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【神奈川県小田原市】石垣山一夜城は、相模湾を一望する見晴らしと石垣がすごい

温泉に浸かった後は、小田原城を眼下に臨む、石垣山一夜城に行ってきました。相模湾を一望できる絶好のロケーションです。

豊臣秀吉が天下統一の総仕上げとして小田原城を攻める際、まるで一晩で城を作ったように見えたことから「一夜城」と呼ばれたところです。伊達政宗が死に装束パフォーマンスを見せたり、家康に関東移封を命じたり、忍城や八王子城の伝説ができたりと、様々な人間模様が演じられた場所ですね。

JR早川駅の案内板には「入口」などと書いてあるけれども、ここから徒歩45分。4年前は石橋山古戦場から1時間くらい歩いて石垣山城に行きましたが、今回はタクシーであっと言う間に城跡へ。

石垣山城の本丸からは小田原城が丸見えです。秀吉と家康は、ここで小田原城を眺めながら「三河の連れション」をしたのでしょうかね。

今回は小田原城には行きませんでした。こちらは4年前に訪問したときの小田原城天守閣。まあ、江戸時代になって組み直した小田原城に魅力を感じないのは、きっと仕方ない。天守閣も鉄筋コンクリートだしなあ。

石垣山城のほうは、400年経って石垣も崩れてしまっていますが、郭の形など当時の面影をかなりよく残していて、見応えがあります。二の丸から本丸を臨むの図。

井戸郭の石垣は壮観でしたね。この石垣は小田原城に見せつけるためのものではないので、単純に土木工事上の要請から作られたのかな。

石垣山城の隣にある鎧塚ファームには、川島なお美さんの慰霊碑ができていました。4年前訪れた時には、当然なかった。三河人にとってみれば、お笑いマンガ道場での活躍がとても印象に残っています。

鎧塚ファームでは、おいしいケーキが食べられるのはもちろん、新鮮な野菜も激安価格で売っています。

ということで、小田原に観光に来て小田原城しか見ないのは、かなり残念なことをしています。鉄筋コンクリートの小田原城天守閣に登るよりは、石垣山城本丸から小田原城を見下ろす方が遙かに感動的です。小田原駅からタクシーで2,000円弱、早川駅からは1,000円強で行けるし。

北条早雲の頃の小田原城は面影も何もないわけだしなあ。そんなわけで、鎧塚ファームで美味しいソフトクリームを食して小田原を後にしたのでした。
(2017年8/25訪問、2013年4/13訪問)

【神奈川県湯河原市・真鶴町】温泉は素晴らしいね!+子宝パワースポット

一泊で温泉に浸かってきました。熱海と湯河原は、東京からだと絶妙な近さで、素晴らしいね。

あと、行こう行こうと思いながらなかなか行けていなかった、真鶴岬の先っちょにも行ってきました。やっぱり先っちょはいいね。先っちょには行きたくなるよね。

温泉宿は、湯河原駅からバスで15分くらい。バス停の目の前。

露天風呂、男湯の方はほぼ貸し切り状態。女湯のほうは混んでいたようですが。

宿泊した「水の香里」は、お料理も大満足で、コストパフォーマンス的にも文句なしで、ゆったり楽しんできました。

近くの万葉公園には清々しい散歩道が用意されていて、気分良くリフレッシュできます。湯河原いいなあ、日帰りでもこられる距離だし、また来よう。

お昼は熱海の温泉宿デイユースで貸し切り露天風呂。「湯宿一番地」の貸し切り露天風呂は、値段の割にゆったりできる度は極めて高かったです。駅からも近いし。素晴らしい。

貸し切り露天風呂では、家の風呂はできないようなことにもいろいろチャレンジできて、素晴らしいね。文化の極みだね。

で、真鶴には子宝パワースポットがあるということで、お参りにし行ってきました。「子之神社」と書いて「ねのじんじゃ」と発音します。

本堂の両脇にある左右一対の狛犬は、全国でも唯一ではないかと言われているらしい「子連れの狛犬」です。左側の母親狛犬が抱いている子犬を撫でれば「子授け・安産」の御利益、右側の父親狛犬が背負う子犬を撫でれば「無事成長」の御利益があるとのこと。

お参りの仕方が、二拍手ではなくて四拍手というのが意外でした。四拍手というと出雲周辺の神社の仕来りという印象が強いのですが、子之神社は出雲系と何か関係があるのでしょうかね?

また、「祈りの石 美女石」なるパワースポットもありました。

女陰の形をした石ということで、本社に夫婦そろってお参りした跡、夫がこの石をまたげば子が授かる御利益があるとのことです。なるほど、じっと見ていて、だんだん女陰に見えてきたのは、きっと暑さのせいではない。どどんと跨がってきました。御利益がありますように。

近くにある荒井城址にも、階段を登って行ってみました。公園として整備されていて、遺構は確認しにくかったなあ。階段を振り返ると視界に入ってくる海の景色は、夏の陽射しにギラギラ照らされて眩しかったです。(2017年8/24~8/25訪問)

【要約と感想】村井実『人間の権利』

【要約】人間の権利とは、天から与えられた自然なものではなく、人々の訴えによって歴史的に作られてきた道徳的なものです。

【感想】天賦人権説を否定したところから、どのように新たに権利の体系を土台から構築していくかという課題に挑んだ、新書で扱うにしては意欲的な作品に見える。素朴に天賦人権説で話を進めようという人が現在もけっこういるけれども、18世紀ならともかく、21世紀の現在ではそこそこ無理筋だったりする。天賦でなくとも人権の意義を打ち出せるような論理が必要なわけだが、そういう意味では、50年以上前の本書にも大いに存在意義があると言えそうだ。人権というものが様々な人々の努力の積み重ねによって歴史的に構築されてきて、そして我々もそれを引き継いで、不断の努力によって引き継いでいこうという意志が必要となる。人権は天から与えられた「自然的」なものではなく、人間が作っていく「歴史的」なものだという認識と自覚を持たねば、民主主義は簡単に崩れる。

村井実『人間の権利―あすの生き方を思索する』講談社現代新書、1964年

【要約と感想】村井実『ソクラテスの思想と教育』

【要約】ソクラテスの思想と行動は、教育的な視座から見るのがもっともわかりやすい。

【感想】冒頭での著者の宣言に、感銘を受ける。「この「教育」的視点こそ、過去においてさまざまの研究者によってとられてきた「道徳」的、「政治」的、「哲学」的等の視点に比して、あるいは歴史的ソクラテス像を描き出すのに最もふさわしい中心視点であろうというのが私のひそかな確信なのである」(p.iv)。いやあ、よくぞ言ってくれました。私もまったく同じ考え。ソクラテスを統一的に構想しようとすると、教育者として描くことがもっとも相応しいと思う。まあ難しいのは、近代以降の「教育」という概念でもってしては、ソクラテスの思想と行動の全範囲をカバーした気にはなれないというところではあるけれども。もっと適切な言葉が欲しいところではあるけれど、やっぱりそれは今のところ「教育」と呼ぶのがもっとも適切なんだろう。

その教育的な視点は、ソクラテスとプラトンの考えを峻別する観点をもたらす。『国家』は全編が教育計画構想を示している著作なわけだけど、ここでプラトンが提示している教育計画は、ソクラテスの対話的教育からはるかに隔たっている。その要点のまとめが、とてもわかりやすい。個人的には、特に「エロス」や「魂」や「弁証法」といった概念がまるで異なっていることに薄々気がついていたつもりだったが、おかげで論点がかなり明確になった。ソクラテスを倫理的教育主義、プラトンを政治的教育主義と切り分ける観点は、とても参考になった。

倫理的な主体形成を主眼とするソクラテスと、知覚と認識の確実な根拠を追求するプラトンでは、立ち位置がかなり異なるわけだが、両者を総合的に把握する為には、はたしてイデア論がこれを統一する論理となり得るかどうかに関する洞察が鍵になるんだろうなあ。「善のイデア」に「エロス」を有機的に統合できるかどうかが試金石、というところか。たいへんだ。

村井実『ソクラテスの思想と教育』玉川大学出版部、1972年

→参考:研究ノート「ソクラテスの教育―魂の世話―」

【要約と感想】北畠知量『ソクラテス-魂の教育について』

【要約】ソクラテスの言う「魂の教育」とは、自分自身が抱える矛盾と葛藤を俯瞰的に見ることができる第三の自分に対して、ふさわしい行動を判断する根拠となる「規範知」を与えることです。

【感想】ズバズバと分析的に物事を切り分けていく態度に特徴がある。時には「大丈夫かな?」と思えるくらい、スパッと単純に割り切っている。本書の良さでもあり、怖さでもある。

まあ、だからこそ他の論者が「ああでもない、こうでもない」と思い悩んでいる論点に対して、容赦なく結論を下せるわけで。例えば、エロスとイロニーの関係を表裏一体だとする記述は、興味深い。ソクラテスの美少年愛に対して、他の論者は口を濁すか完全に無視することがあるが、本書では「本当は少年を愛してなんかいない」が「あたかも愛しているように振る舞う」というイロニーとして捉えている。さらにここがソクラテスとプラトンを大きく分ける要点であるとも見なしていて、プラトンの言うエロスは本来のイロニーと分離されてしまっているところがズレていると言う。

他にソクラテスとプラトンの違いは、ソクラテスが「徳の規範」を問題にしたのに対し、プラトンが「徳の概念」を問題にしてしまったところだと言う。となると、本書では明確に主張されてはいないが、もちろん「イデア論」はソクラテスからの大きな逸脱ということになる。

さらに本書が面白いのは、ソクラテスの「魂の教育」が抱える困難について率直にツッコミを入れているところだ。他の研究者は分かっていても指摘しないような、身もふたもない指摘を繰り返している。魂の教育は子供に対しては何の意味もないとか。結局は失敗だったとか。こういう明け透けな物言いの数々は、他の研究に代えがたいオリジナルな価値を持っている。ソクラテスの批判をしたくなったら、自分で言わず、もりもり本書を引用していきたい。

北畠知量『ソクラテス―魂の教育について』高文社出版社、2000年

→参考:研究ノート「ソクラテスの教育―魂の世話―」