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2017年度「3年ゼミ」まとめ

2017年度の「3年ゼミ」、1年目ということで手探りの状態で始めましたが、なんとか無事に終わりました。
目的は主に2つあって、卒業論文に向けて「論文とはどういう性質の文章か」を理解することと、各自が自分の興味・関心に沿って先行研究の知見を蓄積することでした。それなりのサポートはしたと思うので、あとは各自卒論に向けて頑張ってください。

読んだ論文等

4.19:カニンガム『概説子ども観の社会史』日本語版への序文・第二版への序文・結論
4.26:宮崎元裕「日本における多文化保育の意義と課題―保育者の態度と知識に注目して―」
4.26:桑村清子「モンテッソーリ教育における音楽の指導(一)」
5.10:昆布孝子「幼児教育学科における英語学習―保育英語と英語読本―」
5.10:中富尚宏「児童養護施設における被虐待時と親への心理臨床的支援の実践」
5.17:向平知絵「過疎地域における保育の実態と課題―奈良県十津川村のへき地保育所を事例に―」
5.24:今井真理「海外における幼児造形教育の思潮」
5.24:高橋節子「子どものための物理的環境とは何か」
5.31:中島修・乾りか・大塚健樹「カナダの就学前教育について―多文化主義の視点から―」
6.7:柴田長生「対人援助職としての保育士の可能性2―乳児院・児童養護施設での保育士業務から見えるもの―」
6.28:秀真一郎「幼児教育現場における英語活動のあり方―担当保育者における活動実施の重要性とその方法―」
6.28:湯谷道雄・高橋司「人と地域を繋げる保育の創造―弓削保育所の実践報告―」
7.5:竹田康子「モンテッソーリ教具の歴史的変遷」
7.5:若山育代「幼児の造形的なイメージの広がりを導く保育者の発話媒介行為の分析―既有知識と具体的対象の統合力に着目して―」
7.12:帆足英一・庄司順一「乳幼児虐待と乳児院の役割」
7.19:山崎義広「地域ブランドの背景と諸相―「人口減少社会」と地方の課題をめぐって―」
9.27:「保育士による発達障害児の早期発見と早期支援の課題―沖縄県南部3市における質問紙調査―」
10.4:脇本聡美「英語絵本の中の認知道具」
10.11:白川賀津子・定行まり子「保育・教育思想に基づく保育施設の建築計画―モンテッソーリ保育施設における実態調査を通して―」
11.15:益田早苗「わが国の里親研究の動向と今後の課題」
11.22:阿部智恵子・若林芳樹「石川県かほく市における子育て支援の現状と課題」
11.29:倉田節子「スウェーデンのプレスクールにおける幼児教育・保育」
12.6:「こどもの遊びにおける玩具の役割―過去20年の玩具研究のテーマにみる役割の変遷と遊びに果たす役割―」
12.13:菊池由美子「モンテッソーリとカール・オルフ―音楽教育における一考察―」
12.20:吉原千賀「きょうだいがいること・一人っ子であること―出産・子育て意識からの分析―」

教育課程の意義と編成-14

学習指導要領の改訂(3)

・2003年、学習指導要領の一部改訂。(ゆとり教育の終わりの始まり)
・2008年、学習指導要領改訂。授業時間増、指導内容の充実。

PISAショック

*PISA:学習到達度調査。Programme for International Student Assessment。高校1年生対象。
*OECD:経済協力開発機構。Organisation for Economic Co-operation and Development
*PISAショック:2003年と2006年の調査で日本の順位が大幅に下がったことに教育関係者一同衝撃を受けたこと。←しかし2009年と2012年の調査では順位が上昇。
*全国学力・学習状況調査:2007年より毎年実施。小6と中3を対象。
・A問題とB問題。

試験に向けてのチェックポイント

(1)カリキュラム理論の基礎(1~3)

カリキュラムを作る際、経験主義で考えるか、系統主義で考えるかで、結果は大きく異なってくる。
またカリキュラムを作る際、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則、学習指導要領の規定に従わなくてはならない。

□『学習指導要領』がどういう性格の文書か、理解している。
□「スコープ」と「シークエンス」について説明できる。
□経験主義と系統主義について、それぞれのメリットとデメリットを説明できる。
□何を教えるかについて、教育基本法から学習指導要領までの流れを説明できる。

(2)最新版の学習指導要領(4~11)

最新版の学習指導要領(2017年3月公示)では、「生きる力」の育成という従来の「ゆとり教育」の方針を引き継ぎながら、さらに現代社会に対応した「資質・能力」を身につけさせるために、大規模な改訂が行われた。
大きなキーワードは3つある。一つは「社会に開かれた教育課程」である。ただ受験にだけ役に立つ知識ではなく、社会に出て実際に活用できる本物の力を育成することが求められている。そのためには学校自体が変わらなければならず、「チーム学校」や「コミュニティ・スクール」という新しい学校の姿が示された。
2つ目は「カリキュラム・マネジメント」である。変化の激しい社会で生き抜くためには、これまでの教科別の教育では対応できず、教科を横断する普遍的な能力(キー・コンピテンシー)を身につけなければならない。そのために教科横断的なカリキュラム編成を行う必要がある。さらにPDCAサイクルを構築し、限りある資源(人・物・金・時間)を有効活用するなど、学校運営自体を効率化することによって、よりよい教育を実現していくことが学校に求められる。
3つ目は「主体的・対話的で深い学び」である。知識基盤社会で必要となる資質・能力を身につけるためには、新しい学びの形を工夫することが求められる。そのためには、単に知識を与えるのではなく、教科の本質を踏まえた「見方・考え方」を身につけさせる必要がある。
これらを実現するためにも、「評価」に対する理解や、「生徒指導」に対する理解が求められる。

□「育成を目指す資質・能力」について説明できる。
□「生きる力」について説明できる。
□「学力の三要素」について説明できる。
□「社会に開かれた教育課程」について説明できる。
□「カリキュラム・マネジメント」について説明できる。
□「主体的・対話的で深い学び」について説明できる。
□「評価」の機能役割について理解し、様々な評価の在り方について説明できる。
□「生徒指導」について、説明できる。
□理科で育成する資質・能力について、学習指導要領を基に説明できる。

(3)学習指導要領の変遷(11~13)

(1945年~1958年)戦争が終わり、新しい日本の国作りが始まった。日本国憲法が目指す理想の国作りのために、教育に大きな期待がかけられ、教育基本法が制定される。教育基本法を具体化するため、学校教育法、教育委員会法、学習指導要領(試案)が作られた。学習指導要領(試案)の特徴は、形式的には法的拘束力がなく、内容的には道徳をなくして社会科を新設したところにあった。
(1958年~1977年)しかし冷戦体制に巻き込まれる中で、日本に対するアメリカの姿勢が変化し、戦後教育は大きく修正される。また高度経済成長の進展により、人々の教育に対する期待も決定的に転換し、学習指導要領は詰め込み教育へと方針を変えた。1958年の改訂で学習指導要領には法的拘束力があるとされ、道徳が復活した。
(1977年~2003年)だが、オイルショックを景気とする世界的な不況の下、産業構造の転換に対応し、個性的な人材を作るために、詰め込み教育を否定し、「ゆとり教育」が開始される。臨時教育審議会が、教育の自由化・民営化・規制緩和・構造改革の方針を示し、この方針は2017年現在まで教育改革の決定的な柱となっている。
(2003年~2017年)自由化・民営化・規制緩和・構造改革という大きな流れ自体に変化はないものの、PISAショックなど学力低下が起きているという認識の下、学習指導要領は「学力重視」を打ち出すこととなる。

□「教育勅語」の性格と歴史上果たした役割を説明することができる。
□1947年度版の学習指導要領(試案)の特徴について説明することができる。
□1958年の学習指導要領が「詰め込み教育」に転換したことについて、その政治的・社会的背景を説明できる。
□1977年以降の「ゆとり教育」への転換が、どのような社会的背景の下で行われたか、説明できる。
□1977年以降の「ゆとり教育」は個性的な人材育成を目指すが、臨時教育審議会が示した自由化・民営化・規制緩和・構造改革がどうして個性的な人材育成につながるのか、その理屈を説明できる。
□ゆとり教育のデメリットについて、説明できる。
□PISAショックと、それに刺激された学習指導要領改訂について説明できる。

教育学Ⅱ(龍ケ崎)-12

■龍ケ崎キャンパス 1/15

前回のおさらい

・物事を多面的・多角的に見る。
・物事を深く考える。
・対話的に考える。
・メタ的に考える。

教育の変化

・19世紀型の知識観から、21世紀型スキルへ。
・産業構造の転換。産業化社会からポスト産業化社会へ。
・産業化社会で必要とされた教育と、ポスト産業化社会で必要とされる教育の違い。
・日本社会の変化。雇用体制の変化。働き方の変化。
・これからの社会で必要となるスキルとコンピテンシー。生涯学習社会へ。

復習と予習

・次回はレポート提出日となっています。

道徳教育の研究-14

試験のためのチェックポイント

道徳教育の目的

□教育基本法が目指す教育の目的「人格の完成」に道徳教育がどのように関わっているか理解し、説明できる。
□学習指導要領が掲げる「生きる力」を実現するために道徳教育が果たすべき役割について理解し、説明できる。
□学習指導要領に示されている「豊かな心」と道徳教育の関係について理解し、説明できる。

道徳教育と道徳科の関係

□「道徳教育」と「道徳科」の違いと関係について、説明できる。
□学校教育全体の中で道徳科が果たすべき役割と意義について、説明できる。
□国語や理科等の「教科」が道徳教育にどのように関係するか、学習指導要領に即して理解し、具体的に説明することができる。
□道徳が教科化されたことで、何がどのように変わったか説明できる。

道徳科の内容と方法

□道徳科で何を教えるのか、領域が4つに区分されていることなど、学習指導要領に則って内容を理解している。
□道徳科の指導案の書き方について理解している。
□「考え、議論する道徳」への転換の意義について理解し、授業のあり方を具体的にどう変えていかなければならないか、説明できる。
□「自己を見つめる」「物事を広い視野から多面的・多角的に考える」「人間としての生き方についての考えを深める」という道徳科の方法が、具体的にどういうことか説明できる。

道徳科の評価

□道徳科における評価の意義を理解している。
□道徳科の評価について、他の教科等とは異なる特徴を理解している。

教育学Ⅱ(新松戸)-13

▼新松戸キャンパス 12/22

アナウンス

1/12は休講。

前回のおさらい

・聖域なき構造改革。
・自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリット。
・学力格差の拡大。

学習指導要領の変遷(2)つづき

自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリット

競争の底抜け

・賞味期限詐欺、耐震偽造詐欺←規制緩和によって未熟なプレイヤーが競争に参加する。
・競争の質。真っ当に努力した者が報われているのか?
・たとえば2011年の大津市いじめ問題。大津市には学校選択制が導入されていたが、いじめは隠蔽された。理屈通りなら学校選択制によっていじめがなくなってもいいのに、現実にそうならなかったのはなぜか?

教育とサービス消費

・他のサービスと異なり、教育サービスは購入時点ではまだ「未完成品」である。
・他のサービスと異なり、教育サービスは購入者自身を対象とする。
・教育は本質的に「サービスの消費」ではなく、生徒との共同的な「価値の生産」の過程である。
・教育はお金で買うものではない。共同性とは何か。

学習指導要領の改訂(3)

・2000年、学力低下論争。
・2003年、学習指導要領の一部改訂。(ゆとり教育の終わりの始まり)
・2008年、学習指導要領改訂。授業時間増、指導内容の充実。

PISAショック

*PISA:学習到達度調査。Programme for International Student Assessment。高校1年生対象。
*OECD:経済協力開発機構。Organisation for Economic Co-operation and Development
*PISAショック:2003年と2006年の調査で日本の順位が大幅に下がったことに教育関係者一同衝撃を受けたこと。←しかし2009年と2012年の調査では順位が上昇。
*全国学力・学習状況調査:2007年より毎年実施。小6と中3を対象。
・A問題とB問題。

学力の3要素

・2007年:学校教育法改正。第30条に学力が定義される。

前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。
(「学校教育法」)

ここで規定されているのが、いわゆる「学力の三要素」と呼ばれるものである。この学力の三要素は、「学習指導要領」の目標規定や、「全国学力・学習状況調査」の方向性など、様々な場面で繰り返し用いられる。学力の3つの要素を、文部科学省自身は以下のようにまとめている。

(1)基礎的・基本的な知識・技能。
(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等。
(3)主体的に学習に取り組む態度。
(文部科学省「学習指導要領「生きる力」」)

この学力の定義は、『学習指導要領』の内容に深く反映されている。具体的には、各教科の目標や評価は全てこの学力の三要素に沿って記述されている。このように「学力」を定義した背景を、文部科学省自身は以下のように説明している。

知識基盤社会の到来や、グローバル化の進展など急速に社会が変化する中、次代を担う子どもたちには、幅広い知識と柔軟な思考力に基づいて判断することや、他者と切磋琢磨しつつ異なる文化や歴史に立脚する人々との共存を図ることなど、変化に対応する能力や資質が一層求められている。一方、近年の国内外の学力調査の結果などから、我が国の子どもたちには思考力・判断力・表現力等に課題がみられる。これら子どもたちをとりまく現状や課題等を踏まえ、平成17年4月から、中央教育審議会において教育課程の基準全体の見直しについて審議が行われた。
この見直しの検討が進められる一方で、教育基本法、学校教育法が改正され、知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)を重視し、学校教育においてはこれらを調和的に育むことが必要である旨が法律上規定された。さらに、学校教育法第30条の第2項において、同法第21条に掲げる目標を達成する際に、留意しなければならないことが次のように規定された。
(『言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】』)

復習

・自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリットについて押さえておこう。
・学力の定義について理解しよう。

予習

半年間の授業全体の流れをおさらいしておこう。