「講義」カテゴリーアーカイブ

教育学Ⅱ(龍ケ崎)-10

■龍ケ崎キャンパス 12/11(月)

前回のおさらい

・物事を深く考えるということはどういうことか。
・「深く考える」とは、単に答えだけを知っている状態ではなく、そこから新しい問いを引き出して次のステージに登ることができる姿勢である。この「問い」を生み出す姿勢がないと、人間は成長しない。誰かから答えを与えられるだけで満足していると、同じステージに留まるだけで、成長は止まる。
→指導者は、常に「問い」を生み出す姿勢を促すために、「問い」を受け止め、許容し、一緒に考える雰囲気を作る必要がある。
・「人間には主体性があるが、動物は調教や命令によって動くだけ」という命題の吟味。
→「理想の自分」を思い描かせ、「目的」を内側から引き出す。「理想」や「目的」がない者を成長させることは、どんな有能な指導者にも不可能である。自分の胃や腸で栄養素を消化しない者に、外からいくら栄養素を与えても意味がない。
→目的を達成するための適切な「手段」は外からいくらでも与えられるが、「目的」を外から与えることは不可能である。指導者は「モデル」を見せ、憧れを与えることしかできない。

これまでの作業の振り返り(3)

対話的に考える

・これまでやってきたことは、一つは「対話的に考える:interactive learning」のトレーニングである。
・単に「対話的に考えよう」と言っても身につかないので、実際に作業を行いながら具体的に考えてみた。
・「人間とは何か?」という問いは、「対話的に考える」うえで、極めて有効に働く。対話的に考えなければ分からないからである。
・しかし「人間とは何か?」という問いはレベルが高かったようなので、「スポーツとは何か?」という問いに変更した。

対話的でない考えとは?

・「対話的でない考え」とは、単に思い込んでいるだけにもかかわらず、それが正しいと勘違いしているような状態である。
・自分が正しいか間違っているかは、自分一人だけでは判断できない。自分を客観的に見られないからである。自分の「外」からの働きかけ(対話)によって、初めて自分が間違っていることに気がつける。
・「書く」ということの意義。自分の「外」に出て、「外」から客観的に見ることができるようになる。自分自身との対話。
・「対話的でない考え」がダメなのは、いつまでも自分の間違いや勘違いに気がつかないからである。
・「対話的でない考え」がダメなのは、独りよがりになるからである。

「対話的に考える」とは?

*ソクラテス:紀元前399年に処刑されたギリシャの人物。
・無知の知:自分は何も知らないという自覚。
・産婆術:自分は何も知らないにもかかわらず、対話相手から知が生まれるメカニズム。
・汝自身を知れ:本当に知るべき重要なことは、自分自身についてであるということ。対話の過程から、自分自身に対する「本物の知」が生じる。

指導者として気をつけること

・「対話」のないところに成長はない。
・「対話」とは、答えを一方的に与えることではない。適切な「問い」を投げかけることで、自分自身の視野が狭かったことに気づかせることである。
・「答え」は相手が自分で見つけてくるが、その答えの全てが有効なわけはないし、全てを無条件に認める必要もない。間違っている場合もある。指導者が生徒と一緒になって、しっかり吟味する必要がある。
・吟味の過程で、さらに相手が「答え」を発展させ、「問い」へと結びついていくと、大きな成長に結びつく。

命題の吟味

人間にはスポーツをする余裕があるが、動物は生きるために精一杯で余裕がない。

・肉食動物が走るのは、獲物を捕らえるとき。草食動物が走るのは、逃げるとき。何らかの目的があって、走る。人間は、どんなときに走るのか? →走るために走るとき、走ること自体が目的となっている。
・人間に余裕ができたのはいつか? →狩猟採集から農耕文明へ。貯めることができるようになる。(しばらくは生活の大半を「保存食」の生産に費やすが)
・余裕=スコラ→スクール。生産活動に携わる必要がない上層階級だけが「勉強」あるいは「スポーツ」できる。

・人間がスポーツを始めたのはいつの頃か。鎌倉時代に武士がやっていた「流鏑馬」はスポーツか?
・「登山」はスポーツなのか。平安時代に山伏が山に登っていたのは、スポーツか? 「蹴鞠」はスポーツか?
・一方、古代ギリシアで行われていた競技(古代オリンピア)はスポーツなのか? マラソンは?
→戦争とスポーツ。宗教とスポーツ。
・戦争や宗教と切り離されたときに、スポーツはスポーツとなる。「何かのため」に行うのではなく、「それ自体のため」に行う。

教育学Ⅱ(新松戸)-11

▼新松戸キャンパス 12/8

前回のおさらい

・高度経済成長。進学率の上昇と受験競争の激化。
・ムラを育てる教育から村を捨てる教育へ。

学習指導要領の変遷(2)

・1977年と1989年の学習指導要領改訂。
・いわゆる「ゆとり教育」の開始。「個性」の尊重。
*「ゆとり教育」という言葉が意味するものについて、注意しよう。見かけの教育現象ではなく、日本社会で本質的に進行していた自体に目を向けよう。
・1984年の「臨時教育審議会」。

オイルショックと産業構造の転換

・1973年のオイルショック。高度経済成長の終わり。低成長へ。ただし日本だけ早期に復活。Japan as No.1(1979年)からハイテク景気とバブル景気へ。
・重厚長大型産業(石油を莫大に使用する産業、少品種大量生産)から軽薄短小型産業(ロボットとコンピュータ、多品種少量生産)への転換。
・生産主導から消費主導へ=マーケティングと宣伝広告の重要性。
・人材雇用の転換=アウトソーシング。終身雇用から流動的な雇用へ。
・知識観の転換=知識や技術の賞味期限の短縮。暗記型(知識の量)から検索活用型(思考力・判断力・表現力)へ。
・教育観の転換=「まじめ」から「個性」へ。
→1977年の学習指導要領改訂:「ゆとりある充実した学校生活の実現=学習負担の適正化」
→1989年の学習指導要領改訂:新学力観。個性。
・どうしたら「個性」を育てることができるのか?

臨時教育審議会

*中曽根康弘:臨時教育審議会。1984年に総理府に設置。教育改革ブーム。
・中央教育審議会(文部省)と臨時教育審議会(総理府)。内閣が直々に「教育改革」の前面に出てくるとはどういう事態なのか。
・民営化、自由化、規制緩和、構造改革、小さな政府。
・電電公社→NTT(1985年)、専売公社→JT(1985年)、国鉄→JR(1987年)。
・自由化、民営化のメリット=公共部門の縮小による歳出削減。市場原理(競争原理)により、個性が伸張し、サービス全体の質が向上する。
・自由化、民営化のデメリット=後述。
・学校における競争原理=学校選択制。個性の伸張と全体のレベルアップ。「学区制」との違い。
・たとえば、いじめはどうしたらなくなるか? 大学の授業がつまらないとしたら?
→バウチャー制度。私立学校も含めた競争原理。
→学校民営化。すべてを競争原理に委ねる。

復習

・いわゆる「ゆとり教育」に関して、実際には臨時教育審議会(1984)による規制緩和と構造改革が進行していた事実を認識しておこう。
・1977年と1989年の学習指導要領改訂の背景について押さえておこう。

予習

・民営化のデメリットについて考えておこう。

教育概論Ⅱ(栄養)-12

▼12/5

前回のおさらい

・1958年と1968年に学習指導要領改訂。
・いわゆるゆとり教育から詰め込み教育へと変化。
・逆コースと高度経済成長。

学習指導要領の変遷(2)

・1977年と1989年の学習指導要領改訂。
・いわゆる「ゆとり教育」の開始。「個性」の尊重。
*「ゆとり教育」という言葉が意味するものについて、注意しよう。見かけの教育現象ではなく、日本社会で本質的に進行していた自体に目を向けよう。
・1984年の「臨時教育審議会」。

オイルショックと産業構造の転換

・1973年のオイルショック。高度経済成長の終わり。低成長へ。ただし日本だけ早期に復活。Japan as No.1(1979年)からハイテク景気とバブル景気へ。
・重厚長大型産業(石油を莫大に使用する産業、少品種大量生産)から軽薄短小型産業(ロボットとコンピュータ、多品種少量生産)への転換。
・生産主導から消費主導へ=マーケティングと宣伝広告の重要性。
・人材雇用の転換=アウトソーシング。終身雇用から流動的な雇用へ。
・知識観の転換=知識や技術の賞味期限の短縮。暗記型(知識の量)から検索活用型(思考力・判断力・表現力)へ。
・教育観の転換=「まじめ」から「個性」へ。
→1977年の学習指導要領改訂:「ゆとりある充実した学校生活の実現=学習負担の適正化」
→1989年の学習指導要領改訂:新学力観。個性。
・どうしたら「個性」を育てることができるのか?

臨時教育審議会

*中曽根康弘:臨時教育審議会。1984年に総理府に設置。教育改革ブーム。
・中央教育審議会(文部省)と臨時教育審議会(総理府)。内閣が直々に「教育改革」の前面に出てくるとはどういう事態なのか。
・民営化、自由化、規制緩和、構造改革、小さな政府。
・電電公社→NTT(1985年)、専売公社→JT(1985年)、国鉄→JR(1987年)。
・自由化、民営化のメリット=公共部門の縮小による歳出削減。市場原理(競争原理)により、個性が伸張し、サービス全体の質が向上する。
・自由化、民営化のデメリット=後述。
・学校における競争原理=学校選択制。個性の伸張と全体のレベルアップ。「学区制」との違い。
・たとえば、いじめはどうしたらなくなるか? 大学の授業がつまらないとしたら?
→バウチャー制度。私立学校も含めた競争原理。
→学校民営化。すべてを競争原理に委ねる。

聖域なき構造改革

*高校多様化:1990年代~。中高一貫校。総合学科。単位制高等学校。
*小泉純一郎:構造改革特区(2002年)。

・学習指導要領によらない多様なカリキュラム編成(構造改革特区研究開発学校制度)。
・株式会社による学校設置の容認。
・不登校児童生徒等の教育を行うNPO法人で一定の実績等を有するものの学校設置の容認。
・大学設置基準の緩和(校地面積,運動場設置,空地確保の弾力化)。
・教員の特別免許状の授与権者として特区市町村教育委員会も追加。
・インターネットを利用した教育を行う大学・大学院についての各種施設基準の弾力化。
・「公私協力学校」の設置。
・学校施設の管理及び整備に関する権限を教育委員会から地方公共団体の長への移譲。

→小学校1年生から英語の授業を実施。
→小中一貫、9年間を4・3・2に区切って教育課程を実施。
→「市民科」や「情報科」を新設。
→小中高12年一貫教育で、授業を全部英語で行う。(構造改革特区第1号)

1998年の学習指導要領改訂

・「生きる力」の育成。教育内容の厳選、「総合的な学習の時間」の新設。
・いわゆる「ゆとり教育」。学校週五日制=1995年から月2回。2002年から完全実施。
学校週5日制のめざすものは…

学校週5日制は、学校、家庭、地域社会の役割を明確にし、それぞれが協力して豊かな社会体験や自然体験などの様々な活動の機会を子どもたちに提供し、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの「生きる力」をはぐくむことをねらいとしています。
子どもたちの「生きる力」をはぐくむためには、豊かな体験が不可欠です。自然体験などが豊富な子どもほど、道徳観や正義感が身についているという調査結果も出ています。

・授業時間削減=公的部門の割合を減らし、市場に委ねる割合を増やす。

復習

・いわゆる「ゆとり教育」に関して、実際には臨時教育審議会(1984)による規制緩和と構造改革が進行していた事実を認識しておこう。
・1977年と1989年の学習指導要領改訂の背景について押さえておこう。

予習

・民営化のデメリットについて考えておこう。

教育概論Ⅱ(中高)-12

▼語学・心カ・教福・服美・表現 12/16
▼栄養・環教 12/5

課題

・締め切り:語学・心カ・教福・服美・表現=1/20(土)、栄養・環教=1/16(火)
・形式:800字程度。手書きOK、コンピュータOK。用紙サイズなど、日本語で読めれば何でも可。名前を忘れずに。
・内容:児童生徒に「確かな学力」を身につけてもらうにはどうしたらいいか、学校や教師にできることを考えて、自分の意見を述べてください。ただし「学力」の定義には注意すること。

前回のおさらい

・社会に開かれた教育課程:家庭や地域との連携=チーム学校、コミュニティ・スクール
・カリキュラム・マネジメント。

学習指導要領総則:教育課程の編成

1 各学校の教育目標と教育課程の編成

教育課程の編成に当たっては、学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ、各学校の教育目標を明確にするとともに、教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際、第4章総合的な学習の時間の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする。(4~5頁)

・「資質・能力」=コンテンツ(知識)からコンピテンシー(能力)への転換。「何を教えるか」から「何ができるようになるか」への転換。「育成を目指す資質・能力」を参照。

総合的な学習の時間の第2の1

各学校においては、第1の目標を踏まえ、各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。(144頁)

総合的な学習の時間:第1の目標

探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 探究的な学習の過程において、課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け、課題に関わる概念を形成し、探究的な学習のよさを理解するようにする。
(2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することができるようにする。
(3) 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度を養う。(144頁)

2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成

(1) 各学校においては、生徒の発達の段階を考慮し、言語能力、情報活用能力(情報モラルを含む。)、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2) 各学校においては、生徒や学校、地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し、豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を、教科等横断的な視点で育成していくことができるよう、各学校の特色を生かした教育課程の編成を図るものとする。(5頁)

3 教育課程の編成における共通的事項

(1)内容について
・書いてあることは全部扱う。
・書いていないことも、付け加えて扱ってよい。ただし目標をはみ出したり、生徒の負担過重になってはいけない。
・教える順序は決まっていない。
・複式学級の場合は、学年別の順序は臨機応変に対応。
・生徒や地域の実態に合わせて、選択教科を開設してよい。
・道徳教育の内容に関する事項。

(2)時間数について
・各教科の授業は年間35週以上。
・特別活動(生徒会活動・学校行事)は、適切に考える。
・時間割について
(ア)「1単位時間」は、各学校が適切に定める。
(イ)10分や15分の短い時間の活用ルール。
(ウ)給食や休憩については、各学校が適切に定める。
(エ)創意工夫を活かして弾力的に編成する。
・「総合的な学習の時間」と「特別活動」の内容がカブっている場合の特別ルール。

(3)配慮事項
各学校においては、次の事項に配慮しながら、学校の創意工夫を生かし、全体として、調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

4 学校段階間の接続

(1)小学校との接続。義務教育に対する意識。
(2)高校との接続。

学習指導要領総則:主体的、対話的で深い学び

学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。(『学習指導要領』3頁)

主体的・対話的で深い学び

第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等学びに向かう力人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。(『学習指導要領』7~8頁)

*主体的・対話的・深い学びとは、それぞれどういうことか?
(1) 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。
(2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。
(3) 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。
(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

・主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を考えることは単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることに他ならない。(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

・主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり、特に「深い学び」の視点に関して、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は、新しい知識及び技能を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものであり、習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて、より質の高い深い学びにつなげることが重要である。 (『学習指導要領解説 総則編』77~78頁)

言語環境の整備と言語活動の充実

(2) 第2の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため、各学校において必要な言語環境を整えるとともに、国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて、生徒の言語活動を充実すること。あわせて、(7)に示すとおり読書活動を充実すること。

(1)教師は正しい言葉で話し、黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと。
(2)校内の掲示板やポスター、生徒に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること。
(3)校内放送において、適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと。
(4)より適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること。
(5)教師と生徒、生徒相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること。
(6)生徒が集団の中で安心して話ができるような教師と生徒、生徒相互の好ましい人間関係を築くこと。
(『学習指導要領解説 総則編』81頁)

コンピュータ等や教材・教具の活用

(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

・IT化への対応と、情報の正確な読みとり。
・情報モラル。

見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動

(4) 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を、計画的に取り入れるように工夫すること。

・予習と復習の重要性。
・キャリア形成の方向性と学ぶ意欲。

体験活動

(5) 生徒が生命の有限性や自然の大切さ、主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう、各教科等の特質に応じた体験活動を重視し、家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。

集団の中で体系的・継続的な活動を行うことのできる学校の場を生かして、地域・家庭と連携・協働して、体験活動の機会を確保していくこと。(『学習指導要領解説 総則編』87頁)

課題選択及び自主的、自発的な学習の促進

(6) 生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど、生徒の興味・関心を生かした自主的、自発的な学習が促されるよう工夫すること。

学校図書館、地域の公共施設の利活用

(7) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、生徒の自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また、地域の図書館や博物館、美術館、劇場、音楽堂等の施設の活用を積極的に図り、資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。

各教科等を横断的に捉え、学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導するよう努めることが望まれる。(『学習指導要領解説 総則編』89頁)

復習

・教育課程の編成における共通事項は、こういうものだと知っておこう。
・「主体的、対話的で深い学び」について、自分の言葉で説明できるようにしておこう。

予習

・『学習指導要領』8~11頁を読んでおこう。

教育の基礎理論-12

前回のおさらい

・学歴主義の展開。隠れたカリキュラム。文化的再生産。
・新教育。

新教育

・20世紀初頭から世界的に広まった教育運動。主知主義的な教育を批判し、子供の自発性や能動性、創造性を重視する。
・児童中心主義。子供を「客体」として扱うのではなく、子供が「主体」となる。「教育する=教師や学校が主語」のではなく「学習する=子供が主語」。

ジョン・デューイ John Dewey

・アメリカ出身。1859年~1952年。
・著書:『学校と社会』『民主主義と教育』
・キーワード:コペルニクス的転回。実験学校。問題解決学習。
・名言:「なすことによって学ぶ。」

エレン・ケイ Ellen Karolina Sofia Key

・スウェーデン出身。女性。1849年~1926年。
・著書:『児童の世紀』
・名言:「教育の最大の秘訣は、教育しないことにある。」←ルソーの消極教育の影響。

モンテッソーリ Maria Montessori

・イタリア出身。女性。1870年~1952年。
・著書:『幼児の秘密』『子どもの発見』
・キーワード:子供の家。感覚教育法。教具。自発性。整えられた環境。

特別支援教育

・平成19年の学校教育法改正により、すべての学校(幼稚園含む)で特別支援教育を推進することが明確となった。
・「特別支援教育の推進について(通知)」2007年。
・「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」2012年。

特別支援教育の理念

共生社会:障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ、様々な人々が活き活きと活躍できる社会。誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様なあり方を相互に認め合える全員参加型の社会。
インクルーシブ教育:障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするためにも、障害のある子供が障害のない子供と共に教育を受けられる仕組み。
教育的ニーズ:子供が必要としている支援。
合理的配慮:障害のある子供が、他の子供と平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子供にたいし、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの。体制面・財政面において、均衡を失した過度の負担を課さないもの。
ユニヴァーサル・デザイン:あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。

発達障害

発達障害:これまでの特殊教育の対象とはなっていなかった、知的な遅れのない障害。
→LD(学習障害):知的発達に遅れがないが、聞く・話す・読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定の分野に極端に苦手な側面が見られる。
→ADHD(注意欠陥多動性障害):注意力や衝動性、多動性などが年齢や発達に不釣り合いで、社会的な活動や学業に支障をきたすことがある。
→高機能自閉症・アスペルガー症候群:他者の気持ちを察することや周りの状況に合わせたりする行動が苦手だったり、特定のものにこだわる傾向が見られる。

学校の仕事

校内委員会:校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立し、実態把握や支援方策の検討等を行うために設ける組織。
特別支援教育コーディネーター:各学校における特別支援教育の推進のために、情報収集、校内委員会・校内研修の企画・運営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口となる。
個別の教育支援計画:特別支援学校では、ひとりひとりの教育的ニーズに応じた支援を効果的に実施するため、乳幼児期から学校卒業後までの一貫した長期的な計画を作成する。作成にあたり、医療・福祉・労働などの関係機関と連携し、保護者の参画や意見を聞く。
個別の指導計画:特別支援学校では、障害のある子供ひとりひとりの教育的ニーズに対応して工夫され、学校における指導内容・方法を盛り込んだ指導計画を作成する。

復習

・新教育にかかわる人物を、著作やキーワードとともに押さえておこう。
・「特別支援教育」の理念と、学校や先生が携わる具体的な仕事について理解しよう。

予習

・現在の教育が抱える問題について考えてみよう。