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教職基礎論(栄養)-14

▼短大栄養科 7/22(土)

教員の立場(1~3、13)

□「公務員」とはどのような立場か、説明できる。
□地方公務員法に定めてある、職務上の義務と身分上の義務がどのようなものか、説明できる。
□信用失墜行為の中身について、具体的に説明できる。
□教育公務員特例法に規定されている服務義務について説明できる。
□教師になるにはどうしたらいいのか。教員免許状や教員採用試験について説明できる。
□学校にはどのような職務が置かれ、それぞれがどのような仕事をするか、説明できる。
□「チームとしての学校」や「コミュニティスクール」という言葉の意味を説明できる。

教師の仕事-教育目的(4~5)

□「人格の完成」とはどういうことか、説明できる。
□「個性」「アイデンティティ」「自由」「自己実現」という言葉を説明できる。

教師の仕事-学習指導(知:6~8)

□『学習指導要領』について、説明できる。
□「学力」とは何か、説明できる。
□「生きる力」について、説明できる。
□「ゆとり教育」のメリットとデメリットについて、説明できる。
□「教科書」について、制度や採択の仕組みなどを説明できる。
□「評価」について、その役割や、具体的な制度を説明できる。

教師の仕事-学習指導(9~10)

□道徳の教科化について、何がどう変ったか説明できる。
□「健やかな体」について、どのような領域があり、どのような指導をするか、説明できる。
□「総合的な学習の時間」の意義について、説明できる。
□「特別活動」で具体的に何を行うか、説明できる。

教師の仕事-生徒指導(12)

□『生徒指導提要』に書かれた「生徒指導の意義」について説明できる。
□「学級経営」について、具体的なイメージを持てる。
□「体罰」について、懲戒との違いなどを説明できる。
□「いじめ」について、具体的にどのような対策を立てなければいけないのか、説明できる。

 

【要約と感想】斎藤忍随『プラトン』講談社学術文庫

【要約】近年の研究ではプラトン中期と後期を峻別して、後期にはイデア論を放棄したと主張する意見が強くなってきていますが、著者は大反対です。後期にもイデア論は成立しています。

【感想】もっとも熱が入っているのは、もともと後期著作と思われていた『ティマイオス』が実は中期の著作ではないかという議論に対する検討だ。これが著者にとって大問題となるのは、イデア論放棄問題が関わってくるからだ。

後期入口の著作である『パルメニデス』では、イデア論に対して論理的な批判が加えられている。そしてその後に書かれる後期著作においては、エレア派の影響が強くなっており、表面的にはイデア論は背後に退いている。これを以て、多くの研究者が「イデア論放棄」と考えているわけだが、著者はイデア論は維持されていると考える。イデア論が維持されていると考えるのは、著者が「本質的なイデア論」(著者の言葉では「典型イデア」)と「応用的なイデア論」(著者の言葉では「あずかりイデア」)を区別して考えるからだ。確かに応用的なイデア論の方には論理的な難点を認めたが、本質的なイデア論のほうは維持されていると考えるわけだ。

個人的にも、その考え方にはある程度の説得力があると思う。イデア論を無際限に現実のモノに適用していくと、話は当然おかしな方向に向かっていく。しかしそのような批判と、「正真正銘本物の知識(ドクサ=思い込みとは異なる何か)」というものがどこかに必ず存在しているはずだという信念を抱くことは、必ずしも矛盾するわけではない。この「正真正銘本物の知識」を著者が「典型イデア」と呼んでいるのであれば、私の個人的な感想と大きくズレるものではないだろうと思う。(さらに言うと、「正真正銘本物の知識」という信念が有効なのは、人がどう生きるかという「価値」の領域に限るが)

ところで、本書は前半部で概説、後半部で主要著作からの抜粋翻訳が掲載されているわけだが、この翻訳がとても読みやすい。岩波文庫版で分からなかったところが、かなり明確に分かったような気になる。ありがたい。抜粋部分には「否定神学」へと発展していく箇所を前面に打ち出してあったような気がする。「否定」というものの積極的な意義を打ち出す西洋哲学の伝統がプラトン以来のものだと改めて確認できた。

斎藤忍随『プラトン』講談社学術文庫、1997年

教育概論Ⅰ(中高)-14

▼栄養・環教 7/21
▼語学・心カ・教福・服美・表現 7/22

「近代教育」のさまざまな形

自分の言葉で説明できるかどうか、チェックしよう。

(1)リテラシーの教育(2~5)

前近代では、人々は所属する身分や共同体で生きるのに必要な知識・技能を身につけるため、基本的に親と同じような人間になればよかった(形成、イニシエーション)。生きるために、リテラシーは特に必要なかった。しかし近代以降、印刷術による情報伝達革命に対応するうち、リテラシーが生きる上で必要不可欠な知識・技能となる。リテラシーを身につけるために、人々は労働から解放され、隔離された施設(学校)で、もっぱらトレーニングに励む期間を必要とするようになった(=モラトリアム)。
さらにコンピュータの登場に典型的なように、情報伝達手段が大きく変化した時、新しい知識・技能に対応できなければ、生き残ることができなくなってしまう。人々はリテラシーを習得するため、学校に行くようになる。

□前近代の子供が置かれていた状況を、「労働」や「遊び」という観点から、現代と比較して説明することができる。
□「生理的早産」という言葉を使って、人間が他の動物とどう違っているか説明できる。
□「リテラシー」という言葉の意味や、リテラシーの習得が必要不可欠になっていった過程を説明できる。
□リテラシーを習得する教育が、前近代の人間形成とどのように違っているか、「形成」や「イニシエーション」や「モラトリアム」という専門用語を使って説明できる。
□個人主義が発達した過程を説明できる。

(2)人格形成の教育(自由権としての教育:6~9)

個人主義が台頭してくると、自分勝手な人ばかりでも王様なしで社会が成立する新しい社会理論(=社会契約論)が求められる。それに伴って、民主主義にふさわしい新たな人間像が生まれてくる。前近代では、身分や共同体に応じた人間形成を行っており、身分や共同体の違いを超えた普遍的な人間形成は必要とされなかった。しかし市民社会においては、すべての人間を生まれながらに自由で平等なものと考える。すべての人間に共通する教育が、新たに必要とされる(=人格の完成)。
かけがえのない個性を自覚し、アイデンティティを確立し、責任を伴った自由を獲得し、理性を育み、自分自身の人生を自分で決定する(=自己実現)。自分の人生を決めるに当たっては、どんな権力者からも命令されるいわれはない(=自由権)。

□社会契約論の考え方を説明できる。
□民主主義を成立させるために憲法が果たしている役割を説明できる。
□「自由権」について説明できる。
□「人格の完成」について説明できる。
□「個性」「アイデンティティ」「自由」「理性」「自己実現」という言葉の意味を説明できる。
□近代教育思想について説明できる。

(3)義務教育(社会権としての教育:10~11)

産業革命の進展によって、資本家と労働者の階層分化が激しくなり、資本家は自由権としての教育を享受することができる一方で、貧しい労働者の子供たちは児童労働を余儀なくされていた(=自由のワナ)。すべての子供たちが教育を受ける権利を保障されるためには、有利な側の人間たちの自由を制限し、自分では自由に到達できない人々に実質的な自由を与えるような、新しい権利が必要となる(=社会権)。社会権を保障するのは、国家に期待される役割となる。
子供たちの学習権を守るのは、大人の役割である。特に教師に期待されるのは、親が安心して教育権を信託できるような、教職の専門性である。

□自由権だけでは世の中がうまくいかない理由を説明できる。
□学習権の思想について説明できる。
□「社会権」について説明できる。
□「義務教育」について説明できる。
□「教職の専門性」について説明できる。
□教育において国家の果たす役割を説明できる。

(4)産業が必要とする教育(12~13)

急速な階層分化により、都市には貧しい労働者たちが大量に流れ込み、衛生や治安に関する問題が発生した。この新たな都市問題を解決しようとする時、安く早く大量に優秀な労働者を作るような学校システムが開発される。
一方で、産業をさらに発展させるためには、有能な人材をより難しく重要な仕事に、取り柄のない人材を誰でもできる単純な仕事に割り振るなど、適材適所の人材配分を行う必要がある。人々の個性を見極め、適切に配分する機能が教育に期待される(メリトクラシー、学歴主義)。難しい仕事を受け持つことが期待される優秀な人物には最先端の知識を着実に身につけてもらう必要がある(正式のカリキュラム)が、特に難しい仕事をする訳ではない人々には難しい知識を身につけてもらう必要はない。しかし自分の生活と切り離された(分業された)単純労働を文句も言わずに黙々と続けてもらうための能力は、知らず知らずのうちにいつの間にか身につけてもらう(隠れたカリキュラム)。
人間をただの歯車として扱おうとする閉塞的な状況を打破するために、人間の範囲を拡大していこうという動きが一方で進んでいる。

□産業革命の進展(=分業体制)によって、効率的に人材を配分する役割が教育に期待されるようになったメカニズムを説明できる。
□人々がどうして人生に必要ないと思われる知識を一生懸命勉強しなければならないか、理由を説明できる。
□人生に必要な教育とはどういうものか考えようとした理論(新教育)について説明できる。
□特別支援教育について説明できる。

(5)国民国家(ナショナリズム)の教育

教育学Ⅱで詳述。

教育概論Ⅰ(保育)-14

できるかどうか、チェックしよう。

子供と大人の境界線(2~4)

□前近代の子供が置かれていた状況を、現代と比較して説明することができる。
□子供と大人の違いを、労働や遊びという観点から説明できる。
□「生理的早産」という言葉を使って、人間が他の動物とどう違っているか説明できる。
□「形成」や「イニシエーション」という言葉を使って、昔の教育がいまの教育とどのように違っているか説明できる。

リテラシーの教育(4~6)

□「リテラシー」という言葉の意味を説明できる。
□どのようにリテラシーが必要とされていったか、説明できる。
□リテラシーを必要とする教育が、それまでの人間形成とどのように違っているか説明できる。
□個人主義が成立する過程を説明できる。

民主主義の教育(6~10)

□社会契約論の論理を説明できる。
□民主主義において憲法が果たしている役割を説明できる。
□「自由権」について説明できる。
□「人格の完成」について説明できる。
□「個性」「アイデンティティ」「自由」「理性」「自己実現」という言葉の意味を説明できる。
□近代教育思想の特徴を説明できる。

義務教育(11~13)

□自由権だけでは世の中がうまくいかない理由を説明できる。
□学習権の思想について説明できる。
□「社会権」について説明できる。
□「義務教育」について説明できる。
□「教職の専門性」について説明できる。
□教育において国家の果たす役割を説明できる。
□「新教育」について説明できる。
□「特別支援教育」について説明できる。

教育概論Ⅰ(栄養)-14

▼短大栄養科 7/18

前回のおさらい

・国語による国民統合。方言矯正。
・日本のナショナリズム。教育勅語。

日本のナショナリズム(つづき)

教育勅語

・1891年渙発、1948年失効確認(衆議院、参議院)。
・元田永孚と井上毅。儒学主義と近代主義の混交。
・国民国家形成(私は日本人であるという意識の形成)と教育勅語。
・教育勅語を中心とした教育体制の構築。国語、歴史、地理との関係。
・失効確認:教育勅語の何がどのように問題なのか?
→戦後新教育体制へ。日本国憲法と教育基本法。

ナショナリズムの効力と限界

・国民統合の推進。
・排除の構造。制御の困難。

半年のまとめ

リテラシーの教育

・文字を必要としなかった前近代の教育。「子供はいなかった」「形成」「イニシエーション」。
・印刷術の発明によって、人々がリテラシーの獲得を目ざすようになった。
・現在、コンピュータ通信技術の発展により、新たなリテラシー獲得が問題となっている。

自由権としての教育

・市民革命と社会契約論。身分制を破壊して、自由と平等な社会へ。
・新しい社会には、新しい人間が必要とされる。
・人々の教育に対して、国家が関与するべきでない。

社会権としての教育

・自由のワナ。児童労働の発生。自由権としての教育の限界。
・すべての子供に学習権を与える。親と国家の責任。
・教育権の構造。教職の専門性。

国家と教育

・教育に対して国家が関与すべきか、すべきでないのか。
・ナショナリズムの強さ。教育によるナショナリズムの創出=国旗、国歌、国語。
・日本のナショナリズム。教育勅語の意義と限界。

予習と復習

来週はテスト。