教育の基礎理論-4

前回のおさらい

・「教育」と「形成」の違い。
・イニシエーションの具体例。

イニシエーション(つづき)

・日本語では「成人式」や「通過儀礼」とも呼ばれる。
・大人の仲間入りをするために、全ての若者が突破しなければならない試練。日本だけではなく、世界全体に共通して見られる。
・肉体的には大人になっても、精神的に大人になる必要がある。
・「死」と「再生」の象徴。

若者組……学校がない世界での人間形成

・家族との分離(親離れ、子離れ)と、年齢別集団への加入。女性の場合は「娘宿」など。
・「家族」でも「学校」でもない場所における知識の伝達。
・集団労働力の提供、祭礼や村芝居の執行、消防・警察、性や結婚の管理。
・人々は、学校や教育がなくとも、知恵と経験を後の世代に継承し、生活を続けていた。
・現代の教育にないもの:「死」と「生=性」。

日本での近代教育の始まり

・西暦1750年あたり、江戸時代中期頃から子供に対する意識は変わり始めていた。
←生産力の向上、遺産相続への関心、家意識の形成
←商品経済の展開、識字能力の有効性の拡大、寺子屋の増加

寺子屋

・庶民のための教育機関。
・庶民の生活に密着して、そろばんや習字を教えた。
・一般民衆が自分たちのために必要とした教育機関。幕府や藩など支配者層が上から押しつけたのではなく、下からの自発的な要求によって自然発生的に増加していった。

・学問水準も向上していた。儒学、蘭学、国学の展開。←長期間にわたる平和と繁栄。
・日本は独自に近代化への準備を始めていた。が、決定的な転換点はヨーロッパとの接触に刺激を受けた明治維新(1868年)。
・文明開化=日本を文明化から遅れた後進国であると自覚し、多くの日本の伝統的な習慣や仕来りを野蛮な習俗として否定し、西洋由来のモノや制度や考え方を崇拝した。
・明治維新≒西欧列強に由来する国民国家システムと市民社会の学習と模倣。教育制度に関しては、明治5年(西暦1872年)の学制。
・福沢諭吉の見た西欧列強の強さの秘密。『学問ノススメ』『文明論之概略』。表面上の物質的繁栄が重要なのか?

→資本主義
→民主主義
→国民国家

 

復習

・イニシエーションの役割について押さえよう。
・前近代の教育と近代の教育の違いについて、自分の言葉で説明できるようにしておこう。

予習

・ロックとルソーの教育論を調べておこう。