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道徳教育の研究-14

試験のためのチェックポイント

道徳教育の目的

□教育基本法が目指す教育の目的「人格の完成」に道徳教育がどのように関わっているか理解し、説明できる。
□学習指導要領が掲げる「生きる力」を実現するために道徳教育が果たすべき役割について理解し、説明できる。
□学習指導要領に示されている「豊かな心」と道徳教育の関係について理解し、説明できる。

道徳教育と道徳科の関係

□「道徳教育」と「道徳科」の違いと関係について、説明できる。
□学校教育全体の中で道徳科が果たすべき役割と意義について、説明できる。
□国語や理科等の「教科」が道徳教育にどのように関係するか、学習指導要領に即して理解し、具体的に説明することができる。
□道徳が教科化されたことで、何がどのように変わったか説明できる。

道徳科の内容と方法

□道徳科で何を教えるのか、領域が4つに区分されていることなど、学習指導要領に則って内容を理解している。
□道徳科の指導案の書き方について理解している。
□「考え、議論する道徳」への転換の意義について理解し、授業のあり方を具体的にどう変えていかなければならないか、説明できる。
□「自己を見つめる」「物事を広い視野から多面的・多角的に考える」「人間としての生き方についての考えを深める」という道徳科の方法が、具体的にどういうことか説明できる。

道徳科の評価

□道徳科における評価の意義を理解している。
□道徳科の評価について、他の教科等とは異なる特徴を理解している。

道徳教育の研究-5

前回のおさらい

・教育基本法第一条「人格の完成」
・個性、アイデンティティ、自由。

道徳教育の意義

我が国の教育は、教育基本法第1条に示されているとおり「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われ」るものである。
人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性であり、その道徳性を育てることが学校教育における道徳教育の使命である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』1頁)

・道徳教育の意義を、教育の目的と関連づけて理解すること。

我が国の学校教育において道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものとされてきた。これまで、学校や生徒の実態などに基づき道徳教育の重点目標を設定し充実した指導を重ね、確固たる成果を上げている学校がある一方で、例えば、歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があること、他教科に比べて軽んじられていること、読み物の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導が行われる例があることなど、多くの課題が指摘されている。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』1~2頁)

→道徳の教科化(平成27年3月)。

「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との答申を踏まえ、発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の生徒が自分自身の問題と捉え、向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものである。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』2頁)

考え、議論する道徳

思春期にかかる中学生の発達の段階においては、ふだんの生活においては分かっていると信じて疑わない様々な道徳的価値について、学校や家庭、地域社会における様々な体験、道徳科における教材との出会いやそれに基づく他者との対話などを手掛かりとして自己との関わりを問い直すことによって、そこから本当の理解が始まるのである。また、時には複数の道徳的価値が対立する場面にも直面する。その際、生徒は、時と場合、場所などに応じて、複数の道徳的価値の中から、どの価値を優先するのかの判断を迫られることになる。その際の心の葛藤や揺れ、また選択した結果などから、道徳的諸価値への理解が始まることもある。このようなことを通して、道徳的諸価値が人間としてのよさを表すものであることに気付き、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に根ざした自己理解や他者理解、人間理解、自然理解へとつながっていくようにすることが求められる。
(中略)
指導の際には、特定の道徳的価値を絶対的なものとして指導したり、本来実感を伴って理解すべき道徳的価値のよさや大切さを観念的に理解させたりする学習に終始することのないように配慮することが大切である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』14~15頁)

自己を見つめる

よりよく生きる上で大切なものは何か、自分はどのように生きるべきかなどについて、時には悩み、葛藤しつつ、生徒自身が、自己を見つめることによって、徐々に自ら人間としての生き方を育んでいくことが可能となる。したがって、様々な道徳的価値について、自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省することが求められる。その際には、真摯に自己と向き合い、自分との関わりで改めて道徳的価値を捉え、一個のかけがえのない人格としてその在り方や生き方など自己理解を深めていく必要がある。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』15~16頁)

物事を広い視野から多面的・多角的に考える

人としての生き方や社会の在り方について、多様な価値観の存在を前提にして、他者と対話し協働しながら、物事を広い視野から多面的・多角的に考察することが求められる。
(中略)
諸事象の背景にある道徳的諸価値の多面性に着目させ、それを手掛かりにして考察させて、様々な角度から総合的に考察することの大切さや、いかに生きるかについて主体的に考えることの大切さに気付かせることが肝要である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』16頁)

人間としての生き方についての考えを深める

人間にとって最大の関心は、人生の意味をどこに求め、いかによりよく生きるかということにあり、道徳はこのことに直接関わるものである。
そもそも人生は、誰かに任せることができるものではない。誰かの人生ではなく一人一人が自分自身の人生として引き受けなければならない。他者や社会、周囲の世界の中でその影響を受けつつ、自分を深く見つめ、在るべき自分の姿を描きながら生きていかなければならない。その意味で、人間は、自らの生きる意味や自己の存在価値に関わることについては、全人格をかけて取り組むのである。
また、人間としての生き方についての自覚は、人間とは何かということについての探求とともに深められるものである。生き方についての探求は、人間とは何かという問いから始まると言ってもよい。人間についての深い理解なしに、生き方についての深い自覚が生まれるはずはないのである。言い換えれば、人間についての深い理解と、これを鏡として行為の主体としての自己を深く見つめることとの接点に、生き方についての深い自覚が生まれていく。そのことが、主体的な判断に基づく適切な行為の選択や、よりよく生きていこうとする道徳的実践へつながっていくこととなる。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』16~17頁)

道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる

道徳的判断力は、それぞれの場面において善悪を判断する能力である。(中略)
道徳的心情は、道徳的価値の大切さを感じ取り、善を行うことを喜び、悪を憎む感情のことである。(中略)
道徳的実践意欲と態度は、道徳的判断力や道徳的心情によって価値があるとされた行動をとろうとする傾向性を意味する。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』17頁)

道徳科の指導の基本方針

(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』74~76頁)

道徳科の特質を理解する

道徳科は、生徒一人一人が、ねらいに含まれる道徳的価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、内面的資質としての道徳性を主体的に養っていく時間である。

信頼関係や温かい人間関係を基盤に置く

道徳科が学級経営と深く関わっていることを理解し、学級における信頼関係に基づく温かい人間関係を築き上げ、心の交流を深めることが大切である。

生徒の内面的な自覚を促す指導方法を工夫する

道徳科は、道徳的価値についての単なる知的理解に終始したり、行為の仕方そのものを指導したりする時間ではなく、ねらいとする道徳的価値について生徒自身がどのように捉え、どのような葛藤があるのか、また道徳的価値を実現することにどのような意味を見いだすことができるのかなど、道徳的価値を自己との関わりにおいて捉える時間である。

生徒の発達や個に応じた指導方法を工夫する

生徒一人一人が、道徳科の主題を自分の問題として受け止めることができるように指導を工夫し、興味や関心を高められるように配慮することが大切である。

問題解決的な学習,体験的な活動など多様な指導方法の工夫をする

実際の生活においては、複数の道徳的諸価値が対立し、葛藤が生じる場面が数多く存在する。その際、一つの答えのみが存在するのではなく、生徒は時と場合、場所などに応じて、複数の道徳的諸価値の中からどの価値を優先するかの判断を迫られることになる。こうした問題や課題について、多面的・多角的に考察し、主体的に判断し、よりよく生きていくための資質・能力を養うことが大切である。このためには、問題解決的な学習が重要である。

道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実する

校長の方針を明確にし、道徳教育推進教師を中心に指導体制の充実を図るとともに、道徳科の授業への校長や教頭などの参加、他の教師との協力的指導、保護者や地域の人々の参加や協力などが得られるように工夫する。

復習

・道徳の目的と、それに関連した指導のあり方について、総合的に理解を深めておこう。

予習

・『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』76~83頁を読んで、「指導案」と「指導の工夫」について大雑把に把握しておこう。

道徳教育の研究-4

前回のおさらい

・道徳科の評価。数値による評価は行わない。
・教科等における道徳教育。特別活動との関係。
・道徳の教科化。検定教科書の使用。

人格の完成

・教育基本法第一条:教育の目的は「人格の完成」
・人格とは何か? 目に見えない、触ることができない、科学的に存在を確かめることができない。
・「好き」と「愛してる」という言葉の意味の違いを通して、「人格」について考えてみる。

 好き愛してる
個性代わりがある代わりがない
タイプ言える言えない
数値化表せる表せない
アイデンティティ変わる変わらない
様相主観的な感情存在のあり方
対象モノ(純粋理性)人格(実践理性)

・人格とは、比較できず、束ねられず、代わりがなく、変わらないようなもの。
・モノと人格の違い。
・「人格を尊重する」とは、どういうことか。

個性

・他のものと交換することができない、なにか。
・それが取り去られたら、私が私でなくなってしまう、なにか。
・「個性を尊重する」とはどういうことか?
・教育者が言ってはならない、個性を否定するような言葉。
・「名前」とは何か?

アイデンティティ

・日本語では「自我同一性」や「存在証明」などと訳されることがある。
・自同律:「A=A」「わたし は わたし」
・この世に変化しないものなどあるのか? 「A→A’」
・私は常に変化し続けている(新陳代謝)にも関わらず、どうして常に「わたしはわたし」と言うことができるのか?
・わたしの属性について考えてみる。A=X、A=Y、A=Z・・・・。常に一致しているのは何か?
・主語と述語。常に主語であるものにはアイデンティティが成立している。
・述語に重点を置くか、主語に重点を置くか。
・「主体性」とは何か。

自由と責任

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か?
・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:運命 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:責任 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。自由だから責任があるのではなく、責任をとれるから自由がある。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
*立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。

復習

・教育基本法第一条「人格の完成」は何を目指しているのか、自分の言葉で説明できるようにしよう。
・「人格」の形成が道徳教育の土台となることを意識しておこう。

予習

・道徳の授業の進め方について、小中学校の時の記憶を呼び覚ましておこう。

道徳教育の研究-3

第3回=10/12

前回のおさらい

・何を教えるか=22の徳目。しかし徳目主義ではない。
・どう教えるか=道徳教育と道徳科の違い。

評価

生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。(143頁)

「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告)
【道徳科における評価の基本的な考え方】
○ 児童生徒の側から見れば、自らの成長を実感し、意欲の向上につなげていくものであり、教師の側からみれば、教師が目標や計画、指導方法の改善・充実に取り組むための資料。
○ 道徳科の特質を踏まえれば、評価に当たって、
・ 数値による評価ではなく、記述式とすること、
・ 個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること、
・ 他の児童生徒との比較による評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価として行うこと、
・ 学習活動において児童生徒がより多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視すること、
・ 道徳科の学習活動における児童生徒の具体的な取組状況を一定のまとまりの中で見取ることが求められる。

【道徳科の評価の方向性】
○ 指導要録においては当面、一人一人の児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子について、発言や会話、作文・感想文やノートなどを通じて、
・ 他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか(自分と違う意見を理解しようとしている、複数の道徳的価値の対立する場面を多面的・多角的に考えようとしている等)
・ 多面的・多角的な思考の中で、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか(読み物教材の登場人物を自分に置き換えて具体的に理解しようとしている、道徳的価値を実現することの難しさを自分事として捉え考えようとしている等)といった点に注目して見取り、特に顕著と認められる具体的な状況を記述する、といった改善を図ることが妥当。
○ 評価に当たっては、児童生徒が一年間書きためた感想文をファイルしたり、1回1回の授業の中で全ての児童生徒について評価を意識して変容を見取るのは難しいため、年間35時間の授業という長い期間で見取ったりするなどの工夫が必要。
○ 道徳科における学習状況や道徳性に係る成長の様子の把握は、「各教科の評定」や「出欠の記録」等とは基本的な性格が異なるものであることから、調査書に記載せず、入学者選抜の合否判定に活用することのないようにする必要。

教科等における道徳教育

国語:「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、国語科の特質に応じて適切な指導をすること。」(23頁)
具体的には24~25頁。

理科:「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、理科の特質に応じて適切な指導をすること。」(82頁)
「生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を養うようにすること。」(82頁)

特別活動:「目標:集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して、次のとおり資質・能力を育成することを目指す。 」(147頁)
「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。」(151頁)
「生徒及び学校の実態並びに第1章総則の第6の2に示す道徳教育の重点などを踏まえ、各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに、必要に応じて、内容間の関連や統合を図ったり、他の内容を加えたりすることができること。」(151頁)

道徳の教科化

・中学校では2019年度から道徳の教科化が完全実施。(小学校は2018年度から)。学校の判断により、先行して実施しても構わない。

「教科」とは何か?

・以前の『学習指導要領』の構成→教科:道徳:総合的な学習の時間:特別活動
・教科=(1)教科書を使う(2)点数で評価する(3)教科固有の教員免許が必要。
・かつての道徳、総合、特別活動=(1)教科書を使わない(2)点数で評価しない(3)固有の教員免許が必要ない。
→特別の教科道徳=(1)教科書を使う(2)点数ではなく言葉で評価する(3)教科固有の教員免許が必要ない。

教科化の経緯

・いじめ問題?
・教育再生会議と教育再生実行会議。2007年には一度見送り=中央教育審議会との関係。

 

復習

・道徳の教科化によって、何がどのように変化したか、押さえておこう。
・道徳の評価について理解しておこう。

予習

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か、考えてみよう。

道徳教育の研究-2

第2回=10/5

前回のおさらい

・道徳教育の目的←「人格の完成」「生きる力」「豊かな心」

道徳の内容:何を教えるか

・『学習指導要領』139~143頁
・「特別の教科 道徳」
・内容「学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては、以下に示す項目について扱う。」

A 主として自分自身に関すること
[自主、自律、自由と責任]
自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
[節度、節制]
望ましい生活習慣を身に付け、心身の健康の増進を図り、節度を守り節制に心掛け、安全で調和のある生活をすること。
[向上心、個性の伸長]
自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気、克己と強い意志]
より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造]
真実を大切にし、真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。B 主として人との関わりに関すること
[思いやり、感謝]
思いやりの心をもって人と接するとともに、家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し、進んでそれに応え、人間愛の精神を深めること。
[礼儀]
礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情、信頼]
友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち、互いに励まし合い、高め合うとともに、異性についての理解を深め、悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解、寛容]
自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと。C 主として集団や社会との関わりに関すること
[遵法精神、公徳心]
法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。
[公正、公平、社会正義]
正義と公正さを重んじ、誰に対しても公平に接し、差別や偏見のない社会の実現に努めること。
[社会参画、公共の精神]
社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め、公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
[勤労]
勤労の尊さや意義を理解し、将来の生き方について考えを深め、勤労を通じて社会に貢献すること。
[家族愛、家庭生活の充実]
父母、祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
[よりよい学校生活、集団生活の充実]
教師や学校の人々を敬愛し、学級や学校の一員としての自覚をもち、協力し合ってよりよい校風をつくるとともに、様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
[郷土の伝統と文化の尊重、郷土を愛する態度]
郷土の伝統と文化を大切にし、社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め、地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し、進んで郷土の発展に努めること。
[我が国の伝統と文化の尊重、国を愛する態度]
優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展に努めること。
[国際理解、国際貢献]
世界の中の日本人としての自覚をもち、他国を尊重し、国際的視野に立って、世界の平和と人類の発展に寄与すること。

D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]
生命の尊さについて、その連続性や有限性なども含めて理解し、かけがえのない生命を尊重すること。
[自然愛護]
自然の崇高さを知り、自然環境を大切にすることの意義を理解し、進んで自然の愛護に努めること。
[感動、畏敬の念]
美しいものや気高いものに感動する心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
[よりよく生きる喜び]
人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し、人間として生きることに喜びを見いだすこと。

内容の取り扱い:どう教えるか

道徳教育に関する配慮事項:12~13頁

・全体計画を作成する。→「重点目標」「指導方針」「他の領域との関連」「家庭や地域社会との連携の方法」
・「道徳教育推進教師」を中心に、全教師が協力して展開する。
・指導内容の重点化。
・「豊かな体験」の充実。
・いじめの防止、安全の確保。
・情報の公開。家庭や地域の人々との連携。

指導計画の作成と内容の取り扱い:141~142頁

・原則として学級担任の教師が行う。
・「道徳教育推進教師」を中心とした指導体制。
・「要としての役割」=補充・深化・統合。
・生徒自らが考え、理解し、主体的に取り組む。教師が生徒と共に考える姿勢を大切にする。
・言語活動を充実する。
・多面的・多角的な見方。
・問題解決学習、体験的な学習。
・情報モラル、生命倫理、持続可能な発展。
・授業の公開や実施、教材の開発などで、家庭や地域社会との連携。

評価

生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。

道徳の教科化

・中学校では2019年度から道徳の教科化が完全実施。(小学校は2018年度から)。学校の判断により、先行して実施しても構わない。

「教科」とは何か?

・以前の『学習指導要領』の構成→教科:道徳:総合的な学習の時間:特別活動
・教科=(1)教科書を使う(2)点数で評価する(3)教科固有の教員免許が必要。
・かつての道徳、総合、特別活動=(1)教科書を使わない(2)点数で評価しない(3)固有の教員免許が必要ない。
→特別の教科道徳=(1)教科書を使う(2)点数ではなく言葉で評価する(3)教科固有の教員免許が必要ない。

教科化の経緯

・いじめ問題?
・教育再生会議と教育再生実行会議。

復習

・道徳科で教えるべき内容と方法について把握しておこう。
・「道徳の教科化」の内容と経緯について理解しておこう。

予習

・教育基本法の「人格の完成」について考えておこう。