鵜殿篤 のすべての投稿

【教育学でポン!?】2022年1月21日

昨日に続いてよく晴れていたけれど、やはり一日中研究室に引きこもり。
【本日の歩数】5799歩■自宅と大学を往復。

ICT

■学力テスト、パソコン解答に 愛媛県がCBTを22年度から本格活用(毎日新聞)
学力テスト本来の目的さえ見失わなければ、いいことばかりでしょう。ICT関連民間企業が目の色変えてシステム受注してますけどね。

■生徒の「地域貢献力」をAIで可視化–金沢大学附属高等学校が評価ツール導入(ZDNet Japan)
本来の目的さえ見失わなければ、テクノロジーはどんどん活用すべきです。が、本来の目的から逸れた使い方をすぐに思いついてしまうので、気をつけましょう。

学校間接続

■数1・Aの平均点、「過去最低」からさらに下落 入試センターが更新(朝日新聞DIGITAL)
■「問題文が長い!」数学に悲鳴 2回目の共通テストどうだった? 数学教育の専門家らに聞く(EduA)
■共通テスト、過去最低点は計7科目…「数学I・A」などに加え「日本史B」も(讀賣新聞オンライン)
数学がこうなるのは事前によく分かっていたはずで、受験対策という観点からは、従来の考え方から脱却できていない学校と塾に力と見通しがなかったということでいいと思います。それとは別に、教育的観点からは、そもそも共通テストが必要かどうか強く疑われるところです。

教育全般(国内)

■経済力の学力格差を乗り越える「読書」の力とは 「経済格差」「遺伝」より「本のある環境」が影響(デイリー新潮)
端的に「文化資本」の有意性を主張している記事ですが、教育学研究はさらに「社会関係資本」の意義を見いだしておりますよ。

■「熱心な教育」は”プチ虐待”にも…「教育虐待」気をつけるべき3つのポイント(現代ビジネス)
いくつかの論点が混在している記事でしたが、まあ親子関係に限らず、学生との関わりについても気をつけていきたい話ではあります。

■東大医学部卒・和田秀樹「私が偏差値の高い子に東大医学部をお勧めしないこれだけの理由」 灘→東大理Ⅲだからこそ言える(PRESIDENT Online)
ごくごく個人的な経験と一面的な観点による見解なので、「ふーん」と思うくらいでちょうどいいのでしょう。

■経済学の視点で紐解く…大学で「学部」「学科」が増設される背景(幻冬舎GOLD ONLINE)
「教育学の視点」から紐解くことができず、確かに経営的視点から増設されているんだろうな、というところが残念であります。

【教育学でポン!?】2022年1月20日

よく晴れていたけれど、一日中研究室に引きこもり。
【本日の歩数】5734歩■自宅と大学を往復。

学校

■【独自】23年春、全寮制・中高一貫の中等教育学校へ 大多喜の三育学院中学校(チバテレ+)
記事から詳細を伺うことはできませんが、学校と地域の利害が一致したということでしょうか。義務教育学校や中等教育学校など学校の多様化政策を反映して、今後はこういうケースが全国で増えるのかもしれません。

■テストや通知表がない…!? “自由な教育”目指す小学校が2023年度に開校(ABEMA TIMES)
99年前の大正時代にも、同じような理念でスタートした学校がありました。

■寺の住職が生きることの大切さ伝える 小学校でいのちの授業(とちテレ ※動画あり)
特定宗派の教義喧伝にならないよう注意は必要ですが、お寺との連携はおもしろいと思います。

教育全般(国内)

■社会起業家の育成で見えた「課題解決人材」3特徴 ボーダレス・ジャパン共同創業者「失敗が重要」(education×ICT)
「失敗すること」が大事というのは、含蓄の深い言葉です。

■大学生の約7割が私立に通っている…現役教授が語る「大学業界」の知られざる現状(幻冬舎GOLD ONLINE)
私立大学が多いのは、日本という国家の方針として高等教育に税金を投入しないという固い決意の表れです。そして国公立大学ですら、受益者負担の原則を掲げて、入学金と授業料がどんどん高騰しています。

■貧困はどこまでも連鎖する…親の低学歴が招く「子の代まで低学歴で低収入」という悲劇(幻冬舎GOLD ONLINE)
数字で見れば明らかな現実を、なぜか自分の周りの現実だけを根拠に否定する人がたくさんいる日本。

■子どもの読書量、在宅時間増でも減少 「ゲームしたい」「塾忙しい」 京都で調査(京都新聞)
まずは現実を受けとめましょう。

■黒板の裏から創建当初?の黒板 被災した重文、チョークの文字調査へ(朝日新聞DIGITAL)
復旧工事おつかれさまでした。

教育全般(海外)

■子どもたちに象形文字を学ぶ機会を、エジプト・ギザの学校(REUTERS ※動画あり)
エジプトにおいては、イスラム教信仰とナショナリズムの両立をどう考えているのでしょうか。

【教育学でポン!?】2022年1月19日

週末に出かけようと計画していたけれど、さすがに中止だなあ。天気も悪そうだし。
【本日の歩数】6261歩■自宅と大学を往復。

COVID-19

■「コロナで友達できない」解消を 学生考案「大学限定」SNS(毎日新聞)
学生の発案で始まったのが尊いです。うまく機能するといいですね。

学校

■国立女子大で相次ぎ「工学」分野の学部新設のなぜ今春に奈良女子で、24年度にお茶の水が設置へ(東洋経済ONLINE)
遅ればせながらではありますが、大きな一歩です。盛り上がるといいですね。

■「総合的読解力」高める授業を来年度から試験導入へ 大阪市立の一部の小中学校が対象(MBS ※動画あり)
あからさまに全国学力・学習状況調査対応ですが。個人的には、総合的な学習の時間を充実させればいいのにと思いつつ。

■【独自】仙台に公立夜間中学 東北初、23年度開校へ(河北新報)
教育機会確保法の理念が各地で具体化されつつあります。

教育全般(国内)

■「作文の添削は労働ではない」”自主的行為”扱いされる公立学校教師の理不尽 授業準備は1コマ5分だけ認定(PRESIDENT Online)
まるでコントのように浮き世離れしている司法は当てにせず、やっていきましょう。

■親の格差が生む教育格差、家庭の重要性増す背景 社会学者・山田昌弘、多様な能力が必要な時代に(education×ICT)
公教育にかけるお金が少なくて、私費によって差がついてしまうのが根本的な問題です。かつてうまくいっていたのは「学力が中心であった」からではなく、公教育にお金が投下されていたからのように思います。

教育全般(海外)

■フランスが「学校のいじめ」厳罰化に動いた事情 日本のいじめと異なるところはあるのか(東洋経済ONLINE)
どこの国も実は同じような問題を抱えていますが、フランスの場合は日本と違って人種と宗教も深く関わってきます。

【教育学でポン!?】2022年1月18日

卒論指導もなんとかまとまりつつあり。まあ頑張っているのは学生だけれども。
【本日の歩数】6572歩■自宅と大学を往復。

働き方改革

■部活顧問、拒否できる雰囲気を 改善訴える組合結成、愛知(共同通信)
■「部活問題」に特化した教職員組合、愛知で発足 全国組織化へ(毎日新聞)
ワン・イシューでの組合結成とは、なるほどです。ただ、たとえば管理職が部活動顧問を押しつけてきた時、組合が代わりに交渉できるのかどうか。

■教員の負担軽減阻む「聖職者メンタリティー」の罠 内田良「働き方改革は『諦める挑戦』が必要」(education×ICT)
ですね。管理職が一番の鍵を握っています。

不登校

■8年連続増「SNSいじめ」が加速させる不登校 不登校支援の肝となるのは「保護者支援」だった(education×ICT)
保護者支援は確かに大きな鍵です。次に、実は教員に対する支援が効果的だろうと思います。真面目な教員は、自分のクラスの子が不登校になると、メンタルをやられます。誰かが「あなたのせいではない」と言ってあげないと。

学校

■のびのび学ぼう テストや通知表ない小学校、23年開校へ 北海道(毎日新聞)
サマーヒルや池袋児童の村の理念に連なる学校ですね。どういう実践になるのか、注目しましょう。

■授業に民間英会話 オンライン、新たな学び 茨城・守谷市立全中学校 2年生試行(茨城新聞クロスアイ)
取り組みの内容はともかくとして、形式的には教員免許を持たない人から英語を教わるわけで、教員免許制度の意味はどんどん失われていきますね。

教育全般(国内)

■18歳で成人式、開催予定は2市町…「受験と重なる」と大半は対象年齢変えず(讀賣新聞オンライン)
年を経るごとに、ますます成人式の意味が見失われると予測。

【要約と感想】阿部拓児『アケメネス朝ペルシア―史上初の世界帝国』

【要約】アケメネス朝ペルシアは、狭義には紀元前550年キュロス王による創建(諸説あり)から紀元前330年マケドニアのアレクサンドロス大王東征による滅亡まで、220年にわたってアジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがって君臨した、史上初の世界帝国です。歴代ペルシア王9代の事跡を内外史料に基づいて確認しながら、帝国の歴史全体を概観します。

【感想】アケメネス朝ペルシアの歴史そのものについても勉強になったが、科学的な歴史学の研究手法と最新研究動向が幅広く紹介されていて、「歴史学の方法論」についても興味深く読める内容になっていた。おもしろかった。具体的には、「オリエンタリズム」や「受容史」というポストモダン的な動向を横目で睨みつつも、歴史学の伝統に基づいて丁寧な史料批判の土台の上で議論を展開して、落ち着いた筆致ながらも立体的で奥行きのある記述になっている。筆者の推測もふんだんに披瀝されるが、史料に基づいて根拠を示しながら対立する見解との比較考量も丁寧に行ってくれるので、かなり納得する。こういう方法論とそれに立脚した歴史記述は、歴史学を志す学生にとってはかなりためになるのではないだろうか。
 まあ全体として平和時の庶民の暮らしぶりはほとんど分からず、殺伐とした政争と戦争の歴史になっているのは、史料の性質上仕方がないところではあるか。

 で、ペルシアというと、私個人としてはギリシア人の書いたもの(ヘロドトスやトゥキディデス)を通して触れてきたので、無意識のうちにヨーロッパ中心史観(いわゆるオリエンタリズム)に影響されいるようだ。大いに反省するきっかけになった。あるいは「オリエンタリズム」というと近代以降の話だと思い込んでいたけれども、古代のギリシア・ローマ中心史観に対しても意識的に相対化する視点を用意しておく必要を理解したのであった。

阿部拓児『アケメネス朝ペルシア―史上初の世界帝国』中公新書、2021年