【要約と感想】大前孝夫『子どもの疑問を大切に―考える力・探究心・対話する力を培う』

【要約】これからの時代は、「質問」することが大切になります。疑問を持たなければ、考える力は育ちません。子どもが安心して質問できるようになるには、子どもの疑問に大人が全力で応える必要があります。分からない時も、子どもと一緒に考える姿勢を見せていきましょう。
実際に小学校での各教科(生活・算数・社会)で子どもの疑問を大切にした授業の展開例や、連絡帳を利用した活動例を示してあります。

【感想】確かに、大学生を見ていても思うのだが、「質問力」が異様に低い。これまでの教育で「答え」を出すことのトレーニングばかりして、「問う」ことのトレーニングをほとんどしてこなかったことが分かる。
これからの時代、「問題」さえ見つかれば、あとはAIが解いてしまうような時代になってくる。AIには、「解答」を導くことはできても、「問題」を見つけることはできない。人間の独創的な仕事は、「解答」を見つけることではなく、「問題」を提出することになるだろう。「解答」だけ出すトレーニングをしてきた人間は、これから先、必要なくなってくるように思う。
(たとえば将棋研究にAIが導入されていることは広く知られているが、そもそも「課題局面」を見つけられないような人間にはAIを活用することが不可能ということ。)
「問題」を見つけられる人間を育てるためにも、小学校から「疑問」を大切にする授業や取り組みをすることはとても大切になってくるのであった。

大前孝夫『子どもの疑問を大切に―考える力・探究心・対話する力を培う』丸善プラネット、2016年