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教育概論Ⅱ(栄養)-7

▼10/30

前回のおさらい

・「主体的、対話的で深い学び」とはどういうことか。
・「見方、考え方」。

第3の2:学習評価の充実

学習評価の実施に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう、組織的かつ計画的な取組を推進するとともに、学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。

・評価の種類:相対的評価、絶対的評価。
・それぞれの評価のメリットとデメリット。
・診断的評価、形成的評価、総括的評価。
・評価の法的根拠:学校教育法施行規則第24条、第28条。「指導要録」←「通知表」や「内申書」との違いに注意。
*指導要録:学籍に関する記録(保存期間20年)、指導に関する記録(保存期間5年)。

第4 生徒の発達の支援

1 生徒の発達を支える指導の充実

教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学習や生活の基盤として、教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため、日頃から学級経営の充実を図ること。また、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の生徒の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により、生徒の発達を支援すること。

*学級経営の充実。信頼関係と人間関係。
・ガイダンスの機能。
・カウンセリングの機能。

(2) 生徒が、自己の存在感を実感しながら、よりよい人間関係を形成し、有意義で充実した学校生活を送る中で、現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう、生徒理解を深め、学習指導と関連付けながら、生徒指導の充実を図ること。

・自己実現。
・生徒理解。
*生徒指導の充実。『生徒指導提要』を参考。

(3) 生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。

*キャリア教育:特別活動を要としつつ、各教科等で行う。
・家庭科で行う「キャリア教育」とは?
*進路指導。

(4) 生徒が、基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め、学習内容を確実に身に付けることができるよう、生徒や学校の実態に応じ、個別学習やグループ別学習、繰り返し学習、学習内容の習熟の程度に応じた学習、生徒の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れることや、教師間の協力による指導体制を確保することなど、指導方法や指導体制の工夫改善により、個に応じた指導の充実を図ること。その際、第3の1の(3)に示す情報手段や教材・教具の活用を図ること。

*個に応じた指導=(1)個別学習(2)グループ別学習(3)習熟度別学集(4)課題学習(5)補充学習(6)発展学習

2 特別な配慮を必要とする生徒への指導

(1)障害のある生徒などへの指導:「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の作成。
(2)海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や、日本語の習得に困難のある生徒に対する日本語指導
(3)不登校生徒への配慮:保護者や関係機関との連携、心理や福祉の専門家の助言や援助。
(4)学齢を経過した者への配慮

第5 学校運営上の留意事項

1 教育課程の改善と学校評価、教育課程外の活動との連携等

(ア)各学校においては、校長の方針の下に、校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また、各学校が行う学校評価については、教育課程の編成、実施、改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえつつ、カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。

・「カリキュラム・マネジメント」と学校評価。
・学校教育法:第42条、43条、49条(中学校)に規定。
・学校教育法施行規則:自己評価の実施・公表「小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、自ら評価を行い、その結果を公表するものとする。」(第66条)、保護者など学校関係者による評価の実施・公表(第67条)、それらの評価結果の設置者への報告(第68条)、中学校への準用(第79条)

(イ)教育課程の編成及び実施に当たっては、学校保健計画、学校安全計画、食に関する指導の全体計画、いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など、各分野における学校の全体計画等と関連付けながら、効果的な指導が行われるように留意するものとする。

・各種「全体計画」の作成。

(ウ)教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、学校や地域の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

*部活動:教育課程外の活動。

2 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携

・家庭や地域との連携。世代を超えた交流。
・他の学校との交流。障害のある幼児児童生徒との交流および共同学習。

復習

・「評価」の機能について押さえておこう。
・「生徒の発達の支援」について、押さえておこう。

予習

・学習指導要領に「家庭科」がどのように位置づけられているか確認しよう。

教育概論Ⅱ(中高)-7

▼語学・心カ・教福・服美・表現 11/11
▼栄養・環教 10/31

前回のおさらい

・教育基本法体制
・学校教育法。教育委員会法。学習指導要領(試案)。

教育基本法体制(つづき)

生活綴方(せいかつつづりかた)

*無着成恭『山びこ学校』。1948年、山形県山元中学校。1951年、クラス文集を『山びこ学校』として刊行。
*綴方:いわゆる作文。

地域教育計画、コア・カリキュラム

*川口プラン:海後宗臣
*コア・カリキュラム:梅根悟、ジョン・デューイ

学習指導要領の変遷(1)

・1958年と1968年に学習指導要領改訂。
・いわゆるゆとり教育から詰め込み教育へと変化。

逆コース

・冷戦体制と東アジア情勢の変化によって、GHQの方針が転回。中国(1949年)と朝鮮半島(1950年)の情勢。
サンフランシスコ平和条約(1951年)。
池田ロバートソン会談(1953年)
・教育二法(1954年)。「教育公務員特例法の一部を改正する法律」と「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」。
・地方教育行政の組織及び運営に関する法律(1956年)。教育委員選出を公選制から首長による任命制に転換。
・学習指導要領改訂(1958年)。法的拘束力あり。特設道徳の登場。
*スプートニクショック:1957年、ソ連の人工衛星スプートニク打ち上げ成功。
*教育の現代化:ブルーナー『教育の過程』。発見学習。「どの教科でも、知的性格をそのままに保って、発達のどの段階の子供にも効果的に教えることができる。」→1968年の学習指導要領改訂。

高度経済成長

・1955年~1973年にかけての経済成長。1964年=東京オリンピック、1970年=大阪万博。
・生活の急激な変化。三種の神器(白黒テレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機)
・大卒初任給の急激な増加。貧乏→豊か。
・産業構造の転換。農業→工業。3チャン農業。出稼ぎ。
・進学率の上昇(高校:50%→90%、大学:10%→30%)。半分しか高校進学できなかった時代から、ほとんど高校進学する時代へ。
・親の権威の低下(親が子供に教えてやれることは何もない)→教師の権威増大(高校進学・大学進学の実態について知っているのは教師だけ)。
・教育に関して親が頼れるのは学校と教師しかない。学校と教育の黄金時代(見かけ上)。
・でもしか先生。教師に「でも」なるか。教師に「しか」なれない。
・受験競争の激化。詰め込み教育。
・親が子供にかける期待。マンガの事例。
・「ムラを育てる教育」→「ムラを捨てる教育」

復習

・冷戦構造と高度経済成長によって教育が大きく変化する理屈を把握しておこう。

予習

・オイルショックと「臨時教育審議会」について調べておこう。

 

教育の基礎理論-7

前回のおさらい

・コメニウス、ロック、ルソー。

近代教育学の展開

・他の学問分野から独立した、固有の教育学が形成されていく。

ペスタロッチー Johann Heinrich Pestalozzi

・1746年~1827年。スイス出身。
・主著『隠者の夕暮』『シュタンツだより』『ゲルトルートはいかにその子を教えたか』『白鳥の歌』
・キャッチフレーズ:実物教授。直感教授。労作教育。3つのH(Hand、Heart、Head)=知徳体。
名言:「王座の上にあっても、木の葉の屋根の蔭に住まっても同じ人間だ」=身分に関係なく、普遍的な人間を教育する。「生活が陶冶する」
・孤児や貧民の子供の教育を通じて、身分や階級に関わらない人間一般の教育原理を打ち立てた。ルソーが理論だけだったのに対して、ペスタロッチーは実践を通じて教育原理を明らかにした。
・アメリカを経由したペスタロッチー主義(開発主義教育)は、明治初期に日本でも流行した。

伊沢修二

・1851年~1917年。長野県出身。
・アメリカに留学して教育学を学んだ後、日本で開発主義を広めた。
・主著『教育学』。
・音楽教育や体操の普及、植民地での国語教育などにも深く関わった。

高嶺秀夫

・1854年~1910年。福島県出身。
・アメリカに留学して教育学を学んだ後、日本で開発主義を広めた。
・主著『教育新論』。ジョホノット教育学の翻訳。
・高等師範学校の校長として、開発主義の普及に貢献した。

ヘルバルト Johann Friedrich Herbart

・1776年~1841年。ドイツ出身。
・主著『一般教育学』『ペスタロッチー直感教授のABC』
・キャッチフレーズ:教育学の父。目的としての倫理学、方法としての心理学。段階教授法。
・名言:「教授のない教育などというものの存在を認めないし、逆に、教育のないいかなる教授も認めない」
・ペスタロッチーの実物教授を引き継ぎながら、教育学を体系化された学問へと鍛えた。家庭教師による教育ではなく、学校における教師の教授法を理論化した。

ヘルバルト主義教育学

・ヘルバルトを引き継いで、科学的な教育学を発展させた。
・チラー、ライン。
・五段階教授法。予備→提示→比較→総合→応用。
・中心統合法。宗教(道徳)を中心としたカリキュラム(スコープ)構成の原理。
・開化史的段階。カリキュラム配列(シークエンス)の原理。

谷本富

・1867年~1946年。香川県出身。
・主著『実用教育学及教授法』『科学的教育学講義』
・ヘルバルト主義を日本人にわかりやすく改変し、流行をさせた。後にヘルバルト主義を捨てて、新教育にコミットした。

フレーベル Friedrich Wilhelm August Fröbel

・1782年~1852年。ドイツ出身。
・キーワード:幼稚園の創始者。恩物。
・主著:『人間の教育』
・ペスタロッチーの影響を受け、幼児教育に人生を捧げた。

倉橋惣三

・1882年~1955年。静岡県出身。
・形式化した幼児教育を批判し、子供の個性と自発性を重んじた幼児教育の発展に尽くした。
・「自ら育つものを育たせようとする心、それが育ての心である。世の中にこんな楽しい心があろうか」

復習

・時代背景を考慮しながら、各教育思想の本質を押さえよう。

予習

・義務教育とは何か、その導入経緯について考えておこう。

教育学Ⅱ(新松戸)-6

■新松戸キャンパス 10/27(金)

前回のおさらい

・日本のナショナリズムの特質
・教育勅語の働き。

日本のナショナリズム(つづき)

教育勅語の構造

・3パートに分かれている。
・教育勅語には「いいことも書かれている」と主張する人々は、Bパートしか見ていない。しかし、単に「いいことも書かれている」だけで良いとしたら、聖書でもコーランでも論語でもいいはず。なぜ、聖書でもコーランでも論語でもなく「教育勅語」である必要があったのか。
・「日本人」という自己意識の形成にとって重要なのは、AパートとCパート。Aパートの理解を抜きにして、Bパートを語ることはできないし、語る意味がない。

Aパートの内容

・日本神話。712年『古事記』。720年『日本書紀』
・アメノミナカヌシ。
・イザナギとイザナミ。
・アマテラスとスサノヲ。
・オオクニヌシと天孫降臨。
・ニニギとコノハナサクヤヒメ
・ウミサチとヤマサチ。トヨタマヒメ。
・ウガヤフキアエズとタマヨリヒメ。
・神武東征。

・「忠」と「孝」。中国の道徳との違いを強調。
・「国体の精華」。団結力の強調。

教育勅語体制

・第二段落の徳目の全体構成。
・教育勅語を中心とした教育体制の構築。修身、国語、歴史、地理との関係。
・教育勅語は本当に日本の伝統に合致していたのか?

ナショナリズムの力と問題

・身分制秩序を破壊して、国民を平等に向かわせる力。
・異質な集団を一つにまとめる力。戦争の強さ。
・一方で、異質なものを排除しながら「純粋」さを追求していく傾向。
・排除したものを「敵」として固定し、憎しみを増幅させる作用。
・巨大な力と、コントロールの難しさ。

復習

・「教育勅語」の構造について押さえておこう。

予習

・「冷戦」について調べておこう。

道徳教育の研究-5

前回のおさらい

・教育基本法第一条「人格の完成」
・個性、アイデンティティ、自由。

道徳教育の意義

我が国の教育は、教育基本法第1条に示されているとおり「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われ」るものである。
人格の完成及び国民の育成の基盤となるものが道徳性であり、その道徳性を育てることが学校教育における道徳教育の使命である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』1頁)

・道徳教育の意義を、教育の目的と関連づけて理解すること。

我が国の学校教育において道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものとされてきた。これまで、学校や生徒の実態などに基づき道徳教育の重点目標を設定し充実した指導を重ね、確固たる成果を上げている学校がある一方で、例えば、歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があること、他教科に比べて軽んじられていること、読み物の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導が行われる例があることなど、多くの課題が指摘されている。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』1~2頁)

→道徳の教科化(平成27年3月)。

「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との答申を踏まえ、発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の生徒が自分自身の問題と捉え、向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものである。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』2頁)

考え、議論する道徳

思春期にかかる中学生の発達の段階においては、ふだんの生活においては分かっていると信じて疑わない様々な道徳的価値について、学校や家庭、地域社会における様々な体験、道徳科における教材との出会いやそれに基づく他者との対話などを手掛かりとして自己との関わりを問い直すことによって、そこから本当の理解が始まるのである。また、時には複数の道徳的価値が対立する場面にも直面する。その際、生徒は、時と場合、場所などに応じて、複数の道徳的価値の中から、どの価値を優先するのかの判断を迫られることになる。その際の心の葛藤や揺れ、また選択した結果などから、道徳的諸価値への理解が始まることもある。このようなことを通して、道徳的諸価値が人間としてのよさを表すものであることに気付き、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に根ざした自己理解や他者理解、人間理解、自然理解へとつながっていくようにすることが求められる。
(中略)
指導の際には、特定の道徳的価値を絶対的なものとして指導したり、本来実感を伴って理解すべき道徳的価値のよさや大切さを観念的に理解させたりする学習に終始することのないように配慮することが大切である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』14~15頁)

自己を見つめる

よりよく生きる上で大切なものは何か、自分はどのように生きるべきかなどについて、時には悩み、葛藤しつつ、生徒自身が、自己を見つめることによって、徐々に自ら人間としての生き方を育んでいくことが可能となる。したがって、様々な道徳的価値について、自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省することが求められる。その際には、真摯に自己と向き合い、自分との関わりで改めて道徳的価値を捉え、一個のかけがえのない人格としてその在り方や生き方など自己理解を深めていく必要がある。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』15~16頁)

物事を広い視野から多面的・多角的に考える

人としての生き方や社会の在り方について、多様な価値観の存在を前提にして、他者と対話し協働しながら、物事を広い視野から多面的・多角的に考察することが求められる。
(中略)
諸事象の背景にある道徳的諸価値の多面性に着目させ、それを手掛かりにして考察させて、様々な角度から総合的に考察することの大切さや、いかに生きるかについて主体的に考えることの大切さに気付かせることが肝要である。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』16頁)

人間としての生き方についての考えを深める

人間にとって最大の関心は、人生の意味をどこに求め、いかによりよく生きるかということにあり、道徳はこのことに直接関わるものである。
そもそも人生は、誰かに任せることができるものではない。誰かの人生ではなく一人一人が自分自身の人生として引き受けなければならない。他者や社会、周囲の世界の中でその影響を受けつつ、自分を深く見つめ、在るべき自分の姿を描きながら生きていかなければならない。その意味で、人間は、自らの生きる意味や自己の存在価値に関わることについては、全人格をかけて取り組むのである。
また、人間としての生き方についての自覚は、人間とは何かということについての探求とともに深められるものである。生き方についての探求は、人間とは何かという問いから始まると言ってもよい。人間についての深い理解なしに、生き方についての深い自覚が生まれるはずはないのである。言い換えれば、人間についての深い理解と、これを鏡として行為の主体としての自己を深く見つめることとの接点に、生き方についての深い自覚が生まれていく。そのことが、主体的な判断に基づく適切な行為の選択や、よりよく生きていこうとする道徳的実践へつながっていくこととなる。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』16~17頁)

道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる

道徳的判断力は、それぞれの場面において善悪を判断する能力である。(中略)
道徳的心情は、道徳的価値の大切さを感じ取り、善を行うことを喜び、悪を憎む感情のことである。(中略)
道徳的実践意欲と態度は、道徳的判断力や道徳的心情によって価値があるとされた行動をとろうとする傾向性を意味する。(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』17頁)

道徳科の指導の基本方針

(『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』74~76頁)

道徳科の特質を理解する

道徳科は、生徒一人一人が、ねらいに含まれる道徳的価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、内面的資質としての道徳性を主体的に養っていく時間である。

信頼関係や温かい人間関係を基盤に置く

道徳科が学級経営と深く関わっていることを理解し、学級における信頼関係に基づく温かい人間関係を築き上げ、心の交流を深めることが大切である。

生徒の内面的な自覚を促す指導方法を工夫する

道徳科は、道徳的価値についての単なる知的理解に終始したり、行為の仕方そのものを指導したりする時間ではなく、ねらいとする道徳的価値について生徒自身がどのように捉え、どのような葛藤があるのか、また道徳的価値を実現することにどのような意味を見いだすことができるのかなど、道徳的価値を自己との関わりにおいて捉える時間である。

生徒の発達や個に応じた指導方法を工夫する

生徒一人一人が、道徳科の主題を自分の問題として受け止めることができるように指導を工夫し、興味や関心を高められるように配慮することが大切である。

問題解決的な学習,体験的な活動など多様な指導方法の工夫をする

実際の生活においては、複数の道徳的諸価値が対立し、葛藤が生じる場面が数多く存在する。その際、一つの答えのみが存在するのではなく、生徒は時と場合、場所などに応じて、複数の道徳的諸価値の中からどの価値を優先するかの判断を迫られることになる。こうした問題や課題について、多面的・多角的に考察し、主体的に判断し、よりよく生きていくための資質・能力を養うことが大切である。このためには、問題解決的な学習が重要である。

道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実する

校長の方針を明確にし、道徳教育推進教師を中心に指導体制の充実を図るとともに、道徳科の授業への校長や教頭などの参加、他の教師との協力的指導、保護者や地域の人々の参加や協力などが得られるように工夫する。

復習

・道徳の目的と、それに関連した指導のあり方について、総合的に理解を深めておこう。

予習

・『学習指導要領解説 特別の教科道徳編』76~83頁を読んで、「指導案」と「指導の工夫」について大雑把に把握しておこう。