流通経済大学「教育学Ⅰ」(2)

■新松戸キャンパス 4/20(金)
■龍ケ崎キャンパス 4/23(月)

前回のおさらい

・ドラえもん構造。ジャイアン・スネ夫・のび太の人生で、学校の持つ意味はそれぞれ異なる。それは「自営業/資本家/労働者」という立場の違いによって生き方が異なり、学校に期待するものが異なるためである。

働いたら負け?

・ジャイアン・スネ夫・のび太、それぞれの生き方をもう少し詳しく見てみよう。「生き方」という言葉の具体的な中身を「お金の稼ぎ方」と読み替えて考え、さらに「お金を稼ぐために必要な知識と技術」という観点を深めてみよう。

「自営業」は具体的にどういう働き方をしているのか。

・誰かから給料をもらうのではなく、自分の腕で直接お金を稼ぐ。
・働く時間や場所を誰かから命令されることなく、自分で決めることができる。
・金物屋、八百屋、美容師、ラーメン屋、居酒屋、農家、漁師、お寺、アプリ制作、同人誌作家、インディーズの歌手、ユーチューバー等。(ただし企業に雇われて給料をもらいながら店長等をやっている場合は、自営業ではなく労働者。またフリーランスであっても、他人と契約を結んで金をもらう場合は自営業ではなく労働者。)
・自分の腕一本でお金を稼ぐためには、「確かな技術」が必要。しかしこの「確かな技術」は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?
・「確かな技術」を身につけるためには、「普通教育」ではなく「専門教育」が必要。
*専門教育(高校専門科・専門学校・大学):希望する職業に役に立つ確かな知識や技術を身につけるための教育。
*普通教育(小学校・中学校・高校普通科):希望する職業に役に立つかどうか分からない知識を身につける教育。

「資本家」は具体的にどうやってお金を稼いでいるのか。

・誰かから給料をもらっているわけではなく、お金を出す立場。
・働く時間や場所が決まっていないどころではなく、働かなくてもお金が増える。
・飲食店のオーナー、コインランドリーのオーナー、アパートやマンションの経営、企業のオーナー、株主。
・自分が働くのではなく、お金を出すことでお金を増やすという仕組み。何にお金を出す(出資する)かで、お金の増え方が劇的に変わる。どの企業や業種が成長するかに対する「鋭い嗅覚」が必要。この嗅覚が鈍いと、単にお金を失って終わる。
・「鋭い嗅覚」は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?
・そしてまた、「鋭い嗅覚」だけで成功できるものだろうか? 大量の元手=資本がない人は、そもそも出資することが不可能。
・最初から金持ちが圧倒的に有利。お金がない人は、頑張って貯金して元手を捻り出すしかない。

*起業家:自分はお金を持っていないから出資はできないが、資本家がお金を出したくなるような魅力的(カネの臭いがする)な計画を作って、お金を集める。
・起業する知識や技術は、小学校や中学校の勉強で身につけることができるものだろうか?

「労働者」は具体的にどうやってお金を稼いでいるのか?

・誰かから給料をもらって働く。
・働く場所や時間や内容を自分で決めることが難しい。他人から命令される。
・ただし、一般労働者=交換がききやすい/熟練労働者=交換がききにくい、の違いはある。
・お金を出すことができないから、自分が働くしかない。→「労働力」を売ると言う。高く売りつけるために、自分の「労働力」の価値を高めなければならない。
・「労働力」の価値を高めるために、学校は役に立つだろうか?
・学校の勉強が得意な人間は、「労働力」の価値も高いと思われている。逆に考えれば、「労働力」の価値を高めるために、学校という仕組みが必要とされているとも言える。
・学校とは、優秀な労働者を大量生産することが期待されている場所である。
*普通教育(小学校・中学校・高校普通科):どんな仕事にも対応できる労働力の価値を高める教育。→隠れたカリキュラム
*AIの発達:これまで必要だった労働者と、これから必要になる労働者が、まったく異なることが予想されている。

復習

・ジャイアン、スネ夫、のび太の生き方を踏まえて、学校が果たしている役割を確認しよう。

予習

・「隠れたカリキュラム」という言葉について調べておこう。
・資本主義の仕組みを調べよう。