「講義」カテゴリーアーカイブ

流通経済大学「教育学Ⅰ」(11)

■新松戸キャンパス 7/13(金)
■龍ケ崎キャンパス 7/9(月)

前回のおさらい

・人格の完成。個性。アイデンティティ。
・人格とは、代わりがない(個性)、変わらない(アイデンティティ)ような何か。

人格の完成(つづき)

自由とルール

・モノは自由ではないが、人格は自由。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。→カント「人間は教育によって初めて人間となることができる。」
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・モノは物理法則に従わざるを得ないが、人格を持つ者は自分でルールを作ってそれに従うことができる。
立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)ことができる力のこと。

【小学校学習指導要領解説 総則編】
自立心自律性は、児童がよりよい生き方を目指し、人格を形成していく上で核となるものであり、自己の生き方や人間関係を広げ、社会に参画をしていく上でも基盤となる重要な要素である。」(138頁)
【中学校学習指導要領】
「[自主、自律、自由と責任]
自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に実行してその結果に責任をもつこと。」(特別の教科道徳、154頁)
【中学校学習指導要領解説 総則編】
自立心自律性を高め、規律ある生活をすること
中学生の時期は、自我に目覚め、自ら考え主体的に判断し行動することができるようになり、人間としての生き方についての関心が高まってくる。(中略)。また、教師や保護者など大人への依存から脱却して、自分なりの考えをもって精神的に自立していく時期でもある。しかし、周囲の思わくを気にして、他人の言動から影響を受けることも少なくない。そうした中で、現実の世界から逃避したり、今の自分さえよければよいと考えたりするのではなく、これまでの自分の言動を振り返るとともに、自分の将来を考え、他者や集団・社会との関わりの中で自制し生きていくことができる自己を確立し、道徳的に成長を遂げることが望まれる。そうした観点から、道徳科の授業で生徒が自己を振り返り、自己を深く見つめ、人間としての生き方について考えを深め、生徒の自立心自律性を高め、規律ある生活が送れるようにする取組が求められる。」(142頁)

自己実現

・どのように人格は完成へと向かうのか。
・自己実現≒ほんとうのわたしデビュー、わたしらしいわたし。社会的な成功とは基本的にはあまり関係がない。
・直線的な発達ではなく、矛盾と葛藤が連続する、ジグザグの成長。
・弁証法的発展:自己耽溺(自己中心主義)と自己疎外(世間中心主義)の葛藤から、自由で主体的な決断を経て、責任を引き受けて、自己実現へ向かう。
・「自分こわし」と「自分つくり」の連続が、人格を完成へと向かわせる。

【中学校学習指導要領】
「生徒が、自己の存在感を実感しながら、よりよい人間関係を形成し、有意義で充実した学校生活を送る中で、現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう、生徒理解を深め、学習指導と関連付けながら、生徒指導の充実を図ること。」(総則、25頁)
「自主的、実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして、集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに、人間としての生き方についての考えを深め、自己実現を図ろうとする態度を養う。」(特別活動の目標、162頁)
「近代教育」まとめ:人格の完成とは・・

・個性の尊重:かけがえのないわたし。
・アイデンティティの確立:自(分が)主(語)。わたしはわたし。
・自由の獲得:自律。わたしがわたしをコントロールする。
・自己実現:夢。ほんとうのわたし。

復習

・「自由と責任」の論理や、「自己実現」の意味を確認しておこう。

予習

・半年間の授業をおさらいしておこう。

教職基礎論(栄養)-10

▼短大栄養科 7/7

前回のおさらい

・授業で教科書を使用することは法律で決まっています。
・学習評価には、大きく分けて絶対評価と相対評価があります。指導要録は法律によって作成が義務づけられています。内申書と通知票は別のものです。

豊かな心(道徳教育)

・道徳の教科化の経緯。どうしてなかなか教科化されなかったのでしょうか。→中央教育審議会と教育再生会議の路線のズレ。
・教科化されて何が変わったのでしょうか。(1)教科書(2)評価(3)免許
・内容=「考える道徳」の推進。

【学習指導要領:総則】
道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)をとして学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。
教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に 基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。
人間尊重の精神と生命に対する畏敬の 念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。(19-20頁)

教育活動全体を通じて行う

・週に一回の「道徳の時間」だけが道徳教育ではありません。
・各教科における道徳教育。
・特別活動における道徳教育。
・食育における道徳教育。

要として

・どうしてことさら道徳科の時間を設定する必要があるのでしょうか。
・「要」とはどういう意味でしょうか?

健やかな体(体育・健康)

・「健康で安全な生活」と「豊かなスポーツライフ」の実現。
(1)食育の推進
(2)体力の向上
(3)安全に関する指導
(4)心身の健康の保持増進

(1)食育の推進

食育基本法(2005年制定)

食育基本法本文
・食育は、「生きる上での基本」「知育、徳育及び体育の基礎」であり、「心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼ」すものです。

【第5条:教育関係者の役割】
(前略)子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行われなければならない。
【第11条:教育関係者の責務】
(前略)食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割にかんがみ、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努める。

学校給食法(2008年改正)

学校給食法本文
・食育の観点から学校給食の目標を改定しました。

【学校給食法第2条】
学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない。
一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
七 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。
【学校給食法第10条】
栄養教諭は、児童又は生徒が健全な食生活を自ら営むことができる知識及び態度を養うため、学校給食において摂取する食品と健康の保持増進との関連性についての指導食に関して特別の配慮を必要とする児童又は生徒に対する個別的な指導その他の学校給食を活用した食に関する実践的な指導を行うものとする。この場合において、校長は、当該指導が効果的に行われるよう、学校給食と関連付けつつ当該義務教育諸学校における食に関する指導の全体的な計画を作成することその他の必要な措置を講ずるものとする。
2 栄養教諭が前項前段の指導を行うに当たつては、当該義務教育諸学校が所在する地域の産物を学校給食に活用することその他の創意工夫を地域の実情に応じて行い、当該地域の食文化、食に係る産業又は自然環境の恵沢に対する児童又は生徒の理解の増進を図るよう努めるものとする。

第3次食育推進基本計画(~2020年)

・農林水産省:第3次食育推進基本計画本文
・農林水産省:啓発リーフレット

(2)体力の向上

・文部科学省:子供の体力向上のための取組ハンドブック。概要pdf取り組み事例一覧
・武道とダンスの必修化(2008年中学校学習指導要領改訂)

(3)安全、健康に関する指導

学校保健安全法

学校保健安全法本文

【第5条】
学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、児童生徒等及び職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。
【第27条】
学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。

学校安全の推進に関する計画

・文部科学省:学校安全の推進に関する計画本文
・大きく分けて「安全教育」と「安全指導」の二つの領域があります。
安全教育:安全に関する知識、行動する力。
→主体的に行動する態度、時間の確保、避難訓練、情報社会への対応等
安全指導:学校管理下の事故、不審者侵入、交通事故、自然災害。
→安全計画の策定、人的体制の整備、安全点検、研修の推進等。

(4)心身の健康の保持増進

・文部科学省:生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について本文
・生涯にわたるスポーツライフを推進します。部活動の位置づけが変わり、学習指導要領上に初めて定義されました。
・現代の課題=薬物乱用、性の逸脱行動、肥満や生活習慣病の兆候、いじめや登校拒否、感染症の新たな課題等。
・要因=子どもたちの心の成長の糧となる生活体験や自然体験等が失われてきており、自己実現の喜びを実感しにくく、他者を思いやる温かい気持ちを持つことや、望ましい人間関係を築くことが難しくなっていることなどが考えられます。

復習

・道徳教育が「教育活動全体」を通じて行われることを押さえよう。
・「健やかな体」について、具体的にどのような領域をカバーしているか、押さえておこう。
・特に「食育」の意義について、自分の言葉で説明できるようにしよう。

予習

・「総合的な学習の時間」や「特別活動」の内容について、イメージを持とう。
・「生徒指導」について、調べておこう。

教育概論Ⅰ(中高)-10

栄養・環教 7/6
語学・心カ・教福・服美・表現 7/7

前回のおさらい

・近代の教育思想。教育学の成立。

義務教育の思想

・近代の教育思想で、教育は本当にすべてうまくいくのでしょうか?
・学校を否定し、個人主義を貫くような、「自由権としての教育」の実態。→現実には貧民の子供が「児童労働」を行っていました。

・「義務教育」とは、誰の誰に対するどのような義務でしょうか?
・「子供が教育を受ける権利」はどのように生まれたのでしょうか?

思考実験:自由の落とし穴

・自由を拡大したとき、得をするのはどういう人たちでしょうか?
・自由を拡大すると、実際には強者と弱者の間の格差が拡大します。
・自由を<実質的に>使いこなすことができるのは金持ちだけです。貧乏人はそもそも自由に<実質的に>手が届きません。形式的に自由が与えられても、まったく意味がありません。
・「自由権としての教育」だけでは、金持ちは十分な教育を受けることができたとしても、貧乏人は教育を受けることができません。教育によって、ますます貧富の格差が広がります。
・貧富の格差=資本家と労働者への階層分化。

労働力の売買

・「働く」とは、経済学的にはどういうことでしょうか?
*労働力:「働く」と言うのではなく、「労働力を売る」と言います。「雇う」と言うのではなく、「労働力を買う」と言います。
・労働力の再生産は、家庭で行われます。
・労働力をモノのように売買できるようにしたことで、市場原理によって必要なところに迅速に労働力が供給され、資本主義の展開が加速します。(奴隷労働のままでは労働力の流動化が促進されず、資本主義は加速しません。)

思考実験:働いたら負け

・働いていない人ほどお金儲けができる?
・ワーキングプア:働けば働くほど貧乏になる?
・労働力は、売るよりも買う方が得?
・労働力を買うには、生産手段(土地や工場)がなければなりません。
・生産手段+原材料+労働力→商品
・モノの価格は市場原理(競争)によって決まります→労働力の価格も市場原理(競争)によって決まります。
・失業者問題。
・努力すればするほど悪循環に陥るのはなぜでしょうか。←競争する相手を間違えています。
・最も安いのは、子供の労働力です。→児童労働が発生してしまいます。
・誰もが自由で平等だったからこそ児童労働が発生してしまったのであって、もはや形式的な自由を拡大するだけでは対処不可能です。もはや努力の問題ではありません。
・児童労働を防ぐにはどうしたらよいでしょうか??? →自由を制限しなければなりません。

社会権としての教育

社会権:形式的に自由が与えられるだけでなく、全ての人が実質的に自由を使いこなすことができるように、強者に対してハンデを設け、弱者に対して様々なアドバンテージが与えられます。具体的には、生存権、労働基本権、教育を受ける権利があります。
・たとえば、最低賃金や労働時間の設定、労働組合の結成等により、成人の労働環境が守られ、児童労働の自然発生を抑制することができます。
・工場法制定など、児童労働の撤廃に向けての具体的な動きも必要です。
・誰が責任を持つのでしょうか?←「国家」の積極的な関与が期待されます。

コンドルセ marquis de Condorcet

・1743年~1794年、フランス出身。
・愛称:公教育の父。
(1)子供の学習権。
(2)教育費無償。
(3)ライシテ:政治的中立や宗教的中立。

ロバート・オーエン Robert Owen

・1771年~1858年、イギリス出身。
・キーワード:性格形成学院。
・工場法の展開

1802年徒弟の健康と道徳に関する法律制定。
1819年繊維工場では9歳以下の労働禁止。16歳以下は1日12時間以内に制限。
1833年12時間労働。9歳未満の労働禁止。13歳未満は週48時間。
1844年女性労働者の労働時間制限。
1847年若年労働者の労働時間を1日10時間に制限。
1870年教育法制定。公費による学校設立。

復習

・自由が拡大すると格差も拡大する理屈について押さえておこう。
・「社会権」の意義について押さえておこう。
・「義務教育」が成立する過程について、理論と実践の両面から押さえておこう。

予習

・「産業革命」について、おさらいしておこう。

教育概論Ⅰ(栄養)-12

▼短大栄養科 7/3(火)

前回のおさらい

・ドラえもん構造。資本主義体制での立場によって、学校にかける期待がまったく異なります。
・モニトリアルシステム。産業革命の結果、モノを作るように教育が行われるようになりました。

隠れたカリキュラム

・学校の勉強で本当に身についているものは何でしょうか? あるいは、学校で身につけるべきだと子どもたちに期待されているものは何でしょうか?

カリキュラム:教育目的を達成するために、計画的に配列された、教育内容のことです。
・正式のカリキュラム:学校や教師が教えていると公式に表明されている教育内容です。学生や保護者や世間にとって、学生が学校で身につけることを期待している学習内容です。
・正式のカリキュラムは、完璧に身についているわけではありません。が、まったく人生で困らないのは何故でしょうか?

隠れたカリキュラム:教師は教えていると思っていないし、保護者や世間も学校でそれを教えているとは思っていないにもかかわらず、いつのまにか学生たちが身につけている暗黙の内容のことです。
・たとえば、勉強はつまらないし人生で役に立たない。→役に立たないものでもガマンして努力しなければならない。→つまらないし役に立たないものをガマンして身につける習慣がつきます。
・学校で時間を過ごすうちに、知識や考え方、行動様式が、意図されないまま、いつのまにか身についています。このような習慣形成の方が、正式なカリキュラムで学ぶ知識よりも、優秀な労働者になる上で決定的に重要かもしれません。
・たとえば。遅刻しない、早退しない、無断欠席しない、授業中は席を立たない、先生の命令には無条件に従う、無意味に思えることでもとりあえずやる、相互監視する、競争する、出る杭を打つ、密告する。
・学校で身につける意識と行動様式は、すなわち、労働者として必要な意識と行動様式となります。
・隠れたカリキュラムとして、他に性別役割分業に関する意識等があると考えられています。

文化的再生産

・学歴の高い親の子どもの学歴も高くなりやすいのはなぜでしょうか?
・遺伝=生物的再生産でしょうか、環境=文化的再生産でしょうか?
文化資本:支配階級の習慣や考え方を教育システムでも高く評価することにより、もともとそういう習慣を身につけていた層が高い学歴を得て、結局は高い階級へと再生産されます。
・労働者にとってはつまらないし役に立たないように見えるものも、文化資本を独占する人々にとっては極めて優れた意味があるように見えます(音楽や美術に対する興味・関心を比べてみよう。あるいは文化資本が高い家庭と低い家庭では、見るテレビ番組をにどういう違いがでるか、考えてみよう)。
・文化資本が高ければ高いほど学校文化に親和的な人間になり、そういう人間ほど高い学歴になる傾向がありますが、それは必ずしも人間としての能力が高いことを意味しないかもしれません。
→しかし、いったん文化資本を独占した人々(つまり学校文化に親和的な人々)が大きな力を持ったとき、その権力を他の人間に渡さない理屈として、学歴主義は十分に機能します。

新教育

・20世紀初頭から世界的に広まった教育運動のことです。様々な人が活躍しますが、ほぼ共通して、主知主義的な教育を批判し、子供の自発性や能動性、創造性を重視します。日本では大正期(1912年~1926年)に流行し、大正新教育運動と呼ばれます。

人間の範囲の拡大

・「白人+男性+キリスト教徒+中産階級」のみを人間とした市民社会から、様々な人々の努力により、徐々に人間(人格を持ち、自由と権利を行使できる者)の範囲が拡大していきます。たとえば、労働者、女性、異教徒(無神論者)、子供、障害者。→動物?
・具体的な権利の拡大過程として、男子普通選挙権(労働者への公民権拡大)。女性参政権、フェミニズム(女権拡大論)。植民地の独立。公民権運動。
児童の権利に関する宣言(1959年)。児童の権利条約(1989年)。児童を、保護の対象から、権利の主体へと捉え直します。
障害者権利条約(2006年)→障害者基本法改正、障害者差別解消法(2013年)へと繋がっていきます。

復習

・「隠れたカリキュラム」と「文化的再生産」という観点から、学校教育について改めて考え直してみよう。

予習

・デユーイやモンテッソーリの仕事について調べておこう。

流通経済大学「教育学Ⅰ」(10)

■新松戸キャンパス 7/6(金)
■龍ケ崎キャンパス 7/2(月)

【補講のお知らせ】
■新松戸キャンパス=7/18(水)6限 302教室
■龍ケ崎キャンパス=7/11(水)5限

前回のおさらい

・イニシエーション、若者組。

人格の完成

・「近代」になって、現在の教育が始まる。身分制を乗り越え、すべての人が「人間」になるために同じ教育を受ける。自分がなりたい自分になるための教育。
・現在の日本の教育でも、教育基本法第一条に、教育の目的は「人格の完成」だと書いてある。教育とは、偏差値を上げるためにするものでもないし、知識をたくさん得るためにやるものでもない。
人格とは何か? 目に見えないし、触ることができないし、科学的に存在を確かめることができない。
・「好き」と「愛してる」という言葉の意味の違いをヒントに考えてみる。

 好き愛してる
個性代わりがある代わりがない
タイプ言える言えない
数値化表せる表せない
アイデンティティ変わる変わらない
様相主観的な感情存在のあり方
対象モノ(純粋理性)人格(実践理性)

・人格とは、比較できず、束ねられず、代わりがなく、変わらないようなもの。
・モノと人格は決定的に違います≒好きと愛してるの違い。
・「人格を尊重する」とは、どういうことか。→モノとして扱わないこと。

個性

・個性=Individualityの翻訳語。
・「個」性と見るか、個「性」と見るかで、意味が異なってくる。もともとは「個」性で、長所とか特徴とか持ち味などという言葉とはニュアンスが異なる。
・他のものと交換することができない、かけがえのない、なにか。それが取り去られたら、私が私でなくなってしまう、なにかのこと。それは究極的には「自由」とか「意志」とか「自律」という概念に関わってくる。
・「個性を尊重する」とはどういうことか?
・教育者が言ってはならない、個性を否定するような言葉に気をつける。
・一人一人の個性を大事にするとはどういうことか?

【児童の権利条約第7条-1】
「児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。」
*児童の権利条約:1989年に国連総会で採択し、日本は1994年に批准しました。

アイデンティティ

・日本語では「自我同一性」や「存在証明」などと訳される。「あの私」と「この私」が一致していることを証明したいときなどに用いられる。「IDカード」=Identity card。
・自同律(principle of Identity):「A=A」「わたし は わたし」
・この世に変化しないものなどあるのか? 「A→A’」
・私は常に変化し続けている(新陳代謝)にも関わらず、どうして常に「わたしはわたし」と言うことができるのか?
・わたしの属性について考えてみよう。A=X、A=Y、A=Z・・・・。常に一致しているのは何か? 主語と述語の関係に注目してみる。
・常に主語であるものにはアイデンティティが成立している。
・述語に重点を置くか、主語に重点を置くかで、同じ文章でも世界の見え方や関わり方が異なってくる。
・「主体性」や「自主性」とは何か?

復習

・「個性」や「アイデンティティ」という言葉について考えを深めよう。

予習

・「自由」や「自己実現」という言葉について調べておこう。

発展的な学習の参考

稲垣良典『人格《ペルソナ》の哲学』
「人格」という概念をどのように理解するべきかをキリスト教神学の立場から根本的に考察した本で、歴史的考察としても哲学的思索の参考としてもたいへん読み応えがある。

大澤真幸『恋愛の不可能性について』
好きであることの理由を具体的にいくつ積み重ねていっても、その人だけを好きであることは絶対に証明できないということが、分析哲学の立場から明らかにされている。

プラトン『パイドロス』
プラトン哲学のなかで、恋愛について最も深く語っている著作。恋愛というものが人間の言葉で合理的に説明できるものではなく、存在の深淵に関わることが明らかにされている。