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【要約と感想】五嶋節『「天才」の育て方』

【要約】自分勝手に子育てしたら、周りが天才とか神童とか言ってくれるような子に育ちました。

【感想】私がこの人の子どもだったら、間違いなく私の才能は無残に潰されていただろうなあ。親子にも相性ってものはきっとあるだろうね。愛情があるなどと言い訳しようが、体罰とかされて育ったら、自分だったら大人になったときに100倍返しするだろうな。まあ、少なめに見積もっても、間違いなくしんどかったと思うわ。しらんけど。

まあ、子育てに迷ってマニュアル本を読みまくって、さらに泥沼にハマっているお母さんにとっては、ひょっとしたらいい本になる可能性はなくはない。そこそこ母親が自分勝手でも、子どもはのびのび育つもんだ。しらんけど。

しかしまあ、科学的に間違っていることが平気で書かれていることは、気にならなくもない。しらんけど。

この本を読むなら、鈴木鎮一の本を併せて読んだ方がいいような気がする。しらんけど。

五嶋節『「天才」の育て方』講談社現代新書、2007年

【要約と感想】藤崎達宏『モンテッソーリ教育で子どもの本当に力を引き出す!』

【要約】保護者向けに子育てのアドバイスをする本です。モンテッソーリ教育の要点を、簡潔に教えてくれます。子どもの発達段階の特徴を踏まえて、自発性を重んじることで、本来の能力をすくすくと伸ばします。大人がするべきことは、子どもが自発性を発揮できるよう、環境を整えることです。おとな自身が最大の環境です。

【感想】とても分かりやすい、良心的な本だなあと。モンテッソーリ教育に関心を持つ層に応えるだけでなく、子育てに迷っているお父さんお母さん全般を心安らかにしてくれる本のように思った。

藤崎達宏『モンテッソーリ教育で子どもの本当に力を引き出す!』三笠書房知的生きかた文庫、2017年

【要約と感想】高橋惠子『子育ての知恵―幼児のための心理学』

【要約】子育てに関して、世間ではいい加減なデタラメが流布しています。子育ての責任を家族が専ら負うべきだという意見には、何の根拠もありません。特に、母親との愛着形成が将来を決定するなどという母親偏重説は、実証的に否定されています。そんなものは18世紀頃に人工的に作られた物語に過ぎません。
また、「幼児期決定説」は実証的には確認されていません。愛着形成が幼児期にのみ可能だという証拠もありません。子どもを保育園に預けても、母の手で育てても、育ちにたいした違いは確認できません。
大事なことは、子どもを一人の独立した人間として扱うことであり、同時に大人も一人の人間として充実した生き方をすることです。家族が子育てで特別にがんばる必要はありません。そして子育てを家族の自己責任にするのはもはや無理なので、社会全体で育てていくという意識を持つことが大切です。

【感想】私個人にとっては、とても勇気が出る本であった。子どもが愛着形成をするときに、母親が重要なわけでもなく、実の親である必要もなければ、幼児期に達成しないと手遅れになることもない。この知見は、とてもありがたい。無用なプレッシャーを受けて苦しんでいる子育て世代全体にとっても、勇気が出る本なのではないだろうか。
そして子育てを家族の自己責任とするのではなく社会全体で担っていく必要があるのだという視点にも、膝を打つ。まさにその通りだと思う。家族を孤立させず、子どもたちを社会のネットワークに組み込んでいく仕組み作りが、今後ますます重要になっていく。
私も微力ながら頑張りたいと思う。

高橋惠子『子育ての知恵―幼児のための心理学』岩波新書、2019年

【要約と感想】若松亜紀『10歳からの男の子は「聞く」より「待つ」でうまくいく』

【要約】子育てに迷っているお母さん向けの本です。
男の子は10歳くらいから、お母さんの言うことを聞かなくなります。当然です。子どもが変わっているのに、お母さんが変わらないのが本質的な問題なのです。お母さんのほうから変わりましょう。何か言いたくなる気持ちを、ぐっとこらえましょう。子どもを信頼して、自由と責任を与えて、自立を待ちましょう。イライラしたら、見ない工夫をしましょう。大丈夫です。待っていれば、とてもいいことがあります。

【感想】まあ、かつて男の子であった身として、既視感が否めない事例が並ぶという。お母さん、ごめんなさい。苦労をおかけしました。でも、まあ、背伸びしたいお年頃なんです。恐れ入ります。この歳(46歳)になれば、もはや感謝しかありません。

一方、気になるというか、なんというか、本書で「性」的な話が一切出てこないのは、多少どうなんだろうかという気もする。実は10歳くらいから、この問題の扱いがとても難しくなってくると思うのだけれども。まあ、ないものねだりではある。それぞれの家庭で真剣に向き合っていくしかないのではあった。

若松亜紀『10歳からの男の子は「聞く」より「待つ」でうまくいく』PHP研究所、2015年