鏡男子勢力は常に3%以上をキープすることとなる。この躍進現象を「ハリ・プリ革命」と名付けたい。

 また華々しい二次創作の展開に目を奪われがちだが、忘れてならないのはオリジナル創作での眼鏡男子勢力である。この時期には眼鏡男子萌えがほぼ定着し、様々な女性向けジャンルで眼鏡男子が描かれているのを確認することができる。カップリングで片方が眼鏡という様式が定着していく様子も見える。ちなみに『鬼畜眼鏡』リリースは2007年である。
 興味深いのは、眼鏡っ娘のほうは「眼鏡島」が形成される傾向があったのに対し、数では優る眼鏡男子のほうでは「眼鏡島」の形成が遅れたことである。男性向けと女性向けのメンタリティの差が表れた事象なのかもしれないが、詳しい考察は他日を待ちたい。

第4期:飛躍期(2009年以降)

 眼鏡男子の勢いは止まらない。2009年には『ヘタリア』で加速度を増すと、2011年冬には『タイガー&バニー』で一気に5%台を伺うところまで一気に躍進する。頼もしい限りである。

小括と今後の課題

 眼鏡男子についても、やはり平成に入ってから断続的に大躍進を遂げていることが、数字的に明らかにできた。この頼もしい躍進をさらに推し進めていって頂きたいと切に願う。
 眼鏡っ娘との違いは、やはり女性向け同人特有の「カップリング」という文化にあるように推測できる。眼鏡躍進のきっかけを作った「内海×黒崎」にしろ、「G×H」にしろ「三×暮」にしろ「兎虎」にしろ「虎兎」にしろ、カップリングという文化の中で眼鏡の果たす役割が進化し続けていることが、サークルカットでの眼鏡露出増加に結びついているように思われる。そしてカップリングの妥当性に関する議論と対話が深まる過程に伴い、「眼鏡性とは何か?」という哲学的課題に対する探求も急速に深まっている。この現象に対する本質的な考察は、今後の課題である。

参照■「コミケカタログに掲載されたサークルカットに眼鏡キャラが描かれた割合に関する調査」
参照■「コミケサークルカットに描かれた眼鏡っ娘の傾向分析」

【資料と分析】コミケカタログに掲載されたサークルカットに眼鏡キャラが描かれた割合に関する調査

論旨の要約

 コミケカタログのサークルカット全部に目を通した結果、描かれる眼鏡キャラがどんどん増えていることが分かった。特に平成に入ってからの躍進は目覚ましい。平成とは、間違いなく眼鏡大躍進の時代であった。

 以下、調査の目的、方法、傾向分析の詳細を記す。
※学術的な手続きに則った無味乾燥な記述なので、方法論に関心のない人は調査結果に直接飛んで下さい。
 特に眼鏡っ娘に興味がある方は「眼鏡っ娘の傾向分析」へ、
 特に眼鏡男子に興味がある方は「眼鏡男子の傾向分析」へどうぞ。

調査の目的と意義

 本調査の主目的は、眼鏡勢力の盛衰に関する諸般の議論に対して客観的な指標となり得る基本資料を提出することにある。

 一般的には、21世紀に入ってから眼鏡に対する意識が大きく向上したと言われている。たとえば、かつてはテレビ番組に眼鏡をかけて出演する芸能人は稀にしかいなかったが、現在では日常的に見かけるようになっている。また眼鏡自体のデザインも大きく進化し、現在ではファッションの一部として広く認知されるようになった。ファッション誌等で特集を組まれることも珍しくない。確かにこれらの傾向は、眼鏡勢力の拡大を意味しているように思われる。
 しかしこれらの諸事象は、あくまでも主観的で経験的な印象の束に過ぎない。眼鏡に対する意識変化に関する議論は、客観的な指標に基づき、確かな土台の上に構築される必要がある。客観的な指標として本調査の結果が広く活用され、眼鏡に関する議論がさらに深まるとすれば、本調査にも固有の意義があったと言えるだろう。

調査の方法

使用する資料の性格

 調査資料には「コミケカタログ」の「サークルカット」を使用する。以下、使用する資料の性格を批判的に明らかにする。
 コミケとは「コミックマーケット」の略称であり、同人誌即売会の中でも最大規模のイベントの固有名称である。「同人誌」とは、利潤を目的とした資本投資や営利組織による企画や編集を経ずに、表現発信者が表現受容者へ直接的に表現内容を届ける媒体全般のことであり、現在では紙ベースの本の他、電子メディアや玩具等を含めた多様な表現媒体として、多様な流通経路を通じて取引されている。「即売会」とは、流通や小売販売を経ずに表現発信者と表現受容者が直接的に売買契約を交わすことができる市場のことであり、多くは屋内会場を使用するイベントとして企画される。調査対象とするコミックマーケットは、現在は基本的に夏と冬に東京国際展示場(1996年夏以降)で開催されている、世界最大規模のイベントである。
 「カタログ」とは、コミックマーケット参加者の便宜を図るために事前に用意された参考資料の集合体である。具体的には、注意事項や会場の地図の他、情報発信者として参加する表現者の技量や個性を事前に推量するために利用できる様々な参考資料が掲載されている。
 「サークルカット」とは、情報受容者が情報発信者の技量や個性を事前に推量するためにカタログに掲載された参考資料のうち、大部分を占めるものである。コミケに参加する情報発信者は、参加一団体(以後サークルと呼ぶ)につき、横26.88mm×縦38.23mm(印刷時)の表現スペースを一つ与えられ、ここに持てる技量と個性を凝縮して示し、情報受容者に対してアピールを行なう。カタログには参加サークル全てのサークルカットが漏れなく掲載される。大部分のサークルはサークルカットを主にイラストで表現するが、文字だけでアピールするサークルも多い。サークルカットは、1982年夏のC21(第21回目のコミケ)以降、C22以外、現在まで提示され続けている。

 このサークルカットが本調査の目的を達成するための資料として優れた素材である理由を以下に示す。
 サークルカットで充分な技量と個性を示したサークルは市場的に優位に立つ可能性が高い上、表現を通じて自分の個性や世界観を情報受容者に示す絶好の機会でもあるため、通常であればサークルカットには可能な限り最大限の技量と個性が投入される。サークルカットに示される内容は、ただの思いつきや一時的な気の迷い等で選択されることは想定しにくい。つまり、サークルカットに示された表現は、偶然に左右されたものではなく、その時点での表現発信者の意識や見解や世界観が意図的かつ誠実に反映されたものとして、極めて信頼度の高い素材として考えてよい。具体的には、たとえばサークルカットに眼鏡キャラが描かれていたとすれば、それは単に思いつきや偶然で描かれたのではなく、表現発信者の技量と個性と世界観を意図的かつ誠実に反映したものとして描かれただろうと信頼できる。しかもコミケという長年にわたって持続しているイベントの性質上、経年変化による極端な偏りは考えにくい上に、多種多様な傾向を持つ表現者が無差別的に集合しているという特徴をも併せ持つ。多様性と一貫性を同時に担保するという観点から、一般的な傾向を判断する上では他に類を見ない素材と言える。
 この信頼度の高い素材であるサークルカットを対象とした調査を行なうことで、客観的な指標を示すことが期待できる。

調査方法

 歴代コミケカタログに掲載されたサークルカット全てに目を通し、描かれた眼鏡キャラ(眼鏡っ娘と眼鏡男子)の数をすべて数え上げる。1カット内に2キャラ描かれている場合(例えば内海課長と黒崎)は、2とカウントする。コミケへの参加サークル数は開催回によって大きく異なるので、サークルカット総数に対する眼鏡キャラ総数の比率を算出した上で、経年変化を明らかにする。

資料の限界

 以下、本調査の限界も明らかにし、調査結果の適用範囲の射程距離も定めておきたい。
 まず眼鏡勢力の盛衰を客観的に明らかにするという目的に対して、コミケカタログという資料の性格そのものからいくつかの制約が発生すると思われる。コミケカタログには確かに表現発信者の技量と個性が誠実に現われているが、しかし一方でコミケに参加する表現発信者の傾向にある種の偏りがあることも否めない。その偏りは主に3点考えられる。
(1)表現発信者の動向は反映するが、受容者の動向は必ずしも反映しない点。
(2)落選サークルの動向が分からない点。
(3)マンガ・アニメ・ゲームなどに嗜好を持つ者の傾向は反映するが、それ以外の人々の傾向を反映しているかどうかは定かではない点。

 一点目については、表現受容者よりも表現発信者のほうが眼鏡が好きではないかという仮説が問題となる。もしもこの仮説が正しいとしたならば、表現発信者の技量と個性が誠実に表れた資料であるコミケカタログを調査したとしても、受容者の傾向は正しく反映されないことになる。本調査はあくまでも表現発信者の傾向を明らかにするものであって、必ずしも表現受容者の傾向が反映していないことについては自覚的であらねばならない。受容者の傾向を正しく捉えようと思ったら、他の調査手段を考案する必要がある。

 二点目については、落選サークルのサークルカットが参照できない以上、コミケ全体の趨勢を反映しているかどうかが確証できないところが問題となる。コミケに参加を希望するサークルは極めて多く、会場の容量を遙かに超えており、毎回抽選によって参加できるサークルが選別されている。カタログに掲載されるのは抽選によって選別された一部のサークルカットのみであり、落選したサークルのカットを調査する手段はない。この落選サークルの傾向を加味した場合、本調査の結果が覆る可能性もある。

 三点目については、マンガ・アニメ・ゲームを嗜好する者のほうがそうでない者よりも眼鏡が好きではないかという仮説が問題となる。もしもこの仮説が正しいのであれば、コミケカタログの調査で明らかになるのはあくまでもマンガ・アニメ・ゲームを嗜好する者の傾向だけであり、一般的な傾向を明らかにするためには別の指標を立てなければならない。

 以上示したような資料の性格そのものに内在する制約を認識した上で、やはりなおコミケカタログは極めて優秀な資料であることに変わりないと判断したい。なぜなら、仮に如上の制約を認めたとしても、コミケカタログのように同時代の表現発信者たちの意識や世界観を広範囲かつ集約的に反映し、かつ誰でも平等に参照できる資料は他に存在しないからである。仮に時代の全般的傾向を代表し得ないとしても、ある種の集団における傾向を如実に反映し、しかも経年変化を長期にわたって追跡することが可能な、代替不可能な資料である。如上の制約の範囲内に限れば、他に類を見ない信頼できる基礎資料と考えて差支えないだろう。
本調査では眼鏡勢力の経年変化を明らかにするための資料としたが、他にも様々な調査(絵柄の推移・属性萌えの具体的動向・右向きの顔と左向きの顔の比率等)の対象として活用することが可能な、ポテンシャルの高い資料であることは間違いないだろう。

調査方法の問題点

 また調査方法に係る問題点も明らかにしておく。
 原理的な問題は「何を眼鏡っ娘とし、何を眼鏡男子とするか」という定義の問題であり、それに関わって「これは眼鏡っ娘(眼鏡男子)なのか」という具体的な個別判断の妥当性の問題も生じる。
「何を眼鏡っ娘とし、何を眼鏡男子とするか」という定義の問題は、個人的な価値観と離れがたく関係し、論理的には極めて錯綜としている。たとえば年齢の問題がある。「波平さん」が描かれたサークルカットを眼鏡男子と判断して大丈夫なのか。またサングラスや片眼鏡の問題がある。たとえば「熱気バサラ」や「バーナビー・ブルックスJr.」は眼鏡男子なのか。『最遊記』の八戒は眼鏡男子か。さらにジェンダーの問題がある。たとえばサークルカットに「女性化ティエリア」と書かれていたら、それは眼鏡っ娘なのか、眼鏡男子なのか。これは単なる技術的な問題ではなく、「眼鏡とは何か」という信念そのものに深く関わる哲学的な問題と言える。

 この妥当性に対する原理的な問題に対して、本調査においては、現象学を方法原理として対応している。「意味論的に眼鏡っ娘だと思ったら眼鏡っ娘で、眼鏡男子だと思ったら眼鏡男子だ」というふうに、現象学が言う本質観取によって判断を下した。本質観取に従えば、「波平さん」は眼鏡男子であり、「熱気バサラ」は眼鏡男子ではなく、バニーも八戒も眼鏡男子で、「女性化ティエリア」は敢えて眼鏡男子とする。

 この判断を貫く本質的な基準は2つある。一つは「視力矯正器具としての眼鏡」という直感である。眼鏡っ娘や眼鏡男子の眼鏡は「視力矯正器具としての眼鏡」であることが本質を構成する。熱気バサラのサングラスは、現象学的には「眼鏡性」を帯びていない。逆にバニーの眼鏡は視力矯正器具とも判断できないわけだが、もう一方で物語内在的に情報を受容する過程から虎徹との関係を観取すれば、現象学的には「眼鏡性」を帯びていると判断できる。表面的に眼鏡をかけているかいないかだけでなく、物語やキャラクターに内在する本質として「眼鏡性」を観取するしかない。つまり本調査の結果自体は、「調査者自身(筆者)のおたく力」がダイレクトに反映したものであるとも言える。
 しかしそれは即座に本調査が単に主観的であることは意味しない。私という調査主体が現象学的手続きを経て判断している以上、最終的な結論は首尾一貫した基準に拠っていることは妥当性の担保となる。そしてもちろん「眼鏡性」に対する本質観取が私と異なる人物が同じ手続きで調査を行なった場合、本調査とは異なる結果が出ることが容易に想像できるが、妥当性の問題を考える上で重要なのは個々人の「調査方法の制約と問題」がそれぞれ明らかにされているかどうかである。本調査を諸般の議論に活用する場合は、資料の性格そのものと調査方法に内在的に存する制約についてはくれぐれも前提としてお含みおき頂きたい。

調査結果

 以下に調査結果を表にして示す。

開催年眼鏡っ娘
比率(A/S)
眼鏡男子
比率(B/S)
眼鏡っ娘
総数(A)
眼鏡男子
総数(B)
サークルカット
総数(S)
2182夏0.73%1.35%713964
2383春0.63%1.65%8211270
2483夏0.69%2.07%10301452
2583冬0.26%1.17%4181533
2684夏0.75%0.79%18192413
2784冬0.51%1.06%11232166
2885夏0.41%1.11%14383409
2985冬0.40%1.35%16544000
3086夏0.28%1.53%11613993
3186冬0.24%1.13%11514502
3287夏0.33%1.29%15584510
3387冬0.34%1.08%15484458
3488夏0.24%1.22%221109020
3589冬0.18%1.15%161018772
3689夏0.15%1.25%1512610114
3789冬0.24%1.31%2714611121
3890夏0.24%1.22%3116013094
3990冬0.32%1.47%4119112964
4091夏0.28%1.54%3217411266
4191冬0.42%1.69%6726615776
4292夏0.28%1.88%3322311857
4392冬0.32%2.21%4933615220
4493夏0.42%2.56%6640215724
4593冬0.43%2.25%6735315683
4694夏0.42%2.35%6838016161
4794冬0.59%2.71%9242115507
4895夏0.92%2.69%20660122343
4995冬0.88%2.61%13941215771
5096夏0.71%2.58%13548918959
5196冬0.73%2.69%16560722597
5297夏0.98%2.40%33081233802
5397冬1.00%2.43%22354422409
5498夏0.96%2.65%32689733849
5598冬1.04%2.59%24761423717
5699夏0.92%2.47%32486535069
5799冬1.21%2.58%30064224868
5800夏1.23%2.42%43384935065
5900冬1.53%2.70%35662723210
6001夏1.31%2.43%45985134961
6101冬1.65%2.74%38263423167
6202夏1.76%3.29%616114934956
6302冬1.76%3.58%615125334977
6403夏1.55%3.61%544126835083
6503冬1.81%3.92%634137134975
6604夏1.56%3.53%547123534978
6704冬1.56%3.62%40582622804
6805夏1.60%3.28%561114634992
6905冬1.83%3.22%42474723188
7006夏1.63%3.39%572118534991
7106冬1.79%3.54%625123834967
7207夏1.82%3.40%634118834918
7307冬2.05%3.64%717127134915
7408夏1.91%3.72%665129434829
7508冬1.94%4.52%679157834927
7609夏1.65%4.11%577143634931
7709冬1.80%4.12%630143934927
7810夏1.73%4.07%605142134932
7910冬1.74%4.11%610144035016
8011夏1.77%3.80%619132634932
8111冬1.95%4.96%681173434928

 割合の経年変化が分かりやすいよう、以下、調査結果をグラフにして示す。

傾向の分析

 以下、内容について若干の考察を試みる。調査の結果をどのように理解するか、他にも様々な観点から幅広い考察が加えられることを期待したい。

全体的な傾向について

 全体的には3つの傾向が明らかに示された。
(1)全期間にわたって眼鏡っ娘より眼鏡男子のほうが多い。
(2)眼鏡っ娘・眼鏡男子ともに多少の紆余曲折はあるものの全体を通じて増加傾向を示している。
(3)総体的に見た場合、まだまだ数は少なく、発展の余地が残されている。
 以下、少し立ち入って検討する。

 一つ目の傾向、眼鏡っ娘より眼鏡男子のほうが多いことについては、そもそもコミケへの参加サークル自体が男性向けより女性向けのほうが多いことが根本的な理由であるように思われる。もちろん例外はあるにしても、眼鏡男子は女性向けサークルのカットに現われ、眼鏡っ娘は男性向けサークルのカットに現われることが多い。女性向けサークルが多ければ、必然的に眼鏡男子のほうが多く現われることになる。
 この傾向を考慮した場合、本来なら男性向けサークルと女性向けサークルの総数を割り出した上で、眼鏡っ娘・眼鏡男子の比率を算出する手法を採ることが望ましい。ただし、残念ながら男性向けサークルと女性向けサークルの総数を割り出す作業が困難を極めることは容易に予想され、現状の技術では断念せざるを得ない。他日、技術力の強化をまって取り組む課題としたい。

 二つ目の傾向、眼鏡っ娘・眼鏡男子ともに増加傾向にあることは、グラフを一瞥するだけで瞭然である。当初水準と比較したとき、眼鏡っ娘は10倍、眼鏡男子は5倍へと大躍進している。細かい傾向の検討を経ずとも、眼鏡勢力の拡大については本調査によって数字的な裏付けが得られたものと判断して差し支えないだろう。特に平成に入ってからの躍進は、数字的に見ても明らかである。平成が眼鏡大躍進の時代であったことが客観的に確認できたことは、本調査が示す確実な成果である。

 しかし、三つ目の傾向、総体的に見た時にまだまだ数が少ないことには留意しておく必要がある。最高水準でも、眼鏡っ娘比率は約2.0%、眼鏡男子比率は約5.0%にしかならない。これは1クラス40人の学級を考えたとき、眼鏡っ娘は1人いるかいないか、眼鏡男子は2人程度しかいないという計算になる。これは現実の学級構成を考えた場合、あまりにも少ない人数だろう。
 ただしこの比較をする場合、本来なら評論系サークルなど文字だけのカットを除くなどの作業を経る必要がある。資料整序の作業を経ていない以上、正確な判断は難しいところではある。とはいえ、全体的に見て発展の余地が十分に于残されているだろうことは考慮してよいだろうと思われる。

眼鏡っ娘の傾向について

 個別に検討を加えたので、以下のページをご参照頂きたい。
参照:コミケサークルカットに描かれた眼鏡っ娘の傾向分析

眼鏡男子の傾向について

 個別に検討を加えたので、以下のページをご参照頂きたい。
参照:コミケサークルカットに描かれた眼鏡男子の傾向分析

小括と今後の課題

 以上、調査結果に基づいて、若干の解釈を試みた。本調査の結果を踏まえて一つ確かに言えることは、平成が眼鏡大躍進の時代だったということである。その大躍進の理由についての解釈は、様々あるだろう。多様で幅広い解釈が現われることを期待したい。
 今後の課題は2点ある。一つは、本調査が2011年時点で終了している点である。調査対象を現在まで伸ばせば、平成という時代の特徴がさらに明らかになることが期待できる。もう一つは、他の指標の開発である。本調査の本質的制約については既に明らかにしてある。一般的な眼鏡躍進の動向を理解するためには、他の指標が必要となる。判断の基準となる適切な指標を得るべく、さらに工夫を加えていきたい。
 眼鏡を愛する全ての者に、幸あれかし。

【レポート】メガネ男子萌え学会 第二回お茶会

2018年10/28に浅草模型の王国で開催された「メガネ男子萌え学会 第二回お茶会」に司会として参加してきました。
たいへん熱の籠もった発表が続き、勉強になると同時に、生きる活力をも与えてくれるような、極めて有意義な集まりだったと思います。
以下、私の目から見た記録と感想を残しておきます。(あくまでも私の主観ですので、おかしなところがあっても発表された方々の責ではありません。)

渡辺由美子さん:陰キャメガネ男子に光あれ!

メガネ男子は「自己肯定感が低く自意識過剰で自虐・自滅的な思考を持つ「陰キャ」」であってほしいという強烈な情念が前面に出た発表で、たいへん迫力がありました。

しかし「陰キャ」といっても、もちろん「光のような存在に出逢って自己を肯定されて救われる」というカタルシスが伴っているからこそ魅力的な作品とキャラクターになるわけです。具体的に挙がったメガネ男子は、石川香織『ロッキンユー!!!』の不二美アキラと、永野のりこ『GOD SAVE THE すげこまくん!』でした。『ロッキンユー!!!』の画像が出た瞬間に会場から漏れる「あぁー(絵をちらっと見ただけで分かる、分かるぞ)」という同意の溜息が印象的でした。そして、永野のりこ先生も会場にいらっしゃっていたこともあり、すげこまくんの話は実に論理的かつ感動的な展開となりました。

すげこまくんを語るキーワードとして「「みんな以外」に響く物語」が挙げられましたが、このキーワードは99%にはキモいが一人には刺さる『ロッキンユー!!!』にも通じます。『ロッキンユー!!!』はWEBで読めますので、ぜひぜひ。私も一読してみて、渡辺さんが「エモい!」と主張する理由がよく分かりました。

Libroさん:実写『銀魂2』にみるキャラとメガネの関係

Libroさんからは実写『銀魂2』のメガネ描写を通じた考察の発表がありました。銀魂はもともと男女ともメガネの使い方が上手いのですが、今回の発表では特に実写版での志村新八、河上万斎、伊東鴨太郎の特徴あるメガネ描写の分析を通じて、メガネ表現(メガネの形や、割れる/透けるなど)がキャラクターの個性や感情を鋭く表現している様相を浮き彫りにしました。

さらに三次元の特徴(菅田将暉のイケメン)を消すために効果的にメガネが使われていることや、そもそも週刊少年ジャンプの主人公にメガネキャラが増加している事実(青柳氏の研究)、実写化で成功する条件など、興味深い話が盛りだくさんでした。

学会員誌面発表

お茶会参加者の推しメガネが発表されました。キャラが登場する毎に納得と共感の溜息が漏れるような、濃密な時間となりました(め組の甘粕問題は保留)。とりわけ会場を驚かせたのは、この日のために描き下ろしてくれた朝倉さんのイラストでした。

「お前の卓球は既に計算済みだ系」という「系」だけ妙に具体的ですが、確かにそういう「系」はありますね。
ほか、枯れたメガネ割烹着があざといなど、業の深さが如何なく露呈された時間となりました。

山田×メガネさん:iOFT報告+男子にかけたい新作メガネ

先日ビッグサイトで開催されたメガネの総合展示会iOFTに参加された山田×メガネさんから、お薦め新作メガネの数々が紹介されました。

紹介されたのは、「日本のかっこいいメガネ」として「Onimegane」「Tailor Hitch」「越前國甚六作」「design88」、「海外の素敵なメガネ」として「BRUNO CHAUSSIGNAND」「SARAGHINA」、「名前からメガネをさがしてみる」として「VioRou」「レチルド」「ヤブシタ」「メガネスーパー」、「メガネ男子へのプレゼントにおすすめ」として「EWS」「ケミストリー」「design88」でした。
自分でも買いたくなる魅力的なメガネの数々が紹介されて、興奮しました。自分の名前なので「atsushi」を買ってみるんですかね?

石山蓮華さん:「風立ちぬ」堀越二郎はプリンセス

電線愛好家の石山さんからは、ジブリのメガネ男子は「プリンセス」であるとの新説が発表されました。というのは、ディズニーアニメがプリンセスへの憧れをかき立てたのに対し、ジブリアニメはメガネ男子への憧れをかき立てたのであります。また、プリンセスとは「弱さを強さに転換できる」という存在であり、そこがディズニープリンセスとジブリメガネ男子の共通点という論理は、たいへん迫力がありました。具体的には、トトロの草壁タツオ・魔女の宅急便のトンボ・風立ちぬの二郎の分析を通じて、「弱さを強さに転換」の様相が示されました。ブルジョワおしゃれ野郎疑惑という観点からトンボに厳しかったのも面白かったのですが、それ以上に「堀越には本庄という王子様がいる」という説明がものすごい気合と迫力だったことが印象的でした。
質疑応答で、会場からは「最大のプリンセスは宮さん」という声がとび、一時騒然となりました。(個人的にはムスカの位置づけが気になるところではあります。)

ゲペルニッチさん:眼鏡川柳

眼鏡川柳とは、日常の中でふと出逢った記憶に残したい「眼鏡の瞬間」を切り取って残し、記憶の中のメガネくんにときめき続けるための技法ということで、「メガネ君への出せなかったファンレター」というフレーズが、とても印象に残りました。

一般的な眼鏡シチュエーションを詠んだ歌から、特定の人物を詠んだ歌まで、実に味わい深い歌ばかりでした。ひとつひとつの作品に対して会場からの発言が重なり、連想的に妄想が加速していく様が素晴らしかったです。最終的に「映らずに、映らずに見ていたいのです」と報告された時の会場の悲鳴と共感度MAXぶりも印象的でした。まさに、デカルチャー!という感じでありました。
ところで、最初に「眼鏡川柳」と見たとき、「眼鏡柳川」と読み間違えて、「痕の柳川とはなんと業が深い」と勘違いしてしまったのは秘密です。

日暮樹さん+鏡泪先生:鏡泪先生による2.5次元眼鏡男子紹介

いや、本当に心の底から衝撃を受けた発表でした。内容も楽しかったのですが、発表形式には心底びっくりしたのでした。キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!! 発表原稿をあらかじめ声優さんに渡して声を録音してもらい、現場では立ち絵を出しながら音声を流すという形式は、まさに発表形式自体が2.5次元という、誰も考えつかないことをするのが大好きというレベルの凄さで、発表終了後には総立ちで「ブラボー」の声が飛んだのもよく分かります。いやあ、びっくりしました。
びっくりしましたが、もちろん内容も聞き応えのあるものでした。2.5次元メガネ男子の定義や、具体的なキャラクターの紹介(テニミュ、アルスマグナ、アイマスなど)、その魅力の根源についてプレゼンされました。二次元はあくまでも妄想で頭の中にあるものですが、2.5次元では生の声、生の動きでしゃべって歌って踊るのを目の当たりに見たり聞いたりすることができて圧倒的に生々しい躍動感あるリアリティを持つところが尊いということでした。「本当にいた!」という感じのようです。とても迫力がある発表でした。会場からも様々な2.5次元作品(ジョーカー・ゲームやハイキュー!!)が熱く熱く推され、時代が動いているという実感を持ちました。
ただ、2.5次元界の生々しい現実に話が及ぶと、いろいろ難しいところもあるのだなあと思わせられました。

次回大会に向けて

たいへんな熱気と迫力で、あっという間の3時間でした。次回大会は、もっと広い会場で行うべく鋭意準備中とのことなので、続報を刮目してお待ち下さい。

メガネ男子萌えお茶会

「メガネ男子萌えお茶会」第1回に司会として出席してきました。

メガネ男子萌えの究明に長年尽くしている渡辺由美子さん主催のイベントで、名前のとおり「メガネ男子」の素晴らしさについて語る集会です。前回は大きな会場で開催して成功を収めましたが、今回は小さな会場で、参加者同士のコミュニケーションを濃密にしようという趣旨で行われました。

お茶会ということで、参加者が各自差し入れを持ち寄りましたが、極めて眼鏡力が高い空間となりました。素晴らしい!

和気藹々とした雰囲気の中、熱のこもった発表が続きました。

主なテーマは、温故知新系メガネ男子としての「池田勇人」、『昭和元禄落語心中』に見える「枯れ×メガネ」、ドラマ版『逃げ恥』の平匡さんがメガネを上げ直すとき(全97回)のカチッという音、よしながふみ『フラワーオブライフ』の真島海がメガネを押さえる仕草、バンドのメガネ男子として「シュノーケル」の見せるフライングメガネ現象、くたびれているメガネの素晴らしさ、ポール・フェイグ監督の本物具合、スマホアプリ『夢色キャスト』のキャラ橘蒼星くんの萌えポイントなど、広範囲にわたる領域が扱われ、たいへな知的刺激を味わいました。

また今後も行われると思いますので、メガネ男子の萌え現象に興味がある方は、ぜひご参加いただきたいと思います。