教育概論Ⅱ(栄養)-3

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前回のおさらい

・前近代にはナショナリズムがありませんでした。
・country、state、nationそれぞれニュアンスが違います。国民国家とは、stateとnationの境界線が一致することを理想とする国家です。
・フランス革命の展開に伴って、ナショナリズムが発生しました(発明されました)。

国旗・国歌・国語・歴史・地理

・nationとstateを一致させるため、「教育」に期待がかかります。
・国旗:「旗」に期待される統一への働き。
・国歌:「歌」に期待される統一への働き。
・国語:「ことば」に期待される統一への働き。
・歴史:「物語」に期待される統一への働き。
・地理:「風景」「風土」に期待される統一への働き。

各国の国歌

・それぞれ国民統合の象徴として働く一方で、同時に何かしらの問題を抱えているのはどういうことでしょうか?

フランスの国歌

・「ラ・マルセイエーズ」
・国民統合=国民全員で祖国を守ったときの記憶。
・歌詞に対する疑問。

イングランドの国歌

・「God Save the Queen」
・国民統合=英国王室の賛歌。
・6番の歌詞に対する疑問。イングランドとスコットランドの関係。

ドイツの国歌

・「ドイツ国民の歌」
・国民統合=国家統合の象徴。
・1番と2番が封印。

スペインの国歌

・「国王行進曲」
・歌詞のない国歌。スペインとカタルーニャの関係。

国語による国民統合

・フランスの言語状況。フランス革命当時、フランス人が話していたのは何語でしょうか?
・「国語」と「方言」は、どこがどう違っているのでしょうか・←「方言札」による方言撲滅運動。
・東ティモール:2002年にインドネシアから独立しました。

東ティモールが実際に国語に選んだのは何語でしょうか?(ヒント:インドネシアから独立)
(1)インドネシア語:90%
(2)テトゥン語:40%
(3)英語:10%
(4)ポルトガル語:5%

・言葉は単なるコミュニケーション・ツールではなく、国家のアイデンティティとなるものです。
・しかし、言葉はコミュニケーション・ツールでもあります。科学や社会に必要なボキャブラリーも大切です。

日本語廃止論

・森有礼(もりありのり)が明治初期に日本語廃止を主張しました。
・どうして後に初代文部大臣にまでなる森が日本語廃止を主張したのでしょうか?
・明治初頭では、方言(身分と地域)が多様すぎて、お互いに言葉が通じませんでした。また、科学や社会に関する語彙が貧弱でした。

方言矯正と標準語

・第一期国定国語教科書:1904年、いわゆる「イエスシ読本」。
・東北方言と関東方言の矯正。
・方言札。
・「標準語」の開発。「お父さん」「お母さん」。
・新しい日本語を作っていくのは、文学者の役割かもしれません。

復習

・国歌や国語が国民統合に果たす役割について押さえておこう。

予習

・「教育勅語」について調べておこう。