教職基礎論(栄養)-7

▼短大栄養科 6/3(土)

前回の復習

・「義務教育」と「普通教育」の意味。
・「学力」の三要素。
・『学習指導要領』の意義と構造。

学習指導(つづき)

生きる力と知識基盤社会

生きる力:知徳体のバランスがとれた成長。
知識基盤社会:21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代である。
(1)知識には国境がなく、グローバル化が一層進む。
(2)知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく生まれる。
(3)知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要になる。
(4)性別や年齢を問わず参画することが促進される。

「社会の構造的な変化の中で大人自身が変化に対応する能力を求められている。そのことを前提に、次代を担う子どもたちに必要な力を一言で示すとすれば、まさに平成8年の中央教育審議会答申で提唱された「生きる力」にほかならない。」

OECDの主要能力(キーコンピテンシー)

OECDOrganisation for Economic Co-operation and Development=経済協力開発機構。
PISA:Programme for International Student Assessment=学習到達度評価。
キーコンピテンシー:OECDが2000年から開始したPISA調査の概念的な枠組みとして定義付けられた。
・単なる知識や技能だけではなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な課題に対応することができる力。
(1)社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する力
(2)多様な社会グループにおける人間関係形成能力
(3)自立的に行動する能力

(いわゆる)ゆとり教育

ゆとり教育:いわゆる「詰め込み教育」からの転換。(文部科学省による正式名称ではない)。いつから「ゆとり教育」が始まったかや、実質的な定義、評価等については、立場によって見解が大きく分かれているものの、1990年代後半から2000年代前半にかけてがピークだったことについてはおおむね一致する。
新学力観:従来の「知識・技能」を中心とした学力観を脱却して、思考力や問題解決能力、一人一人の個性を重視しようとする新しい「学力」に対する考え方。1998年の学習指導要領から示された。
学力低下:1990年代から2000年代にかけて、子供たちの学力が低下したのではないかという問題関心を示す言葉。実際に学力が低下したかどうかは吟味の必要がある。また、現実的には学力格差の拡大のほうが問題の根が深いかもしれない。
PISAショック:2003年と2006年のPISA調査結果で、日本の子供たちの学力が国際的な水準から見て急激に低下したことに、多くの人々が驚愕したという事態。いわゆるゆとり教育を見直すきっかけとなった。
全国学力・学習状況調査:2007年より開始された、日本全国の小中学校生徒全員を対象としたテスト。

ゆとり教育の是非

・「(いわゆる)ゆとり教育」に賛成か反対か、「どのような能力を伸ばすのか」という観点から考えてみよう。

復習

・「生きる力」が目指している教育や、「キーコンピテンシー」といったものが目指している人間形成について、現代社会の変化を踏まえて、概要を押さえておこう。

予習

・「学校選択制」や「教育改革特区」とは何かについて、調べておこう。