目次
前回のおさらいと補足
・「子供/大人」の境界線が、今と昔では異なっていた。
「形成」と「教育」の違い
・「教育」はなかった。
・「学校」がなかったころも人々は人間形成を行っていた。「教育」と異なる形態の人間形成のことを専門用語で「形成」と呼ぶ。
形成と教育の違い
カテゴリー 形成(前近代) 教育(近代)
【何を習得するか】 カンとコツ 知識と教養
【どこに修めるか】 身体 脳
【どうやって伝えるか】 行動 文字
【規範意識】 恥じ・しつけ 公共性・道徳
【根拠】 経験と仕来り 科学と合理性
【指導する人】 村落共同体 資格を持った教師
【見える光景】 背中 顔
【労働との関係】 労働と一体 労働と分離
【祭祀との関係】 祭祀と連続 祭祀と分離
【遊びとの関係】 遊びと連続 遊びを排除
【カリキュラム】 実践的・偶然的 意図的・計画的
【行政】 自治 中央集権
【大人の条件】 一人前 人格の完成
【人間像】 身分・地域の特殊性 普遍的人間
・徒弟制。ギルド。親方-弟子の関係。疑似親子関係。
・昔の子どもは活き活きしていた? →子どもが変わったわけではない。子どもを取り巻く環境のほうが変化したと考えれば、理解できる。
・昔のお父さんは尊敬されていた? →お父さんが変わったわけでも、子どもが変わったわけでもない。労働と教育のあり方が変わったことを考慮すれば、理解できる。
・どうして「形成」ではなく「教育」が必要となったのか? →お父さんと一緒の職業に就くなら「形成」で問題ないが、別の職業に就く場合には「形成」はむしろ意味がなくなる。
イニシエーション
・日本語では「成人式」や「通過儀礼」とも呼ばれる。
・大人の仲間入りをするために、全ての若者が突破しなければならない試練。日本だけではなく、世界全体に共通して見られる。
・肉体的には大人になっても、精神的に大人になる必要がある。
・「死」と「再生」の象徴。
若者組……学校がない世界での人間形成
・家族との分離(親離れ、子離れ)と、年齢別集団への加入。女性の場合は「娘宿」など。
・「家族」でも「学校」でもない場所における知識の伝達。
・集団労働力の提供、祭礼や村芝居の執行、消防・警察、性や結婚の管理。
・「死」と「生=性」。
復習
・「形成」と「教育」の違いを具体的に説明できるかチェックしよう。
・イニシエーションの具体的な例を調べてみよう。
予習
・ヨーロッパの歴史をおさらいしておこう。