「講義」カテゴリーアーカイブ

教育概論Ⅰ(中高)-8

▼栄養・環教 6/9
▼語学・心カ・教福・服美・表現 6/10

前回のおさらい

・教育の目的=人格の完成:教育基本法第1条。
・人格とは、比較できず、束ねられず、代わりがなく、変わらないようなもの。
・代わりがない=個性。変わらない=アイデンティティ。

人格の完成(つづき)

自由と責任

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か?
・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:運命 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:良心の呵責 私は歯車ではない! 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。自由だから責任があるのではなく、責任をとれるから自由がある。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。
自律:他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。
→みんなで作ったルールには、みんなで従う。

理性

・法則を発見する手続き=科学。
・科学的思考とは何か。「分析/総合」。「演繹/帰納」。

分析:ひとつのものをいくつかの要素に分けて、本質的な要素を析出する。
総合:析出された本質的な要素をつなぎ合わせて観念を構成する。
観察:個別具体的なもののうち、似ているところや異なっているところを把握する。
感覚:客観的な対象を主観的な印象として取り込むための窓口。

演繹:抽象的な理論から個別具体的なものや現象を説明する。
帰納:個別具体的なものから抽象的な理論を発見する。
推論:具体的なものを改めて観察するまでもなく、頭の中だけで論理的に考えて結論を導き出す力。

自己実現

・どのように人格は完成へと向かうのか。
自己実現≒ほんとうのわたしデビュー、わたしらしいわたし。社会的な成功とは基本的にはあまり関係がない。
・直線的な発達ではなく、ジグザグな成長。矛盾と葛藤。
・弁証法的発展。自己耽溺と自己疎外の葛藤から、自由で主体的な決断を経て、責任を引き受けて、自己実現へ。
・「自分こわし」と「自分つくり」。

「近代教育」まとめ:人格の完成とは・・

・個性の尊重:独立。かけがえのないわたし。
・アイデンティティの確立:主体。まさにこのわたし。
・自由の獲得:責任。わたしが作ったルールに従うわたし。
・理性:科学。ほんものを見つけるわたし。
・自己実現:夢。ほんとうのわたし。
→「近代的自我」

復習

・「わがまま」や「自分勝手」と「自由」がどのように違うか、考えてみよう。
・科学的な思考法について、手続きに関わる概念と一緒に押さえておこう。
・「自己実現」とはどういうプロセスか、押さえておこう。

予習

・「社会権」という言葉について、中学や高校の公民で習ったことを思い出しておこう。

流通経済大学 教育学Ⅰ(9)新松戸

■新松戸キャンパス 6/9(金)

課題について

・締め切り:新松戸7/21(金)
・形式:800字~2000字。手書き可。コンピュータ使用可。B5でもA4でも原稿用紙でもレポート用紙でも可。表紙無用。名前を忘れないように。
・内容:授業で扱ったトピックから興味・関心があるものを自分で選んで、分かったことや考えたこと、調べて深めたことなどを書く。
・注意事項:剽窃が発覚した場合は、不可とする。

前回のおさらい

・人格の完成。
・アイデンティティの確立。
・自由と責任。

人格の完成(つづき)

自己実現

・どのように人格は完成へと向かうのか。
自己実現≒ほんとうのわたしデビュー、わたしらしいわたし。社会的な成功とは基本的にはあまり関係がない。
・直線的な発達ではなく、ジグザグな成長。矛盾と葛藤。
・弁証法的発展。自己耽溺と自己疎外の葛藤から、自由で主体的な決断を経て、責任を引き受けて、自己実現へ。
・「自分こわし」と「自分つくり」。

まとめ:人格の完成とは・・

・個性の尊重:かけがえのないわたし
・アイデンティティの確立:主体性
・自由の獲得:自律性
・自己実現:ほんとうのわたし
→近代的自我

義務教育の思想

・「義務教育」とは、誰の誰に対するどのような義務か?
・「子供が教育を受ける権利」はどこから生まれたか?
・「自由権としての教育」だけでは問題が発生する。

思考実験:自由の落とし穴

・自由を拡大したとき、得をするのはどういう人たちか?
・強者と弱者の間の格差拡大。
・自由を<実質的に>使いこなすことができるのは金持ちだけ。貧乏人はそもそも自由に<実質的に>手が届かない。形式的に自由を与えるだけでは、意味がないかもしれない。
・「自由権としての教育」だけでは、金持ちは十分な教育を受けることができたとしても、貧乏人は教育を受けることができない。教育によって、ますます貧富の格差が広がる。
・独立自営農民の解体。資本家と労働者への階層分化。

労働力の売買

・「働く」とは、経済学的にはどういうことか?
労働力:「働く」と言うのではなく、「労働力を売る」と言う。「雇う」と言うのではなく、「労働力を買う」と言う。
・労働力の再生産は、家庭で行われる。
・労働力をモノのように売買できるようにしたことで、市場原理によって必要なところに迅速に労働力が供給され、資本主義の展開が加速する。(奴隷労働のままでは労働力の流動化が促進されず、資本主義は加速しない。)

思考実験:働いたら負け

・働いていない人ほどお金儲けができる?
・ワーキングプア:働けば働くほど貧乏になる?
・労働力は、売るよりも買う方が得?
・労働力を買うには、生産手段(土地や工場)がなければならない。
・生産手段+原材料+労働力→商品
・モノの価格は市場原理(競争)によって決まる→労働力の価格も市場原理(競争)によって決まる。
・努力すればするほど悪循環に陥るのはなぜか。←競争する相手を間違えている。失業者問題。
・最も安いのは、子供の労働力。→児童労働の発生。
・児童労働を防ぐにはどうしたらよいか???←誰もが自由で平等だったからこそ児童労働が発生してしまったのであって、もはや形式的な自由権では対処不可能。

社会権としての教育

社会権:形式的に自由が与えられるだけでなく、全ての人が実質的に自由を使いこなすことができるように、強者に対してハンデを設け、弱者に対して様々なアドバンテージが与えられる。生存権労働基本権教育を受ける権利
・たとえば、最低賃金や労働時間の設定、労働組合の結成等により、成人の労働環境が守られ、児童労働の自然発生を抑制することができる。
・児童労働の撤廃に向けての具体的な動き。
・誰が責任を持つのか?←「国家」の積極的な関与。

復習

・自由が拡大すると格差も拡大する理屈について押さえておこう。
・「社会権」の意義について押さえておこう。

予習

・コンドルセとロバート・オーエンの教育思想について調べておこう。

教育概論Ⅰ(保育)-8

▼短大保育科 6/8(木)

前回のおさらい

・ヨーロッパが強い理由=個人主義+民主主義。
・民主主義で憲法が果たす役割。
・民主主義の世の中で普遍的な「人間の教育」が始まる。→人格の完成

人格の完成(前回のつづき)

アイデンティティ

・日本語では「自我同一性」や「存在証明」などと訳されることがある。
・自同律:「A=A」「わたし は わたし」
・この世に変化しないものなどあるのか? 「A→A’」
・私は常に変化し続けている(新陳代謝)にも関わらず、どうして常に「わたしはわたし」と言うことができるのか?
・わたしの属性について考えてみる。A=X、A=Y、A=Z・・・・。常に一致しているのは何か?
・主語と述語。常に主語であるものにはアイデンティティが成立している。
・述語に重点を置くか、主語に重点を置くか。
・「主体性」とは何か。子供の主体性や自主性を重んじるのはどうしてか?

個人主義の教育

人間の尊厳:かけがえのない、他の何者とも交換不可能な、独立した、一人の人間として認められる。
・日本国憲法第13条:「すべて国民は、個人として尊重される。」
・日本国憲法第24条2項:「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」

自由と責任

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か?
・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:運命 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:責任 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。自由だから責任があるのではなく、責任をとれるから自由がある。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。→みんなで作ったルールには、みんなで従う。

復習

・「子供の自主性を尊重する」というとき、教師は具体的に何をするべきか、考えてみよう。

予習

・ロックとルソーの教育論について調べておこう。

教育概論Ⅰ(栄養)-8

▼短大栄養科 6/6

前回のおさらい

・近代の教育思想:ペスタロッチー、ヘルバルト、フレーベル。
*ドラえもん構造で考えてみよう。
→リテラシー:自分のための教育
→民主主義:新しい時代に相応しい人間を作る教育。

義務教育の思想

・「義務教育」とは、誰の誰に対するどのような義務か?
・「子供が教育を受ける権利」はどこから生まれたか?
・「自由権としての教育」だけでは問題が発生する。

思考実験:自由の落とし穴

・自由を拡大したとき、得をするのはどういう人たちか?
・強者と弱者の間の格差拡大。
・自由を<実質的に>使いこなすことができるのは金持ちだけ。貧乏人はそもそも自由に<実質的に>手が届かない。形式的に自由を与えるだけでは、意味がないかもしれない。
・「自由権としての教育」だけでは、金持ちは十分な教育を受けることができたとしても、貧乏人は教育を受けることができない。教育によって、ますます貧富の格差が広がる。
・独立自営農民の解体。資本家と労働者への階層分化。

労働力の売買

・「働く」とは、経済学的にはどういうことか?
*労働力:「働く」と言うのではなく、「労働力を売る」と言う。「雇う」と言うのではなく、「労働力を買う」と言う。
・労働力の再生産は、家庭で行われる。
・労働力をモノのように売買できるようにしたことで、市場原理によって必要なところに迅速に労働力が供給され、資本主義の展開が加速する。(奴隷労働のままでは労働力の流動化が促進されず、資本主義は加速しない。)

思考実験:働いたら負け

・働いていない人ほどお金儲けができる?
・ワーキングプア:働けば働くほど貧乏になる?
・労働力は、売るよりも買う方が得?
・労働力を買うには、生産手段(土地や工場)がなければならない。
・生産手段+原材料+労働力→商品
・モノの価格は市場原理(競争)によって決まる→労働力の価格も市場原理(競争)によって決まる。
・失業者問題。
・努力すればするほど悪循環に陥るのはなぜか。←競争する相手を間違えている。
・最も安いのは、子供の労働力。→児童労働の発生。
・児童労働を防ぐにはどうしたらよいか???←誰もが自由で平等だったからこそ児童労働が発生してしまったのであって、もはや形式的な自由権では対処不可能。

社会権としての教育

*社会権:形式的に自由が与えられるだけでなく、全ての人が実質的に自由を使いこなすことができるように、強者に対してハンデを設け、弱者に対して様々なアドバンテージが与えられる。生存権、労働基本権、教育を受ける権利。
・たとえば、最低賃金や労働時間の設定、労働組合の結成等により、成人の労働環境が守られ、児童労働の自然発生を抑制することができる。
・児童労働の撤廃に向けての具体的な動き。
・誰が責任を持つのか?←「国家」の積極的な関与。

コンドルセ marquis de Condorcet

・1743年~1794年、フランス出身。
・愛称:公教育の父
(1)子供の学習権。
(2)教育費無償。
(3)ライシテ:政治的中立や宗教的中立。

ロバート・オーエン Robert Owen

・1771年~1858年、イギリス出身。
・キーワード:性格形成学院
・工場法の展開

1802年徒弟の健康と道徳に関する法律制定。
1819年繊維工場では9歳以下の労働禁止。16歳以下は1日12時間以内に制限。
1833年12時間労働。9歳未満の労働禁止。13歳未満は週48時間。
1844年女性労働者の労働時間制限。
1847年若年労働者の労働時間を1日10時間に制限。
1870年教育法制定。公費による学校設立。

復習

・自由が拡大すると格差も拡大する理屈について押さえておこう。
・「社会権」の意義について押さえておこう。
・「義務教育」が成立する過程について、理論と実践の両面から押さえておこう。

予習

・労働と教育の関係について考えてみよう。

流通経済大学 教育学Ⅰ(9)龍ケ崎

■龍ケ崎キャンパス 6/5(月)

課題について

・締め切り:龍ケ崎7/17(月)、新松戸7/21(金)
・形式:800字~2000字。手書き可。コンピュータ使用可。B5でもA4でも原稿用紙でもレポート用紙でも可。表紙無用。名前を忘れないように。
・内容:授業で扱ったトピックから興味・関心があるものを自分で選んで、分かったことや考えたこと、調べて深めたことなどを書く。
・注意事項:剽窃が発覚した場合は、不可とする。

前回のおさらい

・アイデンティティの確立とは、常に主語として一致している状態。
・自由には責任が伴う。責任をとれるからこそ、事後的に自由であったことが分かる。人格は、自由である。
・自由は、「わがまま」や「自分勝手」とはまったく違う状態を指している。

予習

・労働と教育の関係について考えてみよう。
・「児童労働」とは何かについて、どうして子供が働かなければならなかったのか、時代背景に気をつけて調べてこよう。
・「社会権」という言葉の意味について調べてこよう。
・「義務教育」とは「誰の誰に対するどのような義務なのか」について、調べてこよう。
・コンドルセの思想について調べてこよう。
・ロバート・オーエンの仕事と業績について調べてこよう。