【要約と感想】牟田武生『オンラインチルドレン―ネット社会の若者たち』

【要約】インターネットは、テレビとは異次元の影響を子どもに与えます。テレビは受動的なので飽きることがありますが、インターネットの相互方向性コミュニケーションは依存性を加速させます。その結果、ネット依存をこじらせて、ひきこもる若者が増加しています。
しかし、ネット社会を否定することは不可能です。もう後戻りできません。子どもたちをネット依存にさせないためには、現実世界で充実感を味わわせることが一番です。

【感想】単にネット社会を否定するのではなく、まずは現実を受け容れた上で、これからどう対処していくかを具体的に考えていく姿勢には、好感を持つ。
まあ、処方箋である「リアルで充実することを促進する」のは、その通りではあるが、それが難しいから現状がこうなっているわけでもある。10年以上前の本ではあるが、現状はますます渾沌としつつあるように思える(パソコンに加えてスマホによるソシャゲが一般化したことによって)。
とはいえ、やはり具体的にできることは「リアルで充実することを促進する」こと以外にはない気もするのであった。

牟田武生『オンラインチルドレン―ネット社会の若者たち』オクムラ書店、2007年