【要約と感想】今津孝次郎『教師が育つ条件』

【要約】教師が育つ条件は、「出会い」です。子どもや保護者、上司や同僚などとの「出会い」を通じて、世界の見え方や自分の在り方が変わり、教師として一歩前に踏み出すことができます。教師としての在り方は大学での教職課程で全て学べるわけではないので、教職生活全体を通じて成長を見守っていく必要があります。

【感想】本書は、大学の教職課程では主に「探求力」を身につけなければならないというが、それは講義の中身そのものからではなく、教師の「学問への姿勢」への共感からもたらされると言う。まあ、そんなことはだいたい分かっていて、確かに自分自身も学生に対して講義内容そのものを受け渡し可能なモノとして授けるというよりは、意識的に「姿勢」を見せに行っているつもりではあるのだった。が、まあ、どんなにこっちが頑張ってるつもりでも、寝るやつは寝る。そこに「出会い」は発生しない。いかに「出会い」をもたらすかというヒントが書いてあるかと多少は期待していたけれども、そこはやはり無い物ねだりではあった。当たり前ではあるが、自分で探求するしかない。

あと、教員免許更新講習に関する話は、当事者として興味深く読む。確かに教育公務員特例法の「研修」に関わる条文との不整合は、お粗末極まりないと思う。どうにかならんもんかと思いつつ、法律に則って、来年も教員免許更新講習は張り切って行うのだった。身銭を切って教員免許更新講習に参加してくれる先生方のためにも、まずは自分に与えられた持ち場を精一杯こなすしかない。

今津孝次郎『教師が育つ条件』岩波新書、2012年