【要約と感想】高遠弘美『物語パリの歴史』

【要約】カエサル『ガリア戦記』に登場するローマ時代から、中世王権(カペー朝~ブルボン朝)、フランス革命、ナポレオン、共和制等を経て、21世紀までの2000年間のパリの歴史を、具体的なエピソードを交えつつ、旅行ガイドとしても役立つようにまとめました。

【感想】文学関連(特に著者ご専門のプルースト)の話や現代の街並み散歩の話では筆が活き活きと躍動していて、著者ならではの知識と経験を踏まえたエピソードを楽しく読める一方、歴史絡みの話ではなんとなく概説書を読んでいるような感じで、よく調べてまとめまていただきました…という印象になる。通史を補完する目的で手に取った本だから、不満があるというわけではないけれど。
 まあ、読み終わって、一度くらいはパリに行っておきたいな、と改めて思ったのであった。歴史が重層的に刻まれている街は、歩いているだけで絶対に面白い。その機会が訪れるまで、家の近くのフランス料理店「パリ4区」でせめてものフランス気分を味わうのであった。サンダルのようなポークソテーが柔らくてボリューム満点で旨い上に安いのだ。

高遠弘美『物語パリの歴史』講談社現代新書、2020年