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教育学Ⅱ(新松戸)-3

■新松戸キャンパス 10/6(金)

前回のおさらい

・country、state、nation。国民国家。
・中世国家と近代国家の違い。

フランス革命と国民国家形成

・フランス革命の具体的展開。ヨーロッパ全体を巻き込んだ戦乱へ。
・対仏大同盟v.s.ナポレオン。フランス大勝利。どうしてフランスは強かったのか?
・騎士+傭兵v.s.国民軍。国家総動員体制。
・名誉と金v.s.愛国心。「散兵戦術」のような戦い方。
・身分制v.s.自由と平等。ベートーベン交響曲第3番「英雄」。
・中世国家よりも国民国家のほうが強いことが誰の目にも明らか。国民国家の強さの源は?
・ナショナリズムは、愛国心の根拠であると同時に、自由と平等の根拠ともなる。
・ナショナリズムのヨーロッパ全土への輸出。各地域でナショナリズム勃興。ナポレオン戦争の終焉。
・教育によるナショナリズム創出。

国旗・国歌・国語・歴史・地理

・nationとstateを一致させるため、「教育」に期待がかかる。
・国旗:「旗」に期待される統一への働き。
・国歌:「歌」に期待される統一への働き。
・国語:「ことば」に期待される統一への働き。
・歴史:「物語」に期待される統一への働き。
・地理:「風景」に期待される統一への働き。

各国の国歌

・それぞれ国民統合の象徴として働く一方で、同時に何かしらの問題を抱えているのはどういうことか?

フランスの国歌

・「ラ・マルセイエーズ」
・国民統合=国民全員で祖国を守ったときの記憶。
・歌詞に対する疑問。

イングランドの国歌

・「God Save the Queen」
・国民統合=英国王室の賛歌。
・6番の歌詞に対する疑問。イングランドとスコットランドの関係。
・セルティックスというサッカーチーム。

ドイツの国歌

・「ドイツ国民の歌」
・国民統合=国家統合の象徴。
・1番と2番が封印。

スペインの国歌

・「国王行進曲」
・歌詞のない国歌。スペインとカタルーニャの関係。
・レアル・マドリードとFCバルセロナ。エル・クラシコ。
・どうしてスペイン代表はワールドカップで弱いのか?

復習

・フランス革命を踏まえ、国民国家の形成について押さえておこう。
・国歌が国民統合に果たす役割について押さえておこう。

予習

・「国語」の意味について考えておこう。

教育学Ⅱ(新松戸)-2

■新松戸キャンパス 9/29(金)

ナショナリズム

*ナショナリズム:国家の構成員が「私は○○人である」という自覚を持っている状態。
・どうして私たちは、日本が勝つと(たとえばスポーツやノーベル賞など)嬉しくなるのか。会ったこともなければ話したこともない赤の他人が受賞したとしても、なぜ誇りに思えるのか。→「同じ日本人だから」という理由以外にはない。
・しかし、同じ血液型や同じ身長や同じ足のサイズの人が受賞したとしても、特に嬉しいとは思わない。「同じ日本人」と「同じ血液型」との違いは何か?

前近代:封建国家の自己認識(日本)

・たとえば江戸時代、日本人の多くは「私は日本人である」という自覚を持っていなかったし、持つ必要はなかった。
←身分制社会では、自己認識は身分に依拠していた。たとえば「私は侍である」とか「私は農民である」など。そうでなければ、身分制を基礎とした社会秩序が保てない。「侍と農民で身分が違おうが、同じ日本人ではないか」とはならないし、なってはいけない。
←あるいは幕藩体制においては、自己認識は主従関係に依拠し、日本という単位は視野に入ってこなかった。たとえば「私は赤穂藩士である」とか「私の殿様は吉良だ」など。主従関係が強固に結ばれることによって、社会秩序が保たれた。「主人が異なっていようが、同じ日本人ではないか」とはならないし、なってはいけない。
・このように、前近代=封建国家においては、身分と地域によって自己認識が分裂していた。
・逆に言えば、身分制が廃止され、地域間格差がなくならないと、「同じ○○人である」と思える条件ができない。
・国家の構成員が「私は日本人である」という自覚を強烈に持つ条件が整うのは、身分制が廃止(四民平等)され、中央集権国家(廃藩置県)ができる近代以降。
・明治維新によって日本に誕生したのが、国民国家(nation-state)。

前近代の自己認識(ヨーロッパ)

・中世は、国家というよりも、国「家」。家が拡大したものとしての国。
←百年戦争(1337年~1453年)の推移。現代の国家間同士での戦争とはかなり様相が異なっている。
・ブルボン家やハプスブルグ家。日本の大名家。封建制。領邦君主。「家政学(Oikonomicos)」とは、もともとこのような「国-家」を運営するための学。もともと「家政」を行っていたのは「家長=男性」。
・絶対王政(貴族の没落によって王権に主権が一極集中する)を経て封建制が崩れ、市民革命(国民に主権が集中する)に伴って国民国家が完成する。典型例としてのフランス革命。

国民国家と教育

*「国家」を英語に翻訳すると?
(1)country:国土。田舎。ふるさと。
(2)state:一定の領土を有し政治的に組織され主権を有するもの。法律的・理念的な意味での統一体としての国家。
(3)nation:共通の文化・言語などを有する国民が作る国家。

国民国家

・stateとnationは一致するのか? 韓国、スイス、中国、韓国等の例を考える。
→韓国:state=2、nation=1
→スイス:state=22、nation=4
→中国:state=1、nation=56
・日本はどうか?
*国民国家:nation(国家の文化的側面)とstate(国家の政治的側面)が一致している状態。
*民族自決:一つのnation(民族)はそれぞれ一つのstate(政治的に組織された主権)を持つべきという考え。
・nationとstateを一致させるには、どうしたらよいか? たとえば1つのstateの中に3つのnationがあったら→(1)3つのnationそれぞれに対応する新しいstateを作る=分離独立、(2)3つのnationを1つのnationに統合してstateに合わせる=国民統合
・どうやって?←教育で。

フランス革命と国民国家形成

・フランス革命の具体的展開。ヨーロッパ全体を巻き込んだ戦乱へ。
・対仏大同盟v.s.ナポレオン。フランス大勝利。どうしてフランスは強かったのか?
・騎士+傭兵v.s.国民軍。国家総動員体制。
・名誉と金v.s.愛国心。「散兵戦術」のような戦い方。
・身分制v.s.自由と平等。ベートーベン交響曲第3番「英雄」。
・中世国家よりも国民国家のほうが強いことが誰の目にも明らか。国民国家の強さの源は?
・ナショナリズムとは何か? 「私は○○人であるという自覚」
・愛国心と同時に、自由と平等の根拠。
・ナショナリズムの輸出。ナポレオン戦争の終焉。
・教育によるナショナリズム創出。

復習

・封建国家と国民国家の違いを押さえておこう。それを踏まえて、具体的に江戸時代と明治時代の違いを説明できるようにしよう。
・nationとstateの違いについて押さえておこう。

予習

・国歌の働きについて考えよう。

教育学Ⅱ(新松戸)-1

■新松戸キャンパス 9/22(金)

単位について

・試験は行わず、レポートで成績を決定する。
・レポート提出期限は学期最後の授業時間内とする。(新松戸1/19予定)
・レポートの形式および内容については、11月中に指示する。
・出席数が足りていない者については、レポート提出を認めない。
・レポートに関して、コピペが発見された場合は、カンニングと同じ扱いとする。

出席について

・出席確認は「出席調査システムC-learning」で行う。
・スマホを忘れた、電池が切れた、電波が届かない等の理由でC-learningが使用できなかった場合は、必ずその日のうちに申し出ること。いかなる理由があろうと後日の申し出は認めない。
・事由ある欠席の場合は、必ず公式な文書を作成して提出すること。
・公式文書の作成が認められない場合(就職活動等)による欠席も、やむを得ない理由がある場合は必ず書面で報告すること。
・遅刻は出席と認めない。
・出席に関して不正が確認された場合は、どれだけ出席していようと単位は認められない。

予習復習について

・大学設置基準によれば、1回90分の授業につき3時間の予習復習が要求されている。
・本講義も、予習と復習を前提として構成される。本講義の内容が理解できないとしたら、予習と復習が足りていない可能性が高い。
・予習と復習の具体的な指示、参考文献等の提示については、このサイトで行う。

質問について

・非常勤講師なので、授業日以外には出校しない。
・質問がある場合は、時間がある限り授業後に対応する。
・込み入った質問の場合は、回答をこのサイトに掲載することで対応する。

半年間の予定

・具体的にはシラバスを参照のこと。
・本講義は主に2つのトピックを扱う。一つは「ナショナリズム」、一つは「ゆとり教育」を予定している。
・「ナショナリズム」とは、国家が人々の意識をどのように規定するかという問題である。現代の教育を考えるとき、国家は非常に大きな存在である。
・「ゆとり教育」は、一般的に失敗したと思われている節がある。しかしそれが本当に何を目指していたのかは理解されていない。臨時教育審議会以降の教育改革の流れを確認することで、「ゆとり教育」に関して間違ったイメージを取り除く。

予習

・「国家」と「教育」の関係について考えておくこと。