道徳教育の研究-3

第3回=10/12

前回のおさらい

・何を教えるか=22の徳目。しかし徳目主義ではない。
・どう教えるか=道徳教育と道徳科の違い。

評価

生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。(143頁)

「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告)
【道徳科における評価の基本的な考え方】
○ 児童生徒の側から見れば、自らの成長を実感し、意欲の向上につなげていくものであり、教師の側からみれば、教師が目標や計画、指導方法の改善・充実に取り組むための資料。
○ 道徳科の特質を踏まえれば、評価に当たって、
・ 数値による評価ではなく、記述式とすること、
・ 個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること、
・ 他の児童生徒との比較による評価ではなく、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます個人内評価として行うこと、
・ 学習活動において児童生徒がより多面的・多角的な見方へと発展しているか、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているかといった点を重視すること、
・ 道徳科の学習活動における児童生徒の具体的な取組状況を一定のまとまりの中で見取ることが求められる。

【道徳科の評価の方向性】
○ 指導要録においては当面、一人一人の児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子について、発言や会話、作文・感想文やノートなどを通じて、
・ 他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で、一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか(自分と違う意見を理解しようとしている、複数の道徳的価値の対立する場面を多面的・多角的に考えようとしている等)
・ 多面的・多角的な思考の中で、道徳的価値の理解を自分自身との関わりの中で深めているか(読み物教材の登場人物を自分に置き換えて具体的に理解しようとしている、道徳的価値を実現することの難しさを自分事として捉え考えようとしている等)といった点に注目して見取り、特に顕著と認められる具体的な状況を記述する、といった改善を図ることが妥当。
○ 評価に当たっては、児童生徒が一年間書きためた感想文をファイルしたり、1回1回の授業の中で全ての児童生徒について評価を意識して変容を見取るのは難しいため、年間35時間の授業という長い期間で見取ったりするなどの工夫が必要。
○ 道徳科における学習状況や道徳性に係る成長の様子の把握は、「各教科の評定」や「出欠の記録」等とは基本的な性格が異なるものであることから、調査書に記載せず、入学者選抜の合否判定に活用することのないようにする必要。

教科等における道徳教育

国語:「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、国語科の特質に応じて適切な指導をすること。」(23頁)
具体的には24~25頁。

理科:「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、理科の特質に応じて適切な指導をすること。」(82頁)
「生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を養うようにすること。」(82頁)

特別活動:「目標:集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して、次のとおり資質・能力を育成することを目指す。 」(147頁)
「第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について、特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。」(151頁)
「生徒及び学校の実態並びに第1章総則の第6の2に示す道徳教育の重点などを踏まえ、各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに、必要に応じて、内容間の関連や統合を図ったり、他の内容を加えたりすることができること。」(151頁)

道徳の教科化

・中学校では2019年度から道徳の教科化が完全実施。(小学校は2018年度から)。学校の判断により、先行して実施しても構わない。

「教科」とは何か?

・以前の『学習指導要領』の構成→教科:道徳:総合的な学習の時間:特別活動
・教科=(1)教科書を使う(2)点数で評価する(3)教科固有の教員免許が必要。
・かつての道徳、総合、特別活動=(1)教科書を使わない(2)点数で評価しない(3)固有の教員免許が必要ない。
→特別の教科道徳=(1)教科書を使う(2)点数ではなく言葉で評価する(3)教科固有の教員免許が必要ない。

教科化の経緯

・いじめ問題?
・教育再生会議と教育再生実行会議。2007年には一度見送り=中央教育審議会との関係。

 

復習

・道徳の教科化によって、何がどのように変化したか、押さえておこう。
・道徳の評価について理解しておこう。

予習

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か、考えてみよう。