【要約と感想】林純次『残念な教員―学校教育の失敗学』

【要約】自ら成長することをやめた教員には、教壇に立つ資格がありません。教師は、常に自分自身の行為を反省し、研鑽を続けなければいけません。

【感想】毀誉褒貶が激しい本だろうなあと推測したら、やはりamazonレビューの評価が真っ二つに割れていて、笑ってしまった。低い評価をつけた人の一部が著者の人格攻撃に出ているのも、日本ではお馴染みの光景である。特に著者自身を「おまえ自身が残念な教師だ」などと言って貶めて何か言った気になっている人の読解レベルは、極めて低い。いやはや。

個人的に思うところでは、文章を「批判的」に読める人だったら、しっかり自分の成長の糧とできる内容のはずだ。単に反発を覚えたのなら、それは文章を「批判的」に読めていない可能性が高いだろう。低評価を付けている人が多いということは、いかに文章を「批判的」に読めない人が多いかという証拠のようにも思えるのだった。そしてそれは、タイトルの付け方の失敗により、おそらく著者が想定していた以上の読者に読まれたせいでもあるかもしれない。

本書から一番学ぶべきことは、著者が不断の努力を怠らず、常に自己研鑽に努めているという、姿勢と態度そのものだ。具体的に学ぶ内容が個々の課題によって異なるのは、当たり前のことだ。そこが違うからと言って攻撃しても、何も意味はない。
的外れな批判を気にせず、信念を貫きつつも、「素直」に、さらに研鑽を続けて欲しいと思ったのであった。そんな姿を、きっと生徒はちゃんと見ていると思う。

林純次『残念な教員―学校教育の失敗学』光文社新書、2015年