【要約と感想】神辺靖光・長本裕子『花ひらく女学校―女子教育史散策明治後期編』

【要約】明治後期に創立された女学校の沿革史をコンパクトに記述しています。明治前期に引き続き発展するプロテスタント系ミッションスクール、それに対抗する仏教系学校、中等教育段階にあたる高等女学校の制度化、女子高等教育の発展、医者・画家などの高等専門教育を扱います。現存の中等・高等教育機関に引き継がれている学校が多数あります。

【感想】前著に引き続き、基本的にそれぞれの学校の沿革史を土台に構成されてはいるのだが、女性教育にとどまらない幅広い教育史的観点から学校の意義が位置付けられており、勉強(復習)になった。
 ただ、誤字が散見されたのは残念なところで、特に静岡英和女学校の創立に関して「鵜殿長道」(鳥取藩家老・大参事12代か?)とあるべきところが「鶴殿長道」になっていた(しかも二か所)のはションボリなのだった。元のニューズレターではしっかり「鵜殿」だったので、著者自身は正確に記述していたものがOCRか何かの段階で誤字ったのだろうと推測する。

神辺靖光・長本裕子『花ひらく女学校―女子教育史散策明治後期編』成文堂、2021年