【要約と感想】齋藤孝『考え方の教室』

【要約】思考力・判断力・表現力を鍛え、問題解決力を身につけるためのハウツー本です。

【感想】けっこうよくできている本だと思った。変な自己啓発本にハマるくらいなら、こういう本をしっかり読み込んだ方が圧倒的に有用なのは間違いない。分析的な論理の作法のみならず、身体性とか禅とか直感力の話もあって、全体的なバランスもよいと思う。学部生が読むには、なかなか良いのではないだろうか。

とはいえ、優劣を判断する際には類書をたくさん読んで比較する必要があるんだけれども、こういう本、自分自身にはまったく必要なくて読まないからなあ…。たとえば本書でも「対話」の重要性がソクラテスや弁証法という固有名詞を伴って語られるわけだけど、近年は共同学習の技法が著しく発展していて、本書でも出てきたKJ法をはじめとして、ジグソー法などさまざまなテクニックが開発されている。この共同学習の技法に関しては、優れた類書がたくさんありそうな感じはしないではない。

齋藤孝『考え方の教室』岩波新書、2015年