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教育概論Ⅰ(栄養)-5

短大栄養科 5/15

前回のおさらい

・日本での近代教育の始まり。寺子屋や学問の向上。
・ヨーロッパの影響。明治維新と文明開化。
・ヨーロッパが強くなった理由(1)大航海時代。
・印刷術の普及とリテラシーの獲得。

ヨーロッパはどうして強くなったのか?(つづき)

ルターの宗教改革(1517年)

・カトリックとプロテスタントの違いは、大雑把には「神父/牧師」や「教会/聖書」の重要性の違いにあります。
・「聖書を読む」という行為を可能にするためには、聖書というモノそのものを低価格で供給する印刷術の存在が前提になります。
・ルターとヤン・フスの運命を比べてみると、印刷術が存在しない世界での情報発信の難しさが分かります。印刷術があると、自分の意見を大量かつ広範囲に伝えることができるようになります。リツイートができることも大きな要素です。
・世界を変革するためには、自分の意見を無差別かつ広範囲に、そして正確に発信することが必要です。情報発信の決定的な手段として、リテラシーを持っていることがとても重要になります。
・リテラシーは、個人的な欲望や野心を実現するための手段として決定的に重要なものとなります。

ルネサンス(15世紀)

・音楽や絵画の意味が大きく変わり、芸術家が誕生します。神に捧げるための技術から人間を楽しませるための芸術へ転回します。音楽や絵画は教会に納入するものではなく、一般民衆に売って儲けるための手段となっていきます。
・印刷術の普及によって、一人で本を読むことが人々の日常生活の中に入ってきます。印刷術が発明されるまでは、本は音読して大勢の人で楽しむものでした。本の読み方が、音読から黙読へと変化します。
・孤独に読書する体験を重ねることで、人々は「自分自身」について考えるようになります。リテラシーは、自己実現の決定的な条件となります。
・読書は「自我」というものを醸成する経験となります。

個人主義の誕生

・ヨーロッパに強大な力をもたらした新大陸発見、宗教改革、ルネサンスには、印刷術という新しい技術とリテラシーという新しい経験が共通して前提されています。
・それは同時に人間の欲望を積極的に肯定していくことになります。人々は神様ではなく「人間」を中心に世界を考えるようになっていきます。一人ひとりの「個人」を最優先に考える「個人主義」が説得力を持ち始めます。
・富を獲得し、天国を目指し、新たな娯楽に接触し、自己実現するためには、リテラシーを獲得しなければならりません。
・リテラシーを獲得する手段は何ですか?=教育。
・リテラシーを獲得する場所はどこですか?=学校。

リテラシーの獲得と、モラトリアム

・生活をしていく上で、なにをするにもリテラシーが必要な世の中へと変化します。リテラシーを身につけることが、人間として生きていく上での必須の条件と見なされるようになっていきます。
・リテラシーを身につける場として学校が大きな意味を持つようになります。リテラシーを身につけるために、モラトリアムと呼ばれる時間が必要とされるようになります。

モラトリアム:執行猶予。労働から免除されている期間を意味します。思春期・青年期が拡張して、大人と子供の距離が広がっていきます。

・ただ、この時期は、人々自らの生活の必要によって教育機関が作られていきます。権力者によって強制的に教育や学校が押しつけられていくわけではありません。(むしろ権力者にとってみれば、一般民衆が教育水準を高めることは脅威となります。日本の江戸時代に民衆が自分たちで作った寺子屋を思い出してもいいでしょう)。
・が、次第に権力者たちによって学校が作られ、強制的に教育が押しつけられていくようになります。

コンピュータ・リテラシー

・印刷術の登場に見られるように、新しいメディア技術の展開が人間の生活を大きく変化させる場合があります。それは現代のコンピュータの登場によって人々の生活が劇的に変化したことを考えると、わかりやすいかもしれません。

コンピュータ・リテラシー:コンピュータを使って情報を得たり発信したりすることができる能力。

・ここ数年で、就職活動をするにもコンピュータ・リテラシーが必須な世の中へと劇的に変化しました。コンピュータが使えないと、まともに就職もできないような世の中になりつつあります。→たとえば「履歴書」を考えてみよう。

復習

・印刷術の普及によってリテラシーの有効性が高まり、人々が自発的に勉強を始める動機を持つ経緯を確認しておこう。
・リテラシーを獲得するために、それまでにはなかった特別な修行の時間=モラトリアムが用意されるようになる経緯を押さえておこう。
・学校や教育が、民衆の自発性に任せられていた時期から、強制的に与えられる時代への変化を押さえておこう。

予習

民主主義の意義と市民社会の仕組みについて調べておこう。

発展的な学習の参考

徳善義和『マルティン・ルター』
ルターが印刷術を極めて有効に活用しながら宗教改革を成功に導いていったかが分かります。

アンドリュー・ペティグリー『印刷という革命』
印刷術が宗教改革や新大陸発見と密接に絡みながら展開していったことが分かります。また印刷術の普及によって教育が急成長をとげることにも触れられています。

アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ『そのとき、本が生まれた』
印刷術の普及によってルネサンスが加速していく様子がよく分かります。

上尾信也『音楽のヨーロッパ史』
印刷術とルネサンスが、宗教改革にも大きな影響を与えていたことが分かります。

流通経済大学「教育学Ⅰ」(5)

■新松戸キャンパス 5/18(金)
■龍ケ崎キャンパス 5/14(月)

前回のおさらい

・自由の落とし穴。自由が拡大すると、格差が拡大する。強いものはますます強くなり、弱いものはますます弱くなる。
・労働力売買の仕組み。労働力は売るよりも買う方が得をするが、労働力を買うことができるのは「生産手段」を持っている者だけ。失業者が存在する限り、必ず労働力の値段は下がり続ける。

社会権と義務教育

・自由を拡大すると格差が拡大するだけだということを理解すれば、格差の拡大を防ぐためには自由を制限すればいいことに気がつく。

社会権

社会権:形式的に自由が与えられるだけでなく、全ての人が実質的に自由を使いこなすことができるように、強者に対してハンデを設け、弱者に対して様々なアドバンテージが与えられる。具体的には、生存権、労働基本権、教育を受ける権利。
・たとえば、最低賃金や労働時間の設定、労働組合の結成等により、労働力の価格が低下することを抑えられる。
・誰が責任を持つのか?←「国家」の積極的な関与。

義務教育

教育を受ける権利:すべての子どもには「教育を受ける権利」がある。
・もともと教育とは贅沢なものであって、経済的時間的にゆとりがある者しか享受できないものだった。たとえば「学校=school」という言葉はもともと「暇」という意味だった。労働している者=奴隷には教育を受けることなど不可能だった。
・教育を受けた者はますます強くなり、教育を受けられなかった者はますます弱くなる。自由によって格差が拡大していく。
←どんな弱い者であっても教育が受けられるようにしなければならない。全ての人間に「教育を受ける権利」が保障されなければならない。
義務教育:保護者(およびそれを援助する国家や自治体)が子供に教育を受けさせる義務。子供の義務ではないことに注意。子供が持っているのはあくまでも「権利」であって、義務を課せられているわけではない。

教育内容=教材と文化財

・しかし、多くの子供たちには「権利としての教育」に対する実感がない。教育はむりやり受けさせられているものだと思っている。「権利としての教育」への実感をまったく欠いている問題。
←子供たちが勘違いしているというよりも、実際に与えられている教育が、とてもじゃないが「権利としての教育」とは思えないものだから。
教育内容:子供たちが教育で身につけるべき知識や技術の本質。学ぶ対象。
教材:子供たちが教育内容を身につけるべく、実際に学校で教えられる材料。学ぶ手段。
教科書:学ぶ人にも教える人にも使いやすいように、手際よく効果的に教材を並べたもの。学ぶ手段の手段。
・教科書に取りあげられているのは、ひとつの例にすぎない。「例」を身につけても何の意味もない。重要なのは、教科書に載っているような例を通じて「物事の本質」を理解すること。
←最悪なのは、「教科書を教える」こと。手段の手段を教えるのでは、何をしたいのかわからない。本来は「教科書教える」のではなく「教科書教える」でなければならない。

文化財の選択基準

文化財:人類が作り上げた様々な文物のうちで、特に後の世代に引き継いで伝えていくべきだと考えられる価値のあるもの。学校で子供たちに教えられるべき教育内容と重なるところが多い。
メインカルチャー:主要文化。上位文化。後の世代に末永く伝えられるべき重要な文化。美術館や博物館に展示されたり、教材として取りあげられたりする。
サブカルチャー:副次文化。下位文化。後の世代に伝えられなくてもまったく困らないであろう文化。美術館や博物館に展示されることなく、教材として取りあげられることもない。

・子供が意義を感じるのはことごとくサブカルチャーであって、メインカルチャーの方には関心を示さない。
・が、学校で教えられるのはメインカルチャー。
←子供は放っておいても勝手にサブカルチャーを学び取るが、メインカルチャーは強制しなければ学び取らない。

・支配層(資本家)にとって価値があるのはメインカルチャーであって、自営業や労働者にとって価値があるのはサブカルチャー。
・支配層が支配を続けていくためには、メインカルチャーがいつまでも価値がある方が都合が良い。学校で教えられるのは、常にメインカルチャー。メインカルチャーに親和性が高い人々(支配層)は、学校で教えられる文化財に馴染んでおり、簡単に習得することができる。しかしメインカルチャーに親和性が低い人々(労働者)は、学校で教えられる文化財に馴染みがなく、修得するためのハードルが高い。

階級的観点による教育の3類型

(1)支配層による支配層のための教育=メインカルチャーの伝達。公式のカリキュラム。
(2)支配層に都合が良い労働者の教育=従順で優秀な労働者の形成。隠れたカリキュラム。
(3)労働者による労働者のための教育=?

復習

・社会権と義務教育の論理について押さえておこう。
・文化財の選択基準について理解を深めておこう。

予習

・「働く」ことと「生きる」ことの関係について考えておこう。

教育概論Ⅰ(保育)-4

短大保育科 5/10、5/19

前回のおさらい

・かつて「教育」は行われていませんでした。「教育」とは異なる形による発達や成長への働きかけを「形成」と呼びます。
・「成人式」の形は、いまと昔はまったく異なっていました。「死」と「再生」を象徴する儀式を突破して共同体の正式メンバーに加入することを「イニシエーション」と呼びます。
・人々は、学校や教育がなくとも、知恵と経験を後の世代に継承し、生活を続けていました。

日本での近代教育の始まり

・江戸時代中期(西暦1750年頃)あたりから子供に対する意識が変わり始めます。
←生産力の向上、遺産相続への関心、家意識の形成
←商品経済の展開、識字能力の有効性の拡大、寺子屋の増加

寺子屋

寺子屋:一般庶民が自分たちのために必要とした教育機関です。幕府や藩など支配者層が上から押しつけたのではなく、下からの自発的な要求によって自然発生的に増加していきました。
・庶民の生活と要求に対応して、そろばんや習字を教えていました。
※「往来物」と呼ばれるテキストを使っていました。

リテラシー

リテラシー:文字を読んだり書いたりすることができる能力を指します。そこからさらに、様々な道具を使って情報を得たり発信したりすることができる能力のことを意味するようになります。
コンピュータ・リテラシー:コンピュータを使って情報を獲得したり発信したりすることができる能力を意味します。現在はコンピュータ・リテラシーを持っていることが当たり前とされ、学校で習得するようになっています。この能力がないと就職活動すらできません。
・リテラシーと学校:学校に行って勉強する目的の一つは、リテラシーを獲得することです。
・「話し言葉」は意図的にトレーニングしなくても身につけることができますが、「書き言葉」は意図的・計画的にトレーニングすることで初めて身につけることができます。
・かつてリテラシーを持っていたのはごく一握りの知的エリートだけで、大半の人々は文字の読み書きができませんでした。
・最初は一部の意欲のある人々だけが学校に行ってリテラシーを獲得していましたが、リテラシーの有用性が広く認識されてくると、次第に全ての人が強制的にリテラシーを持たされるような制度に変わっていきます。

江戸時代の文化

長期間にわたる平和と繁栄によって、学問が独自に発達を遂げていました。
*儒学:中国発祥の学問ですが、徳川家が推奨したのをきっかけとして、江戸時代の日本で独特の発展を遂げます。昌平坂学問所藩校などで教えられていました。基本的には支配者階級のための学問で、主に武士が学んでいました。
*蘭学:日本は外国との交流を避けていましたが、長崎などを通じて入ってくる海外情報を元に、ヨーロッパの学問が研究されていました。
*国学:中国とは異なる日本独自の文化を特に尊重して研究する姿勢が生まれていました。

明治維新と文明開化

・日本は独自に近代化への準備を始めていました。が、決定的な転換点はヨーロッパとの接触に刺激を受けた明治維新(1868年)となります。
文明開化=日本を文明化から遅れた後進国であると自覚し、多くの日本の伝統的な習慣や仕来りを野蛮な習俗として否定し、西洋由来のモノや制度や考え方を崇拝しました。
明治維新≒西欧列強に由来する国民国家システムと市民社会を学習し、模倣しました。教育制度に関しては、明治5年(西暦1872年)の「学制」が重要な出来事になります。

世界史のなかの明治維新

・かつて、ヨーロッパは貧乏な辺境地域に過ぎませんでした。世界の中心は中華帝国とイスラム帝国にありました。
・西暦1500年あたりから逆転が始まります。
・ペリー来航時(1853年)の世界情勢を踏まえて、ヨーロッパの手が及んでいない地域がどれくらい残されているか考えてみよう。

>1828年:オーストラリア全土植民地化
>1840年:アヘン戦争(中華帝国)
>1853年:クリミア戦争(イスラム帝国)
>1857年:インド大反乱(インド亜大陸)
>1882年:エジプト保護国化(アフリカ大陸)
>1890年:フロンティアの消滅(アメリカ大陸)
>19世紀末:東南アジア、タイ以外植民地化

・日本では福沢諭吉が西欧列強の強さの秘密を理解します。『学問ノススメ』『文明論之概略』。
・表面上の物質的繁栄が重要なのではなく、人間に対する根本的な理解や社会制度の仕組みが重要だと気がつきます。

→資本主義
→民主主義
→国民国家

復習

・日本の教育が近代化する前提を押さえておこう。
・「リテラシー」という言葉の意味と、それが教育に対して持つ意義を押さえよう。

予習

・民主主義とは何か、自分なりに調べておこう。

 

教育概論Ⅰ(栄養)-4

短大栄養科 5/8

前回のおさらい

・かつて「教育」は行われていませんでした。「教育」とは異なる形による発達や成長への働きかけを「形成」と呼びます。
・「成人式」の形は、いまと昔はまったく異なっていました。「死」と「再生」を象徴する儀式を突破して共同体の正式メンバーに加入することを「イニシエーション」と呼びます。
・人々は、学校や教育がなくとも、知恵と経験を後の世代に継承し、生活を続けていました。

日本での近代教育の始まり

・江戸時代中期(西暦1750年頃)あたりから子供に対する意識が変わり始めます。
←生産力の向上、遺産相続への関心、家意識の形成
←商品経済の展開、識字能力の有効性の拡大、寺子屋の増加

寺子屋

・一般庶民が自分たちのために必要とした教育機関です。幕府や藩など支配者層が上から押しつけたのではなく、下からの自発的な要求によって自然発生的に増加していきました。
・庶民の生活と要求に対応して、そろばんや習字を教えていました。
※「往来物」と呼ばれるテキストを使っていました。

・学問水準も向上していました。儒学、蘭学、国学などが独自に展開します。←長期間にわたる平和と繁栄。
・日本は独自に近代化への準備を始めていました。が、決定的な転換点はヨーロッパとの接触に刺激を受けた明治維新(1868年)となります。
文明開化=日本を文明化から遅れた後進国であると自覚し、多くの日本の伝統的な習慣や仕来りを野蛮な習俗として否定し、西洋由来のモノや制度や考え方を崇拝しました。
明治維新≒西欧列強に由来する国民国家システムと市民社会を学習し、模倣しました。教育制度に関しては、明治5年(西暦1872年)の「学制」が重要な出来事になります。

世界史のなかの明治維新

・かつて、ヨーロッパは貧乏な辺境地域に過ぎませんでした。世界の中心は中華帝国とイスラム帝国にありました。
・西暦1500年あたりから逆転が始まります。
・ペリー来航時(1853年)の世界情勢を踏まえて、ヨーロッパの手が及んでいない地域がどれくらい残されているか考えてみよう。

>1828年:オーストラリア全土植民地化
>1840年:アヘン戦争(中華帝国)
>1853年:クリミア戦争(イスラム帝国)
>1857年:インド大反乱(インド亜大陸)
>1882年:エジプト保護国化(アフリカ大陸)
>1890年:フロンティアの消滅(アメリカ大陸)
>19世紀末:東南アジア、タイ以外植民地化

・日本では福沢諭吉が西欧列強の強さの秘密を理解します。『学問ノススメ』『文明論之概略』。
・表面上の物質的繁栄が重要なのではなく、人間に対する根本的な理解や社会制度の仕組みが重要だと気がつきます。

→資本主義
→民主主義
→国民国家

ヨーロッパはどうして強くなったのか?

・ヨーロッパが急激に強くなり始めた西暦1500前後に、ヨーロッパで起こっていたことは何でしょうか?
(1)大航海時代
(2)宗教改革
(3)ルネサンス
*そして「印刷術」が、これらの共通の土台となっています。

印刷術とリテラシー

リテラシー:文字を読んだり書いたりすることができる能力を指します。そこからさらに、様々な道具を使って情報を得たり発信したりすることができる能力のことを意味するようになります。
印刷術:1450年前後にグーテンベルクが発明しました。

コロンブスの大西洋横断(1492年)

・どうして我々は自分の目で確かめたことがないにもかかわらず、「地球が丸い」ということを知っているのでしょうか?→本に書いてあるから。
・コロンブスも含めて、当時の知識人は地球が丸いことを知っていました。(他の知識人は地球の正確な大きさも把握していたから大西洋横断は不可能だと思っていましたが、コロンブスは地球の大きさを勘違いしていたので冒険に乗り出すことができました。)
・印刷術により科学知識や地理情報が普及します。また、正確な地図や海図も登場します。船乗りに必要な科学的知識も本から知ることができます。
・かつて手写しで作られていた本は、高価で稀少なものでした。写本によって知識を伝えるには、コストがかかりすぎました。印刷術は知識の伝達範囲を格段に拡大し、速度を飛躍的に高めます。
・冒険に出るためには、本を読んで知識を得ることが必須です。知識は力となります。情報を得る決定的な手段として、リテラシーの獲得がとても重要になります。
・リテラシーは、個人的な欲望や野心を達成するためには絶対に欠かせない技術となります。

復習

・日本の教育が近代化する前提を押さえておこう。
・1492年以降、ヨーロッパが世界の中心に躍り出る世界史的な過程を押さえておこう。
・「リテラシー」という言葉の意味と、それが教育に対して持つ意義を押さえよう。

予習

・宗教改革について調べておこう。
・「ルネサンス」という言葉の意味について調べておこう。
・民主主義とは何か、自分なりに調べておこう。

発展的な学習の参考

宮崎正勝『海図の世界史』
印刷術の普及によってプトレマイオス『地理学』が大量に出回っており、コロンブス以前から地球が丸いことが人々の間で常識となっていたことがわかります。

ジャック・アタリ『1492西欧文明の世界支配』
貧弱な辺境に過ぎなかったヨーロッパが1492年を境にして世界の頂点に立つ過程を描いた本。コロンブスの識字能力や、印刷術と大航海時代の関連について言及しています。また宗教改革における印刷術の重要性も説かれています。

フェリペ・フェルナンデス=アルメスト『1492コロンブス逆転の世界史』
辺境ヨーロッパが1492年をきっかけに逆転して世界を制覇した過程が描かれています。コロンブスが読んでいた本や識字能力の程度について記述されています。

ミシェル・ルケーヌ『コロンブス 聖者か、破壊者か』
印刷術という技術が背景にあったことを考慮しないと、コロンブスの業績を理解できないことが分かります。

 

流通経済大学「教育学Ⅰ」(4)

■新松戸キャンパス 5/4(金)
■龍ケ崎キャンパス 5/7(月)

前回のおさらい

・隠れたカリキュラム。
・メリトクラシーと学歴主義。

自由はいいものか?

思考実験:自由の落とし穴

・自由を拡大したとき、得をするのはどういう人たちか?
・強者と弱者の間の格差拡大。
・自由を<実質的に>使いこなすことができるのは金持ちだけ。貧乏人はそもそも自由に<実質的に>手が届かない。形式的に自由を与えるだけでは、意味がないかもしれない。
・「自由」は、金持ちには十分な恩恵を与えるが、貧乏人にはあまり意味がない。自由を拡大することによってますます貧富の格差が広がる。
・貧富の格差=資本家(働かずにお金持ちになる人)と労働者(働いても貧乏になる人)への階層分化。働いている人たちの中での格差拡大と考えると実態を見失うことに注意。

労働力の売買

・「働く」とは、経済学的にはどういうことか?
*労働力:「働く」と言うのではなく、「労働力を売る」と言う。「雇う」と言うのではなく、「労働力を買う」と言う。
・労働力の再生産は、家庭で行われる。
・労働力をモノのように売買できるようにしたことで、市場原理によって必要なところに迅速に労働力が供給され、資本主義の発展が加速する。(奴隷労働のままでは労働力の流動化が促進されず、資本主義の発展は加速しない。)

労働力売買の仕組み

思考実験:働いたら負け

・働いていない人ほどお金儲けができる?
・ワーキングプア:働けば働くほど貧乏になる?
・労働力は、売るよりも買う方が得?
・労働力を買うには、生産手段(土地や工場)がなければならない。
・生産手段+原材料+労働力→商品
・モノの価格は市場原理(競争)によって決まる→労働力の価格も市場原理(競争)によって決まる。
・失業者問題。失業者が存在する以上、労働力を売る側が競争すれば、必ず労働力の値段は下がる。
・努力すればするほど悪循環に陥るのはなぜか。←競争する相手を間違えている。本当に戦うべき相手を見失って、のび太同士で競争してしまうから、おかしなことになる。努力の方向を間違っているから、努力すればするほど自分の首を絞めることになる。
・もはや形式的な自由を拡大するだけでは対処不可能。努力の問題ではない。

復習

・自由が拡大すると格差も拡大する理屈について押さえておこう。
・労働力が売買されるメカニズムについて理解しておこう。

予習

・義務教育の意味について考えておこう。