教育の基礎理論-5

前回のおさらい

・イニシエーションの役割。若者組の機能。
・近代教育の始まり。寺子屋。

近代教育の始まり(ヨーロッパ)

・ヨーロッパ、中世から近代への準備。
(1)大航海時代
(2)宗教改革
(3)ルネサンス
→中世キリスト教の世界観が否定され、新しい世界観と人間像=個人主義が登場する。

個人:身分や地域の特殊性にはまったく関係がない、普遍的な人間。伝統的共同体から切り離された、剥き出しの人間。
個人主義:人間のありのままの姿を肯定し、ひとりひとりの人間の欲望を優先する考え方。

民主主義と市民革命

市民革命重要人物政治思想書教育思想書
清教徒革命1642トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
名誉革命1688ジョン・ロック『市民政府論』『教育論』
アメリカ独立戦争1776トマス・ペイン『コモン・センス』
フランス革命1789ジャン・ジャック・ルソー『社会契約論』『エミール』

市民革命:時に暴力行為を伴った、世の中の仕組みの根底からの変化。領邦君主や貴族が中心だった世の中から、市民が中心の世の中へ。
市民:新興ブルジョワ。中産階級。三鷹市民とか八王子市民というような、固有領域の住民という意味での「市民」ではない。大雑把には、固有の資産を持ち、知識と教養を備えた人々のことで、基本的に金持ちで白人の男性のみ。

・新しい社会を作る=新しい「個人」を作る→普遍的な人間のための教育=人格の完成を目的とする教育。
・教育とは、知識を注入したり偏差値を上げるような教育ではなく、または特定の職業を目指すような教育ではなく、普遍的な人間を作るための「人格の完成」を目指す教育。
・Instruction=専門教育とEducation=普通教育の違い。

基本的人権

基本的人権:誰がリーダーになったとしても、絶対に人々から奪うことができない生まれながらの権利。→社会契約論で議論された、自然状態の人間が持っていた自由。
自由権:国家からの自由。国家が侵害することができない、個人が持つ権利。

教育の自由。自由権としての教育

・自分の子供をどのように教育するかは、国家から関与されることではない。←信仰の自由 どのような思想信条を持つかについて、国家が個人に命令することはできない。

復習

・ヨーロッパが中世から近代へと変わるなかで、社会や人間に対する考え方がどのように変わったかを押さえておこう。

予習

・近代の教育思想の特徴について調べよう。

課題

・締め切り:11/7(火)
・形式:800字程度。手書きOK、コンピュータOK。用紙サイズなど、日本語で読めれば何でも可。
・内容:コメニウス、ロック、ルソー、ペスタロッチー、ヘルバルトのうちから一人選んで、その教育思想の特徴を調べて、それに対して自分はどのように思うか感想を書く。