目次
前回のおさらい
・1998年の学習指導要領改訂。学校週五日制のねらい。
・民営化のデメリット
学習指導要領の変遷(4)
・2003年、学習指導要領の一部改訂:書いていないことも発展的な内容として教えてよいことになります。(ゆとり教育の終わりの始まり)
・2008年、学習指導要領改訂:授業時間増、指導内容の充実。→詰め込み教育の復活と単純に考えていいのでしょうか?
学力の再定義:学校教育法改定(2007年)
・2007年に学校教育法が改定され、第30条に「学力」が定義されます。
・教育の主な関心が、コンテンツ(内容・知識)からコンピテンシー(能力)やソフトスキル(関心・意欲・態度)へと転換しました。89年改訂で登場した「新学力観」が法律化されたものとも言えます。
*コンピテンシー(competency):単に知識として知っているだけではなく、様々な情報を実際に活用して成果を出すことができる能力。「社会人力」とか「生きる力」とか「女子力」のような、「○○力」という言葉の流行とも関連します。
*ソフトスキル:テストなどで数値化することができないものの、成功する上で実は決定的な能力。「非認知能力」などとも重なる概念です。
知識基盤社会
*知識基盤社会(knowledge-based society):新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増すような世の中を意味します。
2018年改訂:社会に開かれた教育課程
・2018年に改訂された学習指導要領には重要なキーワードが3つあります。一つが「社会に開かれた教育課程」です。
・「社会に開かれた教育課程」とは、これからの教育が目指すべき全体的な理念や方向性を示すものです。
① 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
② これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓ひらいていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。
③ 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」(2016年12月)
(1)「社会に開かれた」とは、まずは学校教育の目標が社会と共有されている状態を指します。→具体的な作業として学校目標の再検討に話が繋がります。
(2)次に「社会に開かれた」とは、社会や世界に通用する資質・能力を育てることを意味します。→具体的な作業として「育成すべき資質・能力」の話に繋がります。
(3)最後に「社会に開かれた」とは、もはや学校だけが教育を独占して担うべきではない、ということを示唆しています。→具体的な作業として「チーム学校」や「コミュニティ・スクール」の話に繋がります。
・これらの理念を実現するために具体的に遂行すべき仕事の全体像が「カリキュラム・マネジメント」となります。
復習
・ゆとり教育の方向性自体は変化していないものの、具体的な教育のあり方が変化していることに注意しよう。
・「社会に開かれた教育課程」の内容を押さえておこう。
予習
・カリキュラム・マネジメントについて調べよう。