教職基礎論(栄養)-10

▼短大栄養科 7/7

前回のおさらい

・授業で教科書を使用することは法律で決まっています。
・学習評価には、大きく分けて絶対評価と相対評価があります。指導要録は法律によって作成が義務づけられています。内申書と通知票は別のものです。

豊かな心(道徳教育)

・道徳の教科化の経緯。どうしてなかなか教科化されなかったのでしょうか。→中央教育審議会と教育再生会議の路線のズレ。
・教科化されて何が変わったのでしょうか。(1)教科書(2)評価(3)免許
・内容=「考える道徳」の推進。

【学習指導要領:総則】
道徳教育や体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。
学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)をとして学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと。
教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に 基づき、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。
人間尊重の精神と生命に対する畏敬の 念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、公共の精神を尊び、社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。(19-20頁)

教育活動全体を通じて行う

・週に一回の「道徳の時間」だけが道徳教育ではありません。
・各教科における道徳教育。
・特別活動における道徳教育。
・食育における道徳教育。

要として

・どうしてことさら道徳科の時間を設定する必要があるのでしょうか。
・「要」とはどういう意味でしょうか?

健やかな体(体育・健康)

・「健康で安全な生活」と「豊かなスポーツライフ」の実現。
(1)食育の推進
(2)体力の向上
(3)安全に関する指導
(4)心身の健康の保持増進

(1)食育の推進

食育基本法(2005年制定)

食育基本法本文
・食育は、「生きる上での基本」「知育、徳育及び体育の基礎」であり、「心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼ」すものです。

【第5条:教育関係者の役割】
(前略)子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行われなければならない。
【第11条:教育関係者の責務】
(前略)食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割にかんがみ、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努める。

学校給食法(2008年改正)

学校給食法本文
・食育の観点から学校給食の目標を改定しました。

【学校給食法第2条】
学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない。
一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
七 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。
【学校給食法第10条】
栄養教諭は、児童又は生徒が健全な食生活を自ら営むことができる知識及び態度を養うため、学校給食において摂取する食品と健康の保持増進との関連性についての指導食に関して特別の配慮を必要とする児童又は生徒に対する個別的な指導その他の学校給食を活用した食に関する実践的な指導を行うものとする。この場合において、校長は、当該指導が効果的に行われるよう、学校給食と関連付けつつ当該義務教育諸学校における食に関する指導の全体的な計画を作成することその他の必要な措置を講ずるものとする。
2 栄養教諭が前項前段の指導を行うに当たつては、当該義務教育諸学校が所在する地域の産物を学校給食に活用することその他の創意工夫を地域の実情に応じて行い、当該地域の食文化、食に係る産業又は自然環境の恵沢に対する児童又は生徒の理解の増進を図るよう努めるものとする。

第3次食育推進基本計画(~2020年)

・農林水産省:第3次食育推進基本計画本文
・農林水産省:啓発リーフレット

(2)体力の向上

・文部科学省:子供の体力向上のための取組ハンドブック。概要pdf取り組み事例一覧
・武道とダンスの必修化(2008年中学校学習指導要領改訂)

(3)安全、健康に関する指導

学校保健安全法

学校保健安全法本文

【第5条】
学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、児童生徒等及び職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。
【第27条】
学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。

学校安全の推進に関する計画

・文部科学省:学校安全の推進に関する計画本文
・大きく分けて「安全教育」と「安全指導」の二つの領域があります。
安全教育:安全に関する知識、行動する力。
→主体的に行動する態度、時間の確保、避難訓練、情報社会への対応等
安全指導:学校管理下の事故、不審者侵入、交通事故、自然災害。
→安全計画の策定、人的体制の整備、安全点検、研修の推進等。

(4)心身の健康の保持増進

・文部科学省:生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について本文
・生涯にわたるスポーツライフを推進します。部活動の位置づけが変わり、学習指導要領上に初めて定義されました。
・現代の課題=薬物乱用、性の逸脱行動、肥満や生活習慣病の兆候、いじめや登校拒否、感染症の新たな課題等。
・要因=子どもたちの心の成長の糧となる生活体験や自然体験等が失われてきており、自己実現の喜びを実感しにくく、他者を思いやる温かい気持ちを持つことや、望ましい人間関係を築くことが難しくなっていることなどが考えられます。

復習

・道徳教育が「教育活動全体」を通じて行われることを押さえよう。
・「健やかな体」について、具体的にどのような領域をカバーしているか、押さえておこう。
・特に「食育」の意義について、自分の言葉で説明できるようにしよう。

予習

・「総合的な学習の時間」や「特別活動」の内容について、イメージを持とう。
・「生徒指導」について、調べておこう。