「講義」カテゴリーアーカイブ

道徳教育の研究-4

前回のおさらい

・道徳科の評価。数値による評価は行わない。
・教科等における道徳教育。特別活動との関係。
・道徳の教科化。検定教科書の使用。

人格の完成

・教育基本法第一条:教育の目的は「人格の完成」
・人格とは何か? 目に見えない、触ることができない、科学的に存在を確かめることができない。
・「好き」と「愛してる」という言葉の意味の違いを通して、「人格」について考えてみる。

 好き愛してる
個性代わりがある代わりがない
タイプ言える言えない
数値化表せる表せない
アイデンティティ変わる変わらない
様相主観的な感情存在のあり方
対象モノ(純粋理性)人格(実践理性)

・人格とは、比較できず、束ねられず、代わりがなく、変わらないようなもの。
・モノと人格の違い。
・「人格を尊重する」とは、どういうことか。

個性

・他のものと交換することができない、なにか。
・それが取り去られたら、私が私でなくなってしまう、なにか。
・「個性を尊重する」とはどういうことか?
・教育者が言ってはならない、個性を否定するような言葉。
・「名前」とは何か?

アイデンティティ

・日本語では「自我同一性」や「存在証明」などと訳されることがある。
・自同律:「A=A」「わたし は わたし」
・この世に変化しないものなどあるのか? 「A→A’」
・私は常に変化し続けている(新陳代謝)にも関わらず、どうして常に「わたしはわたし」と言うことができるのか?
・わたしの属性について考えてみる。A=X、A=Y、A=Z・・・・。常に一致しているのは何か?
・主語と述語。常に主語であるものにはアイデンティティが成立している。
・述語に重点を置くか、主語に重点を置くか。
・「主体性」とは何か。

自由と責任

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か?
・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:運命 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:責任 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。自由だから責任があるのではなく、責任をとれるから自由がある。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
*立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。

復習

・教育基本法第一条「人格の完成」は何を目指しているのか、自分の言葉で説明できるようにしよう。
・「人格」の形成が道徳教育の土台となることを意識しておこう。

予習

・道徳の授業の進め方について、小中学校の時の記憶を呼び覚ましておこう。

教育概論Ⅱ(栄養)-5

▼10/17

前回のおさらい

・学習指導要領の前文。社会に開かれた教育課程。
・学習指導要領の総則。生きる力、カリキュラム・マネジメント。

学習指導要領総則:教育課程の編成

1 各学校の教育目標と教育課程の編成

教育課程の編成に当たっては、学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ、各学校の教育目標を明確にするとともに、教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際、第4章総合的な学習の時間の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする。(4~5頁)

総合的な学習の時間の第2の1

各学校においては、第1の目標を踏まえ、各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。(144頁)

総合的な学習の時間:第1の目標

探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 探究的な学習の過程において、課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け、課題に関わる概念を形成し、探究的な学習のよさを理解するようにする。
(2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することができるようにする。
(3) 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度を養う。(144頁)

2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成

(1) 各学校においては、生徒の発達の段階を考慮し、言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む。)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2) 各学校においては、生徒や学校、地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し、豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を、教科等横断的な視点で育成していくことができるよう、各学校の特色を生かした教育課程の編成を図るものとする。(5頁)

3 教育課程の編成における共通的事項

(1)内容について
・書いてあることは全部扱う。
・書いていないことも、付け加えて扱ってよい。ただし目標をはみ出したり、生徒の負担過重になってはいけない。
・教える順序は決まっていない。
・複式学級の場合は、学年別の順序は臨機応変に対応。
・生徒や地域の実態に合わせて、選択教科を開設してよい。
・道徳教育の内容に関する事項。

(2)時間数について
・各教科の授業は年間35週以上。
・特別活動(生徒会活動・学校行事)は、適切に考える。
・時間割について
(ア)「1単位時間」は、各学校が適切に定める。
(イ)10分や15分の短い時間の活用ルール。
(ウ)給食や休憩については、各学校が適切に定める。
(エ)創意工夫を活かして弾力的に編成する。
・「総合的な学習の時間」と「特別活動」の内容がカブっている場合の特別ルール。

(3)配慮事項
各学校においては、次の事項に配慮しながら、学校の創意工夫を生かし、全体として、調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

4 学校段階間の接続

(1)小学校との接続。義務教育に対する意識。
(2)高校との接続。

復習

・学習指導要領総則、4~7頁を読み込んで、教育課程編成の基本的なルールを確認しておこう。

予習

・学習指導要領総則、7~9頁を読み込んでおこう。

教育の基礎理論-5

前回のおさらい

・イニシエーションの役割。若者組の機能。
・近代教育の始まり。寺子屋。

近代教育の始まり(ヨーロッパ)

・ヨーロッパ、中世から近代への準備。
(1)大航海時代
(2)宗教改革
(3)ルネサンス
→中世キリスト教の世界観が否定され、新しい世界観と人間像=個人主義が登場する。

個人:身分や地域の特殊性にはまったく関係がない、普遍的な人間。伝統的共同体から切り離された、剥き出しの人間。
個人主義:人間のありのままの姿を肯定し、ひとりひとりの人間の欲望を優先する考え方。

民主主義と市民革命

市民革命重要人物政治思想書教育思想書
清教徒革命1642トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
名誉革命1688ジョン・ロック『市民政府論』『教育論』
アメリカ独立戦争1776トマス・ペイン『コモン・センス』
フランス革命1789ジャン・ジャック・ルソー『社会契約論』『エミール』

市民革命:時に暴力行為を伴った、世の中の仕組みの根底からの変化。領邦君主や貴族が中心だった世の中から、市民が中心の世の中へ。
市民:新興ブルジョワ。中産階級。三鷹市民とか八王子市民というような、固有領域の住民という意味での「市民」ではない。大雑把には、固有の資産を持ち、知識と教養を備えた人々のことで、基本的に金持ちで白人の男性のみ。

・新しい社会を作る=新しい「個人」を作る→普遍的な人間のための教育=人格の完成を目的とする教育。
・教育とは、知識を注入したり偏差値を上げるような教育ではなく、または特定の職業を目指すような教育ではなく、普遍的な人間を作るための「人格の完成」を目指す教育。
・Instruction=専門教育とEducation=普通教育の違い。

基本的人権

基本的人権:誰がリーダーになったとしても、絶対に人々から奪うことができない生まれながらの権利。→社会契約論で議論された、自然状態の人間が持っていた自由。
自由権:国家からの自由。国家が侵害することができない、個人が持つ権利。

教育の自由。自由権としての教育

・自分の子供をどのように教育するかは、国家から関与されることではない。←信仰の自由 どのような思想信条を持つかについて、国家が個人に命令することはできない。

復習

・ヨーロッパが中世から近代へと変わるなかで、社会や人間に対する考え方がどのように変わったかを押さえておこう。

予習

・近代の教育思想の特徴について調べよう。

課題

・締め切り:11/7(火)
・形式:800字程度。手書きOK、コンピュータOK。用紙サイズなど、日本語で読めれば何でも可。
・内容:コメニウス、ロック、ルソー、ペスタロッチー、ヘルバルトのうちから一人選んで、その教育思想の特徴を調べて、それに対して自分はどのように思うか感想を書く。

教育課程の意義と編成-4

▼10/16(月)

前回のおさらい

・時間割のプレゼン。教育課程編成が「どういう人間を作るか」という教育目的と密接な関係にある。
・教育課程編成のルール。年間授業時数=年35時間×週あたり何回。
・教育基本法→学校教育法→学校教育法施行規則→学習指導要領。

学習指導要領(前文)

社会に開かれた教育課程

教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。(2頁)

これからの時代に求められる教育とは?

・知識基盤社会。
・少子高齢化。
・グローバル化。
・情報化。

求められる資質・能力とは?

ア)教科等を横断する汎用的なスキル(コンピテンシー)等に関わるもの
①汎用的なスキル等としては、例えば、問題解決、論理的思考、コミュニケーション、意欲など
②メタ認知(自己調整や内省、批判的思考等を可能にするもの)
イ)教科等の本質に関わるもの(教科等ならではの見方・考え方など)
例:「エネルギーとは何か。電気とは何か。どのような性質を持っているのか」のような教科等の本質に関わる問いに答えるためのものの見方・考え方、処理や表現の方法など
ウ)教科等に固有の知識や個別スキルに関するもの
例:「乾電池」についての知識、「検流計」の使い方

家庭や地域との連携

生徒が学ぶことの意義を実感できる環境を整え、一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは、教職員をはじめとする学校関係者はもとより、家庭や地域の人々も含め、様々な立場から生徒や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。(2頁)

学ぶことの意義?

・どうしたら「学ぶことの意義」を実感できるのか?
・生活との関わり。知識が実際に役立つという実感。

チーム学校

・教師の力を最大限に発揮できる組織を作ると同時に、学校外の専門家の力も有効に活用する。
・スクールカウンセラー、ソーシャル・スクール・ワーカー、部活動支援員など。
・校長のリーダーシップ。マネジメント機能の強化。
・教職員がそれぞれの能力を発揮することができる環境。

チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)

コミュニティ・スクール

・学校運営協議会が組織され、学校運営に意見が反映されている学校。(根拠:地教行法第47条の6)
(1)校長が作成する学校運営の基本方針を承認する。
(2)学校運営について、教育委員会又は校長に意見を述べることができる。
(3)教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる。

コミュニティ・スクール2017(文部科学省パンフレット)

大綱的な基準

学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは、公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することである。また、各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、生徒や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して、学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。(2頁)

・大綱的な基準であって、細かいところまですべて決められているわけではない。→教育課程とは、各学校が、生徒や地域の実態を踏まえた上で、特色を生かして創意工夫を重ねて作るもの。
・ただし、すべてが自由であるわけでもない。→全国的な教育水準の確保。

生涯学習、学校間連携

幼児期の教育及び小学校教育の基礎の上に、高等学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、生徒の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、ここに中学校学習指導要領を定める。(2頁)

・「生涯学習」の理念と現実。知識の賞味期限切れが早くなったとき、どうするか。
・これからの教育に必要なことは、単に「何かを学ぶ」のではなく、「学び方を学ぶ」こと。

復習

・学習指導要領の「前文」(2頁)を読み込んで、日本が目ざしている教育の方向性を理解しよう。

予習

・目次に目を通して、学習指導要領の構造についてそれぞれの教育領域の特質について考えておこう。
・学習指導要領総則3~4頁に目を通しておこう。

教育学Ⅱ(龍ケ崎)-4

■龍ケ崎キャンパス 10/16(月)

前回のおさらい

・人間とは何か?←「見た目で人間と分かる」
・「見た目」とは具体的にはどこのことか?←「服を着ている」:確かに他の動物たちは服を着ておらず、人間だけが服を着ているように見える。

・しかし町の中には服を着て歩いている犬も現実に存在している。「服を着ている犬」と「服を着ている人間」との違いは何か?←ここで「この授業はためにならない」という認識が示され、この問題は探求終了。

・では「ためになる授業」とはどういう授業か?←回答がなく、探求終了。

ためになる授業とは何か?

・そもそも「授業」とは何か?
・一般的に「授業」とは、「何かためになることを知っている人=教師」が、「ためになることを知らない人=生徒」に、「ためになること」を「受け渡すこと」と考えられているかもしれないが、これは本当のことか?

*教師は本当にためになることを知っているのか?
*生徒は本当にためになることを知っていないのか? 自分の「ためになること」を知らないとき、それを学ぶことなどできるのか?
*仮に「ためになること」があったとして、それを「受け渡すこと」は可能なのか?

ソクラテスという人が考えたこと

*ソクラテス:紀元前399年に処刑されたギリシャの人物。
・無知の知:自分は何も知らないという自覚。
・産婆術:自分は何も知らないにもかかわらず、対話相手から知が生まれるメカニズム。
・汝自身を知れ:本当に知るべき重要なことは、自分自身についてであるということ。