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【池袋散歩】チャレンジ・ザ・グルメ2025

 2025年の秋も、私は池袋西口の東武百貨店に日参します。というのも、東京家政大学の栄養学部の学生と東武百貨店レストラン街Spiceの各店舗がコラボして新メニューを開発する「チャレンジ・ザ・グルメ2025」が開催されているからです。(開催期間:2025.10.23~12.3)
 今年のテーマは――ずばりブロッコリー。2026年度に「特に重要な野菜」として国の指定野菜に追加される予定の、今もっとも旬な野菜とのことです。不勉強にも知らなかった!
 ビタミンCや葉酸、カリウム、鉄分などを豊富に含み、免疫力アップや抗酸化作用、さらには幸福ホルモン・セロトニンの材料にもなるという、まさに「食べる元気のかたまり」。不勉強にも知らなかった!
 昨年のテーマは代替肉でしたが、今年は緑のモサモサ。栄養満点で、しかも美味しく、まさにサステナブルの極み。というわけで、43店舗44メニューのブロッコリー料理を食べ歩いております。以下、自腹(研究費からは出ません)で実食したメニューをいくつかご紹介します。

食べ歩きレビュー

【フルーツパーラー&レストラン 果実園リーベル】ブロッコリーと果実の彩りあんみつ

 あんみつにフルーツだけでなく、野菜を組み合わせた全く新しい発想のスイーツ。緑と黄のムースは、野菜の自然な甘味を活かしたやさしい味わいで、果物の酸味や蜜の甘さと見事に調和している。
 野菜がデザートになった瞬間を目の当たりにして、これはマジで驚いた。見た目のインパクトがすごすぎる。カボチャはともかくブロッコリーがスイーツとして成立しているのが信じられない。正直、他に似たものが思いつかない。「まじすごい」の一言に尽きる、究極ユニークな先駆的創作スイーツだ。可能性は無限大だ!

【ラーメン 鯛塩そば 灯花】ブロッコリーと真鯛まぜそば

 これは文句なしに無条件にうまかった。尿酸値が高いので医者からは「ラーメンの汁は飲むな」とキツく言われているのに、そんな忠告を寿命と引き換えにしてでも飲み干したくなるレベルの鯛出汁。そこにブロッコリーが出汁を吸い込んで、もうすごいことになっている。医者には確かに「汁を飲むな」と言われているので、私はブロッコリーに吸わせて食べたぜ。(──腹の中に入ったら同じである。)

【タイ料理 サイアム セラドン】ブロッコリーと海老の旨辛炒め麺

 ゴロゴロと入ったブロッコリーが主役の、見た目にも鮮やかな炒め麺。ぷりぷりの海老、カラフルな野菜、そしてチリオイルと生クリームという意外な組み合わせが織りなす、タイと洋のハイブリッド。まさに「辛さとコクの共演」だ。
 実際に食べてみると、文句なしのうまさ。ぷりぷりの海老とゴロゴロのブロッコリーは、見た目も食感も相性抜群。チリオイルのピリッとした辛味が食欲を刺激し、緑唐辛子の風味が効いて本場タイの香りが立ち上る。一口目から「うまー!」と声が出るタイプの料理。ブロッコリー、ついにエスニックの領域でも堂々たる主役になったぞ。

【ケーキ&洋食 66ダイニング 六本木六丁目食堂】鮭とブロッコリーのドリア

 ハヤシソースとホワイトソース、2種類の味わいが重なり合う贅沢なドリア。ブロッコリーをはじめ、秋が旬の食材がたっぷり使われており、肉と野菜の旨みがぎゅっと詰まった手作りハヤシソースが、まろやかなホワイトソースと見事に調和している。
 よくよく考えてみると、加熱しても形が崩れず、緑が映える野菜というのは、ブロッコリーかアスパラガス、スナップエンドウくらいのもの。その中でも、見た目の華やかさと食感のインパクトでは、やはりブロッコリーが一枚上手だ。ホワイトソースのなかで鮮やかな緑が映え、ゴロゴロとした存在感が楽しい。秋の味覚と溶け合うブロッコリーの旨味は格別だ。寒くなり始めたこの季節にぴったりの、心まで温まるドリアだった。

【韓国旬彩料理 妻家房~柳香姫の台所~】緑のパワービビンバ

 石焼の器に運ばれてきた瞬間、まず色の鮮やかさに心が躍る。出てきた瞬間の嬉しさがすごい。ブロッコリーはやっぱり見た目のインパクトが大きい。ブロッコリーの鮮やかな緑、卵の黄、きのこの茶――見た目からすでに栄養バランスの美学が完成している。石焼ならではの香ばしさに、卵がとろりと絡んでまろやかさが加わり、味も香りも奥行きが深い。ナムルとしての相性も抜群で、一口ごとに違う景色が見える。店内からはJRの線路越しに池袋東口方面を一望でき、開放感も満点。食事としての完成度に加えて、エンターテインメントとしての満足感まで味わえる――まさに緑のパワーを体現した一皿だったぞ。

【京の鳥どころ 八起庵】彩り豊かに和洋ミックスの洋風親子丼!

 ブロッコリーとトマトを使った和洋折衷の親子丼。公式紹介文によると、和風出汁にコンソメを合わせ、トマトの酸味が強くなりすぎないよう分量を何度も調整したとのこと。まさに研究に研究を重ねた一品のようだ。
 実際に食べてみると――これが、まじ旨い。ふわふわの卵の中に、シャキシャキのブロッコリーが絶妙に絡み合う。トマトの赤、卵の黄、ブロッコリーの緑が彩りも鮮やかで、目にもおいしい。和風だしの優しい旨みに、トマトの爽やかな酸味がほんのりアクセント。「親子丼ってまだ進化できるのか…?」と驚く新感覚の一皿だったぞ。

【そば・うどん 家族亭】野菜カレー

 香ばしく素揚げした野菜に、彩り鮮やかなブロッコリーをたっぷりのせたカレーうどん(そばも選択可)。とろみのあるカレーが麺にしっかり絡み、揚げ野菜のサクッと感と、茹で野菜のほくほく感のコントラストが楽しい。見た目にも華やかで、寒くなり始める季節にちょうどいい一杯だ。
 実はこの店、東武SPICEの中では比較的リーズナブルで、つい天ぷら盛り合わせも追加してしまった。カレーうどんに素揚げ野菜という組み合わせは初体験だったが、相性は想像以上。とりわけブロッコリーは、じゅわじゅわとカレー出汁を吸い込み、モコモコ・ゴロゴロの食感と相まって、なかなかの未体験ゾーンを切り開いてくる。なるほど、たぶん、普通のカレーライスにブロッコリーを投入しても、かなりイケるはずだ。

【火鍋・中華料理 小肥羊】ブロッコリーづくしの麻婆ワンタン麺&冰粉

[ブロッコリーづくしの麻婆ワンタン麺]
 まずは、はっきり言ってしまう。これは圧倒的に素晴らしい。麻婆の餡、つるんとしたワンタン、そしてごろっと入ったブロッコリー。この三者が、想像以上の完成度で噛み合っている。特に印象的なのが、ブロッコリーの「もさもさ部分」。麻婆餡がそこにしっかり絡み、噛むたびに内部から旨味がにじみ出てくる。味と食感が完全に一体化した感覚で、これはもう新体験。辛さとコクの中に、ブロッコリーの青みと甘みがきちんと居場所を持っていて、幸福度が異様に高い。文句なしの、絶品である。

[ブロッコリーづくしの冰粉]
 一方で、デザートの冰粉は方向性がまったく違う。見た目だけでは、どこにどうブロッコリーが使われているのか、正直まったく分からない。聞けば、茎の部分を細かくしてレモン漬けにしたり、すりつぶしてピュレにしてミルキーソースに混ぜ込んでいるらしい。なるほど、言われてみれば、確かにどこか後味がすっきりしている。特筆すべきは、普段なら捨ててしまいがちな部分を、ここまで自然に、しかも魅力的に使っている点だろう。
主張しすぎず、しかし確実に役割を果たしている。甘さは控えめで、必要なら黒蜜で調整できるのも良い設計だ。

 旨辛の頂点と、静かな甘味。この二品を並べて出してくるあたり、本気度が伝わってくる。ブロッコリーという素材を、味・食感・構造・持続可能性のすべての面から料理として完成させた、今回の企画の中でも屈指の一組だった。

【ゆであげのスパゲッティー 洋麺屋五右衛門】エビとタコとブロッコリーのペペロンチーノ~ハーブオイル風味~

 さすがに10品を超えてくると、素人目にも「ブロッコリーの魅力をどう引き立てるか」のセオリーが見えてくる。独特のビジュアルと食感を活かしつつ、味としては「出汁やオイルをしっかり吸わせる」という特性を利用する。そして、エビやタコとの相性がすこぶる良い。
 そうした意味で、このメニューはセオリーに忠実にブロッコリーの魅力を余すところなく引き出したものだ。ただでさえ油はうまいのに、ブロッコリーがそれを吸うと、食感と合わさって魅力が一気に増幅する。特別メニューということではなく、日常使いで食べたい完成度だ。

【洋食&スイーツ 不二家レストラン】ブロッコリー尽くしの緑彩りクリームスパゲティ

 上の洋麺屋五右衛門が「日常のおいしさ」としてブロッコリーの魅力を活用したペペロンチーノを完成させていたのに対し、不二家のこちらは明確に「特別メニュー」としてのクリームパスタ。まず目を奪われるのは、ブロッコリーのビジュアルが意外な形で主張する盛り付けだ。そして、スティックブロッコリーの先端を素揚げにしたサクサク食感が、口に入れた瞬間の二度目の驚きを演出する。さらにソースにもブロッコリーを使うことで、緑の世界観と特別感が一気に押し寄せる。ブロッコリーの魅力を多層的に楽しませてくれる、まさに「スペシャルな満足感」を味わえる逸品だ。

【海鮮和食 海鮮魚力】ぷりぷりエビブロもち

 小さくカットした海老と、すり身にした海老。さらに小房のブロッコリーとみじん切りのブロッコリー――4種類の素材を組み合わせた、こだわりの「エビブロもち」。ぷりぷりとした海老の食感に、ブロッコリーの甘味とほのかな苦みがアクセントとなり、噛むほどに旨みが増す。半分にカットして提供されるため、断面の鮮やかな緑が目にも楽しい一品だとのこと。
 今回は刺身定食と一緒に注文したら前菜の感じで提供された。アツアツの状態で出てきて、口に入れた瞬間に海老の弾力と旨味が広がる。ジューシーなうえ、ブロッコリーの香りがふんわりと立ちのぼり、全体のバランスも抜群。色合いなど見た目のインパクトもユニークな完成度。ブロッコリーが海鮮の世界でも違和感なく溶け込む、印象的な一皿だったぞ。

【ベトナム料理 ロータスパレス】海老と5種の野菜のバインセオ

 ブロッコリーのペーストを練りこんだオリジナルの生地で焼いた、ベトナム風お好み焼き「バインセオ」。具には海老と5種類の野菜がたっぷり入っており、この一皿で成人1日分の野菜摂取目標量350gのうち、なんと約300gをカバーできるという。葉物で巻いてもよし、甘酸っぱいタレにつけてもよし、食べ方いろいろの一品とのことだ。
 正直、この企画がなければ一生口にすることはなかったかもしれないバインセオ。店員さんに「食べ方わかりますか?」と聞かれ、素直に「わかりません」と答えたら、「巻いて食べるんです」と教わった。……が、うまく巻けずに結局バラして食べた。精進が必要だ。味は文句なし。薄い緑と濃い緑で統一された見た目は、まるでブロッコリーの正装。香ばしい生地とシャキッとした野菜、ぷりぷりの海老が調和した、オリジナリティあふれる一皿だった。

【季節の天ぷら 銀座ハゲ天】ブロッコリーソースで食べるサクサクかき揚げサラダ

 かき揚げを「ざくざくと崩しながら食べる」という新発想のサラダ。ブロッコリーに含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変わり、油と一緒に摂ると吸収率が高まる――そんな栄養学的な裏づけのもと、かぼちゃとチーズを組み合わせたそう。かぼちゃの甘味とブロッコリーのほのかな苦味のバランスが絶妙で、味わいだけでなく栄養面でも抜群の一皿のようだ。
 ……が、私はやらかした。「ざくざく崩して食べる」と紹介されていたのに、予習なしで行ったから天つゆにつけてバリバリと完食してしまった。でも、うまいものはうまい。衣の香ばしさとチーズのとろりとしたコクが合わさり、サラダというより「ご褒美天ぷら」のような満足感。普段の食卓ではなかなか出会えない、特別感のあるメニューだったぞ。期間中に本来の「ざくざく崩しながら食べる」にチャレンジしたい。

【とんかつ 伊達かつ】緑の恵みかつ御膳

 サクッとかじると現れるのは、まさかの「肉とブロッコリーの交互サンド」。お肉のジューシーさとブロッコリーの爽やかな歯ざわりがリズムよく続き、仕上げには、ブロッコリーをたっぷり使った特製ソース――中も外もブロッコリーづくしの、まさにブロッコリー二刀流だ。
 食べてみると、これは確かに新感覚。他に似たような料理を知らない。たぶん人生で初めて味わった料理だ。サクサクの衣の中に野菜の食感が潜んでいて、口の中でジューシーとシャキシャキが交互に押し寄せる。そして追い打ちのブロッコリーソース――これがまたうまい。「とんかつ×ブロッコリー」って聞くと冗談みたいだけど、食べてみるとまっとうに成立している。ブロッコリーの可能性、思っていたよりずっと広いようだぞ。

【牛たんと和牛焼き 青葉】ブロッコリー餡の白玉団子~バニラアイス添え~

 メインの牛タンと山形芋煮のセットを美味しくいただいたあと、いざチャレンジメニューへ。
 牛タンを食べて仙台にいるつもりになると、はっきり言って見た目は完全に「ずんだ」なのだが、食べてみると違う――ごまのコクとブロッコリーの自然な風味がふわっと広がる。ずんだとは異なる、これはれっきとした新ジャンルのブロッコリースイーツだ。白玉とのコラボが効いたしっとり上品な甘さで、食後の余韻がすこぶる心地よいぞ。

【抹茶ダイニングカフェ 京都 茶寮翠泉】秋香る翠のひとさら お飲み物セット

 二種のブロッコリースイーツを一皿にまとめた、まさに「翠」名前の通りの逸品。ひとつはブロッコリーピューレを練りこんだ生地に、まろやかな栗入りクリームを巻いたロールケーキ。もうひとつは、細かく刻んだブロッコリーが忍ばされた抹茶のテリーヌとのこと。どちらも秋の味覚と調和し、見た目にも味にも静かな驚きをもたらす。ブロッコリーがスイーツに入っていると聞かなければ、まず気づかないほど自然な仕上がりだ。
 私はお酒を飲まない分、甘いものとコーヒーには目がない。とはいえ、おっさん一人でスイーツを注文するのは、正直ちょっとした勇気がいるが、今回は堂々と胸を張って入店だ(特に意味はない)。結果――これは普通にうまい。栗のやさしい甘さと抹茶のほろ苦さ、そこにブロッコリーのささやかな青みが加わって、ああ、秋だねえ、という感じになる。ブロッコリー、ついに和菓子界にも進出。恐るべしだ。

【ベーカリーレストラン サンマルク】ブロッコリーミートパイ

 サクッとしたクロワッサン生地に、細かく刻んだブロッコリーとミートソースを包み込んだ小ぶりのパイ。ハーブの爽やかな香りと仕上げのゴーダチーズが全体をまとめ、一口ごとにじんわりと旨味が広がる。軽食にもおやつにもぴったりなベーカリーメニューとのこと。
 この店は、メインを頼むとパンが食べ放題で、そのうちの一品。定番のバターロールから、よもぎやコーヒーを練り込んだ変わり種まで並ぶ中、今年はそこにブロッコリーが仲間入り。見た目は小ぶりながら、サクサクとした食感と中のとろりとしたミートソースが絶妙。焼きたてでもってきてくれて、すこぶる香ばしい。グラタンと一緒にいただいたが、ヨモギやコーヒーよりもブロッコリーのほうが不思議と合っている気がしたぞ(※あくまで個人の感想です)。

【北海道イタリアン Mia Bocca】北海道産牛挽肉とブロッコリーのピッツァビスマルク

 ジューシーで食べ応えのある北海道産牛挽肉に、ビタミンCと食物繊維が摂れるブロッコリーを合わせ、隠し味にはちみつをほんのり。ブロッコリーを細かく刻む工夫で、野菜が苦手な人でも抵抗なく食べられる設計になっている。彩りも豊かで、見た目から気分が上がるピッツァだ。
 ピッツァと一緒に秋の前菜盛りを頼んだら、そちらにもブロッコリーが登場。意識したことはなかったが、どうやらブロッコリーは秋の味覚らしい。肝心のピッツァは、味はもちろん食感が見事。もちもちの生地、ジューシーな挽肉、そこにブロッコリーの「ゴロゴロ感」が加わることで、「ちゃんと食べた」という満足感がしっかり残る。奇をてらった尖り方ではなく、日常使いで素直においしい――そんな安心感のある仕上がりだった。

【北海道スープカレー Suage】ブロッコリーとアボカドのソースで食べる北海道産ポテト

 メキシコ料理のワカモレをヒントに、アボカドのまろやかさにブロッコリーを合わせた新感覚ソース。ブロッコリーのツブツブとした食感がアクセントになり、なめらかなアボカドと合わさることで、つい手が止まらなくなる。合わせるポテトは、ホクホクで甘みの強い北海道産「インカのめざめ」。素材の相性は文句なしだ。
 今回はメインに最上級の豪華スープカレーを頼み、こちらは前菜として。正直に言うと、料理に詳しくない私レベルだと、最初から「ブロッコリー入り」と言われていなければ気づかない完成度。それくらいソースとしてきれいに成立している。しかもこのソース、油との相性がかなり良さそうだ。今回はポテトだったが、例えばから揚げにつけたらどうだろう――そんな妄想が自然に広がる。ブロッコリー、ついに「万能ディップ」の領域にまで踏み込んできた感がある。

【博多もつ鍋・もつ焼 蟻月】鶏むね肉と緑花野菜 ぷるんと蟻月ポンジュレ

 旬のブロッコリーを主役に、鶏むね肉(ささみ)とトマトを合わせた、一見するととてもシンプルなサラダ。だが、ここで効いてくるのが蟻月特製の「ポンジュレ」だ。九州ポン酢をベースにしたあまじょっぱい味わいが、ぷるんとした食感とともに全体を包み込み、ブロッコリーの甘みと青みをぐっと引き立てる。
 昼どきに伺い、ランチのチキン南蛮定食と一緒にこちらのチャレンジメニューを注文。まず盛り付けと色合いが美しく、期待感が自然と高まる。食べてみると、見た目だけでなく食感の組み合わせも秀逸。味については、グルメを自称しない身としてはうまく言語化できないのだが、さっぱりしているのにどこか奥行きがあり、食べ終わる頃には「これは名店の仕事だな」と納得させられる一皿だ。

【焼肉チャンピオン】桜えび香る!ブロッコリーチーズチヂミ

 お店の人気メニュー「レンコンチヂミ」を、ブロッコリーでアレンジした一品。ブロッコリーの鮮やかな緑がまず目を引き、ひと口食べると、独特のホクホク感が心地よい。桜えびの香ばしさとサクッとした食感がアクセントになり、チーズのほどよい塩気が全体をまとめている。
 ランチタイムに伺い、赤身3種御前盛りと一緒に注文。名物のレンコンチヂミをブロッコリーに置き換えたと聞いても、まったく違和感はない。むしろ色合いはブロッコリーのほうが華やかで、食欲を素直に刺激してくる。開発側は「お酒が進む一品」としているが、アルコールがドクターストップの身からすると、焼肉前の前菜にも、軽めの締めにも使える万能選手という印象。ブロッコリー、ついにチヂミ界でも市民権を得たようだ。

【牛カツと和定食 京都勝牛】ブロッコリーとわさびのクリーミーソース

 ブロッコリーをたっぷり使った特製ソース。シャキッとした食感に、クリームチーズのまろやかさ、ヨーグルトとレモンの爽やかな酸味が重なり、後味は意外なほど軽やかだ。仕上げのわさびがピリッと効いて、牛カツの旨みをきれいに引き立ててくれる。緑と白のコントラストも美しく、見た目にも食欲をそそる。
 「ソース」として出てきたものの、実はこれだけでかなりボリューミー。牛カツとの相性は言うまでもないが、食べながら「これは応用範囲が広いぞ」と感じた。たとえばアジフライなどの揚げ物には間違いなく合うし、ポテトサラダやマカロニサラダの横に添えてあっても嬉しい。さらにはパンに塗っても成立しそうだ。ブロッコリー、ここまで来るともう野菜ソースの万能選手。一品の付け合わせにとどまらない、使い道を想像させる余白の大きさが印象的なメニューだった。

【インディアンダイニング&バー ロイヤルココナッツガーデン】ブロッコリーとエビのカレー

 ぷりっとしたエビと、ゴロゴロと存在感のあるブロッコリーを組み合わせた、彩り豊かなスパイスカレー。複数のスパイスを丁寧に配合し、香りと風味を立たせつつ、仕上げに少量のレモン汁を加えることで、後味は驚くほど軽やか。スパイスの厚みはありながら、最後まで飽きずに食べ進められる設計になっている。
 エビのぷりぷり食感とブロッコリーのゴロゴロ食感の相性が良いことは、これまでの数々のメニューで既に学習済みだが、このカレーでもその相性は健在。特にブロッコリーのじゅわじゅわ部分がカレーをしっかり抱え込み、噛むたびに旨みが広がる。ここまでくると、もう「カレーにブロッコリーを入れる」は特別な試みではなく、デフォルト仕様でいいのではと思えてくる。

【美味しいお肉と創作料理 BATON】海老と国産ブロッコリーのジェノベーゼ

 バジルが主役のジェノベーゼソースに、さらにブロッコリーを混ぜ込むという、緑×緑で深緑。ブロッコリー由来のやさしい甘みが加わることで、ジェノベーゼ特有の尖りがやわらぎ、全体としてとてもまろやかな味わいに仕上がっている。栄養面でも、1日分のビタミンCに加え、成人女性の1日必要量の約2/3の食物繊維を含むという、なかなか頼もしい内容だ。
 ブロッコリーに海老が掛け合わさった時点で、「これはもう絶対にうまいやつ」と確信できる程度には、こちらも学習が進んでいる。実際、もちろんうまかった。とりわけ印象的なのは、ブロッコリーのじゅわじゅわ部分がニンニク油をしっかり吸い込み、噛むたびに旨みがにじみ出てくるところ。バジル、ニンニク、オイル、海老――そのど真ん中に、ブロッコリーが違和感なく収まっている。もうブロッコリーは定位置を完全に見つけた感がある。

【イタリアンバール POLLO PORRO】ブロッコリーと彩りのタルタル

 茹でたてのブロッコリーに、ぷりぷりのボイル海老、旨みの濃いスモークサーモンを贅沢に合わせた一皿。赤パプリカの彩りと玉ねぎのシャキシャキ感が加わり、特製タルタルソースで全体をまとめている。レモン汁の爽やかさと、仕上げのチリパウダーのほのかな辛みが効いていて、味の輪郭がとてもはっきりしている。
 もうね、エビとブロッコリーの組み合わせは完全に鉄板。ここまで来ると、これで不味くするほうが難しいのでは、と思うほどだ。この一皿は、そこにスモークサーモンで「味の深み」を、玉ねぎで「食感の奥行き」を重ねてきて、前菜としての満足度を一段引き上げている。ワインとの相性も申し分なく、彩りも美しい。前菜としてこれ以上を求めるのは贅沢かもしれない。

【日本そば 永坂更科 布屋太兵衛】ブロッコリーと秋野菜の天ぷらのふきよせ盛り~胡麻ダレ蕎麦~

 ブロッコリーの天ぷらは、衣の中でほんのり甘みが引き出され、サクッとした食感が蕎麦の素朴な風味をきれいに受け止める。さらに、香ばしい胡桃の効いた胡麻ダレが加わることで、まろやかなコクが生まれ、ブロッコリーの旨みが一段と際立つ。
 ブロッコリーが天ぷらになっているという見た目は新鮮だが、味と食感に関しては、もはや「天ぷらの王道」と言っていい。ほのかな甘みとゴロゴロした食感は、レンコン、カボチャ、ナスと並んで、天ぷら向き野菜の筆頭に挙げてまったく問題ないだろう。素材の持ち味をそのまま活かすという点でも、天ぷらという調理法は極めて相性が良い。特別メニューとして驚く段階をすでに越えている。ブロッコリー天ぷらは、もう日常に溶け込んでいい。

【串揚げ KUSHIハゲ天】ブロッコリーと梅の和風串&ブロッコリーとクリームチーズのハニー春巻きセット

[ブロッコリーと梅の和風串]
 外はサクッと、中はふわり。はんぺんのやさしい口当たりに、ブロッコリーの彩りと、梅の爽やかな酸味が重なる創作串だ。口に運ぶと梅の香りがふわっと立ち上がり、全体を軽やかに引き締める。後味は驚くほどさっぱりしていて、確かにお酒が進みそう。
[ブロッコリーとクリームチーズのハニー春巻き]
こちらは一転して甘の世界。サクッとした春巻きの皮を割ると、とろりとしたクリームチーズ、コーンのやさしい甘み、そしてブロッコリーが一体となって広がる。仕上げのハチミツが全体を包み込み、デザートとしても成立する新感覚の一本だ。

 季節コースと一緒にこのチャレンジメニューを注文。正直に言うと、どちらも50年近く生きてきて初めて出会ったタイプの料理だった。しかも、言われなければブロッコリーが使われていることに気づかないレベルで高度に加工されている。言われてもなお、私程度の舌では完全に把握しきれない――それくらい、味も食感も複雑で奥行きがある。これはたぶん、食通が食べると静かにうなるタイプのメニュー。ブロッコリーは、ここまで抽象化されても、ちゃんと料理としての芯を失っていない。
 さらに印象的だったのが、店内のロケーションだ。夕焼けの時刻に伺ったのだが、お店はちょうど西側に開けており、店員の方が気を利かせてカーテンを開けてくれると、池袋の町が見事な夕焼けに照らされていた。揚げたての串を味わいながら、赤く染まる空を眺める――これはもう、食事というより体験。贅沢すぎる。料理の完成度に、この景色が加わることで、満足度は一段階跳ね上がる。

【スペイン料理 BIKiNi medi】たらとブロッコリーのマリネ~シェリービネガーの香り~

 ブロッコリーを主役に据えた、彩り豊かなスペイン風マリネ。歯応えが残る絶妙な加減で茹でたブロッコリーに、玉ねぎのシャキシャキ感を重ね、たらのやさしい魚介の旨みを合わせている。
にんにくと唐辛子をじっくり加熱して香りを引き出したオイルが全体を包み込み、仕上げにシェリービネガーのまろやかな酸味が加わることで、コクがありながらも後味はすっきり。いかにも地中海らしい一皿だ。
 秋の種タパスとパエリアに合わせ、前菜のつもりでオーダー。アルコールはドクターストップなのでノンアルビールで楽しむ。これまでの経験で、ブロッコリーと海老の相性が抜群なことは十分学習したが、今回はタラとの組み合わせ。結果はもちろん、大正解。そして改めて実感するのが、ブロッコリーと油の相性の良さ。吸う、吸う。もこもこの部分がオイルの旨みをしっかり抱え込み、噛むたびに風味がじわっと広がる。玉ねぎ、にんにく、唐辛子が重なり合う複雑で奥行きのある味わい。これは間違いなくワインが欲しくなる一皿だ。飲めたら極上の組み合わせになっただろうな、と思いつつ、それでも十分に満足度は高い。ブロッコリーは、スペイン料理の文脈でも、きちんと主役を張れる。

【北京料理・餃子 銀座 天龍】ごろごろブロッコリーのふわとろエビたま丼(スープ付)

 コリコリのブロッコリー、ぷりぷりのエビ、ふわふわの卵。一杯の中に異なる食感が重なり、赤・緑・黄の彩りも鮮やかな丼ぶりだ。見た目からして期待値が高いが、ひと口目でそれを軽々と超えてくる。すこぶる、うまい。エビ×ブロッコリーの最強タッグはこれまで何度も確認してきたが、ここに「とろふわ卵」が加わることで、味の立体感が一気に増す。コクがありつつ重すぎない――その理由は、後から解説を読んで腑に落ちた。なるほど、バターで炒めているのか。中華の技法に、洋食のコクが重なっているらしい。結果として、これは「中華なのに洋食っぽい」という不思議な着地。だが違和感はなく、むしろ完成度が高い。ブロッコリーはごろごろと存在感を保ち、卵は全体を包み、エビが主張する。それぞれが役割を果たしつつ、きれいに噛み合っている。これが「三位一体」というやつだ。丼ものとしての満足感、味の奥行き、彩りの美しさ。どれを取っても抜かりなし。ブロッコリーは、ここでもまた主役としての居場所を確実に獲得していた。

【大かまど飯 寅福】ブロッコリー入り!鶏と豆腐のつくねハンバーグ

 鶏肉と豆腐のつくねに、刻んだブロッコリーを混ぜ込んだ新感覚のハンバーグ。ふんわりとした口当たりの中に、ブロッコリー由来のほのかな食感と旨みが加わり、軽やかさと食べ応えがうまく両立している。水菜や茗荷、かいわれの爽やかな香り、ナスやかぼちゃの素朴な甘みが添えられ、一皿の中で味と香りのグラデーションが楽しめる。彩りもよく、見るからに体に良さそうだ。
 この店は、健康的な和食が食べたくなったときに新宿LUMINEでよく利用しているのだが、池袋東武店は実は今回で2回目。というのも、いつ行っても結構混んでいて、行列が苦手な身としてはなかなかハードルが高い。今回は比較的すいている時間帯を狙って入店した。このメニュー、値段も良心的で、野菜をしっかり摂りたいときにちょうどいい。味も「ヘルシーだから控えめ」という感じではなく、ただのつくねとは一線を画す奥行きがある。ブロッコリーは主張しすぎず、しかし確実に全体の底力を支えている。体にやさしく、気持ちにも余裕が生まれる。そんな食事をしたい日に、ちゃんと応えてくれる一品だ。

【灘の酒と和食 御影蔵】ブロッコリーと長芋の具沢山バター醬油&カボス胡椒香るしらすとブロッコリーの酢醤油和え

 ブロッコリーを主役に、コクとさわやかさという正反対の方向性を提示してくる二品。一方はバター醤油で仕上げた炒め物、もう一方はカボス香る酢醤油和え。どちらも醤油ベースでありながら、食材と香りの組み合わせで、まったく異なる印象に着地しているのが面白い。
 夜は酒処として賑わう店だが、アルコールをドクターストップされている身としては昼に訪問。秋詣膳ランチに加えて、このチャレンジメニューを注文した。秋詣膳自体の完成度も高かったが、この二品の存在感がとにかく強い。
 まずブロッコリーと長芋の具沢山バター醤油。長芋のシャリシャリ感、ホタテとしめじのむにゅっとした食感、そこにブロッコリーのゴロゴロした存在感が加わることで、これまで体験したことのない食感のレイヤーが生まれる。バターのコクはあるのに重すぎず、口の中が忙しいのに不思議とまとまっている。もちろん、うまい。
 続いてしらすとブロッコリーの酢醤油和え。こちらは一転して軽やか。ブロッコリーのもさもさ部分に酢醤油がしっかり染み込み、それだけでも十分においしいところへ、しらすが加わることで味にも歯ざわりにも奥行きが生まれる。さっぱりしているのに、物足りなさはまったくない。
 日常使いというよりは、「今日は手の込んだいいものを食べたい」日に選びたい特別な二皿。ブロッコリーが主役でありながら、和食の懐の深さをしっかり感じさせてくれる。

【純喫茶・スイーツ・軽食 但馬屋珈琲店】ブロッコリーのきんぴらの焼きおにぎり(2個/サラダ付)

 この焼きおにぎり、なんとブロッコリーをきんぴらにしているという。正直に言えば、注文前はまったくイメージが湧かず、不勉強ながらこの機会に「きんぴら」の定義を改めて知ることになったわけだが、それでもなお「ブロッコリーをきんぴらにする」という発想は、なかなか頭が追いつかない。ところが、食べてみると――なるほど、確かに「きんぴら」だ。ブロッコリーのもさもさした部分に、油と調味料がしっかり染み込み、噛むほどに旨みが立ち上がる。焼きおにぎりにすることで香ばしさも加わり、
どこか懐かしいのに、確実に新しい。これは新感覚だが、奇をてらった感じはなく、ちゃんと日常に馴染む。
 このメニューは、花蕾部分の特徴を最大限に活かした絶妙な仕上がりだが、ふと考える。捨ててしまいがちな茎の部分を細切りにして、きんぴらにしても、きっとおいしく成立するのではないか。
 ブロッコリーは、茹でても、炒めても、揚げても成立するが、ついに「きんぴら」という日本的調理法ど真ん中にまで踏み込んできた。静かな一皿だが、示している可能性はかなり大きい。

【純喫茶・スイーツ・軽食 但馬屋珈琲店】ブロッコリーとジェノベーゼとモッツァレラのもちもちパスタ(サラダ付)

 但馬屋珈琲店は今回2メニュー同時展開だったため、思い切って両方をオーダー。結果、サラダが2皿並ぶという、なかなかシュールな光景になったが、もちろんどちらも一人で美味しくいただきました。
 ジェノベーゼはもともとバジルの緑が印象的なソースだが、そこにブロッコリーが加わることで、さらに濃厚な深緑になる。まず視覚的に心が躍る。具にはブロッコリーのほかにじゃがいもも混ざっていて、同じ「ホクホク」でも性格の違う食感が楽しめるのが面白い。そしてやはり、ブロッコリーのもさもさ部分が油を吸い込んだときの旨さは別格だ。
 ここまで完成度が高いと、これはもう特別メニューではなく、ジェノベーゼ+ブロッコリーは常設でいい。そう思わせるだけの説得力がある。

【うなぎ・和食 味乃宮川】ブロッコリー天なめこあんかけ

 香ばしく揚げたブロッコリーに、とろりとなめこ餡を合わせた、秋らしい一品。衣は軽やかにサクッと、中はほくほく。ブロッコリーの緑は揚げてもなお鮮やかで、見た目にも印象に残る。
そこへ優しいなめこ餡が重なり、口当たりと温度、味わいに奥行きが生まれる。主張しすぎないが、確実に記憶に残る和の仕立てだ。
 ランチ時に伺い、和定食と一緒にチャレンジメニューとして注文。正直に言えば、この企画以前、ブロッコリーの天ぷらを食べた記憶はほとんどない。だが今となっては、なぜ今まで天ぷらにしてこなかったのか不思議に思うほど、ブロッコリーは天ぷら向きだ。まず形状がいい。花蕾の凹凸が衣をまとい、外はサクッと、中はホクホク。甘みは控えめで、油の香ばしさをきれいに受け止め、他の食材の邪魔をしない。天ぷらとして、かなり完成度が高い。この皿では、そこになめこ餡が加わることで、サクサク×ホクホク×とろりという三層の食感が成立している。鰻という主役の合間に挟む箸休めとしても秀逸で、食事全体の満足感を静かに押し上げてくれる。派手ではないが、あると確実にうれしい。そんなサイドメニューの理想形のような一皿だった。

【ニホンの食卓 つくみ】緑のもちふわドーナッツと北海道の牧場ミルク

 食後のデザートとして、コーヒーと一緒にオーダー。見た目の上ではブロッコリーが使われているとは想像すらできないので、味でも主張しないのかと思いきや――これが意外。豆腐と白玉粉を使った生地は、もちふわとした食感に、外側のサクッと感が重なり、口当たりは軽やか。ひと口目から、ブロッコリー特有のほろ苦さと甘さがはっきり感じられ、独特で奥行きのある味わいになっている。甘さ一辺倒ではなく、むしろ大人向け。そして、この苦甘さがブラックコーヒーと抜群に合う。「甘いだけのスイーツには、もうあまり惹かれない」という人には、かなり刺さるはずだ。ブロッコリーはここでも、単なる色味や話題性ではなく、味の核としてきちんと機能している。食後の余韻を楽しむ一皿として記憶に残る。

【四川料理 四川飯店】海老と彩り冬野菜のブロッコリーソース炒め

 正直なところ、ここまで多くのチャレンジメニューを食べてくると、「エビ×ブロッコリー」と聞いただけで、もう勝利は約束されたようなものだ。だが同時に、舌はすっかり贅沢になっていて、それだけでは満足できなくなっている。その点、この料理は期待をきちんと超えてきた。野菜のバリエーションがとにかく豊かで、ぷりぷり、ホクホク、シャキシャキ、ゴロゴロ、じゅわじゅわ――食感が全方位から押し寄せてくる満漢食感。そこにブロッコリー特製ソースが絡みつき、これまで味わったことのない、不思議で完成度の高い一皿に仕上がっている。ソースにはチーズが溶け込んでおり、四川料理らしからぬ(と言ったら失礼かもしれないが)まろやかで深みのあるコクが全体を包む。おそらく、ブロッコリーがなければ、ここまで味・見た目・食感に奥行きのある構成にはならなかっただろう。主役であり、つなぎ役であり、演出装置でもある。四川飯店のこの一皿は、ブロッコリーが単なる流行素材ではなく、料理を立体化するための中核素材であることを、はっきりと示していた。

【熟成肉 ハンバーグ&ステーキ Old Manhattan】ブロッコリーのチーズソースディップ

 松坂牛のハンバーグランチと一緒に、前菜としてオーダー。まず目を引くのが見た目の美しさ。茹でたブロッコリーの濃い緑と、ブロッコリー入りチーズソースの淡い緑のコントラストが心地よい。ゴボウやサツマイモの配置もかわいらしく、それぞれのシャキッ・ホクッとした食感の違いが、食べ進めるたびに小さな幸福感を積み重ねていく。このあとにハンバーグが控えていることを思えば、味を主張しすぎず、しかし確実に期待値を引き上げる――前菜として、これ以上望むものはない。
 ブロッコリーはここでも主役を張りつつ、主菜を迎えるための空気を整える名アシスト役をきっちり果たしていた。

総括:ブロッコリーという食材の再発見

 ここまで数多くのブロッコリー料理を食べ歩いてきて、はっきり分かったことがある。ブロッコリーの魅力の一つはもちろん栄養価が高いことだが、しかし単なる「栄養価の高い野菜」にとどまらない。料理として、きわめて優秀で、しかも伸びしろが異常に大きい素材だ。以下、今回の体験を踏まえて、ブロッコリーという食材を整理してみたい。

① 味 ――「控えめ」だからこそ、強い

 ブロッコリーの味は、主張が強いわけではない。だが、ほんのりとした甘みと、わずかな苦み、そして青み。この控えめな味の設計が、実は非常に強い。出汁、油、ソース、スパイス、発酵、甘味。どんな文脈に置かれても、ブロッコリーは決して喧嘩せず、しかし確実に存在感を残す。
 とりわけ印象的だったのは、「吸う」力だ。出汁も、オイルも、餡も、ソースも――ブロッコリーはそれらを抱え込み、噛んだ瞬間に内側から放出する。これはもう、味の媒体としての才能と言っていい。

② 見た目の形状 ――「料理映え」する野菜

 ブロッコリーは、とにかく形がいい。花蕾のもこもことした立体感、鮮やかな緑、大小のリズム。加熱しても形が崩れにくく、色も残る。天ぷら、炒め物、煮込み、パスタ、丼、デザート。
どんな皿に乗っても、一目で「主役がいる」と分かる視覚的強度がある。料理人にとって、これほど扱いやすく、しかも映える野菜は、そう多くないだろう。そしてこの形状こそ「吸う」力を生み出している、他の食材にはない極めてユニークな特徴だ。

③ 食感 ――「一種類なのに、多層」

 ブロッコリーは、食感が一枚岩ではない。シャキッ、ホクッ、ゴロッ、もさもさ、じゅわっ。部位や調理によって、まったく異なる顔を見せる。
 今回の企画では、ゴロゴロした存在感、刻んで混ぜ込むことで生まれる軽やかさ、ペースト化によるなめらかさ、揚げによるサクサク感、餡やソースを含んだ「じゅわじゅわ感」、こうした食感の変奏が、料理全体の立体感を大きく引き上げていた。一種類の野菜で、ここまで活躍できる素材は、正直かなり珍しいのではないか。

④ 調理法との相性 ――「守備範囲が広すぎる」

 茹でる、焼く、炒める、揚げる、煮る、和える、潰す、練り込む、甘くする。和・洋・中・韓・エスニック・デザート。主菜、前菜、付け合わせ、ソース、スイーツ。今回の企画を通じて、
ブロッコリーが苦手なジャンルは、ほぼ存在しないという結論に至った。しかも、「無理やり使われている」感じがない。どの料理でも、ブロッコリーは自然に居場所を見つけ、料理の完成度を押し上げていた。個人的には、今度、鍋やおでんに投入してみようと思った。

料理としての可能性

 ブロッコリーはもう、私の中では「健康のために仕方なく食べる野菜」とか「彩りを添える脇役」ではない。料理の構造を支え、味を運び、食感を設計し、見た目を完成させる中核素材だ。
そしてそれは、偶然ではなく、きちんと考え、試行錯誤し、料理として向き合った結果、見えてきた可能性である。
 この企画に携わった東京家政大学・栄養学部の学生のみなさんに、心から感謝したい。正直に言って、「学生企画だからこのくらいだろう」と思わせる料理は、ひとつもなかった。どのメニューにも、素材理解、栄養的な裏づけ、味と食感の設計、見た目への配慮が、きちんと感じられた。何より、「ブロッコリーって、こんなに面白いんだぞ」というメッセージが、皿の上からまっすぐ伝わってきた。――ブロッコリー、恐るべし。そして、若い力もまた、恐るべし。
 これから先、どんな道に進むとしても、「素材の特徴と持ち味をよく見て、しっかり考えて、どんどん試して、素材が本来もっている力を引き出す」、この経験は、必ず力になる。おそらくその原則の適用範囲は、料理に留まらない。

【池袋散歩】チャレンジ・ザ・グルメ2024

 2024年の11月は、池袋西口の東武百貨店に日参しておりました。というのは、東京家政大学の栄養学部の学生と東武百貨店レストラン街Spiceのお店が協力してメニューを開発する「チャレンジ・ザ・グルメ2024」が開催されていたからです。(開催期間:2024.11.1~12.1 ※イベントは終了しています)。
 今年のテーマは「サステナブルな美味しい未来!」ということで、植物由来の代替肉や環境に優しい油を使ったメニューとのことです。実はわたくし何を隠そうお肉大好きマンで、高くて旨い肉に目がないので、植物由来のお肉は人生で一度も口に入れたことがありません(気がついていないだけかもしれないが)。さて、ベジミートなるものは旨いのか。
 イベントで提供された47メニューのうち、30日間で実際に食べたのは24メニュー、かろうじて過半数を実食できました。いただいた料理の感想を記しておきます。

【熟成肉 ハンバーグ&ステーキ Old Manhattan】植物由来!!ダブル濃厚チーズハンバーグプレート

 お肉が植物由来というだけでなくチーズも植物由来というコラボで、ワンプレートに載っているものすべてが実は野菜というところでイベント趣旨に徹底しているわけですが、この組み合わせは味の面でもピッタリだったと思います。このお店はがっつり食べるために8,000円覚悟で入る肉食系の店という印象でしたが、お値段もお財布に優しくて、ベジタリアンも安心して連れて行けて、みんなに嬉しいメニューじゃないでしょうか。

【北海道イタリアン Mia Bocca】北海道産ソーセージと「農家のベーコン」のディアボラ

 ピザのチーズだけでなく、そぼろのお肉も植物性由来ですが、ソーセージとベーコンは本物肉というハイブリッドな一品です。そんなわけで本物と植物由来のそぼろ肉を比べてしまうわけですが、ベジミートの存在感はソーセージ・ベーコンに負けていません。植物性チーズもとろとろで、全体的なバランスも良かったと思います。

【タイ料理 サイアム セラドン】大豆ミートのガパオチャーハン

 にんにくやトウガラシなどで濃いめの味つけがあるからか、由来が動物性か植物性かに特に影響なく、肉を食ったなあという食後感になります。パプリカなどとの食感の組合せもよかったように思います。濃いめ味付けのアジア系フードには、全般的にベジミートが合いそうな印象です。

【純喫茶・スイーツ・軽食 但馬屋珈琲店】デリプランツのティラミス風クリーミーチーズケーキ

 ホットコーヒーと一緒にいただきました。このクリームチーズが植物由来とは、私がスイーツを食べなれていないせいかもしれませんが、指摘されても分かりません。肝臓にダメージを負っている身としては、罪悪感なく甘いものが食べられてありがたいのでした。

【ゆであげのスパゲッティー 洋麺屋五右衛門】植物ベースのチーズとホイップで作る濃厚カルボナーラ

 ランチでいただきました。バターもチーズもホイップクリームも植物由来だそうだけれど、言われたところで私の舌ではまったく区別できず、普通においしいカルボナーラとしていただきました。

【鮨処 銀座 福助】大豆ミートのビビンバ風肉寿司・ツナサラダ軍艦

 握り寿司ランチに、このチャレンジメニュー2品を加えていただきました。ビビンバ風肉寿司のほうは、さすがに舌が慣れてきてベジミートだと分かりますが、味付けも絶妙で、最初からこういうものだと分かっていれば普通においしくいただけます。一方、ツナがベジミートというのは知らないとなかなか気付かなそうで、味付けがあると何の違和感もなくいただけます。いずれにせよ、寿司ネタに植物性由来の肉を使うのはおもしろくて、アイデア次第でいろいろな可能性が開けそうだと思いました。

【北京料理・餃子 銀座 天龍】大豆ミートの回鍋肉

 油断して餃子一人前も一緒に頼んだら凄い量が来てしまって、テーブルに並んだ時には一瞬どうしようかと思ったけれども、結局ぜんぶさくさくおいしく食べてしまいました。味付けも濃いめで、野菜の食感も合っていて、言われないと大豆ミートとは分からなさそうです。

【牛カツ・和食 牛カツと和定食 京都勝牛】植物生まれのチーズを使用したチーズサルサ牛カツ膳

 牛カツ自体を食べたことがたぶん初めて(豚カツはやたらと食べる)だったけど、チーズとの組み合わせに全然違和感がなく、さくさく食が進みました。肉自体は本物?としても、ソースなど味付けに植物由来のチーズや油を使うという選択肢が加わると、新しいアイデアや工夫の余地がぐんと広がりそうです。

【日本そば 永坂更科 布屋太兵衛】ダブルカレー南蛮そば

 本物肉とベジミートの両方がトッピングされたカレーそばです。本物肉と並べて食べると、さすがに大豆ミートだということはよく分かるので、分かったうえで食感と風味を楽しむメニューでしょう。ところでカレーそばとかカレーうどんというメニューは自分から進んでオーダーすることはなくて、こういう機会でもないと食べませんが、ふつうにおいしいですね。

【ベトナム料理 ロータスパレス】食感豊かなごろごろ野菜のベトナムカレー

 さすがにベジミートを食べまくって味や食感を直接経験した後だと、これぐらいの大きさの塊で入ってるものは確実にそれと分かるようになってきます。で、ベジミートをカレーの具材として、特に野菜たっぷりカレーの具材に使うというのは、味や風味の観点からも、とてもぴったり来るやり方のように思います。春巻も一緒に頼んでボリューム大満足でしたが、実質野菜ばかりでカロリーはそんなにないんだよね。

【四川料理 四川飯店】色とりどりの冬野菜きんぴら

 どうやら本来は大人数で小皿でいただくメニューっぽかったのですが、ソロだったからライスセットも頼んで定食にしていただきました。そぼろ状態のベジミートで味付けもしっかりしていると、言われたところでベジミートだとは分かりません。そぼろ状ベジミートには多様な使い方がありそうな印象です。

【韓国旬彩料理 妻家房~柳香姫の台所~】大豆ミートの石焼ビビンバ

 このお店は前菜バイキングが心躍ります。石焼ビビンバはメインのお肉だけでなく、バターも植物由来というところが素敵です。ベジミートは塊で存在感を主張しているのですが、鍋でじゅうっとして、溶かしたバターと絡めていただくと、本物肉とはまた異なった味わいがあって、なかなか挑戦的なメニューだと思いました。おいしかったです。

【フルーツパーラー&レストラン 果実園リーベル】ピスタチオとチーズムースのパフェ

 さすがにオッサンひとりでこういう映えるスイーツを注文するのはどうかと思っていましたが、逆にこんな機会でもないと一生食べないメニューだろうと考えなおし、ドリンクバーでコーヒーを何杯かいただきつつ、完食してまいりました。罪悪感なく生クリームをいただいて大満足でした。頼んでよかった。

【季節の天ぷら 銀座ハゲ天】れんこんとさつまいもでVEGEサンド天2品盛り

 ディナーの天ぷらメニューに追加でいただいてきました。そぼろ肉とチーズが植物由来のメニューです。そぼろ肉はやはりこういう形で調理されると、言われたところでベジミートだとは気がつきません。さくさくの衣と濃厚なチーズのコクが相まって、たいへんおいしくいただきました。天ぷら大好きだけど肝臓にダメージを負っている身としては、コレステロール大幅カットだと聞いて大喜び。

【海鮮和食 海鮮魚力】厚揚げでツナサラダサンド

 ランチの刺身メニューに追加していただきました(ごはん少なめにした)。このツナが植物由来とは、言われてもまったく気がつきません。そもそも厚揚げでツナを挟んで揚げるという発想が私の人生からは出てこないので、感心しながらいただきました。厚揚げサンドを深堀したら、低カロリーのおもしろいメニューがいろいろできそう。

【ケーキ&洋食 66ダイニング 六本木六丁目食堂】トマトソースと秋野菜の煮込みハンバーグ

 ベジミートもこれくらいの大きな塊になっていると、さすがに言われなくても分かるようになってくるのですが、カレーなどと同じく煮込み系だったり、大きくカットされた野菜と一緒になっていると、特に違和感もなくおいしくいただけるような印象です。大きな塊になるほど料理人の腕が活きてくる感じでしょうかね。

【抹茶ダイニングカフェ 京都 茶寮翠泉】秋色抹茶のレアチーズケーキ

 彩りも素敵なスイーツでした。普段はオッサン一人では頼まないような素敵メニューですが、せっかくの機会を逃さず喜び勇んで注文してきました。まあ、スイーツを食べなれていないせいがあるのかどうか、言われたところで植物性由来だとは気がつかないでしょう。

【洋食&スイーツ 不二家レストラン】5種きのこのポルチーニソースオムライス

 実は普段からオムライスには目がないのですが、これは食感がユニークなメニューでした。それに気を取られていると、おいしくいただいているソースに大豆ミートが使われていたことにまったく気がつかないまま、完食です。食べ終わった後に、どこにベジミートが使われているかを調べて、へーっと思ったのでした。

【ラーメン 鯛塩そば 灯花】ピリ辛!オーツ鯛らぁ麺

 そぼろ肉だけでなく、オーツミルクも植物由来ということで驚きます。鯛の出汁と相性がぴったりでした。腎臓にダメージを負っているのでラーメンスープは飲まないようにしている(というか基本的にラーメンは食べない)のですが、塩分とコレステロールが低いと罪悪感なくいけます。

【火鍋・中華料理 小肥羊】大豆ミートのピリ辛あんかけ丼

 そぼろ肉でこれくらい強めの味付けだと、言われたところで大豆ミートだとは分からず、ふつうにおいしくいただきました。ここのお店の本来の売りである火鍋はオーダーしなかったので、それはまた近いうちに試してみたいです。

【イタリアンバール POLLO PORRO】ポテトのガーリックチーズソース

 これは何種類かの植物由来チーズとバターをブレンドしたもののようで、とろっとろの状態でおいしくいただきました。ディナーで行ったのでメインが来る前にワインと一緒にいただきましたが、確かに相性が良いです。

【インディアンダイニング&バー ロイヤルココナッツガーデン】パンプキンといんげんとキーマと3種のチーズカレー

 野菜ゴロゴロ系カレーだから肉にベジミートが使われているかと思い込んでいたら、チーズ3種類が植物由来で、意表を突かれました。コクがあっておいしい。初めてのお店だったから中辛でオーダーしたけど、このチーズがあるなら辛口でいくのもおいしそう。

【とんかつ 伊達かつ】植物肉梅メンチカツと牡蠣フライ定食

 実は一番驚いたのはこのお店の牡蠣(さすがに動物性)のあまりのデカさだったけれども、何も気がつかずに普通においしく植物性メンチカツもいただいておりました。植物由来肉そぼろは他のメニューでも使い勝手が良いだろうことは分かりますが、メンチカツみたいに固めてもおいしいです。ロールキャベツとか、肉まんとか、いろいろバリエーションが広がりそう。

総括

 いやまあ、とにかく感心しました。うまい。さすがにデカいベジミートの塊だと本物肉?と違うことはすぐに分かるけれども、メニュー開発の工夫と料理人の腕でどうにでも美味しくなることを実感しましたし、違いがあること自体はたぶん本質的な問題ではないでしょう。
 思い出したのが、もう30年ほど前の大学院生時代のできごとです。ドイツからマーティン君という留学生が日本教育史研究室に配属されたのですが、その彼が、私が初めてリアルで出会ったベジタリアンでした。で、彼が大学生協に興味があるというので(ドイツにはなかったらしい)生協食堂に連れて行ったところ、その当時は(あるいは今でも)ベジタリアン向けメニューなんてものは一切なく、メニュー表を見て困っていたマーティン君に「サラダ」をお勧めするしかなかったのですが、なんと提供されたサラダにはツナが満載されていて、彼はツナを全部よける努力をする羽目に陥ったのでした。その光景は自分にとってはなかなかのカルチャーショックで、「多様性」なるものの実態を肌で感じた出来事でした。
 で、現在は東京のところどころにビーガン向けやハラルメニューのお店があるけれども、まだまだ数は少ないし、一般店舗で配慮することは(30年前の生協食堂と同じく)まだまだ広まっていないように思います。つまり、マーティン君を「ふらっ」と連れていけるお店がないということです。逆に、こういうメニューが一品目でも用意されているお店を知っていれば、そこにはどんな人(特に海外からのお客)でも安心して連れていくことができます。マーティン君にサラダを勧めてツナをよけさせるなんてガッカリなことは起こりません。(そのお店のツナは植物由来ですから)。
 今後ますます国際化が進行する日本で多様な食文化が混在する状況になりつつあるとき、あるいは個人の食物アレルギー等への配慮を進めようというとき、こういうメニュー開発がいよいよ重要になっていきそうな気がします。

リンク

▼プロの料理人と学生との協働 プラントベースフードを使ったメニュー開発(東京家政大学ヒューマンライフ支援センター)
▼チャレンジ・ザ・グルメ2024(東武百貨店)

■産学連携企画 池袋東武×東京家政大学 「チャレンジ・ザ・グルメ 2024~未来のグルメにチャレンジ~」 プラントベースフードを使用した新メニューを共同開発!(@Press)
■東京家政大学の学生と東武百貨店 池袋本店 レストラン街スパイスがプラントベースフードを使用した新メニューを共同開発 ― 11月1日~12月1日の「チャレンジ・ザ・グルメ 2024~未来のグルメにチャレンジ~」で提供(大学プレスセンター)

【池袋散歩】池袋の基礎―エリア・ランドマーク・地下構造・東西連絡・五差路で把握しよう

 以下、あくまでも池袋歴25年の経験を踏まえた、ただの個人的な見解です。(2022年版)

池袋をエリアで捉える

 池袋は、6つのエリアに分けると、わかりやすいです。それぞれのエリアで異なる特徴があります。

【東】若い人の比率が高い繁華街です。ヤマダ電気やビックカメラなどの家電量販店や、サンシャイン・シティを中心としたショッピング施設や飲食街、水族館やナンジャタウン等のアミューズメント施設のほか、ポケモンやラスカル、りらっくま等のキャラクターグッズ店に加え、乙女ロードを軸とした腐女子向けスポットが世界一充実しています。週末の東池袋中央公園はしばしば異世界になり、楽しいです。区役所跡地にハレザが完成して池袋中央公園が奇麗になり、さらに女子が増えました。東急HANDSが閉店して、今後何か動きがあるかどうか。

【西】東京芸術劇場を中心に文化と芸術の薫りが漂っているのは、池袋モンパルナスの名残なのかもしれません。ウエストゲートパークの印象も強いのですが、自由学園など歴史的な建造物もあって、現在はちょっぴり落ち着いた人も楽しめるエリアになっているように思います。駅前広場が大改装されて、そこだけは昭和感がかなり緩和されて現代的な感じになりましたが、路地を一歩入るとまだ昭和な雰囲気が残っています。

【南】ジュンク堂と三省堂という大きな書店が競い合っている上に、こぢんまりとした個性的な本屋もあったりして、本好きにはすこぶる魅力的なエリアです。また豊島区役所や南池袋公園が整備されて、ベビーカー連れのファミリーが落ち着けるエリアとなりました。小洒落た飲食店等が立ち並び、大人も楽しめるエリアです。東西連絡デッキが完成すれば、人の流れが大きく変わるかもしれません。
【参考:法明寺の桜

【北】飲み屋や中華の店が立ち並び、大衆演芸場も残る、昭和な雰囲気が漂うエリアです。東西南の大規模開発からは取り残されていますが、むしろそれがいい味を出しているような気もします。街歩き雑誌等では「西口ナイト」という言葉を使っていましたが、定着しませんでしたね。

【駅】一度も地上に出なくとも、十分に食事ショッピングを楽しめます。西武と東武の両デパートを軸に、地下街も進化を続けています。お土産品や晩ご飯のおかず、スイーツなども、西武と東武の地下で圧倒的に事足ります。

【袋】清掃工場の巨大煙突の麓、東西に線路をまたいで広がる、大人向けエリアです。

池袋をランドマークで捉える

 池袋では高い建物が孤立して建っているので、どこからでも見えるランドマークとして機能します。道に迷ったとき、ランドマークを見て、ある程度方角を推測することができます。

【白い巨大煙突】清掃工場の焼却施設の煙突です。池袋スポーツセンターのプールに温水を供給したりしているようです。孤立して屹立しているので、池袋の各所から見ることができます。この白い塔が池袋の北端に位置していることを認識していると、方向感覚を得やすいです。

 しかしまあ、巨大ですね。

【ダイヤゲート池袋】西武本社の新ビルで、商業施設は2019年4月に開業しました。周囲に高いビルがないので、池袋各所から確認できます。ウッドデッキが開放的で日当たりが良く、西武池袋線の電車を真上から見られるたいへんおもしろい場所にも関わらず、人口密度が低く、個人的には日向ぼっこ+読書で重宝する場所になっています。
 ここが池袋の南端であることを把握していると、道に迷ったときにも自分の位置を確認しやすいです。巨大煙突とダイヤゲート池袋を結ぶ線がJRの線路になりますので、両方のランドマークが見えると方角がしっかり分かります。目白方面から池袋に向かうときは、このビルがやたらと目立ちます。

【サンシャイン60】周辺に高いビルがないので、目印として役に立ちます。有楽町線「東池袋」駅や都電を利用したとき、どちらが池袋の方向かを把握できて便利なランドマークです。60階展望台の年間パスがリーズナブルでお勧めです。60階にあるタリーズカフェは、地上のカフェが超満員の時でも、いつも空いていて、非常に重宝します。
 個人的には、板橋の方から池袋方面を目指しながら適当に知らない道に入って散歩することがあるのですが、どこからでもサンシャイン60が見えるので、迷わず行くべき方向が分かります。

 写真では、住宅街の向こうにサンシャイン60が見えます。つまりこのまま真っ直ぐ行けば池袋です。
【参考:人口密度の低いサンシャイン

【豊島区役所】周辺に高いビルがないので、目印になります。無料で入れる展望スペースは、日当たりも良く、なかなか居心地が良いところです。
 ここが池袋の東南端だと理解していると、自分の位置も分かりやすいです。雑司ヶ谷方面から池袋を目指すとき、サンシャイン60とともに目印となります。

【ハレザ池袋】明治通りを北から池袋に向かうと、現代的な巨大ビルが見えます。2020年に開業した複合商業施設です。麓の中池袋公園は、もともとくたびれたオッサンばかりがたむろする薄暗い昭和感満載の場所でしたが、もはやその面影は全くなく、とても綺麗になりました。埼玉方面からは、池袋への入口として分かりやすいランドマークになっています。

池袋を地下構造で捉える

 池袋は、渋谷や新宿と比較したとき、地下街の構造がとてもシンプルです。このシンプルな構造を理解すると、迷わず素早い移動が可能となり、行動範囲が格段に広がります。赤で示した領域は、地下街を利用しながら外に出ないで行けるところです。全体像を理解していると、雨の日もへっちゃらです。

 さて、池袋の地下は、白い太線で表わしたような「漢字の田の字」の形で考えると、全体を把握しやすいです。そして地下通路の交差点を「東北」とか「中中」とか「西南」というふうに点として考えると、位置を把握しやすくなります。

【東北】待ち合わせ場所として定番の「いけふくろう」があります。確かに繁華街や乙女ロードに向かうには都合のいい場所ではあります。ただ、個人的には人が多すぎるのと臭いがキツいのとで、待ち合わせ場所としてはあまり推奨したくないところではあります。慣れてきたら別の場所(たとえば地下を通って入れるヤマダ電気本店内は居心地が良く、素晴らしいよ)を待ち合わせに使うことをお勧めしたいところです。

【中北】いくふくろうで待ち合わせするよりも、この改札口正面の方が人が少なくてランデブーしやすいような気もします。

【西北】新しいお店がたくさんできた最新ポイントで、まだ認知度が低いのか、他のエリアと比べると人が少なめです。昼食難民やカフェ難民になった時など、こちら方面に来るとすんなり座れたりします。
 北地上出口も人通りが少ないので、実は待ち合わせとしてよいかもしれません。

【東中】池袋の東側表玄関で、人でごった返しております。最初のうちはここから地上に出ることが多いかもしれません。しかしここから地上に出ると繁華街へ出るのに信号を待たねばならず、慣れてくると地下通路を使って道を越えるようになります。ここから出てもいいことはあまりないので、ほとんど使わなくなるような気がします。ここから南に行くと、なんか臭いし。

【西中】地下をそのまま行くとショッピング街が延びていて、地下鉄副都心線の改札口へ向かいます。地上方面では東武百貨店へ入るエスカレーターなどもあって、西の正面玄関口として賑わっています。

【東南】西武百貨店の入口で、三省堂やジュンク堂など書店方面へ向かう出口です。しかしこのあたり、何か臭うんだよなあ。

【西南】もう一つの待ち合わせ場所として有力な地下1階エスカレーター広場があります。地上1階の東武東上線改札前あたりも、待ち合わせ場所としてけっこう有力かもしれません。しかし個人的に推奨したいのは、地上2階、メトロポリタン改札に向かう途中の母子像前広場です。ほとんど人がいません。
【参考:あるいは池袋駅での待ち合わせに関して思うこと

 薄い黄色で表わしたラインは、地下ショッピング街が延びているところです。

池袋を東西連絡で捉える

 池袋では、線路を越えて東西を連絡するための選択肢が限られていて、6つしかありません。それぞれの特徴をつかんでいると、移動が快適になり、行動範囲が広がります。

 赤で示した通路(126)は地上、青で示した通路(345)は地下です。

【1】清掃工場の巨大煙突の麓の陸橋です。あまり人が通らない、穴場的な通路です。赤羽方面に向かう埼京線や湘南新宿ラインと大塚に向かってカーブする山手線が交差するポイントなど、電車を大量に見られるので、鉄道マニア系には嬉しい場所かもしれません。が、東側も西側も大人向けエリアなので、カップルや子供連れで行くときは気をつける必要があります。

【2】西側のJR北出口と東側のPARCOを繋ぐ地下通路です。自転車を含めてかなり通行量が多い道です。まずはこの通路の立地関係を押さえておくと池袋の全体像が見えやすくなるかもしれません。

【3】地下構内、北改札から東西に延びる通路です。この通路の東端に、池袋の待ち合わせ場所としてもっともポピュラーな「いけふくろう」があります。
 いけふくろうから地上に出る階段がありますが、階段の脇を抜けてさらに地下を進むと「ISP池袋ショッピングパーク」があり、さらに進むとヤマダ電機に行くことができます。このルートは、風雨がきつい時に重宝します。
【参考:東西の連絡について

【4】地下構内、中央改札から東西に延びる通路です。地下鉄丸の内線の改札もあって、常に大混雑しています。慣れないうちはここから地上に出て目的地を目指すことになるかもしれませんが、移動速度を優先する場合には真っ先に回避したいルートです。
 西側方面には地下鉄副都心線の改札ができ、地下街が発展しています。立教大学まで、地下だけを通ってかなり近くに行くことができます。

【5】地下構内、南改札から東西に延びる通路です。地下鉄有楽町線の改札や出店があって、4と同じく大混雑しています。東側は西武池袋線の改札に向かい、西側には待ち合わせ場所としても重宝するエスカレーター広場があります。

【6】西側のメトロポリタン改札と東側の西武南出口をつなぐ地上通路で、自転車用のスロープもあります。鉄道出口は西も東も利用者が極めて少なく、人口密度が低くなっています。移動速度を上げたい場合にはたいへんありがたいルートとなります。西武の新しいビルが完成して、人の流れが多少増えたような印象があります。
【参考:結婚記念日

池袋を五差路で捉える

 もしも池袋の構造が分かりにくいとしたら、中途半端に道が斜めになっていて、方向感覚が狂ってしまうのが一つの理由のように思います。中途半端に斜めの道が多いので、池袋には五差路や六差路がたくさんあります。
 しかしそれを逆手にとって、特徴的な五差路を起点にして方向を捉えると、全体像が理解しやすくなります。

【1:東口五差路】池袋初心者が最初に出てくるのが、この東口五差路になるだろうと思います。ここからどちらに向かえばいいのかが分かりにくいのですね。まずはサンシャインに向かう斜めの道を覚えると、東エリアの全体像が見えやすくなります。慣れてくると、ここを起点にして乙女ロードや小洒落た南池袋エリアへ素早く向かうことができます。
 注意したいのは、人を騙して金をむしり取ろうとする変なキャッチセールスの連中がキョロキョロしているお登りさんを狙っている場所でもあるということです。この周辺では知らない人に声をかけられても無視しましょう。

【2:サンシャイン五差路】サンシャインの麓にあります。慣れていないと駅の方向が分からなくて困ってしまうことがありますが、この五差路を覚えると、サンシャインを背にして首都高に垂直に歩けばいいだけなので、迷子にならなくなります。まあ、本格的に慣れてくると地下通路を利用するようになって、この五差路自体を使わなくなりますけれども。
 また、地下鉄有楽町線東池袋駅への導線としても目印になります。

【3:西武五差路】新しくできた西武本社ビルの麓です。ここを覚えると、小洒落た店の多い東通りや、人通りが少なく穴場的なJRメトロポリタン口へ向かう地下道などへ素早く移動できるようになります。この五差路と(1)東口五差路の位置関係を理解できれば、南池袋の全体像がほぼ分かります。

【4:西口五差路】ここを把握すると、西口で駅の方向が分からなくなるということはなくなります。個人的には下板橋方面から歩いてきてこの五差路に出ると、池袋に着いたなあという気になります。

池袋とわたし

 まず1993年から3年間、南池袋に住んでいました。地下鉄有楽町線の東池袋駅から徒歩3分で、サンシャイン60まで徒歩5分という立地です。が、家賃は45,000円。風呂なしキッチンあり6畳の物件でした。現在では風呂無し物件なんて考えられない人も多いでしょうが、実は当時はサンシャイン60から徒歩1分のところに銭湯があって、そんなに困ることはありませんでした。マイ桶にお風呂セットを詰め、サンダル履きで首都高5号の下をくぐって銭湯に通っておりました。当時通っていた銭湯は、今は跡形もありません。
 アパートの裏の窓を開けると、すぐ都電が走っていました。都電の向こう側は、雑司が谷霊園が目の前です。当時は昼夜逆転した生活を送っていて、深夜3時にサンシャイン通りに繰り出したりしておりました。渋谷や新宿と違って、池袋の夜は人が極めて少なく、昼間は若者で賑わうサンシャイン通りも烏たちの独擅場となっておりました。まあ、実際は北池袋や西池袋のほうには夜も人がいるのですが、当時はサンシャインの周辺だけうろちょろしていたので、新宿や渋谷に比べたら田舎だなあと思っていたのでした。現在は乙女ロードとして世界に名を馳せておりますが、当時はまだアニメイトも女性専用に特化した感じはありませんでした。
 南池袋の「東通り」も、古くからある定食屋や中華屋を利用していました。現在はオシャレなお店が建ち並ぶ通りに変貌して、人の流れが完全に変わったように思います。JR池袋から東通り方面に出る地下道は、当時はかなり異様な感じがしたものでしたが。当時を知る者としては、現在の姿にはなかなか感慨深いものがあります。

 96年から2001年までは下板橋に住んでおり、北池袋までは徒歩20分程度、JR池袋駅までは30分程度でした。東武東上線の電車賃を浮かせる目的で、よく池袋までは歩いていました。区立池袋小学校前の劇場通りを歩いていたわけですが、こちらは当時からさほど変わっていないような印象があります。まだ昭和の雰囲気が色濃く残っています。

 現在は東池袋まで徒歩20分、JR池袋駅まで徒歩30分くらいのところに住んでおります。サインシャイン60まで徒歩20分程度なので、ちょうど良い散歩コースになっています。区役所跡地には巨大な現代的ビルが建って、また雰囲気が大きく変わりました。歩いていると新たな発見があったりして、なかなか面白い町だと改めて思うようになりました。

【池袋散歩20180408】あるいは結婚記念日

結婚してから無事に1年経ちまして、二人でおでかけしてきました。去年の4/8は一緒に鎌倉円覚寺に行っていましたが、今日は池袋でお買い物です。
本日のミッションは4つ、すなわち(1)ルミネで商品券を消費する(2)三省堂で本を買う(3)西武本館ギフトショップで返礼品を整える(4)東武百貨店一階スイーツ売り場を探索する。このお買い物ミッションを、日頃鍛えた池袋散歩力を存分に発揮して効率よく達成するのだ!

というわけで、埼京線でさくっと池袋へ。晴天に恵まれた日曜日だけあって、池袋駅は大混雑でした。が、メトロポリタン口の人口密度が圧倒的に低いことを活かして、人の波に揉まれることもなく、すんなりルミネへ入ります。ルミネでは欲しい品だけ確認しておいて、まずは東口の三省堂に移動。南口のガード下をくぐって西から東に移動し、西武池袋線南口脇の入口から西武別館に入ります。西武池袋南口近辺も極めて人口密度が低く、すんなりと西武別館に入れる良いポイントです。
三省堂で欲しかった本を買ってミッション2をクリアした後、西武百貨店の中を北上して、西武本館のギフトに寄って返礼の品の用意を整えてミッション3クリア。そして池袋駅構内を西口に渡り、東武百貨店一階のお菓子売り場を物色した後、東武百貨店の中を南下してルミネで昼ご飯を食べて、目的の靴と鞄を商品券でゲットしてミッション1クリア。北上してから1階に降りてケーキを買い、ミッションを全部クリアして、北口から池袋を離脱となりました。
地図で確認すると、池袋の南西側から反時計回りに一周した経路と、ルミネおよび東武百貨店スイーツ売り場を物色した様子がしっかり表れていますね。ちなみに南北の移動は一切外に出ず、ぜんぶ百貨店の内部を移動しています。池袋の南北移動は、外の道を歩くより百貨店内のフロアを移動した方が、人口密度が低くてスピーディなように思います。

買ったケーキはこんな感じ。春っぽいですね。美味しくいただきました。

「おめでとうチョコレート」と「LOVEマシュマロ」も買ってきました。また今後ともよろしくお願いします!

【池袋散歩20180329】あるいは法明寺の桜

飛鳥山公園で桜を見たあと、王子から都電荒川線に乗って都電雑司ヶ谷で降りて、池袋の「東通り」を西へ歩き、途中で法明寺の桜を見て、JR池袋から離脱という流れ。

25年前には都電雑司ヶ谷駅の近くに住んでいました。四半世紀前は下町的な雰囲気が濃厚に漂っていましたが、現在はずいぶん雰囲気が変わっています。決定的なのは豊島区役所のデカいビルが建ったことですが、さらに南池袋公園の整備でオシャレ感が増幅し、大人向けの落ち着いた雰囲気が漂うエリアになりました。個性的なお店も増えているように思います。

「東通り」の半ばあたりの道を南下して鬼子母神のほうに向かうと、法明寺という桜の名所に出ます。露店が立ち並ぶなど地元ではよく知られた桜の名所ですが、東京全体での知名度はまだそんなに高くないのかな。穴場と言っていいかもしれません。

法明寺は、たいへん風情があるお寺で、南池袋エリアのオシャレなお店でランチやカフェを楽しんだ後などに寄ると、よりいっそう情緒が膨らみそうです。サンシャイン通り方面は中高生やオトメたちが多くて賑やかではありますが、平均年齢が低く騒々しい空気に辟易してきたら、南池袋エリアはお勧めです。

その南池袋エリアは、さらに西武が新しいビルを建てていて、さらに展開しそうです。(参考:池袋旧本社ビル建て替え計画)。相変わらず人口密度の低いメトロポリタン口から南側を覗くと、巨大なビルが出現しつつあるのを見ることができます。2019年3月に完成予定とのことです。このビルができると、たぶん西武池袋駅の南口が大きくなって池袋の南側に人の流れができるので、さらに南池袋の開発が展開していきそうな気がします。

さて、大学のそばを流れる石神井川の桜も盛りを超えて散り始めました。

桜の向こうに、研究室が入っている120周年記念館が見えます。

東京家政大学にお世話になって、早くも1年が経とうとしています。今年度もよろしくお願いします。