■龍ケ崎キャンパス 4/24(月)
■新松戸キャンパス 4/28(金)
目次
前回のおさらいと補足
・立場によって「学校」に期待する機能が異なる。自営業/資本家/労働者
・「子供/大人」の境界線が、今と昔では異なっていた。
生理的早産
・人間以外の高等哺乳類は、誕生してからすぐに親と同じような行動をとることができる。しかし人間の赤ん坊は「能なし」で生まれてくる。高等哺乳類の例に習うなら、人間はあともう一年は母親の胎内にいる必要がある。
・この一年早く生まれてくることを「生理的早産」と呼ぶ。この現象こそが、人間を人間たらしめているという仮説。
・生物学的・自然科学的な過程によって必然的に成長が決められるのではなく、歴史的・文化的な過程によって選択的に成長が決まる。ここに人間らしい「個性」が生まれる。
【参考文献】ポルトマン『人間はどこまで動物か』
人間はどこから人間か?
・「7歳」という境界線。埋葬、捨て子、マビキ。
・妊娠中絶は殺人か? →昔と今とでは、「なかったことにする」という意味で、やっていること自体は変わらない。単に「どこから人間か」という境界線が移動している。
「形成」と「教育」の違い
・「教育」はなかった。
・「学校」がなかったころも人々は人間形成を行っていた。「教育」と異なる形態の人間形成のことを専門用語で「形成」と呼ぶ。
カテゴリー | 形成(前近代) | 教育(近代) |
---|---|---|
【何を習得するか】 | カンとコツ | 知識と教養 |
【どこに修めるか】 | 身体 | 脳 |
【どうやって伝えるか】 | 行動 | 文字 |
【規範意識】 | 恥じ・しつけ | 公共性・道徳 |
【根拠】 | 経験と仕来り | 科学と合理性 |
【指導する人】 | 村落共同体 | 資格を持った教師 |
【見える光景】 | 背中 | 顔 |
【労働との関係】 | 労働と一体 | 労働と分離 |
【祭祀との関係】 | 祭祀と連続 | 祭祀と分離 |
【遊びとの関係】 | 遊びと連続 | 遊びを排除 |
【カリキュラム】 | 実践的・偶然的 | 意図的・計画的 |
【行政】 | 自治 | 中央集権 |
【大人の条件】 | 一人前 | 人格の完成 |
【人間像】 | 身分・地域の特殊性 | 普遍的人間 |
・徒弟制。ギルド。親方-弟子の関係。疑似親子関係。
・昔の子どもは活き活きしていた? →子どもが変わったわけではない。子どもを取り巻く環境のほうが変化したと考えれば、理解できる。
・昔のお父さんは尊敬されていた? →お父さんが変わったわけでも、子どもが変わったわけでもない。労働と教育のあり方が変わったことを考慮すれば、理解できる。
・どうして「形成」ではなく「教育」が必要となったのか? →お父さんと一緒の職業に就くなら「形成」で問題ないが、別の職業に就く場合には「形成」はむしろ意味がなくなる。
イニシエーション
・日本語では「成人式」や「通過儀礼」とも呼ばれる。
・大人の仲間入りをするために、全ての若者が突破しなければならない試練。
・「死」と「再生」。
若者組
・家族との分離と、年齢別集団への加入。
・「家族」でも「学校」でもない場所における人間形成のかたち。
・集団労働力の提供、祭礼や村芝居の執行、消防・警察、性や結婚の管理。
・「死」と「生=性」。
復習
・前近代の人間形成の特徴を、学校の教育と比較してまとめておこう。
・「学校」で行われる教育の特徴をまとめておこう。
・「イニシエーション」について、具体的な例を調べよう。
・現代の「成人式」との違いを考えてみよう。
予習
・西ヨーロッパの歴史について、高校までに習った世界史の知識をおさらいしておくこと。