教育課程の意義と編成-7

▼11/6(月)

前回のおさらい

・カリキュラム・マネジメント
(1)教科横断的な教育課程編成。
(2)評価とPDCAサイクルの確立。
(3)人的・物的な資源の確保。
・カリキュラム編成のルール。

学習指導要領総則:主体的、対話的で深い学び

学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で、次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り、生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。(『学習指導要領』3頁)

主体的・対話的で深い学び

第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
各教科等の指導に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等学びに向かう力人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、生徒が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。(『学習指導要領』7~8頁)

*主体的・対話的・深い学びとは、それぞれどういうことか?
(1) 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。
(2)子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。
(3) 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。
(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

・主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を考えることは単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることに他ならない。(『学習指導要領解説 総則編』77頁)

・主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり、特に「深い学び」の視点に関して、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」は、新しい知識及び技能を既にもっている知識及び技能と結び付けながら社会の中で生きて働くものとして習得したり、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会や世界にどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものであり、習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて、より質の高い深い学びにつなげることが重要である。 (『学習指導要領解説 総則編』77~78頁)

「理科」に特有の「見方・考え方」とは何だろうか?
(1)単元など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、理科の学習過程の特質を踏まえ、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を図ること。
(2) 各学年においては、年間を通じて、各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際、各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して、各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにすること。 (『学習指導要領』82頁)

・「理科の学習過程の特質」とは何か?
・「各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ」とはどういうことか?

言語環境の整備と言語活動の充実

(2) 第2の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため、各学校において必要な言語環境を整えるとともに、国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて、生徒の言語活動を充実すること。あわせて、(7)に示すとおり読書活動を充実すること。

(1)教師は正しい言葉で話し、黒板などに正確で丁寧な文字を書くこと。
(2)校内の掲示板やポスター、生徒に配布する印刷物において用語や文字を適正に使用すること。
(3)校内放送において、適切な言葉を使って簡潔に分かりやすく話すこと。
(4)より適切な話し言葉や文字が用いられている教材を使用すること。
(5)教師と生徒、生徒相互の話し言葉が適切に行われるような状況をつくること。
(6)生徒が集団の中で安心して話ができるような教師と生徒、生徒相互の好ましい人間関係を築くこと。
(『学習指導要領解説 総則編』81頁)

理科で「言語活動」を重視するとは?
2の(3) 1の(3)の学習活動を通して、言語活動が充実するようにすること。
→1の(3) 学校や生徒の実態に応じ、十分な観察や実験の時間、課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際、問題を見いだし観察、実験を計画する学習活動、観察、実験の結果を分析し解釈する学習活動、科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにすること。(『学習指導要領』82頁)

コンピュータ等や教材・教具の活用

(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

・IT化への対応と、情報の正確な読みとり。
・情報モラル。

2の(4) 各分野の指導に当たっては、観察、実験の過程での情報の検索、実験、データの処理、実験の計測などにおいて、コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するようにすること。(『学習指導要領』82頁)

見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動

(4) 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を、計画的に取り入れるように工夫すること。

・予習と復習の重要性。
・キャリア形成の方向性と学ぶ意欲。

体験活動

(5) 生徒が生命の有限性や自然の大切さ、主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう、各教科等の特質に応じた体験活動を重視し、家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。

集団の中で体系的・継続的な活動を行うことのできる学校の場を生かして、地域・家庭と連携・協働して、体験活動の機会を確保していくこと。(『学習指導要領解説 総則編』87頁)

理科での「体験活動」とは?
(8) 観察、実験、野外観察などの体験的な学習活動の充実に配慮すること。また、環境整備に十分配慮すること。
(10) 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また、理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。(『学習指導要領』83頁)

課題選択及び自主的、自発的な学習の促進

(6) 生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど、生徒の興味・関心を生かした自主的、自発的な学習が促されるよう工夫すること。

学校図書館、地域の公共施設の利活用

(7) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、生徒の自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また、地域の図書館や博物館、美術館、劇場、音楽堂等の施設の活用を積極的に図り、資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。

各教科等を横断的に捉え、学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導するよう努めることが望まれる。(『学習指導要領解説 総則編』89頁)

(9) 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携、協力を図るようにすること。(『学習指導要領』83頁)

復習

・「主体的、対話的で深い学び」について、自分の言葉で説明できるようにしておこう。

予習

・『学習指導要領』8~11頁を読んでおこう。