教育概論Ⅰ(保育)-8

▼短大保育科 6/8(木)

前回のおさらい

・ヨーロッパが強い理由=個人主義+民主主義。
・民主主義で憲法が果たす役割。
・民主主義の世の中で普遍的な「人間の教育」が始まる。→人格の完成

人格の完成(前回のつづき)

アイデンティティ

・日本語では「自我同一性」や「存在証明」などと訳されることがある。
・自同律:「A=A」「わたし は わたし」
・この世に変化しないものなどあるのか? 「A→A’」
・私は常に変化し続けている(新陳代謝)にも関わらず、どうして常に「わたしはわたし」と言うことができるのか?
・わたしの属性について考えてみる。A=X、A=Y、A=Z・・・・。常に一致しているのは何か?
・主語と述語。常に主語であるものにはアイデンティティが成立している。
・述語に重点を置くか、主語に重点を置くか。
・「主体性」とは何か。子供の主体性や自主性を重んじるのはどうしてか?

個人主義の教育

人間の尊厳:かけがえのない、他の何者とも交換不可能な、独立した、一人の人間として認められる。
・日本国憲法第13条:「すべて国民は、個人として尊重される。」
・日本国憲法第24条2項:「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」

自由と責任

・「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」とは何か?
・モノは自由ではないが、人格は自由である。
・教育とは、自由でないようなものを、自由にするための営みである。
・子供は不自由で、大人が自由? →子供は生理現象に無条件に従わざるを得ないが、大人は同じ生理現象に対しても様々な選択肢を持っている。
・人間は、本当に自由なのだろうか?

思考実験:自由と責任

case1:殺人 選択肢がある場合
case2:リモコン 選択肢がない場合
case3:運命 選択肢はあったのか?→(余談)悲劇とは何か
case4:隕石 物理法則には選択肢の余地がない
case5:因果関係 因果関係に選択肢はあるか→(余談)決定論
case6:責任 選択肢は、あったはずだ

・「責任をとる」ということは「自由」でなければ起こりえない。自由だから責任があるのではなく、責任をとれるから自由がある。
・「自由」であるということは、因果律に支配された「モノ」とは違うということである。
・因果律に支配されないものとは何か? →人格
立法能力:自分でルールを作って、自分で守ることができるような力。他人の作ったルールに従う(他律)のではなく、自らの意志でルールに従う(自律)。→みんなで作ったルールには、みんなで従う。

復習

・「子供の自主性を尊重する」というとき、教師は具体的に何をするべきか、考えてみよう。

予習

・ロックとルソーの教育論について調べておこう。