【要約と感想】早稲田大学教育総合研究所監修『高校の多様化と教員養成』

【要約】高校が多様化した現在、大学での教員養成では普遍的な資質能力を身に付け、実践的な力は現場で身につけましょう。

【感想】タイトルからして取得できると期待してよいはずの情報は、何ひとつ得ることができなかった。高校が多様化すべき社会経済的背景について何も分析していないし、高校多様化を推し進めた政治動向の力学も分からないし、現在の高校多様化の実態を俯瞰する統計的実態も分からないし、高校多様化に対応した教員養成カリキュラムの具体的なあり方も結局わからないし、現場の話と制度の話がまったく噛み合ってないという。がっかりである。
まあ、早稲田大学教育総合研究所が悪いのではなく、これが「高校の多様化と教員養成」の現実だと理解するべきところではある。おそらく誰がやっても同じ結果になるのだろう。我々の手の届かない何かが決定的に破綻しているのだ。根本的な問題を放置したまま姑息な対処療法を続けても、何も解決しない。いやはや。

若い2人の教師が試行錯誤しながら奮闘している姿が分かったことだけが、収穫であった。すり切れずに、このまま工夫を続けていって欲しいと思った。

早稲田大学教育総合研究所監修『高校の多様化と教員養成』学文社、2013年