教育学Ⅱ(新松戸)-13

▼新松戸キャンパス 12/22

前回のおさらい

・聖域なき構造改革。
・自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリット。
・学力格差の拡大。

学習指導要領の変遷(2)つづき

自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリット

競争の底抜け

・賞味期限詐欺、耐震偽造詐欺←規制緩和によって未熟なプレイヤーが競争に参加する。
・競争の質。真っ当に努力した者が報われているのか?
・たとえば2011年の大津市いじめ問題。大津市には学校選択制が導入されていたが、いじめは隠蔽された。理屈通りなら学校選択制によっていじめがなくなってもいいのに、現実にそうならなかったのはなぜか?

教育とサービス消費

・他のサービスと異なり、教育サービスは購入時点ではまだ「未完成品」である。
・他のサービスと異なり、教育サービスは購入者自身を対象とする。
・教育は本質的に「サービスの消費」ではなく、生徒との共同的な「価値の生産」の過程である。
・教育はお金で買うものではない。共同性とは何か。

学習指導要領の改訂(3)

・2000年、学力低下論争。
・2003年、学習指導要領の一部改訂。(ゆとり教育の終わりの始まり)
・2008年、学習指導要領改訂。授業時間増、指導内容の充実。

PISAショック

*PISA:学習到達度調査。Programme for International Student Assessment。高校1年生対象。
*OECD:経済協力開発機構。Organisation for Economic Co-operation and Development
*PISAショック:2003年と2006年の調査で日本の順位が大幅に下がったことに教育関係者一同衝撃を受けたこと。←しかし2009年と2012年の調査では順位が上昇。
*全国学力・学習状況調査:2007年より毎年実施。小6と中3を対象。
・A問題とB問題。

学力の3要素

・2007年:学校教育法改正。第30条に学力が定義される。

前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。
(「学校教育法」)

ここで規定されているのが、いわゆる「学力の三要素」と呼ばれるものである。この学力の三要素は、「学習指導要領」の目標規定や、「全国学力・学習状況調査」の方向性など、様々な場面で繰り返し用いられる。学力の3つの要素を、文部科学省自身は以下のようにまとめている。

(1)基礎的・基本的な知識・技能。
(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等。
(3)主体的に学習に取り組む態度。
(文部科学省「学習指導要領「生きる力」」)

この学力の定義は、『学習指導要領』の内容に深く反映されている。具体的には、各教科の目標や評価は全てこの学力の三要素に沿って記述されている。このように「学力」を定義した背景を、文部科学省自身は以下のように説明している。

知識基盤社会の到来や、グローバル化の進展など急速に社会が変化する中、次代を担う子どもたちには、幅広い知識と柔軟な思考力に基づいて判断することや、他者と切磋琢磨しつつ異なる文化や歴史に立脚する人々との共存を図ることなど、変化に対応する能力や資質が一層求められている。一方、近年の国内外の学力調査の結果などから、我が国の子どもたちには思考力・判断力・表現力等に課題がみられる。これら子どもたちをとりまく現状や課題等を踏まえ、平成17年4月から、中央教育審議会において教育課程の基準全体の見直しについて審議が行われた。
この見直しの検討が進められる一方で、教育基本法、学校教育法が改正され、知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)を重視し、学校教育においてはこれらを調和的に育むことが必要である旨が法律上規定された。さらに、学校教育法第30条の第2項において、同法第21条に掲げる目標を達成する際に、留意しなければならないことが次のように規定された。
(『言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】』)

復習

・自由化、民営化、規制緩和、構造改革のデメリットについて押さえておこう。
・学力の定義について理解しよう。

予習

半年間の授業全体の流れをおさらいしておこう。