【紹介と感想】山﨑保寿『「社会に開かれた教育課程」のカリキュラム・マネジメント―学力向上を図る教育環境の構築』

【紹介】2017年改訂学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」を実現するために「カリキュラム・マネジメント」を遂行する必要がありますが、そのためには「校内研究体制」を充実させたり「学校管理職の役割」を明確化するなど「学校の組織力」を高めていくと効果が上がります。

【感想】実際にカリキュラムをデザインしたりマネジメントしたりするときに役立つ本というより、タイトルどおり、その前提となる「教育環境の構築」に関わる本で、具体的な中身は「学校経営」だ。著者が実際に関わった学校の事例が具体的な根拠となっていて、そのあたりは説得力がある。今時改訂を「校内研修体制」の充実によって乗り切ろうという姿勢は、従来の日本の学校の良さを土台にして分かりやすいものではあるが、「コミュニティ・スクール」とか「チーム学校」という観点から見た時には多少の物足りなさはなくはない。まあ本書内でも、学校の自立性の強化に伴ってカリキュラム開発力が要求されるように変化してきていることに対しては、再三注意しているところではある。

山﨑保寿『「社会に開かれた教育課程」のカリキュラム・マネジメント―学力向上を図る教育環境の構築』学事出版、2018年