【要約と感想】ミッチェル・レズニック『ライフロング・キンダーガーデン 創造力を育む4つの原則』

【要約】現在の教育は、創造力を潰しています。創造力を育むためには、小学校以降の教育も、幼稚園のようにあるべきです。外から何かを付け加えるのではなく、内側から伸びる環境を整えるのです。具体的には、4つのP(Projects・Passion・Peers・Play)が重要です。

【感想】元気が出る本だ。自分が子どもだったら、こういう実践に夢中になっていただろうな。
いやまあ、実際に夢中になっていた。思い出すのは、地元にあった「刈谷少年少女発明クラブ」という、トヨタ系企業が中心となって作っていた組織だ(いまも健在)。設計図さえしっかり書けば、木材からタミヤのギヤボックス、あるいはトランジスタなど電子部品まで無料で提供してくれて、作業用の道具や環境も整っているという、いま思えば非常に恵まれている場所だった(御多分に漏れず、当時はそのありがたさを十分に認識していなかったが)。私に創造力があるかどうかは分からないが、仮にあるとしたら、ここに通っていたことが大きな力になっているのかもしれない。

中学受験を突破するために幼い頃から学習塾に通っても、しょせんは「人に使われる人材」にしかなれないように思う。自分で未来を切り拓いていく力を伸ばすには、本書が示す「幼稚園のような場」がもっともっと必要だと思った。

【今後の研究のための備忘録】
教育を植物に喩える表現は、フレーベル以来の伝統だ。メモしておきたい。

「すべての子供たちは創造的になる能力を持って生まれていますが、彼らの創造力は、必ずしも勝手に発達するとは限りません。それは育まれ、励まされ、そして支援される必要があります。このプロセスは、植物がよく成長するように環境を作り上げて世話をしている、農家や庭師のような行為なのです。同じように、創造性がよりよく成長する学習環境を作り上げることは可能です。」50頁

ミッチェル・レズニック/酒匂寛訳『ライフロング・キンダーガーデン 創造力を育む4つの原則』日経BP社、2018年