【レポート】メガネ男子萌え学会 第二回お茶会

2018年10/28に浅草模型の王国で開催された「メガネ男子萌え学会 第二回お茶会」に司会として参加してきました。
たいへん熱の籠もった発表が続き、勉強になると同時に、生きる活力をも与えてくれるような、極めて有意義な集まりだったと思います。
以下、私の目から見た記録と感想を残しておきます。(あくまでも私の主観ですので、おかしなところがあっても発表された方々の責ではありません。)

渡辺由美子さん:陰キャメガネ男子に光あれ!

メガネ男子は「自己肯定感が低く自意識過剰で自虐・自滅的な思考を持つ「陰キャ」」であってほしいという強烈な情念が前面に出た発表で、たいへん迫力がありました。

しかし「陰キャ」といっても、もちろん「光のような存在に出逢って自己を肯定されて救われる」というカタルシスが伴っているからこそ魅力的な作品とキャラクターになるわけです。具体的に挙がったメガネ男子は、石川香織『ロッキンユー!!!』の不二美アキラと、永野のりこ『GOD SAVE THE すげこまくん!』でした。『ロッキンユー!!!』の画像が出た瞬間に会場から漏れる「あぁー(絵をちらっと見ただけで分かる、分かるぞ)」という同意の溜息が印象的でした。そして、永野のりこ先生も会場にいらっしゃっていたこともあり、すげこまくんの話は実に論理的かつ感動的な展開となりました。

すげこまくんを語るキーワードとして「「みんな以外」に響く物語」が挙げられましたが、このキーワードは99%にはキモいが一人には刺さる『ロッキンユー!!!』にも通じます。『ロッキンユー!!!』はWEBで読めますので、ぜひぜひ。私も一読してみて、渡辺さんが「エモい!」と主張する理由がよく分かりました。

Libroさん:実写『銀魂2』にみるキャラとメガネの関係

Libroさんからは実写『銀魂2』のメガネ描写を通じた考察の発表がありました。銀魂はもともと男女ともメガネの使い方が上手いのですが、今回の発表では特に実写版での志村新八、河上万斎、伊東鴨太郎の特徴あるメガネ描写の分析を通じて、メガネ表現(メガネの形や、割れる/透けるなど)がキャラクターの個性や感情を鋭く表現している様相を浮き彫りにしました。

さらに三次元の特徴(菅田将暉のイケメン)を消すために効果的にメガネが使われていることや、そもそも週刊少年ジャンプの主人公にメガネキャラが増加している事実(青柳氏の研究)、実写化で成功する条件など、興味深い話が盛りだくさんでした。

学会員誌面発表

お茶会参加者の推しメガネが発表されました。キャラが登場する毎に納得と共感の溜息が漏れるような、濃密な時間となりました(め組の甘粕問題は保留)。とりわけ会場を驚かせたのは、この日のために描き下ろしてくれた朝倉さんのイラストでした。

「お前の卓球は既に計算済みだ系」という「系」だけ妙に具体的ですが、確かにそういう「系」はありますね。
ほか、枯れたメガネ割烹着があざといなど、業の深さが如何なく露呈された時間となりました。

山田×メガネさん:iOFT報告+男子にかけたい新作メガネ

先日ビッグサイトで開催されたメガネの総合展示会iOFTに参加された山田×メガネさんから、お薦め新作メガネの数々が紹介されました。

紹介されたのは、「日本のかっこいいメガネ」として「Onimegane」「Tailor Hitch」「越前國甚六作」「design88」、「海外の素敵なメガネ」として「BRUNO CHAUSSIGNAND」「SARAGHINA」、「名前からメガネをさがしてみる」として「VioRou」「レチルド」「ヤブシタ」「メガネスーパー」、「メガネ男子へのプレゼントにおすすめ」として「EWS」「ケミストリー」「design88」でした。
自分でも買いたくなる魅力的なメガネの数々が紹介されて、興奮しました。自分の名前なので「atsushi」を買ってみるんですかね?

石山蓮華さん:「風立ちぬ」堀越二郎はプリンセス

電線愛好家の石山さんからは、ジブリのメガネ男子は「プリンセス」であるとの新説が発表されました。というのは、ディズニーアニメがプリンセスへの憧れをかき立てたのに対し、ジブリアニメはメガネ男子への憧れをかき立てたのであります。また、プリンセスとは「弱さを強さに転換できる」という存在であり、そこがディズニープリンセスとジブリメガネ男子の共通点という論理は、たいへん迫力がありました。具体的には、トトロの草壁タツオ・魔女の宅急便のトンボ・風立ちぬの二郎の分析を通じて、「弱さを強さに転換」の様相が示されました。ブルジョワおしゃれ野郎疑惑という観点からトンボに厳しかったのも面白かったのですが、それ以上に「堀越には本庄という王子様がいる」という説明がものすごい気合と迫力だったことが印象的でした。
質疑応答で、会場からは「最大のプリンセスは宮さん」という声がとび、一時騒然となりました。(個人的にはムスカの位置づけが気になるところではあります。)

ゲペルニッチさん:眼鏡川柳

眼鏡川柳とは、日常の中でふと出逢った記憶に残したい「眼鏡の瞬間」を切り取って残し、記憶の中のメガネくんにときめき続けるための技法ということで、「メガネ君への出せなかったファンレター」というフレーズが、とても印象に残りました。

一般的な眼鏡シチュエーションを詠んだ歌から、特定の人物を詠んだ歌まで、実に味わい深い歌ばかりでした。ひとつひとつの作品に対して会場からの発言が重なり、連想的に妄想が加速していく様が素晴らしかったです。最終的に「映らずに、映らずに見ていたいのです」と報告された時の会場の悲鳴と共感度MAXぶりも印象的でした。まさに、デカルチャー!という感じでありました。
ところで、最初に「眼鏡川柳」と見たとき、「眼鏡柳川」と読み間違えて、「痕の柳川とはなんと業が深い」と勘違いしてしまったのは秘密です。

日暮樹さん+鏡泪先生:鏡泪先生による2.5次元眼鏡男子紹介

いや、本当に心の底から衝撃を受けた発表でした。内容も楽しかったのですが、発表形式には心底びっくりしたのでした。キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!! 発表原稿をあらかじめ声優さんに渡して声を録音してもらい、現場では立ち絵を出しながら音声を流すという形式は、まさに発表形式自体が2.5次元という、誰も考えつかないことをするのが大好きというレベルの凄さで、発表終了後には総立ちで「ブラボー」の声が飛んだのもよく分かります。いやあ、びっくりしました。
びっくりしましたが、もちろん内容も聞き応えのあるものでした。2.5次元メガネ男子の定義や、具体的なキャラクターの紹介(テニミュ、アルスマグナ、アイマスなど)、その魅力の根源についてプレゼンされました。二次元はあくまでも妄想で頭の中にあるものですが、2.5次元では生の声、生の動きでしゃべって歌って踊るのを目の当たりに見たり聞いたりすることができて圧倒的に生々しい躍動感あるリアリティを持つところが尊いということでした。「本当にいた!」という感じのようです。とても迫力がある発表でした。会場からも様々な2.5次元作品(ジョーカー・ゲームやハイキュー!!)が熱く熱く推され、時代が動いているという実感を持ちました。
ただ、2.5次元界の生々しい現実に話が及ぶと、いろいろ難しいところもあるのだなあと思わせられました。

次回大会に向けて

たいへんな熱気と迫力で、あっという間の3時間でした。次回大会は、もっと広い会場で行うべく鋭意準備中とのことなので、続報を刮目してお待ち下さい。