【要約と感想】根本浩『ゆとり教育は本当に死んだのか?―公立校再生への道』

【要約】ゆとり教育の導入によって、現場の教師は疲弊の極地にあります。保護者からも子どもからもそっぽを向かれています。「総合的な学習の時間」のせいかもしれません。
しかし理念としては、ゆとり教育は間違っていません。本物の教育を取り戻すために、必要な考え方でした。しかしあまりに精密すぎて、ひとつの歯車が狂うことで全体が機能しなくなりました。
しかしゆとり教育は完全には死んでいません。しっかし機能している学校もあります。今こそ、理想の教育を求めて、初心に戻って頑張りましょう!

【感想】著者は、とても誠実で、熱い人なんだなと思った。教育に対して理想を失っていないんだなと思った。が、そういう人が心身を壊して休職しているという事実そのものが極めて重い。彼のような熱意溢れる誠実な教師が安心して働ける環境を作るのが、政治家の仕事であり、あるいは学者の仕事であるはずなのだった。そういう意味で、現場からの声の数々に、身が引き締まる本であった。

根本浩『ゆとり教育は本当に死んだのか?―公立校再生への道』角川SSC新書、2007年