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目次
前回のおさらい
・教育課程=カリキュラムの意味と役割。
・教育を「計画」することの位置づけ。
・『学習指導要領』の性格と構造。
教育課程を編成する
・教育課程編成(特に教育内容の配列)をする上で、重要な2つの観点。「スコープ」と「シークエンス」
スコープ
・教育課程編成をするとき、どの教育内容を選択するのか、学習の範囲あるいは領域のこと。教育の目的や目標(生徒が身につけるべき知識や能力)に即して取捨選択する。
→生活主義(生徒たちの生活や人生の必要に即して学ぶべき領域を設定する):ex.「料理を作る/病気にならない/お金を稼ぐ/友達と仲良くする/親を大切にする/人の話を聞く/計算をする・・・」
→経験主義(生徒の興味関心を重視して「教科」を設定する):ex.「健康/自然/お金/人間関係/言葉/数字・・・」
→学問主義(既存の学問体系に即して学ぶべき領域を設定する):ex.「医学/生物学/栄養学/物理学/化学/天文学/自然地理学/人文地理学/倫理学/経済学/政治学/社会学/言語学/幾何学/代数学・・・」
→系統主義(学問の系統に従って「教科」を設定する):ex.「保健体育/家庭科/道徳/理科/社会科/国語/数学・・・」
経験主義と系統主義
・経験主義の長所=子供の興味関心や個性に即しており、自分の生活に対して学習の持つ意味が明確になりやすく、学習への意欲を持ちやすい。
・経験主義の短所=知識の体系的な修得が困難。一斉教授が困難。授業の効率への疑問。受験に対する不安。
・系統主義の長所=既存の科学体系を踏まえて、知識を体系的に修得する道筋が明確。一斉授業が容易。
・系統主義の短所=子供が学習に対する意義を見失いやすく、興味関心を持続できない。
教科構成のバリエーション
類型 | 構成方法 | 具体例 |
---|---|---|
相関カリキュラム | 関係の深い複数の教科間で内容の関連を図る。 | 「地理」と「歴史」をひとつにまとめる。 |
融合カリキュラム | 複数の教科から共通の要素を抽出し、新しい教科に再編する。 | 「理科」と「社会」を融合して「生活科」を作る。 |
広域カリキュラム | 複数の教科を大きな領域に編成する。 | 「政治学」「経済学」「歴史学」「自然地理学」「人文地理学」「倫理学」「教育学」「社会学」「哲学」「心理学」をまとめて「社会科」にする。 |
クロス・カリキュラム。横断カリキュラム。 | 複数の教科の教員が連携して、お互いにほかの教科の内容との関連を図る。 | 「安全」という観点から、「家庭科」「理科」「社会科」などを横断して学習する。 |
コア・カリキュラム | 中心となる基本教科を決め、周辺にほかの教科を関連させて配列する。 | 「社会科」を中心とし、そこで必要になる知識や技能を国語科や数学で身につける。 |
シークエンス
・教育課程編成をするとき、教育内容をどのような順番で配列するかという順序のこと。生徒の発達段階に即して配列する。
→段階型:簡単なものから難しいものへ。単純なものから複雑なものへ。具体的なものから抽象的なものへ。
→現代型:難しいものや複雑なものや抽象的なものも低年齢から教えられる。
→同時並行型:複数の領域を同時に進行していく。
→一点集中型:ひとつの領域をまとめて教授し、順番に領域をこなしていく。
→螺旋型:複数の領域を、学年が上がるごとに繰り返していく。
カリキュラム編成をしてみよう
・どのような大人にしたいのか、ゴール地点を意識する。
・どのような知識や技能を身につける必要があるかを考える。
復習
・カリキュラム編成の構造を、「スコープ」や「シークエンス」という言葉を使って説明できるようにしよう。
・系統主義と経験主義の特徴を押さえておこう。
・教科編成のバリエーションを押さえよう。
予習
・自分が作った時間割の意味を説明できるように、理屈を考えておこう。